風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
公演情報や稽古場速報、全国巡回公演の情報など
日々の出来事を速報!!

2013 『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』ツアー 第七週

2013-06-30 20:59:18 | 全国巡回公演
今週も先週に引き続き、東北地域での公演でした。


6月26日 大船渡東高校(岩手県)

  27日 北上翔南高校( 〃 )

  28日 仙台三桜高校(宮城県)



大船渡東高校

体育館での上演でした。こちらは農業高校時代、工業高校時代の『星の王子さま』『Touch~孤独から愛へ』に続いて風は3度目です。

この公演をとても楽しみに待っていてくれたのが生徒のみなさんの入場時から伝わってきました。
そのワクワク感の中、開演。
芝居が進むつれて、そのワクワク感が出来事への関心に変わっていくプロセスがとても面白い印象を受けました。

ジメジメとした蒸し暑さ、しかし、そんな事はものともせずに向けられた視線にとても強いエネルギーを感じました。

カーテンコールでは、生徒会長の生徒さんが「卒業後、もしかしたら俳優や舞台に関わる人がいるかも知れません、その時はよろしくお願いします。」とあいさつを締めくくってくれました。
その時は、こちらこそよろしくお願いします!

終演後の撤去にはバレー部とバスケ部、そして、有志の生徒さんたちが元気よく手伝ってくれました。
本当にありがとうございました!
トップ画像と↓下の写真はその時の様子。この中には「中学一年生の時に『Touch』を観てホームページに書き込みました!」という高校三年生もいました。






 
↑撤去作業中、体育館裏に何と鹿が!凛とした美しさを漂わせながら、じっと佇む姿。
私たち人間に何を思うのか・・・ 


北上翔南高校

こちらは2004年の『星の王子さま』以来10年ぶりの再会、北上市文化交流センターさくらホールでの上演でした。

大きなホールで、生徒さんたちも700人以上というのは決して少ない人数ではありません。



しかし、そこにいる一人ひとり(私たちも含めて)が、それぞれの感覚とそれぞれの身体を持って、そこで起きている、または動いている何かに出会ったりぶつかったり出来る。

それは一瞬の出来事かも知れないが、でもそこにはきっと何かが生まれる、微かな衝撃或いは大きな衝撃を伴って。
そしてこの衝撃こそが演劇を通して人と人が繋がった証。
今、この公演を振り返ってみた時に思うことです。

生徒会長の女子生徒さんがカーテンコールでこんなことを話してくれました。
「劇の最初のほうで肝っ玉おっ母が言った“いい国には勇気なんていらない。誰も彼もふつうの人間でいいんだ。”という言葉が印象に残りました。今はふつうにいられて、大きな勇気もいりません。最後の詩を心に刻んでこれから生きていきたいと思います。」と。
きっと、彼女の中で一番大きな衝撃を受けた一言だったのだと思います。


仙台三桜高校

こちらも2004年(この時は仙台第三女子高校)の『星の王子さま』以来の再会でした。
そして今年は創立90年という歴史を誇る節目の年、共学になってからは4年が経つそうです。

以前もそうだったように、やはり午前中には舞台装置の中で合唱コンクールが開催されました。

そのころ私たちはと言うと、生徒さんたちのとても澄んだステキな歌声に包まれながら舞台裏や楽屋にて、衣装や小道具、照明機材などのメンテナンスをしていました。



時には客席にお邪魔したりしながら。



会場のみなさんが、クラス対抗にも関わらずそれぞれのチームに対して心からのエールと拍手を惜しみなく送っている姿がとても清々しく、心地のいい、素晴らしい空間でした。

そして午後、いよいよ私たちの出番。
開演するや否や午前中の疲れを全く感じさせない集中力を発揮して、細かいところまで受け取ったメリハリのある反応を見せてくれました。
さらにカーテンコールでは生徒さん全員がスタンディングオベーションで止まない拍手を目一杯送ってくれました。
誰かに言われたからではない生徒さんたちの自発的な行為。

人前で立ち上がるというのはとても勇気のいることです。
生徒さん一人ひとりが立とうと思わなければ出きることではありません。
私たちも敬意と感謝を込めて拍手を送りました。



終演後は演劇部がバックステージツアーを行いました。



演劇は、いえ、演劇に限らず芸術は時として人の人生を左右する力を持っていると思います。

私もその一人です。

今まで出会ってきた生徒さんたち、そしてこれから出会うであろう若い観客のみなさんにとって『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』という作品が、人生を変えるほどではなくても“何か引っかかるもの”として心の片隅にでも残してもらえたらと思っています。

三十年戦争を生きた人たちに思いを馳せ、作者ブレヒトとその時代を生きた人たちに思いを馳せ、そして何よりもこの時代、共に生きる人々に思いを馳せつつ、肝っ玉たちの旅はまだまだ続きます!

