Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

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2100人弁護士大控訴審・・・安田弁護士事件、再度表舞台に

2006-02-05 21:30:41 | Thinkings
 とある控訴審にて、2100人もの弁護人がつくという異例の事態が進行中です。

弁護人、異例の2100人 安田弁護士事件、控訴審始まる asahi.com

負債を抱えた顧問企業の財産を隠したとして強制執行妨害罪に問われ、一審で無罪となった弁護士、安田好弘(よしひろ)被告(58)の控訴審が1日、東京高裁で始まった。死刑廃止運動をリードする著名弁護士の起訴に加え、最高刑が懲役2年の罪なのに、起訴から足かけ8年にわたって公判が続いている点も異例だ。検察側の控訴に対し、全国の弁護士の1割に当たる2100人を超える弁護士が「弁護士業務への不当な介入」と異議を唱え、弁護人として名を連ねた。

 異例だらけのこの裁判、何でここまで異例な事態になっているかと言いますと、この裁判の焦点になっているのが、

「弁護士からのアドバイスと言う行為は、犯罪の共謀となるのか?」

という点がひとつ。

 現在の弁護士の重要な仕事の一つに、「法解釈の知識を生かし、現状打破の為の有効なアドバイスをする」という、いわゆる顧問的な仕事があります。
 しかし、そのアドバイスを現実に実行するのは顧客であり、弁護士には実行のゴーサインやそれまでの戦略までを練る権限はありません。

 ここまでをふまえて、今回裁判の焦点になっているのは、犯罪を犯した企業側にアドバイスをした弁護士は共謀に当たらないか?という事です。

 裁判の判決というのは、思った以上に尾を引きます。弁護側にしてみれば、自分のアドバイスが曲解されて起きた犯罪で、自分まで処罰されてはかなわない・・・という「死活問題」、ひいては弁護士活動の根幹に関わる重大事という解釈があるのですね。

 そして、こちらの方がより重要な点なのですが・・・

 以下の言い分を見てください。

検察側
「顧問先の不動産会社社長らに指示して、会社が所有するビルの賃料収入約2億円をダミー会社の口座に振り込ませて隠し、差し押さえを免れた」

弁護側
、「検察官が作り上げた事件。安田弁護士が提案したのは、会社再建と従業員の雇用確保のために賃貸部門を別会社化する構想であり、債権回収の妨害ではない」

と言うように、検察側と弁護側の意見が微妙に食い違っています。
 これは、どちらかが「事実を曲解(でっち上げ)している」事を示しています。

 元の記事には書かれていませんが、この事件の裏には検察側、つまりお上と、弁護士会との確執があることを忘れてはいけません。
 「安田弁護士事件」でググればすさまじい数の文献がヒットしますけれど、大方の意見は「不当逮捕」につきます。私も2,3の文献に目を通しましたが、その中で判断するならば、検察、警察側の不当逮捕に当たると考えられます。
 つまり、事実をでっち上げたのは、本来国民の利益を守るために動いているはずの、検察、警察側であり、不当逮捕に踏み切ったのは「安田弁護士が邪魔だったから」に他なりません。

 この事件、「オウム」「中坊公平」「住専」など、複雑な用件が絡み合っており、調べれば調べるほど検察側、国家権力の黒い部分が浮き彫りになってくる、まさに現代の百鬼夜行の様なものです。
 私も完全に調査不足で、事件の全容を理解するには至っていませんが、何故安田弁護士なのか?という問いに対しては「麻原彰晃を弁護したから」という理由に帰結しそうです。そして、第一審無罪のあと、控訴した理由は「検察のメンツ」という形につきそうです。
 裁判の内容を見ても、検察側の失態がぼろぼろと出てきており、無実なのは明白。それどころか、「業務上横領」の罪まで起訴せず放置すると言う怠慢まで犯している始末・・・それでも裁判を続けるのは、意地以外の他でもないとしか考えられない。

 今回の高裁、いったいどうなってしまうのか。安田弁護士は無事無罪を勝ち取れるのか。今後の動向が注目されます。


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