風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
公演情報や稽古場速報、全国巡回公演の情報など
日々の出来事を速報!!

『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』秋のツアー④

2022-10-31 09:37:25 | 全国巡回公演

 

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』秋のツアー、今週は長崎県から熊本県、佐賀県を巡る旅をしました。

10月17日(長崎県)  長崎女子商業高校 長崎市民会館

10月18日(熊本県)玉名高校 玉名市民会館

10月19日(佐賀県)唐津商業高校 同校体育館

10月20日(佐賀県)武雄高校 武雄文化会館

10月21日(佐賀県)白石高校 同校体育館

長崎女子商業高校


長崎女子商業高校で劇団が初めて公演したのは、1996年の『ヘレン・ケラー』。以来『星の王子さま』『Touch』『肝っ玉おっ母とその子供たち』『ジャンヌ・ダルク』と、巡回しているすべての作品を2度、3度と上演し、今回は10回目の公演となります。
長崎駅とほど近い街の中心部、長崎市民会館での公演。続々と入場する生徒たちの賑やかな声が聞こえてきて、楽しい雰囲気が会場に満ちていきます。
本番がはじまりポンプから水が出ると、おー!という声が。
伸び伸びした笑い声と、次に何が起こるのかと、じっと見つめる眼差しが印象に残ります。
カーテンコールでは花束と代表生徒の挨拶をいただきました。
「アニーとヘレンが逃げずに向き合っていく様に励まされた。これからの人生にいろんな壁にあった時、逃げずに向き合いたい。3年生は、いま受験などの壁やままならないことがあるけれど、向き合っていきたい。」
人生のつまずきや困難にあった時、共に過ごしたこの時間をふと思い出し、彼女たちのいくばくかの励ましになってくれたならと、願う言葉でした。
そして、また長崎女子商業高校の皆さんと会える日を、楽しみにしています。

玉名高校
熊本県北部の玉名市。公演で何度も訪れている土地ですが、玉名高校での公演は初めてとなります。

これまで、芸術鑑賞行事は福岡市内などの一般公演に足を運んでいたとのことですが、劇団を呼び、学校貸切りでの公演を行おうと「風」を呼んでくれました。2020年に開設された玉名市民会館で、1、2年生およそ500人が集っての公演です。
舞台で起こる出来事を見つめる、静かな波を感じる舞台でした。
終演後には演劇部の生徒たちが残り、バックステージ見学をしながら劇団員と交流する時間を持ちました。週末には高校演劇の大会があり、学校に戻って稽古を行うとのこと。限られた時間のなか、舞台に施されたさまざまな工夫に関心を持って探索してくれました。
「どうでしたか?」と声をかけたサリバン先生・高階ひかりに「もう、もう!笑をこらえたり、もう!」と手振り身振りで伝えてくれた生徒の姿に、客席から伝わってきた一人ひとりの気配を思い起こします。
言葉にならない何か、面白かったこと、わからなかったこと、共感や疑問を一人ひとりが持ち帰ってくれていたなら嬉しいです。
演劇部の皆さん、本番を楽しんで、頑張ってください!

唐津商業高校
2020年の公演予定がコロナ禍で延期を繰り返し、2年越しでやっと会いに来ることができました。


高台に位置する学校に到着し、大型トラックから舞台道具を搬入。劇場へと様変わりしていく体育館を興味津々に覗き込む生徒がいたり、楽屋にお借りした武道場にひょっこり顔を見せる生徒と「こんにちはー」「よろしく!」と挨拶を交わしたり、体育館公演ならではの楽しい交流に心が弾みます。


本番では、舞台に向ける生徒たちからの真っ直ぐな視線、そして何やらヒソヒソと顔を寄せ合いながら話す姿に会い、「何みているのだろう」とこちらも想像力を逞しくします。
終演後には生徒会長さんから、「芝居が始まって、笑い、泣き、怒りなどさまざまな感情が起こリました。そして命の大切さや人の繋がり、生きることの大切さを感じました。」と、ひとつひとつをを噛み締めながら、笑顔を向けての言葉をもらいました。


舞台の撤去もまた体育館ならではの時間。運動部と図書委員の生徒たちが片付けを手伝ってくれ、ワイワイと楽しい時間となりました。率先して動く生徒たちの機微に、通常より1時間も早い驚くほどスムーズな片付けとなりました。手伝ってくれた皆さん、本当に感謝です!
学校を出発するときには体育館からテニスコートからと、あちこちから手を振ってくれる生徒たちがいました。
コロナ禍に諦めず、今日の出会いをつないでくれた先生方、改めて本当にありがとうございました。

武雄高校
武雄高校は前身となる高等女学校の開設から100年以上の伝統を持つ学校。その後武雄青陵高校との統合などを経て、2007年に併設型中高一貫教育校武雄高校として新設された中高一環教育校。午前中が武雄青陵中学校、午後が武雄高校の、2回公演を行いました。


午前午後ともコロナ対策のため、客席の前方や隣席にも距離を開けての公演となりました。
しかしその距離が舞台と客席を隔てることなく、一人ひとりの存在をやわらかく感じ合うことができたように思います。
終演後、先生から生徒たちに「教師が幸福感を持ち、生徒がそれに包まれていくのは時間のかかることなのだと、教師としてあらためて学んだ。」と言葉が贈られました。アニーの恩師アナグノス校長の劇中の言葉を引用したメッセージには、日々に生徒と向き合う先生の願いが感じられ、心に染みました。


午後の公演後に設けたバックステージ見学には舞台に乗り切らないくらいの生徒が残ってくれ、思い思いに舞台を歩き、モノに触れ、劇団員ともあちこちで話が生まれ、ワイワイがやがやと盛り上がりました。なかには来春には東京の大学に行く生徒もいて、東中野の劇場での再会しようという嬉しい約束も!
さらに残ってくれた生徒たちと、撤去されていく舞台を見ながら、ヘレン役・倉八ほなみが座談会を行いました。
みんなの生き生きとした好奇心いっぱいに、それぞれの今日を、明日を開いていってくれることを願っています。

白石高校
2018年に白石高校と杵島商業高校が再編統合され、新設白石高等学校として開校された学校です。それぞれの学校でこれまでも『星の王子さま』『ヘレン・ケラー』『ハムレット』などを上演してきました。新たに歩み始めた学校は、車で10分ほどの距離に普通科キャンパスと商業科キャンパスがあり、今回は普通科キャンパス体育館での公演。午前中が普通科、午後が商業科の公演です。午前中は風が冷たく感じられましたが、午後には汗ばむ天気に。
午前午後とも舞台ギリギリに最前列の生徒たちが座り、前も後ろも左も右も、全員の身体ごとの関心が舞台に向けられ、思わず、近い!と感じる迫力と存在感のある客席です。


リラックスした様子で、舞台に起こる出来事を見つけ、場面転換のたびにサワサワと話し合う様子が印象的に残ります。何より、劇場となったこの空間と時間を共有し、“繋がっていく”喜びを感じる公演でした。そしてそれは、演劇にとって何よりも貴重なことなのではないかと改めて感じました。
午前の舞台のカーテンコールでは、3年生の男子生徒からブラボーの掛け声をもらいました!

