『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』秋のツアー、今週は長崎県から熊本県、佐賀県を巡る旅をしました。
10月17日(長崎県) 長崎女子商業高校 長崎市民会館
10月18日(熊本県)玉名高校 玉名市民会館
10月19日(佐賀県)唐津商業高校 同校体育館
10月20日(佐賀県)武雄高校 武雄文化会館
10月21日(佐賀県)白石高校 同校体育館
長崎女子商業高校
長崎女子商業高校で劇団が初めて公演したのは、1996年の『ヘレン・ケラー』。以来『星の王子さま』『Touch』『肝っ玉おっ母とその子供たち』『ジャンヌ・ダルク』と、巡回しているすべての作品を2度、3度と上演し、今回は10回目の公演となります。
長崎駅とほど近い街の中心部、長崎市民会館での公演。続々と入場する生徒たちの賑やかな声が聞こえてきて、楽しい雰囲気が会場に満ちていきます。
本番がはじまりポンプから水が出ると、おー!という声が。
伸び伸びした笑い声と、次に何が起こるのかと、じっと見つめる眼差しが印象に残ります。
カーテンコールでは花束と代表生徒の挨拶をいただきました。
「アニーとヘレンが逃げずに向き合っていく様に励まされた。これからの人生にいろんな壁にあった時、逃げずに向き合いたい。3年生は、いま受験などの壁やままならないことがあるけれど、向き合っていきたい。」
人生のつまずきや困難にあった時、共に過ごしたこの時間をふと思い出し、彼女たちのいくばくかの励ましになってくれたならと、願う言葉でした。
そして、また長崎女子商業高校の皆さんと会える日を、楽しみにしています。
玉名高校
熊本県北部の玉名市。公演で何度も訪れている土地ですが、玉名高校での公演は初めてとなります。
これまで、芸術鑑賞行事は福岡市内などの一般公演に足を運んでいたとのことですが、劇団を呼び、学校貸切りでの公演を行おうと「風」を呼んでくれました。2020年に開設された玉名市民会館で、1、2年生およそ500人が集っての公演です。
舞台で起こる出来事を見つめる、静かな波を感じる舞台でした。
終演後には演劇部の生徒たちが残り、バックステージ見学をしながら劇団員と交流する時間を持ちました。週末には高校演劇の大会があり、学校に戻って稽古を行うとのこと。限られた時間のなか、舞台に施されたさまざまな工夫に関心を持って探索してくれました。
「どうでしたか?」と声をかけたサリバン先生・高階ひかりに「もう、もう!笑をこらえたり、もう!」と手振り身振りで伝えてくれた生徒の姿に、客席から伝わってきた一人ひとりの気配を思い起こします。
言葉にならない何か、面白かったこと、わからなかったこと、共感や疑問を一人ひとりが持ち帰ってくれていたなら嬉しいです。
演劇部の皆さん、本番を楽しんで、頑張ってください!
唐津商業高校
2020年の公演予定がコロナ禍で延期を繰り返し、2年越しでやっと会いに来ることができました。
高台に位置する学校に到着し、大型トラックから舞台道具を搬入。劇場へと様変わりしていく体育館を興味津々に覗き込む生徒がいたり、楽屋にお借りした武道場にひょっこり顔を見せる生徒と「こんにちはー」「よろしく!」と挨拶を交わしたり、体育館公演ならではの楽しい交流に心が弾みます。
本番では、舞台に向ける生徒たちからの真っ直ぐな視線、そして何やらヒソヒソと顔を寄せ合いながら話す姿に会い、「何みているのだろう」とこちらも想像力を逞しくします。
終演後には生徒会長さんから、「芝居が始まって、笑い、泣き、怒りなどさまざまな感情が起こリました。そして命の大切さや人の繋がり、生きることの大切さを感じました。」と、ひとつひとつをを噛み締めながら、笑顔を向けての言葉をもらいました。
舞台の撤去もまた体育館ならではの時間。運動部と図書委員の生徒たちが片付けを手伝ってくれ、ワイワイと楽しい時間となりました。率先して動く生徒たちの機微に、通常より1時間も早い驚くほどスムーズな片付けとなりました。手伝ってくれた皆さん、本当に感謝です!
