僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

オーデュポンの祈り(伊坂幸太郎)

2023年12月08日 | よむ

なんと2000年の著者デビュー作!
人気作家の活躍はここから始まったのか。
2000年デビューってなんだか親しみを感じる。
一人称で淡々とすすむ大事件に
村上春樹とよく似た文体を感じるが
本人は読んだことないらしい。
そんなこともあるのね!
散文的にたくさんの登場人物が現れて
深く掘り下げられることなく退場してゆく。
登場人物は一様に色んな意味で無機質で
熱意をもって行動していたのは
ロクちゃんくらいではなかろうか。
伊坂幸太郎はどの本を読んでも
似た趣味にシンパシーを感じることができ
出現するたびにそれはもう歓喜の声をあげているのだが
デビュー作の本作には
なぜかそれが一度も顔を出さない。
が片鱗を感じることはできる。
淡々と抑揚なくすすめたのも意図的なもので
ファンファーレを鳴らすが如く
曇り空がパッと晴れ渡るように
ラストシーンを登場させたかったからじゃないかな。