文:イヴェット役 仲村 三千代


2013『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』第5週目

2013-06-26 18:13:37 | 全国巡回公演
『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』西日本ツアーも第5週目。
ツアー全体から見ると折り返し地点を迎えました。

今週は
6月17日 宇部フロンティア大学付属香川中学高等学校(山口県)
  19日 乙訓高校(京都府)
  20日 鳴門高校(徳島県)
  22日 広島なぎさ中学校・高校(広島県)
での公演でした。

宇部フロンティア大学付属香川中学高等学校
今旅始めての1日2ステージ。体育館での公演でしたが生徒の皆さんは午前も午後の回も集中して舞台を見つめてくれました。
撤去作業にも沢山の生徒さんがお手伝いしてくれました。また、演劇部の皆さんは舞台装置を見学したり、俳優に上演について、演技について質問をしたりと、自分の活動に活かそうと一生懸命な様子でした。





乙訓高校
こちらの学校は3年生が文化祭でクラス毎に演劇の発表を行なっているそうです。終演後に舞台装置の構造を見学したり、座談会にも多くの生徒さんが集まってくれました。
発表当日までクラスの皆さんや先生と様々な言葉を交わし、自分たちでつくる、自分たちにしか出来ない最高の時間、思い出を作ってください。





鳴門高校
人権教育の一環として初めて演劇鑑賞を実施することになった今回の公演。体育館に1000人もの生徒さんが集まり、体育館内は皆の熱気で溢れかえっていました。開演前に先生が生徒さんに「今日は暑いから、熱気を出さないように!」と話している注意を聞いて、私達は開演前の緊張を解すことが出来ました。終演後の片付けにもとても多くの部活動の皆さんが率先して手伝ってくれました。本当にありがとうございました。







広島なぎさ中学校・高校

月曜に引き続き1日2ステージの公演。今回は学校の芸術鑑賞会、という形ではなく一般的な公演形態の雰囲気を生徒さんに味わってもらう、という先生方の提案を受け、整列指導も先生方のご挨拶もなく、劇団からのアナウンスのみでの開演。終演後には俳優全員で生徒の皆さんを送り出しました。
放送部の皆さんと有志の皆さんが参加してくれた座談会ではそれぞれの想いをじっくり話してくれたり、先生が考えている、学校、生徒、教師、生き方のお話も聞くことができました。






旅も中盤を迎え、様々な学校や生徒、先生方と出会うことが出来ました。
自分の将来を考え、その道を模索している生徒。
生徒の将来を考え、その為に何が出来るのかを考えていらっしゃる先生。
『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』は『教育』が一つのテーマとなっています。
ですが、私は『教育』ではなく『共有すること・繋がること』なのではないかと思っています。どちらかが教えるだけ、どちらかが学ぶだけではなく共に教え学び、お互いがお互いを認め合える関係。そこに優劣などありません。教師と生徒だけでなく、親子でも、友人同士でも同様です。人が人を想う事、その大切さ、その強さを今回の上演を通して『発見』する手助けになれたらと、願っています。

まだまだ旅は続きます。来週は大阪からスタートします。

文:渡辺雄亮(音響)

2013 『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』ツアー 第六週

2013-06-25 21:32:00 | 全国巡回公演
今週は三陸を中心に

6月17日 釜石高校(岩手県)
  18日 大槌高校( 〃 )
  19日 花泉高校( 〃 )
  20日 宮古高校( 〃 )
  21日 女川高校(宮城県)


で公演を行いました。


釜石高校

初めての風の公演となる釜石高校の皆さんと、芝居を通じてどんな出会いになるか楽しみにしていました。
皆さんとても真剣に、考察するように舞台上での出来事を見つめていたように感じました。

片付けを図書委員と視聴覚委員の皆さんが手伝ってくれました。

(↑トップは手伝ってくれた皆さんとの記念の一枚)