「サリバン先生とヘレンの諦めない様子に勇気をもらいました。」「迫真の演技に引き込まれました。楽しかったです。」と午前午後、それぞれに代表の生徒がカーテンコールで語ってくれ、綺麗な花束もいただきました。
撤去に来てくれたバスケットボール部の生徒たちは、みんな元気いっぱい。出演者、スタッフと話しながら「何かやることありますか?」と積極的に手伝ってくれました。本当にありがとう!
最後の記念撮影では「パーシー!」と皆から呼び声が。ヘレンの1番の仲良し、パーシーは今日も生徒たちの人気者です。
この時間が、高校生活の楽しい思い出のひとつとなってくれますように。

 

秋のツアーの開始から1ヶ月と少し。旅は新たな出会い、そして嬉しい再会を重ねています。
ひとつの言葉、ひとりの笑顔や沈黙を心と身体に刻みながら、また明日の地に向かっていきたいと思います。
来週は宮崎は日向市からスタートです。


2022『Touch~孤独から愛へ』秋ツアー その6

2022-10-27 00:44:09 | 全国巡回公演

10月17日(月)【岡山】落合中学校

10月20日(木)【香川】笠田高校

 

10月17日 落合中学校

この公演は、6月3日の湯原中学校と今月の27日の勝山中学校の公演と同じく、真庭市のスポーツ文化振興課主催で行われました。

落合中学校は、2019年に『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を上演しています。体育館の入り口に当時の色紙を飾っていてくれていました。

今回の『Touch』では、ヘレン・ケラーのときに、ヘレンの義兄ジェームス・ケラーを演じた蒲原智城が孤児の兄弟の兄トリートを、ヘレンの友達パーシィを演じた石岡和総がトリートの弟フィリップを演じます。

校内清掃の時間の合間に体育館の様子をのぞきに来てくれた生徒さんたち。

声をかけるとうれしそうに舞台に駆け寄り、急遽舞台見学が始まりました。

階段に登ったり、ソファーに座りフィリップの代わりに新聞にアンダーラインを引いてくれました。

その後、体育館の様子をのぞきに来てくれた先生も「せっかくの機会だから」と掃除に向かっている生徒さんを呼びこんで、一緒に見学していただきました。

本番か始まると、ぐっと集中しているようでした。笑い声がきこえたり、それぞれ舞台に反応を返してくれ、あたたかく三人を見てくれました。

カーテンコールでは生徒会長さんがあいさつで、「ハロルドとフィリップのやりとりにこころが温まりました。」と話してくれました。

終演後、参加を希望してくれた生徒さんが撤去作業のお手伝いに来てくれました。

舞台がなくなる前に皆さんで隅々まで見学し、作業を開始しました。

役者や劇団員とともに生徒さんが舞台の部材をつぎつぎと運んでくれたので、作業がどんどん進みました。

音響機材の梱包も手伝ってもらいました!

公演を記念し、ハロルド役の柳瀬太一から生徒会長さんへ色紙が手渡されました。

色紙をみながら、最後まで柳瀬と話す生徒さんたち。どんな話が交わされたんでしょうか。

多くの生徒さんが手伝ってくれました。ありがとうございました。

 

10月20日 笠田高校

こちらの学校も2019年に『ヘレン・ケラー』を上演しました。

会場の観音寺市民会館ハイスタッフホールへと続々と集まる生徒と保護者の皆さん。

皆さん、手指の消毒をして入場です。

担当の先生から「三年に一回実施している芸術鑑賞会、いつもは体育館で行っていますが今年は会館をかりて行います。いつもと違う空間でわくわくしている人もいると思いますが、せっかくの観劇の機会なのでリラックスして楽しんでください。」とあいさつをいただき、開演です。

さまざまなところに注目してくれているようで、休憩中には興奮ぎみに「うしろの何?信号?切り替わるだけで雰囲気がすごく変わった。」と舞台セットについて先生と話している生徒さんもいました。

終演後、当日の呼びかけで多くの生徒さんが舞台見学に来てくれました。みんな、間近で見る舞台セットに関心を寄せてくれていました。

見学が始まってすぐに楽屋まで役者に話に来てくれた生徒さんもいました。「最前列で食い入るように見てくれていた。」と、トリート役の蒲原が話していました。血のりのついたシャツなど衣装をみながら、楽しそうにハロルド役の柳瀬と話していました。

休憩中にセットに興味をもってくれた生徒さんも来てくれ、セットだけではなく小道具にも役者にも興味津々。

最後には皆さんそろって記念撮影。

撤去作業や舞台見学の中で皆さんと交流し、本当に食い入るように、また隅々まで見てくれていることをあらためて感じました。徐々に涼しい日が多くなってきますが、観劇してくれた皆さんのまなざしに熱をもらいながら、『Touch』秋ツアーどんどんと進んでいきます。

文:上田舞子(スタッフ)


2022『Touch~孤独から愛へ』秋ツアー その5

2022-10-26 14:12:56 | 全国巡回公演

10月12日(水)〈山梨県〉帝京第三高校

10月14日(金)〈岡山県〉勝央町教育委員会主催・勝央中学校

         15日(土)〈    〃    〉勝央町教育委員会主催・公開講座

         16日(日)〈    〃    〉勝央町教育委員会主催・一般公演

 

