風のBLOG

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『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』2021年秋 九州ツアー 第3週目

2021-10-25 17:16:50 | 全国巡回公演

 

『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』秋の旅公演3も週目を迎えました。

10月22日(金) 福岡県 糸島農業高校 同校体育館

糸島農業高校 

『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』秋の旅公演3週目は、福岡県立糸島農業高校の体育館公演でした。担当の先生は3年前の『Touch』公演の時から、生徒たちには風の舞台に触れさせたいと強く思ってくれている先生です。今回はコロナ禍で行事実現のために大変な苦労があったと聞いています。

私たちが学校に到着すると、バスケ部やバレー部、その他有志の生徒さんや先生方が搬入の手伝いに駆けつけてくれました。友達も誘って来てくれた生徒さん、部活は引退したけど手伝いたいと来てくれた3年生もいました。2階の体育館に次々と道具が運ばれていきます。

生徒さんの生き生きとした表情、パワフルな姿に劇団員も大きな力をいただきました。

舞台作りを終えて帰ろうとした時、生徒会役員の3人が体育館を覗いていました。生徒会長さんは「3年間で一番この行事を楽しみにしていたのに、学校を代表しての発表会が重なり明日観られないんです、、」と話してくれました。ヘレン役の倉八、サリバン先生役の高階と一緒に舞台見学をして、急遽、先生方が映像で舞台を撮影すると決めて下さり、3人は「元気をもらいました」と笑顔で帰っていきました。

そしていよいよ公演当日。「劇団風の情熱のある舞台を、ぜひ生徒の皆に見て欲しい」という担当の先生の挨拶で幕が開きました。

前日の道具運びの時と同様に、糸島農業の生徒さんたちは、それぞれが自分の身体で、自分の心でしっかりと舞台と向き合っていました。

先生方の熱い想いと、生徒の皆さんの存在、劇団員の願いが響き合う公演でした。

公演後の片付けにはバドミントン部などの生徒さんたちも加わり更に盛り上がりました。「卒業後は演劇関係の道に進みたいので、ぜひ劇団員の皆さんしたい」と熱心に質問する生徒さんもいました。一緒に荷物運びをする中で生徒さん同士、生徒さんと先生がとても仲が良いのが印象的でした。

11月には文化祭があり、本番が近くなると夜遅くまで準備をするそうです。糸農の皆さんが創る文化祭、きっと最高の思い出になるでしょう!

 

人と一緒に創ること。想いを交わすこと。教育現場で人と人の繋がりが、喜びが今一層強くなっていると感じる公演でした。

 

いよいよ秋も深まってまいりました。

週明けは鹿児島へ向かいます!

文:パーシィ役 稲葉礼恵


『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』2021年秋 九州ツアー 第2週目

2021-10-24 11:11:36 | 全国巡回公演

旅公演の二週目となりました。週あたまに二週間に一回のPCR検査を終え、メンバー全員の結果は陰性。
今週は長崎・熊本・鹿児島の各県をめぐる公演です。
感染症対策として複数回上演にしている為、移動して準備の毎日を連続しますが、劇団員は日々の出会いを楽しみますます元気になっています。

10月12日(火)長崎県 長崎北高校 長崎ブリックホール

10月13日(水)熊本県 球磨中央高校 同校体育館

10月14日(木)鹿児島県 川辺高校 川辺文化会館

10月15日(金)鹿児島県 伊集院高校 伊集院文化会館


学校ももうすぐ文化祭の季節となりました。そこに向けての練習もなかなか出来ないので、今回の芸術鑑賞の時間をスプリンボードとして楽しみに待ってくれています。長くて辛い時間を過ごしてきた分、さまざまに工夫して行事を成功させようという強い想いを胸に、これまで制約してきた学校行事へ向け学校現場が動いていることを感じます。体育館での終演後には、たくさんの生徒のみなさんがマスク越しの笑顔であいさつに来てくれ手伝いもしていただきました。それぞれの感激を私たちに伝えている姿は若い世代が持つ、これからの可能性の深さをあらためて私たちに伝えてくれます。

長崎北高校

※終演後、座談会には学芸部の生徒さんたち、顧問の先生、有志の生徒さんが参加し、質問だけでなく部活や仲間たちに対しての熱い思いを語ってくれました。

球磨中央高校

※終演後には、バックステージツアーにたくさんの生徒さんたちが来てくれました。

※また、撤去作業には、バスケ部、バレー部、サッカー部、ソフトボール部、演劇部、そして有志の生徒さんたちが駆け付けてくれ、慣れない作業もあったなか、仲間と声を掛け合いながら、笑顔でお手伝いをしてくれた姿に、私たちも支えられました!本当にありがとうございました!

