いよいよ『Touch〜孤独から愛へ』九州ツアーも最終週となりました。
12週目は鹿児島県種子島ということもあって、前の週とは打って変わって春のような暖かな気候でした。
船も揺れずに進みました。
12月17日 [鹿児島県] 種子島中央高校 同校体育館
12月18日 [鹿児島県] 種子島高校 同校体育館
種子島中央高校
風が4回目の公演です。
仕込みの最中に見学に来た、先生も含め、先生たちが「この日を楽しみにしていました」と口々にしています。
開演前から熱気に包まれた客席は、開演と同時にそのまま芝居に集中していきます。
前半、1幕の終盤にレンタルした発電機の不具合から電源がストップしてしまうというハプニングがありました。
スタッフが体育館の水銀灯を点けて芝居は進行しましたが、客席の生徒さんたちはそんなことは意に介さないという感じで、芝居を見続けています。
ほぼ全ての生徒さんたと目が合いました。
ニコニコしながら、また自分自身と対話しながら観ているみんなの表情が忘れられません。
カーテンコールでお礼の挨拶では、生徒会長さんが「僕にも弟がいて、弟を元気づけてやりたいし、人を元気づけてあげられる人になりたいです」と語ってくれました。
後片付けにも、予定されていた生徒さん以外にも多くの生徒が手伝ってくれました。それを見て「ほっとしました、やってよかったです」という担当の先生の安堵と喜びに満ちた顔が印象的でした。
種子島高校
いよいよ九州ツアーの千秋楽となります。
この学校も種子島中央高校と同じく、「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」の公演以来3年ぶりの、そして4回目の公演になります。
この学校も期待感の強さが伺えます。
「うそーっ!種高の体育館じゃないみたい!」と声を上げながら、あっという間に客席の準備が整います。
校長先生の「この劇場で、しっかりといろんなことを受け取ってください」という言葉で開演です。
その校長先生も生徒たちに混じって、最前列で見ていました。
校長先生の言葉にうながされるようにリラックスした客席で、この時間を噛みしめるように楽しんでいる姿が印象的でした。
後片付けの時もバスケットボール部、テニス部以外にも、全校生徒の半数近くの生徒さんたちが自主的に手伝ってくれ、熱気あふれる時間となりました。
後片付けが全て完了した時に「あーあ、元の体育館に戻っちゃった」とつぶやいていた生徒の声が印象に残りました。
こうして、9月17日の群馬県みなかみ町での公開舞台稽古から始まった43ステージの長いツアーも終わりました。
この巡回公演のひとつひとつの舞台を通して、演劇とは何かー、我々の成すべきことは何かー、と考えさせるツアーだったと思います。
文:ハロルド役/柳瀬太一