帝京第三高校

この学校は2020年からコロナの影響で延期をしていました。風の上演は初めて、そして、演劇鑑賞自体も初めて実施の学校です。

2020年当時からずっと担当を続けてこられた先生とも「計画当初からすると実に三年越しになってしまいましたが、ようやく実施できることができました。待った分も含めて生徒、教員一同楽しみにしています。」と、お互いに公演ができる喜びを噛みしめながらの公演でした。

当初は、市の体育館での実施予定でしたが、「せっかく演劇を見せられるのだから、専用の設備のあるところで、劇場の雰囲気も体験してほしい。」という事で、隣の市にある文化ホールまで脚を伸ばして来てくれました。

学校のバスが文化ホールに到着し、生徒のみなさんが続々と会場に入って来ます。生徒のみなさんも先生方もワクワクした様子でした。というのも、コロナ禍になって以来、初めて全校生徒が一緒に集まることができたのがこの日だったのです。

客席の期待と熱を帯びた中、いよいよ開演です。

開演前の熱気はそのままに、実に真剣に舞台に見入っている生徒のみなさんの姿が印象的でした。

終演後にはその場で呼び掛けて参加してくれた生徒のみなさんとの舞台見学が行われました。はじめは恥ずかしがってか、なかなか舞台に上がって来ませんでしたが、意を決したようにひとりの生徒さんが舞台に駆け上がると、それをきっかけに次々と生徒のみなさんが舞台に来てくれました。

生徒さんだけでなく先生方も興味津々。生徒さんと一緒になって見学の時間を楽しんでくれていました。

見学の最中、感極まって泣き出してしまう生徒さんも。それを見ていた担当の先生は、「涙しているあの子の姿を見ることができただけでも、今日やって本当によかったです。」と、目を細めていました。

この日の経験が、生徒のみなさんひとりひとりにとってのかけがえのないものになってくれることを願っています。

 

勝央町教育委員会主催公演

教育委員会の皆さんとの公演は2019年のヘレン・ケラー(町内小中合同・一般)、そして、今年の2月に星の王子さま(町内小学校)と、今回で3回目の実施となりました。

そして、今回は学校への公演と一般公演に加えて、バリアフリー演劇に関する公開講座と三日間に渡る公演企画。委員会としても初めての試みということもあり、委員会の方々も僕たちもワクワクドキドキの三日間でした。

楽屋の入り口に「お帰りなさい!」のおもてなし。委員会のみなさんのあたたかな心遣いが嬉しかったです。

 

[一日目]勝央中学校芸術鑑賞講座

初日は、勝央中学校の芸術鑑賞講座。今年の2月に上演した勝央北小学校で、星の王子さまを見た子どもたちのほとんどがここに通っているということで、彼らとの再会の場にもなりました。

開場すると、待ちきれなかったと言わんばかりにあっという間に入場が終わり、今か今かと客席に座って、開演を楽しみにしている様子でした。

バリアフリー公演ということで、開演前には公演の説明とサインネーム(役の名前をひとつの手話で表すオリジナル手話)の紹介を行いました。客席の生徒のみなさんも一緒にサインネームをやってくれていました。このあと、開演です。

公演が始まると、ジッと集中して、真剣に舞台に注いでくれる視線が印象的な客席でした。

カーテンコールでは、代表の生徒さんが「演劇を見る機会が少ない僕たちにとって、今日はすごく新鮮な経験でした。そして、バリアフリー演劇ということで、手話、字幕、音声ガイドなど色んな視点で楽しむことができました。」と、率直な思いを語ってくれました。

元々、すぐに学校に戻らないといけないということで、交流の予定はなかったのですが、帰りのバスを待っている間、出演者と生徒のみなさんとの交流の時間を持つことができました。

学校名や自分の名前を手話でやってみたり、気になったことや感想を聞かせてくれたりと、生徒のみなさんも先生方も楽しんでくれていました。

そのあと、「舞台にあがってみてもいいですか?」の一言をきっかけに、舞台見学も急遽行われることに。堰を切ったように、舞台にあがって行く生徒たちの姿を「みんな、セットを見たくてウズウズしていたんですね。」と、優しく見守っている先生方の姿も印象的でした。

この公演がみなさんのいい思い出となってくれたらうれしいです。

[二日目]公開講座

二日目は、地域交流プログラムということで、「バリアフリー演劇を考える!」と題して、一部と二部に分かれた二部構成で公開講座が行われました。

第一部は、舞台手話役者の小島祐美とトリート役の佐野準による手話講座。

風がバリアフリー演劇に取り組んできた経緯とバリアフリー演劇を通して出会った子どもたち、大人たちとのエピソードをスライドを交えて話していきました。「手話講座」とは言ったものの、話が盛り上がってしまい、実際の手話の時間はあまりとれませんでしたが、参加してくれた方々は「バリアフリー演劇と言われても、正直あまりピンと来ていませんでしたが、今日のお話を聞いてすごくイメージがわきました。観客も含めて、面白そうですね。」と、関心を寄せてくれていました。

第二部は、「フリートーク:僕たちがめざすバリアフリー」というテーマで、大阪市住之江区にある「特定非営利活動法人 自立生活夢宙センター」の代表、平下耕三さんを迎えて、風の代表、ハロルド役の柳瀬太一とのセッションを行いました。進行は、今回の企画の担当をされている教育委員会の竹内さんです。

まず、自立生活センターとは何かということで、夢宙センターが製作をしたセンターの紹介VTRを鑑賞。センターで活動している人たちの溌剌とした姿とハジける笑顔がとても印象的でした。客席からも自然と笑い声が聞こえてきます。

そのあとは、夢宙センターにある、インクルーシブ劇団夢屋が過去に二回、劇団風とコラボレーションをした『妖怪バリヤーをやっつけろ』の公演の映像を見ながら、夢屋が活動を始めたきっかけから風との共演の経験などを話してもらいました。

「人を集めるには、何かオモロイことをやらな。」と話す平下さんの話をみなさんも楽しみながらも真剣に聞き入っていました。

質疑応答の場面では、今度、地元有志の方々で手話祭りを開催されるという主催の方から、「地元にいる障害を持たれている人たちがどうしたら地域へ発信していけるのか?」という質問に対して、「時間はかかりますが、やはり草の根の活動が大切なことです。」と、これまでの苦労や出会ってきた、つながってきた人々の話を聞くことができました。

