Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

雲の先が抱える「リアルな」問題

2009-06-01 18:26:01 | Thinkings

 クラウドサービスという言葉が使われ初めて半年くらいたちました・・・なんて始め方をつい最近したような気がしますけれど、とにかく、言葉だけはずいぶんと普及しているように思います。少なくとも、SaaSとかASPよりはずいぶんと。「ネットの向こう側にあるサービスを使う」という問題の切り分けを行う事で、ずいぶんとすっきりと、そしておおざっぱなとらえ方ではあるものの、これまでのネットサービスよりもわかりやすい(潔い?)サービスの呼び方であることも功を奏しているのかもしれません。

 さて、そのクラウドを導入するセールスポイントにおいて、企業が独自サーバーを導入するよりも、コストがずいぶんと安いと言うことがよく言われます。まず、設置スペースが要らないこと、空調などの環境整備が要らないこと、管理スタッフを削れること、そして増設時などのイニシャルコストがかからないこと・・・とまあ、「サーバーを持たないこと」によるコスト低減のメリットはこんな所でしょうか。もちろんデメリットもあるのですが、クラウドの導入に関するメリット・デメリットを語ると言う趣旨ではありませんのでこのあたりで。

 クラウドを導入することで、企業のサーバー運営コストは削れることは分かりました。では、逆に、クラウドを運営する側はどうでしょうか?今回はそれについてIIJの社長が興味深い話をしていますので、それをご紹介します。

通信業界のご意見番が訴えるクラウド時代の警鐘 ITmedia

 「IIJはクラウド事業において、インフラに近いところでのサービス展開に注力していくが、インフラといえば忘れてならないのが電力供給不足の問題だ。一方で電力消費量の増大は、地球温暖化問題やコストアップにも直結する。例えばデータセンターでは、運用コストのうち電力消費の割合が6割を占めるのが現状だ。今後、クラウド事業を展開するうえでは、こうした電力に関わる問題にどう対処していくかが重要なポイントになる」

 こう語る鈴木社長は、「IT分野はこれからますます巨大なエネルギー消費産業になっていくことを、私たちは深刻な問題としてしっかりと認識しておかなければならない」と訴えた。

 これまで、IT産業は物理的な産業に比べて、あまりエネルギー消費について語られることはありませんでしたが、近年はプロセッサやシステム全体の低消費電力化が熱心に議論されています。もちろんクラウドも例外ではなく、電力使用量は今そこにある危機ということです。特に、データセンターには大電力が集中すると言うことで、今後、データセンターがある区域の発電所には大きな負荷がかかることも考えられますね。
 以前に話題にしたGoogleの検索一回で7gのCO2排出という話を思い出しましたが、IT産業も決して環境問題からは逃れられないと言うことなんでしょう。今後も低消費電力化がトレンドになり続けるでしょうけれど、クラウドを利用する側も、雲の向こうのことを少しは考えなくてはいけないかもしれませんね。



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