川辺高校

※開場が始まると、生徒さんたちの驚きの声や、いったい何が始まるのかという、ワクワクとした空気が会場中に広がっていました。コロナ対策のため、ソーシャルディスタンスとして席を空けての公演でしたが、客席はとてもリラックスした様子でした。

※終演後の生徒さんたちのお見送りでは、“三年生の最後に友達と思い出が出来てよかった”、“すごく胸にきました。僕も頑張ります!”と、思い思いの感想をたくさんの生徒さん方が語ってくれました。

伊集院高校

※コロナ対策の為、ひとりひとり消毒を行いながらの入場。学校と劇団との連携で、万全な対策での公演。公演に向けて協力してくださった先生方に心より感謝申し上げます。

※開演前には、担当の先生からの劇団紹介、そして生徒さんたちに向けて、熱いメッセージを語ってくれました。

コロナ禍においては、先生や保護者の皆さんも鑑賞行事を実現していくためには多くの話し合いがされてきたと聞きます。そのなかには、子どもたち生徒たちのこれまでに想いを馳せ、なんとか思い出をつくってあげたい、芸術鑑賞をやりたいという情熱がありました。生きていくこと、幸せとは、そこに触れてほしいとの先生のメッセージもありました。やっと迎えることができた一回一回の上演です。ひとつの思い出が人を勇気づけることを期待してくれている空間です。それを感じながらの一週間でした。
この先コロナが完全におさまるとは思えませんが、この時の流れを跳びこえた先に見たいものに元気をもらって私たちの活動を進めていきたいと思います。

先週は猛暑のような暑さでしたが、すっかり晩秋の気配となった九州です。
インフルエンザのワクチンも接種して年内73ステージの『ヘレン・ケラー』をやりきりたいと一同感じています。

文:アナグノス役 緒方一則


『Touch~孤独から愛へ』 2021年 秋 全国巡回公演 第5週目

2021-10-24 09:57:08 | 全国巡回公演

10月も三週目になり、秋も深まるように急に冷え込んできました。

今週は、西へ東へと駆け抜けた週でした。

 

10月19日(火) 福井県 三国高等学校

   20日(水) 山梨県 韮崎高等学校

   21日(木)  〃  白根高等学校

   22日(金) 岐阜県 益田清風高等学校

 

三国高等学校

三国高校は、コロナ禍の影響で昨年から延期をした学校で、2008年の『肝っ玉おっ母』以来、風は三度目の上演となります。

担当の先生も「コロナも落ち着き始めて、やっと風さんを生徒たちに見せられます。生徒も楽しみにしています。」と、安心と期待の言葉をおっしゃっていました。

 

今回は、密を避けるために、学校の体育館ではなく、市営の大きな体育館での上演となりました。

公演は、図書視聴覚委員の生徒さんが中心になって、客席の準備から司会進行まで先生方のサポートのもと行われました。

 

図書視聴覚委員の生徒さんたちが、開場前に、他の生徒が間隔を空けて座れるよう綺麗に各クラスのラインを引いてくれていました。

 

密を避けるために、一年生は、二階のギャラリー席に座っての観劇でした。

 

体育館に入って来るなり、「えー!何これ!すごい!」などの、驚きの声がたくさん聞かれるなか、いよいよ開演です。

 

体育館には広い範囲で天窓があったため、客席の後ろまで見えるくらいの明るさの中での本番でしたが、生徒の皆さんはそんなことは気にも留めないという様子で、舞台から目を離さず、見入っている姿印象に残っています。

 

カーテンコールであいさつをしてくれた生徒さんからは「ハロルドが、二人の肩を抱いてあげているところに感動しました。とてもいい時間をありがとうございました。」という、率直なメッセージを贈ってくれました。

 

公演後には、校長先生が楽屋を訪ねて来てくれ、「演劇は、舞台と客席とでつくるものなんだ、ということが今日、生徒たちを見ていてよくわかりました。最後のシーンは、生徒たちがつくっていましたよね。ありがとうございました。」と、熱く語ってくださいました。