今回のセッションが、地域の方々が何か活動を始める上での助力になってくれたらと思います。平下さんもお疲れさまでした。ありがとうございました。

[三日目]一般公演

最終日は、『Touch』のバリアフリー一般公演です。

この『Touch』の公演は中国・四国地方の文化施設主催の一般公演では初めての取り組みとなりました。「ここから中・四国のほかの会館でも取り組んでもらうきっかけになれば。」と、担当の竹内さんも意気込んでいらっしゃいました。

客席には、勝央町の方だけにとどまらず、岡山市や兵庫県姫路市や神戸市からも高校生からご年配の方まで多くの方が脚を運んでくださいました。

本番は、刺すような真剣な眼差しと、あたたかで和やかな眼差しとが入り交じる、刺激的な客席でした。

終演後には、舞台見学と同時に舞台上での劇団員との交流(アーティストトークとおっしゃっていました)が行われました。

公演の感想を熱心に話してくれる方もいれば、セットの隅々まで細かく観察している方も。時間ギリギリまで、みなさん楽しんでいかれました。

写真の一番右にいらっしゃる聾者の方は、前日の公開講座にもご参加いただいていた方で、劇場での交流を楽しんでいらっしゃいました。

後日その方からお礼のお手紙もいただきました。ありがとうございました。

最後は担当の竹内さんと記念写真。三日間、本当にありがとうございました。

再び勝央町に帰ってこられることを、心より楽しみにしています。また、面白いことを一緒に地域の方々に発信できたらと思います。

『Touch』のツアーは、折り返しをむかえていよいよ後半戦。秋の訪れを感じながら旅は続いていきます。

文・佐藤勇太(フィリップ役)


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』秋のツアー③

2022-10-16 13:20:23 | 全国巡回公演

 

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』秋のツアー③!!

今週は、高知県から再び九州地域に舞い戻り、ツアーが出発しました。

 

10月12日(水) (福岡)鞍手竜徳高等学校 ユメニティーのおがた

10月13日(木) (佐賀)唐津南高等学校  同校体育館

10月14日(金) (大分)中津南高等学校  同校体育館

 

鞍手竜徳高校

鞍手竜徳高校では、2016年の『ジャンヌ・ダルク』、2019年『Touch~孤独から愛へ』の公演を経て、今回3回目の風の公演となりました。

 

生徒会の生徒さんが司会進行をつとめられ、担当の先生、そして、生徒会の生徒さんの言葉に繋げられ開演しました。

本番が始まると、客席から、ひとりひとりの視線や姿を感じる時間となりました。

終演後には、生徒会長さんより、お礼の言葉と花束をいただきました。

「3年に1回しかない今回の行事ができて本当に楽しかった。演劇を観るのも初めてで、今回のこのような機会があり、楽しかったです。」と言葉を伝えてくれました。

終演後のバックステージツアーに参加する生徒さん達。

興味のおもむくままに、楽屋の裏の裏側まで見学に来てくれました。

また、2016年からお世話になっている担当の先生と副校長先生が楽屋まで挨拶にきてくれました。

「生徒たちもとてもよく見ていたと思う。きっと感じたものがあり、きっかけになっていくと思います。」と語ってくれました。

そして、なんと!!今回、公演のご担当されていたもうひと方の先生は、鞍手竜徳高校の卒業生でもあり、2016年の『ジャンヌ・ダルク』の公演を在校生時代に観ていたとのことでした。「ちょうどあの席に座っていたんですよ!」と後ろの席を指さし、「懐かしいです。とてもよく覚えています。」と当時のことを思い出しながら話してくれました。

たくさんの再会があった時間となりました!本当にありがとうございました!

 

唐津南高校

唐津南高校では、1989年の『ハムレット』、1999年の『Touch』の公演以来、久しぶりの公演となりました。

開演前には、担当の先生の言葉と、大きな拍手で始まった公演。

本番が始まると、ゆったりとリラックスした表情と姿で、舞台で起こる一つ一つの出来事に反応しながら観てくれていました。隣にいる友達や、自分自身の姿も感じながら一緒に舞台を創ってくれていたように感じました。

終演後には、代表の生徒さんより「このような機会ができたことありがとうございました。私たちも頑張ります!」と言葉を伝えてくれました。

また、食品流通科の生徒さんが作った、ほろほろの美味しいクッキーを頂きました!

終演後すぐに、みんなですこしずつ頂きました!!

本当にありがとうございます!!

 

舞台見学に来てくれた生徒さんたち。

終演後には、バトミントン部、バレー部、バスケ部などの生徒さんたち、40人以上がお手伝いに駆け付けてくれました。

慣れない作業もあったなか、声を掛け合いながら一生懸命にお手伝いをしてくれる生徒さんたち。お手伝いの最中、「一番前で観てました。迫力がありました。」、「演劇は初めてみました!面白かったです!」など、たくさんの感想を、生徒さん方が劇団員やスタッフに声をかけてくれました。

担当の先生も、「生徒たちもとてもよく観てくれていたと思います。」と生徒さんの姿を語ってくれました。

皆さんのまっすぐな姿に支えられた時間となりました!

食品流通科の生徒さんが創ったクッキーを活力に変えて私たちも頑張ります!!

 

中津南高校

中津南高校では、1989年の『ハムレット』、1995年の『星の王子さま』、2013年の『Touch』、2016年の『ジャンヌ・ダルク』、2019年の『Touch』の公演に続き、3年ぶり、6回目の公演となりました。

新コロナウイルス感染症の対策として、午前の1,2年生の公演、午後の3年生の公演と、2回に分けての公演となりました。

午前、午後とも、また違った空気感ではありましたが、息づかいの聞こえてくるような、とても迫力を感じるような客席に支えられた時間となりました。

終演後は、2年生の代表の生徒さんの「ヘレン・ケラーのことは、小さいころ伝記を読んで知っていましたが、演劇という生の舞台はまた違ったところがありました。」、

3年生の代表の生徒さんから「ヘレン・ケラー物語は初めてしりました。公演が終わったら、調べてみます。僕たちも3年生になり受験という大きな壁がありますが、アニーやヘレンのように立ち向かっていきたいです。」と笑顔で言葉をいただきました。

また、終演後には、バスケ部、卓球部などのたくさんの部活動の生徒さん、そして先生方もお手伝いに駆け付けてくれ、夢中になって一緒に時間を過ごしました。

時には、「演劇にとって一番大切なことはなんですか?」といった鋭い質問も飛び交い、最後の最後まで一緒になって公演の時間を味わうよう瞬間瞬間となりました。

担当の先生方も、前日の遅くからの搬入作業にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。先生方の熱い眼差しに支えられた時間となりました。

 

先生方の生徒たちになにか思い出を創りたいという想い、そして、このような状況のなかだからこそ、やりきろうという熱い姿、生徒さんたちの命の燃えるひとりひとりの姿に支えられ、ともに創ることが出来た時間となりました。

皆様に心より感謝を申し上げます。

皆さんの姿を胸に、まだまだ九州の旅は続きます!

