幾度となく通った目黒権之助坂。
行列のできる家系があるとは知らなかった。
飲んだついでに調子に乗って
大盛・硬め・濃いめ・多め・ライス無料
を頂く。
壁一面を彩る様々なサイン。
よく見ると10年ほど前のものが多い。
資本系まではいかないけど
わりと万人受けしそうな味。
いい家系ラーメンは
むこうから喧嘩を売ってくるような
挑んでくるような姿勢があって
そこが家系の良さだと思っているのだけど
こちらはバランスととれた穏やかな家系。
平本連のサインも発見。
平野啓一郎作品では最速読了。
まさかの半日。
ストーリーを追いかけるだけなら
あっという間に読み終わる。
マチネ、空白、ある男と
実写化も多い作家さんだけど
この人のよさはストーリー展開ではなく
幕間に挟まれる
時事ネタだったり
唐突な主張だったりするんだよな。
今回は在日・倦怠期・震災を
ふんだんに突っ込んできており
ここが一番読み応えのある部分だけに
作家のメッセージを映像化するという意味では
本来、一番実写化が困難な作家さんだと思うのよね。
宮部みゆきの大傑作『火車』のようなストーリーで
君ほんとは誰やねん。
の謎解きなのだけど。
なによりも日本語遣いがとんでもなく上手で
起きている事象を正しく伝えたり
目に見えない心のひだを言語化して説明したり
特に深層心理の描写においては
当代髄一ではなかろうか。