 

終演後も、図書視聴覚委員の生徒の皆さんが、学校に戻る時間まで、舞台撤去のお手伝いをしてくれました。短い時間ではありましたが、楽しい交流の時間になりました。

 

韮崎高等学校

韮崎高校は、三年に一度芸術鑑賞会を行っており、今回が初めての風の上演でした。

担当の先生は「先月まで、公演の実施ができるだろうかと心配していましたが、無事にこの日を迎えられてよかったです。」と、嬉しそうに話してくださいました。

 

 

校長先生の、「こうして屋内で全員が集まって一緒に何かをするというのは、本当に久しぶりです。まずは、そのことが嬉しいです。そして、劇団の皆さんの細やかなご配慮と、会館のご配慮で大声を出さないということで、客席を100%使っていいということで今回の公演が実現しました。みなさん、是非リラックスして楽しんでください。」というあたたかな挨拶で開演しました。

 

ひとつ飛ばしの客席ではなく、みんなが肩を並べて座って見ているからなのか、校長先生の言葉どおり、反応を抑えず時折笑い声をあげながら、リラックスしながらもそれぞれに何か発見するようにジリジリと視線の熱を感じる客席でした。

 

カーテンコールでは、生徒会長さんが「こうして、みんなで同じ演劇を見られる機会をつくってもらえて、本当にいい時間でした。また、公演を通して、人から愛されることの幸せを実感しました。周りへの感謝を忘れずに、これからも生活していきたいです。」と、心のこもったあいさつをしてくれました。

この公演が生徒の皆さん一人ひとりにとっての大切な思い出になってくれたらと思います。

 

白根高等学校

白根高校も今回、風の上演は初めての学校です。創立37周年記念行事の一環としての公演でした。

例年は近くの会館での実施ですが、観客席の入場制限もあり、今回は学校の体育館での実施となりました。

 

この日は、うれしい再会もありました。以前、市川高校で『ハムレット』を上演したときに鑑賞行事の担当をされていた先生が、教頭先生として赴任されていたのです。

舞台設営中に体育館に来てくださり「その節はありがとうございました。生徒たちも楽しみにしています。今日はよろしくお願いします。」と声をかけてくださいました。

 

開場中は賑やかだった客席は、公演が始まるとジッと真剣に、食い入るような視線を舞台に向けながら見てくれていました。

 

幕間の10分の休憩時間に三人の演劇部の生徒さんが、「この時間に舞台袖を見学させてくれませんか?」と、劇団員に声をかけてくれました。

あまりゆっくり見られなかったので、「また終わった後も、ゆっくり見ていいよ。」と劇団員が話すと嬉しそうに自分たちの席に戻って行ったそうです。

 

カーテンコールでは、「このコロナ禍で、色々と制約があってできないことが多いなか、今日の演劇を見て元気をもらいました。」と生徒会長さんが、力強いメッセージを届けてくれました。

 

公演後は、休憩中に舞台見学の約束をした演劇部の生徒さんが見学をしているのを見ていた何人かの生徒さんたちも、「私たちも見たい。」と舞台に上がり、自由に歩き回ったり道具に触ったりして大いに盛り上がっていました。その中には教頭先生や校長先生の姿も。

 

舞台撤去には、男子バレー部、女子バレー部、ウエイトリフティング部、野球部、そして演劇部の皆さんがお手伝いをしてくれました。皆さんの協力のおかげであっという間に片づけが終わりました。

この後すぐに劇団のホームページの掲示板に、演劇部の生徒さんからの書き込みもありました。

こんなに楽しんでもらえて、私たちもうれしい限りです。またお会いできることを願っています。

 

益田清風高等学校

益田清風高校も、今週の三国高校と同様に、昨年から延期をした学校で、2007年に上演をした『ヘレン・ケラー』以来、四回目の風の上演になりました。

今回は、生徒同士の密を避けるため、2、3年生の観劇となりました。

 

学校の昼休み中に、体育館の様子を覗きに来た何人かの生徒さん。

「うわっ!すっごい。」と目を輝かせていたので「舞台に上がってみる?」と、劇団員が声をかけると、「いいんですか!やった!」と、舞台に上がって、「あ!この本、本当に英語で書いてある。」と、興味津々に舞台を歩き回り、「めっちゃ楽しみになりました。」と教室に戻って行きました。