↑はにかみながら「面白かったです」と話してくれた皆さんが印象的でした。


大槌高校

とてもにぎやかな反応と、舞台に入り込む皆さんの引き締まった空気をたくさん感じた公演でした。
片付けを手伝ってくれた図書委員と生徒会の皆さん、有志で集まってくれた皆さんと感想を聞きながら交流できたことも貴重な時間でした。



「苦しかったり、辛くても、過去を受け入れて逞しく生きていく」
「自分のなかで、そこに生きていた人たちの過去と繋がった気がした」



「生きることは辛いですね」と語る表情や、興奮した体で力強く話してくれたこと、自分の将来・未来・過去・現在を話してくれたこと、様々に受け取ったことをそのままに感じられた気がします。




花泉高校

生憎の雨のなかのスタートでしたが、朝から何人かの手伝いに駆けつけてくれた生徒の皆さん、先生方に元気をもらいながら、体育館に舞台を組みました。

公演が始まる頃には雨もほとんど止み、気持ちのいい幕開けとなりました。

少ない生徒数にもかかわらず、夢中で観ていた皆さんの反応が舞台上にたくさん届けられました。
その皆さんと舞台上の僕たちとで見えないものの交換が細かく密にある公演でした。







↑朝の搬入・後片付けに参加してくれた皆さん、ありがとうございました。


宮古高校

2年前の震災で延期となった公演でしたが、今年、創立90周年の行事として2年越しの公演です。



↑開演前の皆さん熱気溢れる体育館さながら、芝居が始まり皆さんのそのままの熱気を感じながら舞台が進んで行きました。

皆さんの反応が前に最前列から後方まで反応が伝わって行く感じや、後方からもぐっと迫る皆さんの空気を感じました。特に最後の詩を語るところの皆さんの舞台に迫る感じは何とも言えない交錯する場だったと思います

カーテンコールも音楽が止まり、幕が閉まってからも鳴り止まぬ拍手と、立ち上がって拍手する生徒の皆さんもありました。
2時間という時間の枠とは少し違った凝縮された時間と空間でした。






女川高校

公演前日、宿泊場所となった“トレーラーハウス”で教頭先生をはじめ6人の先生方と劇団員を交えた交流会が開かれました。









↑女川高校の生徒と石巻市の大沼製菓が共同で作った“たまげ大福だっちゃ”や、手作りの料理と、美味しい魚、心遣いがこもった箸袋に囲まれながら和やかに、また爆笑に包まれた時間となりました。




今回の公演は女川高校が女川中学校・地元の一般の方を招き、今年度で廃校になる最後の芸術鑑賞として、また地域の方との交流のための様々な想いが交錯する公演となりました。



↑開演前の客席の様子。

緊張や戸惑いを感じながらの客席が徐々に舞台に入り込みながら、ゆっくり近づきあう感じが面白い舞台でした。
最後の詩を静かに聞く皆さんが印象的でした。



↑上演後はたくさんの先生方が私たちの控室に挨拶に来てくださいました。



今週は2年前の3月末に訪れた地での公演となり、私なりに新たに感じた『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』でした。芸術の力、人が生きる逞しさ、弱さ、何より人が関わり本当の意味で繋がる、それは手段や方法ではなく、あくまで“ひと”だということです。

言葉にしなくとも、感じ合えるからこそ、観た者、演じた者の中にまた生きることについて、人間について思考するのではないでしょうか。


文:田中悟

2013『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』第4週目

2013-06-23 23:03:30 | 全国巡回公演
2013年『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』西日本地域での巡回公演 4週目は
愛媛 県立丹原高等学校
京都 府立京都すばる高等学校
京都 府立宮津高等学校
兵庫 県立村岡高等学校
大阪 府立長野高等学校
大阪 精華学園 精華高等学校 での6ステージでした。

素敵なディスプレイで迎えていただきました


朝、窓を開けて、トンビの声やカモメの声、ツバメの声、または車の行き交う音を聴き、
この土地で生きている若い観客の皆さんと、今日はどんな出会いがあるだろうと楽しみに、
また緊張しつつ、それぞれの公演地に向かう毎日でした。


公演後の座談会は、舞台とはまた違った緊張感をもって皆さんとの話に耳を傾け、さまざまな刺激受けます
参加できなかったメンバーも、共有したいと、毎回報告を受けています


