風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
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『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2022春西日本・東日本ツアー 7週目

2022-06-26 16:07:08 | 全国巡回公演

6月20日[月] 岩手県久慈市 久慈東高校 久慈市文化会館

6月21日[火] 岩手県釜石市 釜石高校 同校体育館

6月23日[水] 岩手県下閉伊郡 山田高校 山田町中央公民館

今週は岩手県から公演スタートです。

久慈東高校

この学校では「星の王子さま」「肝っと玉おっ母とその子供たち」を観ていただいてます。予定を2年延期して、この公演となりました。全校行事は3年ぶりとのことです。生徒さんによる影アナウンスで開演。場内が暗くなった瞬間生徒さん達から、わあっと声が上がって、彼らの興奮と期待が伝わってきました。そのあとは緊張感をもって舞台と向き合ってくれました。カーテンコールでは図書文化委員の方からお礼の言葉と花束を頂きました。「ヘレンとアニーの出会いの場面でこれからどうなるんだろうとワクワクしました。最後の場面でヘレンが物や家族を認識していく様子に感動しました。学習していくのに何が大切か考えました。」そのヘレンとアニーの出会いの場面でアニーはヘレンに「一緒に頑張りましょう」といいます。これは作者松兼功氏が恩師から「がんばれ」ではなく「一緒に頑張りましょう」と言われた体験を重ねたと聞いています。担当の先生からも、実施できてよかったと喜んでいただけました。送って下さるという生徒さんの感想文を楽しみにお待ちしています。

釜石高校

この学校では以前、「肝っ玉おっ母とその子供たち」を観ていただいてます。そしてこの学校も2年延期して、この日の公演となりました。からりと晴れた夏至の日の体育館公演。客席の暑さを心配して、公演中も静音の扇風機を稼働させ、スタッフも換気に気を配ります。鑑賞行事の進行役は図書委員の生徒さん達。開演前に校長先生が「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」(山口周著、光文社)というビジネス書からサイエンス(科学)、クラフト(職人技)、アート(芸術)を通し、審美眼を磨くことが大切と話されました。最後の「アートの世界を探検しましょう」この言葉に生徒さんは緊張感を持ちながら、リラックスもして観劇していただきました。カーテンコールで代表の生徒さんから花束とともに「おもしろい舞台をありがとうございました。」との言葉をいただきました。終演後はたくさんの生徒さんが舞台見学をされ、たくさんの笑顔を見せてくれ、たくさんの声をかけたくれました。その様子を追いかけるのは卒業アルバム作成のカメラマン。この方から開演前に「3年間行事らしい行事がなかった。鑑賞行事の生徒さんたちを撮影します。」とご挨拶いただいていました。その後ヘレンを囲む座談会にも多くの生徒さんが集まりましたが。座談会より片付けを手伝いたいという生徒さんがいて、担当の先生方も手伝って下さり、一人また一人と手伝いをしてくれる方がふえていきます。予定よりずっと早く搬出を終え、一日限りの劇場は元の体育館に戻りました。

山田高校

この学校では「Touch」「ヘレン・ケラー」を観ていただいて、今回二度目の「ヘレン・ケラー」公演です。山田町中央公民館(701席)で、一席ずつ空けて着席でしたが、舞台上では小劇場で公演をしている感覚がありました。カーテンコールでは図書委員長さんから「ヘレンの成長、アニーの葛藤に感動したし、自分が劇の中に入り込んだような臨場感を感じました」という感想と花束を頂きました。終演直後、校長先生からは生徒にも私達(先生方)にも刺さる内容の演劇でした、とご挨拶ただきました。出演者全員でロビーでお見送りしました。生徒さん、先生方は大きく手を振ってくれたり、本当は握手したいんだよと身振りで気持ちを伝えてくれました。そのあと、残って客席を見回ってくれた図書委員の生徒さんたちと舞台上で記念写真を撮りました。

この状況下、カーテンコールで生徒さんは舞台に上がるか、上がらないかに始まり、生徒さんの握手は可能か、舞台見学は座談会は実施するか…制作担当と担当の先生方とで毎回毎回打ち合わせを重ねています。生徒のみなさんに何か公演の記憶が残ればと願っています。鑑賞行事実現に尽力くださった方々に感謝します。

ビニ―役 清水菜穂子


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2022春 西日本・東日本ツアー 6週目

2022-06-19 18:35:11 | 全国巡回公演

6月13日[月] 東京都練馬区 井草高校 ルネこだいら(大ホール)

6月7日[火] 栃木県栃木市 栃木工業高校・栃木商業高校 栃木市文化会館

6月16日[木] 東京都葛飾区 葛飾総合高校 西新井文化ホール

井草高校

この学校は、これまで「Touch~孤独から愛へ」や「肝っ玉おっ母とその子供たち」などの風の作品を鑑賞してくれています。2020年に「ヘレン・ケラー」の上演を予定していましたが、コロナの影響で止むなく延期。今回、満を持しての公演となりました。入場してくる生徒さんたちは思い思いの服装で、茶髪や金髪のオンパレード。とても自由な校風のようです。