 

本番は、目の前で起きる出来事を見逃すまいと、集中して舞台に視線を注いでいる姿が印象的な客席でした。公演が終わると会場はあたたかな拍手に包まれました。

その拍手からも、生徒の皆さん一人ひとりの中の『Touch』を見つけてくれたのではないか、と感じました。

 

そんな拍手を受けるように、生徒会長さんが、「三年に一回の芸術鑑賞で、この演劇に出会えて本当によかったです。」と感謝の思いを伝えてもらい、ハロルドとかたい握手を交わしました。

 

 

終演後の舞台撤去は、生徒会の生徒さんをはじめ、担当の先生の呼びかけで集まってくれた有志の生徒さんたちが手伝ってくれました。

「この荷物を毎日積んだり、セットを作ったりして、すごいっすね。疲れた。」と言いながらも、楽しそうに撤去をしてくれました。

ありがとうございました。

 

『Touch』の旅も折り返しを迎え、いよいよ寒い季節に入っていきます。コロナももちろんそうですが、体調も崩さぬよう、一層気を引き締めて公演に臨んでいきます。

来週は福井県からのスタートです。ここから三週間足を止めずに走り抜けていきます。

 

文:佐藤勇太(フィリップ役)


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2021年秋 九州ツアー 第1週目

2021-10-17 06:42:10 | 全国巡回公演

『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』秋の九州ツアーが始まりました。今だからこそ生徒たちに何か思い出となる時間を残したいという先生方の熱い想いや、昨年、コロナの影響により今年へ延期となった学校での公演など、たくさんの方々の様々な想いをのせ、九州ツアーへと出発しました。

10月8日(金)宮崎県 門川高校 門川町総合文化会館大ホール

門川高校

今週は、門川高校での公演でした。門川高校では2014年の『ヘレン・ケラー』の公演以来、7年ぶり3度目の公演となりました。また、門川高校での公演は、昨年予定していましたが、コロナの影響に今年に延期となった、念願の公演となりました。

今回事前に生徒さんたちのために、ヘレン・ケラーとアニー・サリバンの出会いと生涯、そして、共生社会についてまとめられた資料を担当の先生が作って下さいました!とても読みごたえのある素敵な資料でした!開演前には、担当の先生の、今回の公演への想い、そして、みんなにとって、何か、心で感じる時間になって欲しいという、生徒さんたちへのメッセージのこもった挨拶と共に公演が始まりました。公演が始まると、舞台に向かうひとりひとりの真っ直ぐな眼差しに支えられた時間となりました。

終演後には、代表の生徒さんから“このような状況のなかで、なかなか演劇を観る機会が少ない中、こうして皆んなで鑑賞出来たことが嬉しかったです”という素敵な挨拶と、花束、そして、門川高校の生徒さんたちが作ったという、「かどにゅう」という飲料水を頂きました!本当にありがとうございました!

終演後には、毎年文化祭で3年生が演劇をやるということもあり、バックステージツアーと、アニー・サリバン役の高階と共に座談会が行われました。ちょうど文化祭へ向けて稽古や準備の真っ只中だそうで、想い想いに舞台に触れたり、質問をしたり、想いを伝えたりと、とても盛り上がった時間となりました!

このような中、公演を繋げて下さった先生方、そして、一緒に公演を創ってくれた生徒さん方に心より感謝申し上げます!門川高校の皆さんの姿を胸に刻み、次の公演地へと向かいます!!

文:ヘレン・ケラー役 倉八ほなみ

 


『Touch~孤独から愛へ』2021年秋 全国巡回公演 第4週目

2021-10-15 12:08:40 | 全国巡回公演

ツアーも本格的に動き出して、2週目に入りました。

これから11月中旬まで、各地を駆け巡ります。

今週は、わりと落ち着いた行程でした。

 

10月11日(月) 山梨県 甲府商業高等学校

   12日(火) 愛知県 黄柳野高等学校

   13日(水) 山梨県 農林高等学校

 

