千手院のBlog

タイトルそのまま・・・お寺の紹介・生活日記!冬期は墓地の積雪状況もアップしています。

戸たての薬師

2014年11月09日 | Weblog
11月7日、8日、5月に薬師山(浦佐城跡)に登り、浦佐住民の健康をお守りして下さっている薬師如来が、雪降り前に山を降りる「戸たての薬師」なる、千手院の恒例行事が行われました。

春と違い、秋の戸たての薬師は静かに行われます。

江戸時代後期まで、浦佐城跡二の丸跡には小さいながら薬師堂があったと記録されておりますが、今はお堂はなく、小さな祠が残っているのみです。
「戸たて」とは、雪降り前にお堂の雪囲いをしたなごりの言葉であろうと伝えられています。



7日の晩に薬師護摩が厳修され、年に2回のご開帳が行われました。





翌8日は、快晴になりました。今年はちょうど土曜ということもあり、この日に浦佐城・薬師様の会の皆さんの力を借りて、城跡の案内看板やロープの片付け作業が行われました。

細々と守り伝えられてきた浦佐城跡・薬師様ですが、皆さまの力を借りて、ここ7年ほどで見違えるようになりました。
紅葉も散り始めとなりましたが、片付け作業をしながらあちらこちらに目をやると、本当にキレイです。。。

薬師護摩があった7日は立冬、そして満月でした。
11月に入ると、雪国越後では晴れる日が本当に少なくなります。そんな時期に7日に満月を迎え、そして雲ひとつない月夜となりました。最高の薬師様の宵晩でした!!!

ということは・・・、8日朝は文句なく快晴!、今年1番の冷え込み!
今年1番の深い大雲海となりました。例年に比べ、今年は天候が良く、雲海が見られる日が多いようです。

8日の朝は、朝仕事があり7時30分頃にしか雲海を見に行くことができませんでしたが、その時間でも、いつもの鑑賞ポイントのあたりまで雲海が上がっており、「あぁ~、もっと早く来たかった・・・」と後悔しきり。。。まぁ、仕方ありませんね。

カメラを持った方も5~6人ほどいたでしょうか、本当に浦佐の雲海は是非1度見て欲しい光景です。こればかりは見たものにしか分からないものだと思います。

四国八十八箇所のお遍路も同様、その素晴らしさ、有り難さを言葉にしても、こればかりは体験した人にしか分からないものだと思います。

ちょうど山々や魚野川の立地条件なのか、この浦佐周辺が南魚沼では一番雲海が深くなるように思います。
雪降り前まであと何回かチャンスがあるはずですので、是非お勧めしたいポイントです。

そして今日9日は、薬師様を大切にしてくれた方の三回忌でした。
よくカメラを片手に浦佐城跡・薬師様に登り、季節の光景や草花をカメラに収めてくれた方でした。

あまりに早い旅立ちとなってしまったのですが、法要と、その後のお斎の席のご遺族の立ち居振る舞いを見ていると、故人の生き様が確実に受け継がれているのだな・・・と感じます。

全部とはいいません、お坊さんはお経を上げているだけではなく、残された方々との交流や、その家族の幸せを心から望んでいます。
ですから、お食事をいただきながらも、中には一献交わすことで本音を言い合える関係を求め、通じながら、故人が残されていった目に見えない財産に目を向けています。

その第一は「挨拶」です。

私はお坊さんという立場で、お葬式やご法事、そして年間の心配事相談を通じて確信している事がひとつあります。

幸せをつかむ人は必ず挨拶ができます。
「こんにちは」「おはようございます」「今日はよろしくお願いします」「ありがとうございました」「どういたしまして」「失礼致しました」・・・たくさんの挨拶があります。どんなに嫌いな人でも、面倒くさいなと思っていても、きちんと挨拶が出来る人、頭を下げることが出来る人、こういう事が実践できる人は、本物の「誇り」を持っている人だと思います。

生意気を言って申し訳ありません。
しかし、これは私が個人的に言っていることではありません。

何百年と、先人達が教え伝えている大切な教訓です。
私の勤めはそれをお伝えすることです。あと、それを信じる信じない、実行するしないは個々の自由なのであります。

お釈迦様の最後の教えをまとめた『遺教経』というお経があります。
その中に、「医者が薬を処方するように、私は幸せに生きる教えを処方した。それを服用するかしないかは個々の自由である」という類の一文があります。

あたりを見回してみて下さい。
今は顔を合わせても、挨拶ができない人がたくさんいます。古き良き世界から学んでこそ、次なる新しい世界を生み出せるものだと私は信じています!!!