私たちとの2時間10分という時間をともに過ごしてくれた皆さん、どうもありがとう!
ヘレンとアニーの姿を通じて、共感や反発、疑問、さらには自分の過去の記憶、
未来への不安や期待、さまざまな思いが生まれ、
それぞれの自分自身の“いま”を発見してくれたらうれしいです。
そしてぜひ、感じたことをお友だちや先生、ご家族に率直に話してみてください。
新しい会話が生まれるかもしれません。

舞台にいる私たちと、客席にいる皆さんが一緒に過ごした時間は、
担当の先生はじめ校内すべての先生方が、皆さんのことを想い考えてつくられた時間です。
どうして授業時間に演劇を見るのだろう、なぜこの作品なのだろうか、と思った人もいるでしょう。
想像してみてください。先生の思いを、保護者の方々の想いを……。
特に体育館の公演では、私たちの到着から退出まで、
先生方には多大なご尽力を仰ぐことになります。
しかし、どの先生も笑顔で、皆さんのための時間づくりに力を注いでくれました。


大勢の皆さんにお手伝いしてもらうと、あっという間に搬出が終わります
皆さんのこの上ない笑顔を見せてもらえる瞬間でもあります



私たちは、皆さんに出会わせてくれた方たちに感謝しつつ、
皆さんの呼吸、クスクス笑いや、食い入るような熱い視線、反応を受け取りながら、演じています。
その楽しさに加えて、公演が終わったあとの皆さんの表情から、たくさんの元気をもらいました。
『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』という舞台を観て、
ないしは、私たちと通りすがった中で、皆さんの中に生まれた感情が、
この先、膨らんだりしぼんだり、またはずーっと後になって、ある時ふと芽を出したり……というように、
ともに過ごした時間と空間が、皆さんとこれからもつながっていく出会いになることを願っています。



私たちは、上演した学校のホームページを検索して、この『ヘレン・ケラー』の記事が掲載されているのを見つけるのをとっても嬉しく思っています。ぜひ、皆さんも、私たちに声を聞かせてください。
実際の再会はなかなか叶わないかもしれませんが、学校でも自宅でも、再会の場はあります!
このBlogに、風の掲示板に、E-mailに、出会いの一端や感想、コメントを気軽に綴ってください。
お待ちしています。

ヘレンの母ケート・ケラー役=木村奈津子

2013 『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』ツアー 第五週

2013-06-14 18:55:15 | 全国巡回公演
6月10日 大船渡市教育委員会主催市内中学合同公演(岩手県)
  11日 洋野町教育委員会主催洋野町民芸術劇場 中学生公演(岩手県)
  12日 野田村芸術鑑賞会(岩手県)
  13日 新地高校(福島県)


今週の肝っ玉班は東北・大平洋沿岸を駆け抜けてきました!


大船渡市教育委員会主催市内中学合同公演

2008年の『Touch』でお世話になった大船渡市教育委員会の主催公演、当時はまだ建設中だったリアスホールに第一中学校・大船渡中学校・末崎中学校・赤崎中学校・日頃市中学校・吉浜中学校・越喜来中学校・綾里中学校の市内8校の中学生たちが集まりました。



↑市内各地からバスで会場に到着する中学生たち。



↑カーテンコールでは客席からとても大きな拍手を頂きました。

劇団ホームページ掲示板にも観た中学生からメッセージが届きましたが、帰りのバスの中でも『肝っ玉~』の話で大盛り上がりだったそうです。


洋野町教育委員会主催洋野町民芸術劇場 中学生公演

洋野町の公演も教育委員会の主催により大野中学校・中野中学校・種市中学校・宿戸中学校の市内4校の中学生たちが観劇しました。



↑始まりは教育長さんからの挨拶から。



↑中学生たちも開演前はいつもとは違う雰囲気に緊張しているようでした。



↑終演後の表情は涙を浮かべる子もいれば、友達と笑い会う子も。

上の二枚の写真のとおり、芝居を観る前と後では子供たちの表情も全く違います。きっと彼らも大船渡の子供たちと同じように今回の公演を通じて受け取ったものをそれぞれの学校に持ち帰ってくれたのだと思います。


野田村芸術鑑賞会

今週の岩手県三地域目は三年前にもお世話になった野田村芸術文化協会の主催で野田小学校・野田中学校・久慈工業高校の皆さんが鑑賞しました。

会場となった村の体育館も二年前の震災の際には津波により浸水したそうですが、それを乗り越え復旧。体育館の周りにも復興に向けての村の方々の熱を感じる張り紙が沢山ありました。