学校を出発するときには体育館からテニスコートからと、あちこちから手を振ってくれる生徒たちがいました。
コロナ禍に諦めず、今日の出会いをつないでくれた先生方、改めて本当にありがとうございました。
武雄高校
武雄高校は前身となる高等女学校の開設から100年以上の伝統を持つ学校。その後武雄青陵高校との統合などを経て、2007年に併設型中高一貫教育校武雄高校として新設された中高一環教育校。午前中が武雄青陵中学校、午後が武雄高校の、2回公演を行いました。
午前午後ともコロナ対策のため、客席の前方や隣席にも距離を開けての公演となりました。
しかしその距離が舞台と客席を隔てることなく、一人ひとりの存在をやわらかく感じ合うことができたように思います。
終演後、先生から生徒たちに「教師が幸福感を持ち、生徒がそれに包まれていくのは時間のかかることなのだと、教師としてあらためて学んだ。」と言葉が贈られました。アニーの恩師アナグノス校長の劇中の言葉を引用したメッセージには、日々に生徒と向き合う先生の願いが感じられ、心に染みました。
午後の公演後に設けたバックステージ見学には舞台に乗り切らないくらいの生徒が残ってくれ、思い思いに舞台を歩き、モノに触れ、劇団員ともあちこちで話が生まれ、ワイワイがやがやと盛り上がりました。なかには来春には東京の大学に行く生徒もいて、東中野の劇場での再会しようという嬉しい約束も!
さらに残ってくれた生徒たちと、撤去されていく舞台を見ながら、ヘレン役・倉八ほなみが座談会を行いました。
みんなの生き生きとした好奇心いっぱいに、それぞれの今日を、明日を開いていってくれることを願っています。
白石高校
2018年に白石高校と杵島商業高校が再編統合され、新設白石高等学校として開校された学校です。それぞれの学校でこれまでも『星の王子さま』『ヘレン・ケラー』『ハムレット』などを上演してきました。新たに歩み始めた学校は、車で10分ほどの距離に普通科キャンパスと商業科キャンパスがあり、今回は普通科キャンパス体育館での公演。午前中が普通科、午後が商業科の公演です。午前中は風が冷たく感じられましたが、午後には汗ばむ天気に。
午前午後とも舞台ギリギリに最前列の生徒たちが座り、前も後ろも左も右も、全員の身体ごとの関心が舞台に向けられ、思わず、近い!と感じる迫力と存在感のある客席です。
リラックスした様子で、舞台に起こる出来事を見つけ、場面転換のたびにサワサワと話し合う様子が印象的に残ります。何より、劇場となったこの空間と時間を共有し、“繋がっていく”喜びを感じる公演でした。そしてそれは、演劇にとって何よりも貴重なことなのではないかと改めて感じました。
午前の舞台のカーテンコールでは、3年生の男子生徒からブラボーの掛け声をもらいました!
「サリバン先生とヘレンの諦めない様子に勇気をもらいました。」「迫真の演技に引き込まれました。楽しかったです。」と午前午後、それぞれに代表の生徒がカーテンコールで語ってくれ、綺麗な花束もいただきました。
撤去に来てくれたバスケットボール部の生徒たちは、みんな元気いっぱい。出演者、スタッフと話しながら「何かやることありますか?」と積極的に手伝ってくれました。本当にありがとう!
最後の記念撮影では「パーシー!」と皆から呼び声が。ヘレンの1番の仲良し、パーシーは今日も生徒たちの人気者です。
この時間が、高校生活の楽しい思い出のひとつとなってくれますように。
秋のツアーの開始から1ヶ月と少し。旅は新たな出会い、そして嬉しい再会を重ねています。
ひとつの言葉、ひとりの笑顔や沈黙を心と身体に刻みながら、また明日の地に向かっていきたいと思います。
来週は宮崎は日向市からスタートです。
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