 

文:ヘレン・ケラー役 倉八ほなみ


『Touch~孤独から愛へ』勝央文化ホール(岡山県)一般公演

2022-10-16 12:26:37 | 公演情報

10月16日(日)現在巡回公演中の『Touch~孤独から愛へ』が岡山県・勝央文化ホールにてバリアフリー演劇一般公演を行います。公演前日には公演にあわせて「バリアフリー演劇を考える」手話講座やフリートークも実施されます。どなたにもご観劇いただけますので、是非ご来場ください!

バリアフリー演劇

Touch~孤独から愛へ

作:ライル・ケスラー 原題: ORPHANS 訳 小田島恒志
演出:浅野佳成
出演:柳瀬太一/佐野準/佐藤勇太/小島祐美(手話)

令和4年10月16日[日] 14:00開演(13:30開場)
会場:勝央文化ホール(岡山県)

孤独を抱えながらも、「孤児」である3人が出会い、
真剣に相手と向き合うことで、新たな一歩を発見していく、愛の物語。

【あらすじ】
北フィラデルフィアの古いアパートの一室。 アレルギーの発作でほとんど家を出られない弟フィリップと、 不良の兄トリート、2人の孤児の 兄弟が暮らしている。 ある日、2人のもとに謎の紳士ハロルドが現れ、 奇妙な共同生活が始まる。 ハロルドは彼らを 「デッド・エンド・キッド (行き止まりの子どもたち)」と呼び、 「元気づけてあげよう」と手を差し伸べる。 素直に心を開いていくフィリップ、一方でトリートは、触れられることを避け続ける。 人と人とが触れ合い成長し、新たに旅立つまでをユーモア豊かに描く、 東京演劇集団風の代表作です。

「バリアフリー演劇」を体験しよう!
私たちがここで使っている「バリアフリー演劇」という名称は新しい造語です。これまでの演劇の舞台を、目が見えない人たちや耳 が聞こえない人たちと一緒にみんなで楽しめるように、セリフの字幕表示や音声ガイドを追加したり、更にシナリオや演出にも工夫 を加えていこうという新しい試み=ムーブメントのことを指しています。 常に進化する舞台表現を、この機会にぜひご体験ください。

【鑑賞サポート】

○バリアフリー字幕の表示 ○舞台上での手話通訳
○音声ガイド「日本語」上演中場内のスピーカーから全体に流れます

【チケット料金】全席指定

A席(1F):2000円/B席(2F)1000円 ※当日券は500円UP

チケット販売所:勝央町公民館 Tel,0868-38-1753 Fax,0868-38-2580


バリアフリー演劇総合監修: 尾上浩二  バリアフリー演劇 芸術監督:北岡賢剛

作曲:八幡茂 舞台美術: 水野敬夫 照明: 坂野真也 
舞台手話通訳監修:河合依子 音声ガイド監修:大河内直之 字幕監修:廣川麻子

字幕・音声ガイド 制作 Palabra (株) プロデュース: 山上徹二郎

 

公演前日には、下記交流プログラムも実施します。

 

東京演劇集団風地域一般公演の情報はこちらから


2022『Touch~孤独から愛へ』秋ツアー その4

2022-10-14 11:53:54 | 全国巡回公演

10月5日 〈東京都〉中野区立第七中学校

10月7日 〈群馬県〉桐生工業高校

10月8日 〈東京都〉板橋区立文化会館主催事業

 

中野区立第七中学校

↑体育館は劇場になった。

 

この学校は、「生徒たちに風の芝居を見せてやりたい!」という、校長先生の熱心な取り組みで公演が実現しました。

新型コロナ感染予防のために二回に分けての公演となったため、前日の仕込みに夜遅くまで校長先生が付き合ってくれました。

午前の回には、近くの江原小学校のわかば学級の子どもたちも一緒に観劇しました。

開演前には、校長先生から風の紹介があり、バリアフリー演劇についての説明を行いました。続いて開演です。

↑この日を楽しみにしていましたと挨拶する上村先生

 

↑バリアフリー演劇についての舞台説明

 

↑ハロルドのサインネームも覚えてもらいました

さっき覚えたばかりの登場人物のサインネームをしながら、熱心に見入る客席が印象的でした。

↑カーテンコールで花束を受け取りました。ありがとうございました。

午後の回は一年生の半分と二年生、そして、特別支援クラスの観劇でした。小雨が降る肌寒いくらいの気温でしたが、体育館の中は熱気につつまれていました。

↑開演をたのしみに待つ客席。

 

↑トリートのサインネームを手話する生徒たち。

 

↑拍手で午後の部、開演です。

 

↑終演後の舞台見学。

終演後は、校長先生の呼びかけもあって、午後に観劇した生徒さんのほとんどがバラシ・搬出を手伝ってくれました。最後まで盛り上がった一日でした。ありがとうございました。

↑搬出を最後まで手伝ってくれた生徒さんたちと記念撮影。

 

桐生工業高校

この学校は去年から延期されていた学校です。

↑雨の中、会場へ集まってくる生徒さんたち。

 

↑入場のさなか、待機する音響オペレーターの上田舞子

開演前に校長先生から「一年待ってようやくこの芝居を見ることができます。私も楽しみにしています。みなさんも楽しんで下さい。」とのあいさつの後、いよいよ開演です。

一席おきの客席でしたが、いっぱいになった会場で、食い入るように見入っている客席に圧倒されそうです。芝居を見ることを通して、自分自身と対話しているかのような眼差しでした。

終演後に生徒会長さんからの「最後に二人の兄弟は、触れられることをきっかけに心を開き、大きく変わっていきました。何がきっかけになるか今はわからないけれど、僕も成長していけるよう、そのきっかけを探し続けていこうと思いました。」というお礼のあいさつが印象的でした。

