黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『桜ほうさら』宮部みゆき(PHP研究所)

2013-05-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
上総搗根藩の侍であった古橋笙之介。
とある理由で、半年前から江戸の深川北永堀町・富勘長屋で暮らしはじめ、貸本屋の村田屋治兵衛と知り合い、写本の仕事で生計を立てていた。
そんなある日、治兵衛から、江戸随一の名料理屋・八百善が出した料理本『料理通』と、組み立てると八百善の模型が出来上がる『起こし絵』を預かり、それを自分で再現すべく工夫を考える。
笙之介は、搗根藩の小納戸役・古橋宗左右衛門の次男であったが、道具屋・波野千から賄賂を受け取ったという疑いをかけられ切腹の上、古橋家は廃絶。名家の出である母・里江は優秀な兄・勝之介を溺愛しており、お家再興を叶える為、つてのある江戸留守居役・坂崎茂秀を通じて取りなしてもらう役目を命じられた笙之介は江戸にやってきたのだった……“第一話 富勘長屋”、
先に見かけた桜の精の如き娘・和香の存在が気になる笙之介。
そんな中、彼を訪ねて奥州三八野藩の藩士・長堀金吾郎という人物が長屋にやってきた。しかし笙之介が同じ名の人違いであることが判明し力を落とした長堀は、疲労の為倒れ込んでしまう。
堀部は、心の支えだった女人や愛馬を喪った末、おかしな文を書くようになってしまった大殿を案じているのだが、どうやらその文に使われているのが、若き日に大殿が出会った流れ者の古橋笙之介という人物が教えた暗号であると知り、その名の人物を探していたのだった。彼の手助けをすることになった笙之介は……
“第二話 三八野愛郷録”、
和田屋の女中頭・おつたから、治兵衛が一昨日から行方不明になっていると知らされ心配していた笙之介。
その後、治兵衛の無事は確認されたが、貸席・三河屋の跡取り娘・お吉が拐かされ、三百両を要求されているという話を聞かされる。
二十五年前、妻・おとよが拐かされ、惨殺された過去がある治兵衛は心配するが、あれこれ調べた末、笙之介は狂言ではないかと考えるが……“第三話 拐かし”、
父の死に関わっているらしい謎の代書屋を追う笙之介。
和香にその代書屋の話を相談したところ、和香の母・かなえが、二十年前に幼馴染の加野屋の分家の瀬戸物屋で起きた偽遺言状の件を思い出す……“第四話 桜ほうさら”を収録。

陥穽により切腹の憂き目に遭った父の死の要因となった、偽の文書の秘密を探ることになった若侍・笙之介が、江戸で出会った人々とのお話。
境遇はかなりハードなのですが、その割にはほのかな恋愛もあり、ほのぼのムードも漂っていて楽しめました(オチはやや微妙…)。
タイトルが素敵ですね♪

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