僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

サラバ!(西加奈子)

2020年09月30日 | よむ

子供の頃誰もが抱いたであろう劣等感を
あますところなく
活字で的確に表してくれる。
長年の蟠りが
スッ
と融けて喉を流れてゆく感覚。
読書芸人がもてはやされたとき
中村文則と並んで名前が頻出した作家さんだけど
作風が確かによく似ている。
おそらくは作者の自伝的要素の強い内容なのだろうが
ピンポイントで同世代なところに
親近感を強く感じる。
確かにあの頃は就職氷河期だったなぁ。
そして今もみんなそこを乗り越えて
いきてるんだなぁ。
ボソリ。
そして43歳になった今
彼をこれから襲うであろうイベントに
先回りしているところが
実に面白い。
あの頃はこうだったなぁと思うと同時に
彼はこれからどうするのかな?
と思いながら読み進むことができるのだ。
ただ
出てくる映画や音楽は
馴染みのないものが多く
伊坂幸太郎の音楽の趣味に共感を覚えていたところもあり
浅学に恥ずかしさを感じる。
そして愚痴というものが
解決やアドバイスを求めたものではなく
「誰かに認めて欲しい」という
ただの承認欲求の極地である。
ということを静かに教えてくれた圷歩くん、
心の底からありがとう。
学業を修めて
いや、修めることすらほどほどに
日本という島国をあとにした知人が
極々極めて僅かながらいるが
日本人というものは
まだまだ魂の封建社会にあり
それが日本人を日本人たらしめているのかもしれん。

さて物語の後半は主人公が
ギラギラした10代とは変わってしまった
30代の世界がいつの間にかやってきているのだが
誰もが持つ劣等感を
個性として
あるいは友人として
受け入れることができた人ほど早く
落ち着いた世界を手に入れることができ
それが年相応に歳を取るということであり
それは
誰かに認められる
という手段を通じてのみ
昇華できる作業のように感じる。
いつだったか、
「僕らには西加奈子がいる」
という文庫帯をみたことを覚えている。
読み終わってまさにそう思う。
「みんなそう、みんなそうなんやで」
と卑しい劣等感を
抱きしめられたような気持ちになる一冊である。
と同時に
自分が自分に追いつくための物語。

浹(日本橋)

2020年09月30日 | 麺をいただく

京都鴨そば専門店とあるので
鴨そば大盛を頂く。

出汁だ!
とんでもなく薄口で
出汁自身に主眼をおいた出汁だ。
塩でなく
出汁!
そこに鴨の脂が細かく混ざって
うまい!

蕎麦はくたっと
ザラっとしたポソポソ麺。
店主さんの京都なまりがとても良い感じ。
九条ネギ、鴨肉、出汁。
他ではあまり見ない
ありそうでなかった
実にホッとする組み合わせ。

今川軍師からの僕ドラえもん(静岡)

2020年09月26日 | ぶらぶらする
今川の菩提寺
臨済寺へついにやってきた!

おおう。
静機山の尾根から
一寸だけ覗いたことはあったが
正面から見ると
改めて荘厳。

あいにくの雨だが
雨じゃなくても
駐車場もねーし。
観光客のすくない
禅宗の修行寺。
行き届いた通用門をくぐると
1997年建立の
新仏殿。
まだまだピカピカ。

今川家黄金期の政治軍事顧問、
大原雪斉が建立し
今川義元が英才教育をうえ
徳川家康が人質時代をすごした
当時としては
駿河の国随一の最高学府だったに違いない。
緩やかな階段を上り
本道へ。
静かだ・・・。
実に静かだ・・・。

人の気配はないくせに
塵一つおちていない境内に
ピリッとした
禅寺ならではの
緊張感を感じることができる。
一般公開は年に2度のみで
その姿は通常秘匿されている。
この日はJR主催キャンペーン
静岡ディスティネーションで
なにやら選ばれし30名ほどが
拝観中。
う、うらやましくなんかないんだからねっ!
参拝の後は
焼きたてどら焼で有名な
浅間神社表参道
河内屋さんへ。
大人気のどら焼は
時間制で
定時の30分前から客が並び始め
十分に行列が出来上がったのを見計らって
高見山のようなおやっさんが焼き始める。
こちらのご主人とにかくおしゃべりな上に
まぁもったいぶりながら
直径10cm程度のどら焼きの皮を
ペシャッ
ペシャッ
とチマチマ焼いてゆく。
その間
手元の100倍口が動き続け
とにかく客いじりが止むことがない。
ホカホカで頂くどら焼きは
クレープと和菓子の中間のようで
そこいらで頂くどら焼きとは
ちょっと別物。
熱々でペロ~ンとした
甘さ控えめの薄皮に
これまた甘さ控えめの
餡子が控えめに挟まる。
熱々前提なので
そんなに甘くしていないのかもしれない。
世間的にはこのご主人を含めて
大人気のことだけれど
店主のおしゃべりは結構苦手な部類に入る。
というか
正直不快。
どら焼を補って余りある
店主のマイナスっぷりで
むしろ二度といきたくないかも笑。


いまさらながら天地人・・・

2020年09月23日 | ぶらぶらする
越後長岡で
直江兼続出自の城を発見。

まぁ特に
遺構が残るわけでなし
よくある平山城なのではあるが
はいどうもっ!
兼続くんですっ!
の直江兼続が住んでいた城。
ってだけでも興味がわく。
車を停めて
5分足らずで本丸というお手軽登城。
直江家は
この本与板城を出自として
兼続の時代の少し前に
隣の与板城へ移っているのだが
同じ町内でお引越しといえるくらい近いので
登城のさいは
セットがおすすめ。
与板城には
兼続くんの妻
お船の方ゆかりの
おせん清水なるものもあり
また
引越し先だけあって規模も大きくなるため
多少は見ごたえがある。

龍王(横浜)

2020年09月22日 | 麺をいただく
横浜駅
ダブルドラゴンの1匹
「サウスドラゴン」を退治しにやってきた!
ノースドラゴン龍味はすでに退治済み♪
ここは横浜ってことで
サンマーメンとチャーハンを頂く。
龍味より広く
テーブル中心。
いやこれは
すばらしい町中華だねえ。
中野ブロードウェイのような
アングラストリートに
突然あらわれる
主張強めの店構え。
私も知らなかったことだが
サンマーメンとは横浜に起源をもつ
細切り野菜の餡かけ麺のことで
横浜市民のソウルフードなんだとか。
へぇーへぇーへぇー。
細麺でサラサラいけちゃう。
チャーハンは
ハマのダブルドラゴンの看板に恥じぬ
味濃いめ脂強め塩からめ
の3拍子そろった
ザ町中華チャーハン!