甲府商業高等学校

甲府商業高校では、風は2000年の『ヘレン・ケラー』以来、2回目の公演となります。

今回は、創立120周年の記念公演ということでの公演です。

開演前に1時間ほど、120周年記念式典が行われました。

式典が終わり、緞帳を降ろした休憩のあいだに、開演の準備を進めました。

緞帳が上がり、しばらくしてから開演です。

芝居が始まると、文字どおり喰い入るように舞台を見つめる姿が印象的でした。

舞台上で起きることを鏡のようにして、自分自身のことを見つめていたように感じました。

カーテンコールの時の生徒さんの挨拶で、「コロナ禍の状況にある私たちにとって、

人と繋がることの豊かさを考えさせられる意味深い内容でした。」

ということばが心に残りました。

 

黄柳野高等学校

黄柳野(つげの)高校は近年、毎年のように風の公演を行っている全寮制の学校で、

今回が6回目の公演となります。

開場時刻前から生徒たちが体育館に集まり始め、開場予定時刻には、

ほぼ全校生徒の入場が終わっていました。

10月だというのに、仮設クーラーと扇風機をフル稼働しての本番となりました。

リラックスした客席で、ニコニコしながら芝居を見ている姿が印象的です。

本当に楽しみにしていたということがよく伝わってきます。

カーテンコールでのお礼の挨拶には、校長先生が登壇されました。

「私も生徒たちも、いろんなことを感じ、いろんなことを考えさせられる時間でした。

このような時間をもてたことに感謝しています。」とのことばに、生徒と先生たちの

仲のよさを感じました。

終演後のバラシ(撤去)には、寮の夕食の時間にもかかわらず、

10人ほどの生徒さんが手伝ってくれました。ありがとうございました。

最後まで手伝ってくれた生徒さん。ありがとうございました。

 

農林高等学校

農林高校では、14年前にも『Touch』を上演していて、

今回が2回目の公演となります。

去年も今年もコロナの影響で文化祭も中止となっていて、全校生徒が一同に

介するのは今年初めて、ということです。

開演前に校長先生から、「芸術は心の栄養素です。たくさんのことを感じ、

発見して下さい。」という挨拶があり、大きな拍手で開演となりました。

県民文化ホールの前5列を空けて、6列目からの着席での公演でしたが、

客席の熱気は舞台まで届いてきます。ある時は笑いをこらえ、ある時は

じっと考えながら芝居を見つめる姿が心に残りました。

カーテンコールでは、生徒さんから「僕たちが育てました。どうぞ

受け取って下さい。」と、ミニシクラメンを3株頂きました。

ありがとうございました。大切に育てます。

 

いよいよ来週は『Touch』ツアーの折り返し点です。

あらたに観客に出会い、あらたに演劇に出会う旅を続けていきたいと思います。

 

文:柳瀬太一(ハロルド役)


『Touch~孤独から愛へ』2021年秋 全国巡回公演ツアー 第2・3週目

2021-10-10 19:54:24 | 全国巡回公演

全国の緊急事態宣言が解除になり、本格的にツアーも始動し、Touch班の公演は9月から10月をまたぎ、新たな試みと共に各地を駆け巡りました。

 

9月29日(水) 山梨県 甲府城西高等学校

10月1日(金) 兵庫県 北摂三田高等学校

10月3日(日) 愛知県 知立市文化会館自主事業『Touch~孤独から愛へ』バリアフリー公演

10月5日(火) 広島県 呉昭和高等学校

10月7日(木) 群馬県 みなかみ町立水上中学校 

 

甲府城西高等学校

9月の段階で山梨県のまん延防止重点措置は解除にはなりましたが、全国的に緊急事態宣言の解除を待つ段階でありました。

写真では見えづらいと思いますが前列7列を空け、一人ひとりの間隔を広げ、上演中は劇場の扉を開けて密・密閉を避けての公演を行いました。

劇場の扉が開いているという決して観やすい状況ではなかったと思いますが、生徒の皆さんの眼差しは静かに舞台に向けられていました。

クスクスと笑いを堪える姿や、ラストシーンでは涙を見られまいと前のめりでそっと拭いている姿が印象的でした。

全校生徒がマスクをしての観劇が日常的になっていますが、マスクの下で一人ひとりの表情が浮き上がっているように見えました。

 

