ルフィガロ紙からインタビューを受ける、ニースで生まれ育った老婦人は語る。
戦争で父を亡くし、後に母も亡くしたマリアは、中学を出てすぐに家政婦として裕福なマグノリアのマダムの元で働き始めた。元々絵が好きだったマリアは、美術品をコレクションしていた彼女の元でさまざまな美術品を目にし、審美眼を養った。
そんなある日、マダムの使いとして、オテル・レジナに滞在するマティスの元にマグノリアを届ける役目を仰せつかったマリア。それをきっかけとし彼の元で働くことになったが……“うつくしい墓”、
一昨年に他界したドガの回顧展が開催された。ドガと親しかったアメリカ人女流画家メアリー・カサットは、画廊主ポール・デュラン=リュエルからある相談を持ちかけられた。
ドガは、絵を描くためのマケットとしてたくさんの立体の試作を作っていたが、その他に、そして唯一の彫刻作品である少女のブロンズ像が存在した。その像と久しぶりに再会したメアリーは、その当時のことを思い浮かべていた……“エトワール”、
画材屋のタンギー爺さんは、若き芸術家たちの庇護者であったが、それゆえに店の経営は苦しかった。見るに見かねた娘が、常連であるセザンヌに借金を支払って欲しいと手紙を書く。その後もたびたび彼の元に書き送られる手紙には、店のことや思い出、そしてタンギー爺さんについてが記されていた……“タンギー爺さん”、
ジヴェルニーで晩年のモネと共に暮らしていた、義理の娘・ブランシュ。
母・アリスが残したレシピで、元首相でモネの庇護者であったクレマンソーの訪問を迎える。そんなモネが描いているのは、睡蓮の池の連作だがさまざまな要因によりなかなか完成しない。
そんなモネとブランシュの関わりは、実父で美術品収集家であったエルネスト・オシュデがきっかけだった
。やがてエルネストの会社は潰れ、一家でモネの家に転がり込むが、エルネストは彼女たちを置いて失踪。そこで奇妙な共同生活をすることになり……“ジヴェルニーの食卓”の4編収録の短編集。
それぞれに有名な美術作品をモチーフとした作品集。
画家本人ではなく、(基本的には)あたたかな視線を向ける傍観者からの視点で描かれているのも共通点かな。
装丁も含め、とても素敵な一冊でした♪
<13/5/30>