↑こんなに沢山の小学生たちに『肝っ玉~』を観てもらったのは2006年の鹿児島・神村学園以来かもしれません。終演後出演者たちを囲んではしゃいでいます。







↑片付けの際には教育委員会や役場の皆さんも手伝って下さいました。

村の体育館からバスが出発する際沿道にいた沢山の皆さんが僕らに手を振ってくれました。
「またこの村で風の公演をしたい」、メンバー全員がその想いを強く持った瞬間でした。


新地高校

2002年の『ヘレン・ケラー』から、『星の王子さま』『Touch』と上演し、今回が四度目の上演となった新地高校。先生の中にも「この学校で風の芝居を見せてもらうのは3回目です」という先生もいらっしゃいました。



↑朝の搬入作業から沢山の生徒が手伝ってくれました。



↑舞台の幕が開いた瞬間。







↑終演後、興奮冷めやらぬ様子で片付けを手伝ってくれました。体育館のそこかしこで子供たちと劇団員との交流が生まれていました。


今週の公演地は太平洋側沿岸部にある以前にも風の舞台を取り上げてもらった教育委員会や学校でした。もちろん二年前の震災の爪痕も復興に向けての取り組みも私たちは様々な場所で目にしました。

肝っ玉おっ母を演じる辻はカーテンコールの挨拶の際、「私たちを取り巻く状況は様々に変わりました。しかし、“人が人を想う”そのことはきっと変わらないと思います。」という言葉を残していました。

風のツアーはこれからもずっと続きます。その土地土地に育つ子供たちの熱に触れ、“これから”を楽しみに感じる一週間でした。今から次の再会を待ち遠しく思います。

文:アイリフ役 佐野準


2013年『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』第3週目

2013-06-08 18:53:40 | 全国巡回公演
2013年『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の西日本地域での巡回公演は
出発してから3週間が経ちました。
梅雨の真っただ中にも関わらず、毎日晴天に恵まれたなか公演をしています。

今週は

島根県 大田高等学校
島根県 松江農林高等学校
鳥取県 米子北高等学校(鳥取文化振興財団主催)
福岡県 筑豊高等学校


での公演でした。

大田高校
目の前の出来事に食い入るように見ている姿が印象的でした。
カーテンコールでは挨拶の生徒さんから
「自然と役に感情移入してしまいました。」という言葉をもらいました。
きっと彼らひとりひとりのなかに様々な思いが生まれてきてくれたのだと思います。
それを物語るかのように体育館が震えんばかりの盛大な拍手のなか幕を閉じました。



終演後には美術部の生徒さんとの座談会がありました。
大田高校には演劇部がないのですが、美術部のなかに演劇同好会があるそうです。
演劇に向かう姿勢や戯曲についてなど様々な話で盛り上がったようです。

座談会と同時に体育館では舞台撤去のお手伝いもありました。
剣道部やバスケ部をはじめたくさんの生徒の皆さんが手伝ってくれました。





演劇同好会の生徒さんとアニー・サリバン役の渋谷愛





松江農林高校
梅雨時らしいジメッとした暑さの中、汗をかきながら一生懸命舞台を見つめてくれていました。
カーテンコールではあたたかい言葉と生徒の皆さんがつくってくれたジャムをいただきました。



終演後には演劇部の皆さんとの座談会がありました。
うまくいかなかったり、ぶつかり合ったりしながら“みんなで”一つの作品をつくっていく。
いろんな経験や時間を共有していくことの大切さなど、さまざまな話題が起こっていたようです。



舞台撤去には、体育館の部活動の生徒さんに座談会を終えたあとの演劇部の生徒さんを加え
多くの生徒の皆さん、先生方が元気にお手伝いをしてくれました。






米子北高校
鳥取文化振興財団主催で、米子コンベンションセンターにて公演をしました。
開演前に校長先生が「演劇は観劇する皆さんも一緒になってつくるものです。さわやかな風を吹かせるのか、
激しい風を吹かせるのかは皆さん次第です。一緒に楽しみましょう!」と仰っていました。
公演は、校長先生が仰っていたようにひとりひとりがいろいろな風を吹かせてくれていました。
カーテンコールでは代表の生徒さんが一言、「今日のことは僕たちのなかにしっかりと残っていくと思います。」
と、力強く伝えてくれました。
この日の公演が、彼らが生きていくうえでの何かになってくれたらと思います。




