僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

ハゲタカ4.5スパイラル(真山仁)

2018年09月30日 | よむ

なるほど!
今回は芝野ターンアラウンドマネージャーの話でしたか。

いつものハゲタカと違って

芝野さんが主役ということもあって
防御に次ぐ防御なお話。

時系列的には
ハゲタカ2曙電気の終わりから
3のアカマ自動車をへて
4のアメリカンドリーム社まで

実社会的には
リーマンショック前後てことになるんでしょうか。

鷲津は名義貸し程度に顔をだすだけで
全編にわたり
忍耐の芝野さんがいなし続ける物語。

それでも展開が進むにつれてバチバチのハゲタカに仕上がって行く。

なんやかんやで
今回は痛み分け。

経済小説ハゲタカが誕生して

早や15年。

ハゲタカファンドなんて言葉

耳にしなくなって久しいけれど

まだ続くのかしら?


古河公方館(古河)

2018年09月27日 | ぶらぶらする

名は知れども

姿は知れず。

室町期に関東に乱立された権威。

関東支配を一任された鎌倉公方、

補佐役の関東管領、

関東管領の跋扈により分離した古河公方、

鎌倉公方の補強に失敗し生まれた堀越公方、

そのドタバタの中からさらに

小弓公方、後北条氏、扇谷上杉、山内上杉と・・・。

いずれも足利家の関東運営がうまくいっていなかったことを示す。

中国史が示す通り

一族による国家運営は

親族を広げたぶんだけ滅亡にむかって一直線だからムリなんだよ。

その乱立する権威の一角、

古河公方の足跡を追うべく

降り立ったものの

遺構はほとんど残っていないもよう。

親水公園として整備が完了し

わずかな縄張りと

古河公方跡を示す石碑が残るのみ。

うーんこれではなにがなにやら。

沼地や

鶏小屋を見に来たわけではないのだが。

古河公方の影も感じることができず

公園を後にする。

しからばなにか土地のものでもということで

締めは古河名物の丸満餃子で1.5人前を頂く。

ってシナモンロールかオイッ!

いうまでもなく厚皮。

焼小籠包か。

食べ応えがあるため単品で十分だな。

マヨネーズにコチュジャンの醤油ダレ・・・だと?

キパワーソルト・・・だと?

もう意味が分かんない。

野菜中心のぺっちょりした餡。

くずれやすいので

小皿が庵でグズグズになるおそれあり。

皮は厚いだけでなく

小麦の甘みがほんのり。

なんだかんだと調味料が10種以上卓上に並ぶので

多少のことでは飽きずに最後まで頂くことができる。


砂漠(伊坂幸太郎)

2018年09月24日 | よむ

タイトルと始めの3行で全てを理解した。

早雲でいうところの

よし、わかった!

といったところか。

文末に挿入される吉岡秀隆のような

俯瞰したつぶやきが面白い。

禅問答のような会話で構成される文体は

確かに村上春樹のようでもある。

ホント音楽をしきりと引用するところも

確かに村上春樹に似ている。

読んだわけではないのだけれど

アヒルと鴨のコインロッカーの映画はみたことがある。

会話とつぶやきで構成される

俯瞰的な世界は

この作家のリズムそのものだった。

すごく上手に映画化されたのだろう。

しかしなんだろう。

あの映画とは別の物語なのに

共通するこの空気。

うしろでは常にブローニンザウインドが流れているような

この懐かしさは。

最後の春夏秋冬は

大学生活なんてあっという間

という

誰もが知る常識の暗喩なのかしらん。

そしてその時間の経過を意識しながら再読すると

腑に落ちる描写が多い。


オロロ畑でつかまえて(荻原浩)

2018年09月24日 | よむ

今や押しも押されぬ直木賞作家

荻原浩のデビュー作。

各チャプターが広告代理店の業界用語になっていておもしろい。

「神様からひと言」でも思ったけど

会社員生活の経験者なのだろうか。

とおもったら広告代理店出身者とのこと。

広告代理店の村おこしで

ドッタンバッタンで

なんやかんやでハッピーエンド。

読んだことないけど

井上ひさしの吉里吉里人にも通じる

ブラックユーモアなのかな。

あまり頭を使わずに

一気に読み進められる。


死神の精度(伊坂幸太郎)

2018年09月23日 | よむ

 

初の伊坂幸太郎。

しかもいまさら!

世に出てから15年もたっているんだな。

全6編からなる短編集のようで

最後まで読み終わると

あぁ

と納得の長編のようでもある。

第6章の途中で最初のページに戻りたくなる

衝動に駆られるが

実際戻ってみると

髪切りからスタートして

髪切りに終わるしかけに気付く。

手塚治虫の火の鳥のような手法ですな。

あっちゅう間に読み終えてしまう

お菓子のような本。

金城武で2011年に映画化とあるが

なんとなく

佐藤健のイメージで読み進んだ。

素手で触れるとストンとなる仕組み、

あれ幾度となく破綻してないかしら???