↑色紙を受けとる生徒会長さん

 

板橋区立文化会館主催一般公演

板橋区立文化会館による自主事業です。

レパートリーシアターKAZEでの公演は、コロナウイルス感染症予防対策のため、おととしから全て延期となっているため、東京都内での公演は二年振りです。

↑開演を待つ客席。

客席には、レパートリーシアターKAZEでの馴染みの顔やアトリエの会の方々も沢山来ていただき、思わぬ再会の場となりました。(ちなみに、レパートリーシアターKAZEは、来年4月公演から再開する予定です。)

また、高校生の時に地元長崎県内の高校で『Touch』を見て、板橋での『Touch』の公演を知って駆けつけてくださった方もいました。ありがとうございます。

様々な出会いと再会の喜びにあふれた客席は、リラックスしたあたたかい客席でした。

↑盛り上がったカーテンコール

 

↑終演後のロビー

 

↑にぎやかな舞台見学の様子。

↑舞台見学に残ったみなさんと。

終演後に行われた舞台見学には、沢山の人が舞台や小道具を触り、出演者やスタッフとのにぎやかな交流の場となりました。

まるで、レパートリーシアターKAZEでの終演後のロビーのようでした。

来週は山梨県から岡山県まで、まだまだツアーが続きます。

 

文:柳瀬太一(ハロルド役)


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』秋のツアー②

2022-10-12 12:45:48 | 全国巡回公演

10月6日 (大分県)大分大学教育学部附属中学校

10月9日 (高知県)誰もが楽しめるバリアフリー演劇鑑賞会 in 高知

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』秋のツアー第2週目は大分県・高知県を旅しました。

 

大分大学教育学部附属中学校

劇団は2005年から附属中学校で公演を重ねていて、今回で14回目の公演になります。

3年生160名が午前と午後に分かれて鑑賞しました。附属中学校は毎年、文化祭(青垣祭)でクラス演劇を行っているのですが、ここ数年間は感染症の影響で映像制作に取り組んでいます。開演前に行われた舞台見学で生徒さんたちは、舞台装置・小道具に触れて、衣装を着て、照明・音響機材も実際に操作しながら、俳優やスタッフと交流しました。ポンプから出る水に驚いたり、衣装や小道具を身に着けて役になりきったりと、体育館をあちこち駆けまわって舞台づくりの仕組みを体験してくれました。生徒さんたちの輝く目と、全身で何かうを感じようとする姿が印象深く残っています。本番では真剣な眼差しと姿を舞台に向けてくれるみなさん。各回のカーテンコールで「ヘレンを支える家族の存在やアニーの厳しいなかにある愛情を感じました。」「私も勇敢に、諦めらずに努力したいと思いました。」と代表の生徒さんが自分の言葉で感想を伝えてくれました。

今回は3年生のみの観劇でしたが、昼休みには他学年の生徒さんが体育館をのぞきに来て「すっげー!本格的!」と声をあげていたり、「中学時代にこの体育館でジャンヌ・ダルクを見ました」という教育実習生との出会い(再会)もありました。

終演後、バレー部とバスケ部が撤去作業を手伝いに来てくれました。率先して重たい荷物、大きな荷物を運んでくれる姿は頼もしかったです。みなさんの協力のおかげで、撤去作業も楽しい時間になりました。ありがとうございました。

すべての片付けが終わり、学校を出る最後の最後に先生が、ひとクラス分の書きたてホヤホヤの感想文を渡してくれました。高知へ向かうバスの中で読ませてもらいましたが、ひとりひとりが今の自分自身と照らし合わせたり、大切な人のことを思いながら共に時間を過ごしてくれていたことがわかりました。この公演が学校の思い出のひとつになってくれたら嬉しいし、またみなさんと再会できることも願っています。そして、青垣祭も思いきり楽しめますように。

 

誰もが楽しめるバリアフリー演劇鑑賞会 in 高知

旅班は別府港からフェリーに乗って一路、高知県へ。高知県佐川町にある文化施設、桜座で『誰もが楽しめるバリアフリー演劇 in 高知』が開催されました。


誰もがありのままの姿で、共に同じ時間と空間を体験し、楽しめるバリアフリー演劇。
高次脳機能障害を抱える方を支援している「脳損傷友の会高知青い空」のみなさんが一丸となって、公演に向けた準備をしてくれました。
当日は事前の予約を遥かに超えて満席に。来場されるみなさんをお迎えしていた青い空の理事長、片岡さんは「次々とやって来るお客さん、段々と埋まっていく客席にドキドキしたよ!」と、話してくれました。
開演前には舞台見学、舞台説明(舞台の広さや高さの空間)と役者紹介(衣装の色や形や体の特徴や足音)も行いました。
会場内には、これまで高知県内で公演した学校の先生や生徒さん、『星の王子さま』、『TOUCH』の公演で出会って仲良くしてくれた青い空の利用者のみなさんの姿が。交わす笑顔、握り合う手の力強さに胸が熱くなりました。

大きな拍手に包まれたカーテンコールでは音声ガイド監修の大河内直之さんがご挨拶。その後すぐにヘレン役の白根有子と舞台手話通訳の小島祐美、音声ガイドの辻由美子による『バリアフリー詩劇 故郷』を上演しました。『詩劇』は、ボードレール、ランボー、ヘルダーリンなどの詩人の書いた詩を、演出の浅野が構成して、俳優が何もない空間に、詩の言葉と俳優の身体で、あるドラマを描き語っていく、試みです。拠点劇場や月夜野アトリエ演劇工房では上演や試みを重ねてきましたが、今回このような場で、みなさんにご覧いただくのははじめてになります。ガラッと変わった空気感の中で語られていく『故郷』。みなさんはどのような世界を描きだしてくれたでしょうか。アフタートークにはバリアフリー演劇総合監修の尾上浩二さんも登壇し、「バリアフリー演劇とは何か」や「わたしたちの未来への希望」を熱を持って語ってくれました。

プログラムがすべて終了したあと、多くの方が声を掛けてくださいました。「またいつでも高知へ来て」と言う、ろう者の方の抜けるように明るく真っ直ぐな言葉は、心に響きました。必ず高知へ帰ってきます!みなさん、ほんとうにありがとうございました。

高知県を皮切りにはじまった「誰もが楽しめるバリアフリー演劇」は、このあと鹿児島県、埼玉県東松山市、福岡県、東京都江戸川区、と続き、全国の、各地に、バリアフリー演劇を届けます。

そして来週から、ヘレン・ケラー:倉八ほなみ、アニー・サリバン:高階ひかりが演じ、九州を駆けめぐります。みなさんと会えることを旅メンバー全員、楽しみにしています!

