黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『夜のだれかの玩具箱』あさのあつこ(文藝春秋)

2010-01-05 | 読了本(小説、エッセイ等)
病で余命いくばくもない父・達樹が、茉莉という名を呼ぶのを聞いた雛子。それは母・敏美との結婚前に、忽然と姿を消してしまったという恋人の名だという。
一時的に快復を見せた父を連れ、日本海に面した彼の故郷・藤野代へと最後の旅へと向かう親子だったが……『仕舞い夏の海』、
“うちの猫は鼠を捕りません”と書かれた奇妙な看板を見かけた<おれ>。それはバーの看板で、中に入ると、マスターは何故か、<おれ>が常連客であるかのようにいう。その店には不仲な妻・恵理子に似た女性がいて……『うちの猫は鼠を捕りません』、
本所深川清住町の履物問屋<いずた屋>の若主人・和之介は、げた職人・矢八を訪ねて長屋にやってきた。
彼の腕をみこんでいる矢八の愛妻・お敬が姿を消し、別人のように面変わりするほど落ち込んでいる彼を、何とか立ち直らせようとする和之介だったが……『夢女房』、
少年時代共に遊んだ、今は亡き友達・喜久田亮介の作文が、天板上から出てきたのを二十年ぶりに目にした溝口武人。
そこには今は廃校となった学校の桜で御花見をした出来事が描かれていた。恋人・優衣から、その学校の桜を見たいと言われ……『お花見しましょ』、
山越えの途中で彷徨い、ある家に辿り着いた僧・我丈。そこには老婆がおりもてなされたが、彼女から都を知っているかと問われる。遠い昔、高貴な姫君に仕えていたことがあるという、老婆の周りにはいつしか蛍が飛び交い、彼は阿鼻舎丸と呼ばれていた強盗だった自分の過去を振り返る……『蛍女』、
昨日、4時20分のバスで帰るとメールで連絡した夫・修一からは返事はなかった。
身近な人が次々と亡くなり、人との付き合いが淡白な夫。そんな彼とのギクシャクした関係が続き、離婚を申し出ようとした矢先、父の病が発覚…。そんなことに思いをめぐらせていた彼女の乗ったバスが……『もう一度さようなら』の6編収録。

短編集。
『朝の子どもの玩具箱』と対っぽいタイトルですが、内容的には特に共通項はなく。
ブラックだったり、ちょっと影のある題材だったりするところが『夜』な感じかも(最初と最後の話のみ同じ人たちが登場)。

<10/1/5>