風のBLOG

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『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』秋のツアー②

2022-10-12 12:45:48 | 全国巡回公演

10月6日 (大分県)大分大学教育学部附属中学校

10月9日 (高知県)誰もが楽しめるバリアフリー演劇鑑賞会 in 高知

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』秋のツアー第2週目は大分県・高知県を旅しました。

 

大分大学教育学部附属中学校

劇団は2005年から附属中学校で公演を重ねていて、今回で14回目の公演になります。

3年生160名が午前と午後に分かれて鑑賞しました。附属中学校は毎年、文化祭(青垣祭)でクラス演劇を行っているのですが、ここ数年間は感染症の影響で映像制作に取り組んでいます。開演前に行われた舞台見学で生徒さんたちは、舞台装置・小道具に触れて、衣装を着て、照明・音響機材も実際に操作しながら、俳優やスタッフと交流しました。ポンプから出る水に驚いたり、衣装や小道具を身に着けて役になりきったりと、体育館をあちこち駆けまわって舞台づくりの仕組みを体験してくれました。生徒さんたちの輝く目と、全身で何かうを感じようとする姿が印象深く残っています。本番では真剣な眼差しと姿を舞台に向けてくれるみなさん。各回のカーテンコールで「ヘレンを支える家族の存在やアニーの厳しいなかにある愛情を感じました。」「私も勇敢に、諦めらずに努力したいと思いました。」と代表の生徒さんが自分の言葉で感想を伝えてくれました。

今回は3年生のみの観劇でしたが、昼休みには他学年の生徒さんが体育館をのぞきに来て「すっげー!本格的!」と声をあげていたり、「中学時代にこの体育館でジャンヌ・ダルクを見ました」という教育実習生との出会い(再会)もありました。

終演後、バレー部とバスケ部が撤去作業を手伝いに来てくれました。率先して重たい荷物、大きな荷物を運んでくれる姿は頼もしかったです。みなさんの協力のおかげで、撤去作業も楽しい時間になりました。ありがとうございました。

すべての片付けが終わり、学校を出る最後の最後に先生が、ひとクラス分の書きたてホヤホヤの感想文を渡してくれました。高知へ向かうバスの中で読ませてもらいましたが、ひとりひとりが今の自分自身と照らし合わせたり、大切な人のことを思いながら共に時間を過ごしてくれていたことがわかりました。この公演が学校の思い出のひとつになってくれたら嬉しいし、またみなさんと再会できることも願っています。そして、青垣祭も思いきり楽しめますように。

 

誰もが楽しめるバリアフリー演劇鑑賞会 in 高知

旅班は別府港からフェリーに乗って一路、高知県へ。高知県佐川町にある文化施設、桜座で『誰もが楽しめるバリアフリー演劇 in 高知』が開催されました。


誰もがありのままの姿で、共に同じ時間と空間を体験し、楽しめるバリアフリー演劇。
高次脳機能障害を抱える方を支援している「脳損傷友の会高知青い空」のみなさんが一丸となって、公演に向けた準備をしてくれました。
当日は事前の予約を遥かに超えて満席に。来場されるみなさんをお迎えしていた青い空の理事長、片岡さんは「次々とやって来るお客さん、段々と埋まっていく客席にドキドキしたよ!」と、話してくれました。
開演前には舞台見学、舞台説明(舞台の広さや高さの空間)と役者紹介(衣装の色や形や体の特徴や足音)も行いました。
会場内には、これまで高知県内で公演した学校の先生や生徒さん、『星の王子さま』、『TOUCH』の公演で出会って仲良くしてくれた青い空の利用者のみなさんの姿が。交わす笑顔、握り合う手の力強さに胸が熱くなりました。

大きな拍手に包まれたカーテンコールでは音声ガイド監修の大河内直之さんがご挨拶。その後すぐにヘレン役の白根有子と舞台手話通訳の小島祐美、音声ガイドの辻由美子による『バリアフリー詩劇 故郷』を上演しました。『詩劇』は、ボードレール、ランボー、ヘルダーリンなどの詩人の書いた詩を、演出の浅野が構成して、俳優が何もない空間に、詩の言葉と俳優の身体で、あるドラマを描き語っていく、試みです。拠点劇場や月夜野アトリエ演劇工房では上演や試みを重ねてきましたが、今回このような場で、みなさんにご覧いただくのははじめてになります。ガラッと変わった空気感の中で語られていく『故郷』。みなさんはどのような世界を描きだしてくれたでしょうか。アフタートークにはバリアフリー演劇総合監修の尾上浩二さんも登壇し、「バリアフリー演劇とは何か」や「わたしたちの未来への希望」を熱を持って語ってくれました。

プログラムがすべて終了したあと、多くの方が声を掛けてくださいました。「またいつでも高知へ来て」と言う、ろう者の方の抜けるように明るく真っ直ぐな言葉は、心に響きました。必ず高知へ帰ってきます!みなさん、ほんとうにありがとうございました。

高知県を皮切りにはじまった「誰もが楽しめるバリアフリー演劇」は、このあと鹿児島県、埼玉県東松山市、福岡県、東京都江戸川区、と続き、全国の、各地に、バリアフリー演劇を届けます。

そして来週から、ヘレン・ケラー:倉八ほなみ、アニー・サリバン:高階ひかりが演じ、九州を駆けめぐります。みなさんと会えることを旅メンバー全員、楽しみにしています!

 

アニー・サリバン役:渋谷愛