筑豊高校
昨年の秋に上演した「Touch~孤独から愛へ」の公演以来、約7カ月ぶりの再会、2年連続の風の公演となりました。
舞台で起こるひとつひとつの出来事に反応しながら、とてもリラックスして見ていました。

終演後はバックステージツアー、座談会、舞台撤去のお手伝いが行われ、それぞれが興味のあることやものに
触れながら公演で感じたことや発見したことを話していました。











今週も多くの出会いを重ねてきましたが、それに加えて再会の喜びにあふれた週でもありました。
小学生のときに風を見た生徒。
生徒のときに風を見た先生。
前任校で風を見た先生。
そして、2年連続で風を見た学校。
ひとつの出会いがきっかけとなって、また次の出会いが生まれる。
こうした出会いの積み重ねが、私たちの宝であり、喜びでもあります。

一回一回の公演のなかで、若い観客である彼らと『ヘレン・ケラー』という作品をとおして
どんな関係をつくるのか。彼らが何を見て、聞いて、感じているのか。
全力で彼らと向き合い、共に考え、そして出会っていきます。

旅はまだ始まったばかりです。
これからどんな出会いが待っているのか。胸が高鳴ります!



文:佐藤勇太(医者役)

2013 『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』ツアー 第四週

2013-06-07 18:50:54 | 公演情報
6月4日近江高校(滋賀県)
  5日早稲田大学高等学院 中学部(東京都)



 東日本地域を巡演していた旅班は、公演地滋賀県・彦根市へと向かいました。

 近江高校では、2011年に『Touch 孤独から愛へ』、2012年『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』(現在西日本地域を巡演中)を学校の体育館で上演し、今回の『肝っ玉』は会館での上演、3回目となりました。前年からお世話になっているご担当の先生は、今回の芸術鑑賞行事のために、私たちが拠点とする東京・東中野のレパートリーシアターKAZEまで足を運び、『肝っ玉』を観劇してくださいました。
 演劇に触れることで、生徒のみなさんに何か見つけてほしい、感じてほしいと願う先生の熱意のこもった言葉とともに幕が開きました。

 今春のツアーの公演では、「この芝居は何だろう!」と、私たちが生きている〈いま〉と向き合い、立ち止まりながら観ている生徒さんのまなざしを感じます。その感性のなかに、「理解する」ことを超えて観ている一人ひとりの身体があるのではないかと思います。
 カーテンコールでは「感動しました。肝っ玉おっ母の生きる姿に力強さ、たくましさを感じました」と女子生徒さんから率直な言葉をいただきました





↑カーテンコール。肝っ玉おっ母と握手をする代表の生徒さん。 

 近江高校での公演が終わり、旅班は再び東日本地域へ、急ぎ東京に戻りました。


 5日は早稲田大学高等学院中学部の公演。練馬区にある学校から離れた、早稲田大学キャンパスの隣にある大隈記念講堂 大講堂で行われました。鑑賞行事は学校でも初めての取り組み、また入学式の式典などでは使用しているそうですが、ここで演劇などを観るのは、初めてということ。「でも生徒たちはワクワクしています」とご担当の先生がおっしゃっていました。



↑昭和2年に落成、今は国の重要文化財と指定されている大隈記念講堂。



↑大講堂に設置された舞台。

 深く洞察していくようなまなざしと、芝居が進むにつれて体もほぐれていく生徒のみなさん。カーテンコール後、照明も地明かりに変わり客席も明るくなった時、ご担当の先生の計らいで、生徒のみなさんが全員立ち上がり、代表の生徒さんそしてみなさんから「ありがとうございました」とお礼の言葉をいただきました。思ってもいなかった出来事に私たちも興奮しました。そして公演後の生徒のみなさん一人ひとりの顔を見ることができて本当にうれしかったです。
 前日のトラックの駐車、当日、舞台設営のために朝早くからご協力を頂くなど先生方には、多くのご尽力を頂き本当にありがとうございました。


 2日間の公演でしたが、各公演で、先生方の熱い願いを感じました。そして小さなことでも、そこから何かを発見しようとする一人ひとりの生徒さんの姿があったと思います。その感じたことが一人ひとりの輝きとなっていくことを願っています。
 私たち自身も、生徒のみなさんから何を受けとり上演し続けていくのか、問い、次の公演地へ向かいたいと思います。