 

アニー・サリバン役:渋谷愛


2022『Touch~孤独から愛へ』秋ツアー その3

2022-10-09 18:12:57 | 全国巡回公演
9月26日(月)〈兵庫県〉生野高校
9月27日(火)〈岐阜県〉聖マリア女学院中学校・高校
9月28日(水)〈岐阜県〉不破高校
9月30日(金)〈三重県〉志摩高校
 
9月26日 生野高校
前日25日(日)に仕込みをしました。
9月も終わりを迎えようとしているのにまだまだ続く日中の暑さ。
劇団員みんな滝汗をかきながら準備を終え、当日に備えました。
 
とはいえ、流石に朝晩は秋の気配も色濃くなり、午前中のさわかやな風を取り入れながらの公演はこの時期ならではの快適空間となりました。
学校からほど近い生野銀山最盛期はさぞや賑わっていたのだろうと思わせる大きな体育館に生徒さん約140名、先生方を含めてもおよそ170名くらいでしょうか?
ゆったりした客席。
 
開演前、校長先生が本物に触れて欲しいという思いを生徒の皆さんに向けて話されました。
拍手で開演。
 
カーテンコールでは生徒会長さんが「演劇を初めて観て感動しました。皆さんの迫力に圧倒されました。」と話してくれました。
そしてとても綺麗な花束をいただきました。
終演後のバックステージツアーにはたくさんの生徒さんたちが楽しそうに参加してくれました。
出演者たちは体育館シューズの袋にサインを求められました。
なかなかいいアイデア!
放課後にはもうすでに学校のブログに『Touch』の様子が写真とともにアップされていました(何という早業!)。
ありがとうございました!
 
 
 
9月27日 聖マリア女学院中学校・高校
 
長良川国際会議場(メインホール・さらさ〜ら)にて上演。
仕込み中から来て下さっていた担当の先生が開演前の進行確認の時間に「やっとこの日を迎えられました。」ととても嬉しそうに私たち全員に向けて声をかけて下さいました。
2021年、新型コロナウィルスの影響で行事を延期せざるを得なくなり、ずっと心待ちにしていて下さったことが伝わる一言でした。
私たちにとってもやっと迎えられた大切な一日。
どんな生徒さんたちとの出会いになるか期待が膨らみます。
開演前。
担当の先生、今度は生徒さんたちに向けてやっと実現できた思いを語られました。
 
大きな拍手で開演。
最初はこれから何が始まろうとしているのか生徒さんたちは少し緊張感を持っていましたが、だんだんほぐれて来てハロルドが登場する頃にはすっかりリラックス。
ケラケラと笑いの絶えない一幕が終了。
休憩を挟み、二幕では兄弟ふたりを見守るような眼差しを舞台に向けてくれました。
カーテンコールでは生徒会長が、「学生は舞台鑑賞をなかなかできない上に、コロナ禍もあって余計にチャンスがない。Touchすることを通して周りの人たちを大切にしたい。」と話してくれました。
そして、シャインマスカットとピオーネ、クッキーの詰め合わせバスケット、このあと不破高校での準備があることをご存知だった担当の先生のご配慮で栄養ドリンクをいただきました!
これにも生徒さんたちは大受け…!
 
担当の先生の思いがいっぱいいっぱい伝わった一日でした。
 
この思いと差し入れをエネルギーに、いざ、不破高校へ!
 
9月28日 不破高校
長良川国際会議場を後にして約一時間。不破高校に到着。
あいにくの雨。
2階建ての体育館。うん、やはり大きい。
よしやるぞー!と気合いを入れ搬入。
半分まで終わったところで夜の作業は終了。
 
当日。
雨も上がり秋晴れ。
朝から搬入の続きをし、仕込み。
 
こちらも2021年から延期での上演。
開演前、校長先生が劇団名の意味、創立からレパートリーシアターKAZEの設立、バリアフリー演劇への取り組み、学校公演を大事にしていることなど劇団紹介をして下さいました。
「私も皆さんと一緒に楽しみたいと思います。」と締めの一言を受けて開演。
意外に風が強く、遮光と換気のせめぎ合いになってしまいましたが、生徒さんたちはそれに気を取られることなく食い入るように観てくれました。
カーテンコールでは生徒会長さんから、「演劇というのは思いを伝えたりするのは難しいと思いますが、役者さんたちは凄いなと思いました。今日は貴重な時間をありがとうございました。」と素敵なメッセージと綺麗な花束をいただきました。
終演後、校長先生がその場に残って「校長が言うのも何ですが、生徒たちがすごく観てたので驚きました。本当にありがとうございました。」と嬉しそうに伝えに来て下さいました。
撤去作業にはバスケ部の生徒さんひとりと顧問の先生が力をかしてくれました。
本当にありがとうございました。
担当の先生もいろいろ興味を持ってたくさん質問して下さいました。
 
運動部の大会が近いと聞きました。
皆さん、頑張って下さい!
 
 
9月30日 志摩高校
こちらは2020年からの延期。
本当に本当にお待たせしました。
そして、実現出来て本当に嬉しく思います。
 
前日に仕込みをし、文化祭2日目の中での午前公演でした。
去年と一昨年は体育館で発表をし、それを教室にリモートするという形で開催したそうです。
おそらく外部の人たちの入場は禁止、または制限されていると思いますが、3年生にとってリモートではない文化祭は初めて。
そんな貴重な文化祭への参加になりました。
生徒会の皆さんによる進行で開演。
こちらも大きな体育館だったので、約160名の生徒さんたちはゆったりとした空間を確保できました。
風も適度で快適な気温。
環境はバッチリ!
真剣な眼差しを舞台に向けてくれました。
 
カーテンコールも終え、閉会式。
進行の生徒さんからの呼びかけで2回も大きな拍手をいただきました。
役者たちもそれに応え、2回登場!
本当にありがとうございました。
校長先生の閉会の挨拶の中で「風の皆さんの熱い、熱い演技に感謝を申し上げます。この演劇の中に込められたたくさんのメッセージが生徒たちに伝わったと思います。」と語って下さいました。
 
最後に司会の生徒さんがこれで閉会しますと言ったら、客席から「生徒会ありがとう!」ととても力強い声が掛かっていました。
正直、生徒さんだったのか先生だったのかは分かりませんが、とても素敵だなぁと思いました。
 
閉会後はバックステージツアー。
30名くらいの生徒さんが見学に来てくれました。
興味は尽きないという感じが印象的でした。
そしてそのまま有志で撤去作業も手伝ってくれました。
ちょっと距離や段差があったのですが、皆さんのおかげでスムーズにスピーディーに搬出できました。
本当に本当にありがとうございました!
 