北摂三田高等学校

密を避けての公演を考え、本番を午前・午後の2回公演を行うため、前日に学校へ向かい仕込み作業を行いました。

学校に到着するとバレー部・男子バスケットボール部の約40名の皆さんが、搬入作業を手伝うために待っていてくれました。

荷物を運ぶという作業にとらわれずに、公演を行うための協力者として活き活きと参加していてくれた皆さんの姿に劇団員は驚きと共に次の日の本番が楽しみになりました。

そして2回の本番を終え、バラシの時にはなんと200名近くの生徒の皆さんが参加してくれました。

各部活のチームワークや学年ごとの仲の良さだけでなく、声を掛け合い枠組みに捕らわれずに学校全体が行事と向き合っている姿に北摂三田高校の底力を見ました。

本番を見つめる生徒の皆さんは真剣な眼差しと共にしっかりと舞台を支える力を持って2時間、北摂三田高校の”Touch”を共に創りあげていました。

 

 

知立市文化会館自主事業 『Touch~孤独から愛へ』バリアフリー公演

 

2019年5月に『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2021年の2月に『星の王子さま』でバリアフリー公演を行った【パティオ池鯉鮒・かきつばたホール】で、

『Touch~孤独から愛へ』のバリアフリー公演の初公開を迎えることが出来ました。

開演の前には舞台説明を行います。俳優が舞台上で舞台の広さや道具の位置を足音や声を駆使して説明し、舞台手話通訳者が俳優の言葉を客席に繋ぎ、字幕もそのサポートを行いながら進めていきます。

会場の入り口には、Touchの舞台になっているアメリカ合衆国・北フィラデルフィアの位置を触って把握することが出来る立体地図と、舞台の構造を把握するための立体図が設置されています。

様々な交流に備えて手話以外にも、筆談や身体表現を駆使し舞台での対話を劇団員全員が行いました。

交流の中には、音声ガイド監修・大河内直之さんの点字を出す装置に興味を持って触っている姿もありました。

舞台手話監修の河合依子さん主催の“岐阜ろう劇団いぶき”の皆さんも駆けつけてくれました。

 

呉昭和高等学校 

今年の9月に公演を予定していましたが緊急事態宣言下に伴い、延期となりましたが10月の公演が叶った呉昭和高校。

この学校は3年後には閉校となってしまうため、3学年が揃う最後の年と伺いました。

そして「今年の3年生は修学旅行を4回延期しても実施できなかった。体育祭・文化祭も縮小し生徒には芸術鑑賞行事だけはどうしてもやりたかった」と座長の柳瀬が校長先生から伺いました。

校長先生は開演前に、「登場人物が何を見て、社会からどう見られているのかをしっかり見つめてほしい。彼らの姿から自分自身の生活をしっかり見つめてほしい。」

と生徒の皆さんの未来へ向けたメッセージを送りました。

 

水上中学校

風の活動拠点であるみなかみ町の中学校での公演でした。

水上中学校は今年度で3校の統合により、閉校してしまう学校です。

そして本来であれば9月に実施の予定でしたが、コロナの影響で延期となりました。しかし、閉校前の行事として先生方のご尽力によってこの日を迎えました。

コロナ禍において、子供たちの体験する機会や経験の場が失われていく中、それでも子供たちには経験という瞬間瞬間の中での学びは必要です。文化芸術を通して私たちが演劇の場から先生方の願いを届け、子供たちの輝く表情を生む協力が出来ればと日々の公演の場から考えます。

 

今週、初日に伺った甲府城西高等学校の芸術鑑賞行事担当をされた先生が開演前の挨拶の中で、

「この状況下の中で、本当に実施できるのかどうか直前まで不安でした。今日、実施できることが本当に嬉しい。しかし、開演できることが成功ではない。生徒の皆さんがこの公演を観て喜べることが成功と言えると思います。」

開演の直前にハンマーで殴られたかのような言葉でした。公演を迎えられたことを喜んでいる場合ではない。私たち風が向き合う客席は真剣な眼差しの中から舞台に様々な主体を持ち込んでいます。

担当をされている先生方、事業担当の皆さん、そして保護者の方々も客席を見つめる存在として様々な想いが交錯していると言えます。

そして舞台を見つめる客席は今の状況に抗うかのように、演劇に触れることや出会いの経験・この時間を共有している瞬間瞬間を捉えている。

日々、一校一校、一人ひとりの客席に出会う為に、”Touch=触れる”ことを題名とした風の舞台が一人ひとりの心に触れる公演を行えるよう劇団員一致団結しこれからのツアーを駆け抜けて行きたいと考えます。

 

STAFF 白石圭司