文:工藤順子

2013『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』第2週目

2013-06-04 23:19:46 | 全国巡回公演

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の西日本地域巡回公演の旅は、この春で3年目になりました。
今年もまた、西日本地域で、『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』という作品でみなさんに出会えることをとても嬉しく思います。

第2週目は

香川県 坂出第一高校
島根県 大東高校
京都府 京都聖カタリナ高校
大阪府 大阪女子高校


での公演を行いました。











週の前半は各高等学校の体育館、週の後半は各地域の会館で上演が行われました。

「演劇というものは、舞台上だけで演じられているのではなく、今ここに座っているみなさんが一緒になってつくっていくものです」
「みなさんが演劇を通じて何かを感じてくれたら、自分自身と出会ってくれたら」
と、先生方が生徒さんたちへ語りかけてくれる言葉を受けて、毎回芝居の幕が開きました。
前半の体育館では梅雨入りを感じさせる暑さの中、ものすごく集中して芝居に入り込んでくれる生徒さんたちの力強さがあり、そして後半の会館での公演は、“いま、この時間、高校時代”という生徒さんたちの直球な素直さがありました。















みなさんと触れ合うたびに感じることは「生の躍動、夢中になる」エネルギーが溢れているということです。
すべてがプラスではなく、悩みも、辛いことも含めて、私はそう感じます。
日常を通じて、声には出さなくても、表現しなくても胸に秘めている思いは計り知れないほど大きいものなのではないでしょうか。
だからこそ、「人と繋がること」をみなさんはとても大切にしているんだと感じました。
私たちに伝えてくれる言葉、一つの小さなしぐさがそのことを教えてくれました。



今、みなさんの感覚や声、姿と向き合えることに旅班は夢中になっています。
これからも未知なる出会いを求めて、旅は続いていきます。


アニー・サリバン役:渋谷愛










2013 『肝っ玉おっ母とその子供たち~あとから生まれてくる人たちに』ツアー 第三週

2013-06-03 11:42:26 | 全国巡回公演
(↑トップは那須拓陽高校の生徒の皆さんと。)

今週の肝っ玉のツアーは、

5月28日 那須拓陽高校(栃木県)
5月30日 紫波第一中学(岩手県)
5月31日 尾瀬高校(群馬県)


の公演です。

今週は、三校とも生徒の皆さんの舞台への集中力が素晴らしく、私達も舞台上で生徒の笑い声や視線にエネルギーをもらいながら舞台を創ることができました。

那須拓陽高校と紫波第一中学校では、同校の体育館での公演でした。終演後の舞台の撤去作業では、たくさんの生徒さんに手伝っていただきました。

作業中、手伝ってくれていたある男子生徒が
「今日の劇、とてもよかったです。」と感想を伝えに来てくれました。
私は、
「芝居のなかで、どこか好きな場面があるかな?」と質問しました。
彼は、
「カトリンが、ずっと太鼓を叩き続けるところが、優しいなと思いました。」と話してくれました。



↑紫波第一中学校での撤去作業の様子。


尾瀬高校では、会館の楽屋まで数人の生徒さんが、終演後まだ興奮覚めないうちに会いに来てくれて、感想を聞かせてくれました。



↑楽屋に尋ねに来てくれた尾瀬高生たち。


観客である生徒達は、彼ら個々のなかで様々なことを舞台の出来事から受け取ってくれていると思います。
例えば、カトリンが太鼓を叩き続ける場面でも、『悲しさ』だったり、カトリンの『勇気』だったり、感想を語ってくれた彼のような『優しさ』だったりするかもしれません。

様々にある彼らの感覚。上演を通して感じてくれること。―彼ら個々の中になにか生まれることが、「今、ここ」で舞台を造っている劇団のメンバーにとって願っていることの一つです。
客席で観劇している一人の観客が、舞台上で行われている出来事のなかから、役者の身体や視線を通して、思考し、肌で感じ、記憶に残ったものがあれば、それを宝物のように大事にしてほしいです。

私達「肝っ玉」のメンバーは、「今、ここ」で役者が生身の身体で創る肝っ玉の舞台を上演することで、観客一人一人が、何かを発見し、思考し、感じてくれることを願い、また確信して、旅を続けていきたいと思います。


文:栗山 友彦