 
今週も無事に皆さんに会いに行くことができました。
依然続くコロナ禍の中、私たちを受け入れて下さった全ての方々に感謝を申し上げます。
 
今回のツアーの中で何名かの先生がおっしゃっていたのが
「楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。」
という一言。
一日一日が本当に大切だと改めて思わされる昨今。
この、あっという間に過ぎる時間をこれから出会う皆さんとも共有したいと思います。
今週の素晴らしい出会いを持って。
 
ありがとうございました。
 
文 仲村三千代
 

2022『Touch ~孤独から愛へ』秋ツアー その2

2022-10-07 07:57:32 | 全国巡回公演

台風に伴う豪雨被害も各地であった9月半ば、Touch班はそれほど影響を受けず上演活動が出来ました。このブログをご覧になっていらっしゃる方の中には豪雨の影響を受けた方もいらっしゃるかもしれません、謹んでお見舞い申し上げます。

9月15日 社会福祉法人グロー 救護施設ひのたに園(滋賀県)

  18日 社会福祉法人八ヶ岳名水会(山梨県)

  22日 倉敷古城池高校(岡山県)

 

社会福祉法人グロー 救護施設ひのたに園

皆さんは〈救護施設〉という言葉を聞いたことはありますか?恥ずかしながら、私が〈救護施設〉の存在を初めて知ったのはほんの3年ほど前、教えてくれたのはバリアフリー演劇芸術監督である北岡さんでした。

ひのたに園を運営する社会福祉法人グローのホームページにはこう紹介されています。

《ひのたに園は、身体や精神に障害があったり、何らかの生活上の問題のために日常生活を営むことが困難な人が入所し、生活保護法に基づく支援により健康で安心して生活するための施設です。

利用に、障害の種別による制限はありません。支援を必要としている人を幅広く受け入れており、地域における“セーフティーネット”としての役割を担っています》

『Touch』のツアーメンバーは今年6月にひのたに園を訪ね、施設の見学と利用者の皆さんとの交流をさせていただきました。グローを通じて出会った皆さんとの再会もあり、とても思い出深い公演です。

 

(トップ画像はロビーでの物販の1コマ。園で作った野菜や利用者の方が創った陶芸作品が販売されていました)

 

↑今回の企画の発起人である齋藤誠一園長。初めて『Touch』を見た日のこと、その時に感じた想いを開演前にお話し頂きました。「初めて舞台上のトリートを目の当たりにしたとき『芸術は、現実よりも人間の多面性を伝える力』と感じた」、この言葉は強く印象に残っています。

↑オープニングアクトは園の皆さんで1年半前に結成された′ひのたに太鼓青龍’、はつらつとした演奏で大いに会場を盛り上げてくれました。

 

↑終演後の1コマ。実は去年・一昨年と『ヘレン・ケラー』や『Touch』を観てくれた信楽学園の

子ども達も会場に駆けつけてくれていました。フィリップ役・佐藤とのグータッチ。

 

↑アフタートークも行われました。福岡県からNPO法人抱撲理事長の奥田さんもゲストとして招かれており、ハロルド役・柳瀬との話でも花が咲いていました。(抱撲の活動に関してはこちらをご覧ください→認定NPO法人 抱樸(ほうぼく) (houboku.net)

 

コロナ禍ということもあり、この数年はひのたに園の利用者の皆さんもなかなか園外に出る機会も少なかったようで、この日はまさに非日常な一日となったようです。

 

社会福祉法人八ヶ岳名水会

すでにヘレン・ケラーの記事にアップされておりますが、9月17~19日の三日間、山梨県の八ヶ岳名水会主催でのバリアフリー演劇祭『ヘレン・ケラー』『Touch』『星の王子さま』の日替わり連続上演が行われました。

正に’祭’の名にふさわしい大盛り上がりの三日間でした!

(写真はヘレン班のカメラに収まっているので、一枚もなくすみません)

 

倉敷古城池高校

この記事の最後は岡山県の倉敷古城池高校です。コロナの影響で2020年から延期となっていた学校ですが、ようやく届けることができ、先生方には感謝しかありません。

↑開演前の校長先生のご挨拶。創立記念行事の一環での上演でしたので、生徒の皆さんに学校の伝統を踏まえ感じてほしいことを熱くお話いただきました。

 

↑カーテンコールでも素敵な挨拶と花束をいただきました。

 

↑終演後に演劇部の皆さんと行われた舞台裏見学と座談会の様子。演劇部の皆さんは自分たちの発表も近々に行われるということで、とても真剣に役者・スタッフの話を聞いていました。

 

この記事に挙げているのは3公演だけですが関西→関東→中国と『Touch』班が駆け巡っている様子は感じていただけるかと思います。全国の客席からの声に支えてもらいながら、この秋のツアーを走り抜けていきます。

 

文:佐野準

 

 

 

 

 


『Touch~孤独から愛へ』板橋区立文化会館一般公演

2022-10-04 17:39:53 | 公演情報

『Touch~孤独から愛へ』の西日本・東日本巡回公演は、日々出会いを積み重ねています。

その最中、直前ですが、都内の会場の主催で一般公演を行います。

2022年10月8日(土)  14:00開演

板橋区立文化会館小ホール

コロナ禍が始まって二年。未だ、東中野の拠点劇場での公演は見送らせて頂いておりますが、この公演を機に、皆さんとお会いできることを楽しみにしております。

※チラシには「未就学児の観劇はご遠慮いただいております」と書いてありますが、未就学児も大歓迎ですので、一緒にご来場ください。