開演前の校長先生のお話は「皆さん、それぞれに楽しんで観てください」とてもおだやかな口調。短いごあいさつの後、開演のチャイムでスタートしました。

すると、何というその集中力のスゴさ。「一言一句も聞きもらさない」そんな熱が舞台に伝わってきました。カーテンコールでの大きな拍手と、席から立ちあがって手を振ってくれるたくさんの生徒さん達。お礼の言葉を述べてくれた、生徒会長さんは「これまで、ミュージカルは好きで観てきましたが、本物の演劇を観たのは初めてです。また観たいです!ありがとうございました。」と、熱い思いを語ってくれました。終演後のバックステージにたくさんの生徒さんたちが参加してくれて、舞台のあちこちで質問ぜめ。同時に行われた座談会も、大盛り上がりの様子。

公演を実現できた喜びが、今も余韻として残っています。

 

栃木工業高校・栃木商業高校

この2校は、これまで合同鑑賞会として演劇、音楽をサイクル化して実施してきた学校です。風は2000年に「Touch~孤独から愛へ」を上演。今回が2度目となります。

ここも、このコロナ禍で様々な行事が中止又は延期となり、やっと3年ぶりに芸術鑑賞会の開催の運びとなったとのこと。その「喜び」が開演前の校長先生のお話にみて取れます。

午前の部は工業高校、そして午後は商業高校の生徒さんたちが観てくれました。

工業高校の校長先生のお話では、「今回のこの公演は県民の日のイベントの一環として実施される」とのこと。様々な文化、芸術行事が県内の各所で行われるようです。午後の部の商業高校の校長先生は、ヘレン・ケラーのたくさんの名言のひとつ「人の苦しみを和らげてあげられる限り、生きている意味はある」について語られ、それはある意味、人生の道標のようでもありました。

 

午前も午後も校長先生の熱い思いをしっかりと受け止め、「ヘレン・ケラー」の舞台を共に創りだしてくれました。ありがとうございました。

葛飾総合高校

これまで風の上演はなく、今回初めて観ていただきました。過去、大劇場での一般公演は鑑賞していたとのことですが、コロナウイルスが蔓延して以降、初めて全校生徒が集まる機会となったようです。

学校の意向もあり、客席の最前列が「8列目」でしたが、客席との距離は離れているけれど、「届けたい」という私たちの思いと「受け止めたい」という客席との心の距離は「離れていない」と感じられたのです。

私たちにとっては初めてに近い経験でしたが、これは「ひとつの経験」として、心にしっかり残しておこうと思います。今後の課題になるかもしれません。

ラストシーンが終わってライトが消えて、一瞬間がありましたが、その後の割れんばかりの拍手。そして終演後の座談会に自ら希望して参加してくれたたくさんの生徒さん達の共感の笑顔。

忘れることのできない思い出になりそうです。

 

「ヘレン」の旅はまだまだ続きます。今、この時代にあって、「演劇の為すべきことは?」の問いを自らに発しながら、新たな出会い、発見と驚きの旅にしたいと、そう思っています。

文:酒井宗親(ヘレンの父 アーサー・ケラー役)


2022『Touch~孤独から愛へ』春ツアーその4

2022-06-18 12:40:41 | 全国巡回公演

6月6日(月)【京都府】丹後緑風高校 網野学舎 同校体育館
  7日(火)【福井県】福井商業高校 フェニックス・プラザ
  8日(水)【奈良県】高田商業高校 橿原文化会館
  9日(木)【京都府】宮津天橋高校 宮津学舎 同校体育館
  10日(金)【京都府】宮津天橋高校 加悦谷学舎 同校体育館


丹後緑風高校 網野学舎

丹後緑風高校網野学舎での公演は90年の『星の王子さま』、17年『ヘレン ・ケラー』以来、今回で三回目の公演です。
2020年に公演を予定していましたが、新型コロナウイルスの影響で2年の延期を経て、待ちに待った公演です。

開演前、舞台を見学に来てくれました。
小道具一つ一つを丁寧に見て、スタッフにたくさんの質問をしてくれました。



開演時には学舎長先生からの挨拶で「今は携帯などで簡単に映画やドラマを観れます。ですが今日は映像とは違う、生の息遣いや表情を楽しんでください。」という言葉と共に開演です。

公演中は真剣な眼差しで、ジッと舞台をみつめ一緒に舞台を創る様子が印象的でした。

カーテンコールでは代表の生徒さんが「感動しました。貴重体験をさせてくれてありがとうございました。」と堂々とした姿で挨拶をしてくれました。



撤去作業のお手伝いでは60人ほどの部活動の生徒さんたちが手伝ってくれて、劇団員とも声をかけながら積極的に参加して和気あいあいとした雰囲気で撤去作業を盛り上げてくれました。

最後にはみんなで記念撮影。


演劇部の皆さんとも記念撮影をしました。


福井商業高校

90年の『星の王子さま』93年の『Touch』99年の『ヘレン・ケラー』14年の『ジャンヌ・ダルク』以来5回目の公演です。

入場時にはすげー!と声を上げながら元気いっぱいに入ってきて、1000人近くの生徒さんたちが開場の雰囲気をガラッと明るくしてくれました。

司会の生徒さんの「楽しんで観てください!」という挨拶と会場が揺れ動くような大きな拍手と共に開演です。

公演中はよく笑い、役者の一つ一つの言葉に反応し、舞台と対話するような姿で舞台を一緒に創ってくれました。

カーテンコールでは代表の生徒さんから「迫力ある演技と心動かされる演技に感動しました。普段味わえないような有意義なニ時間をありがとうございました。」と素敵なメッセージをいただきました。

公演後のバックステージでは舞台構造や照明、音響、全てに興味をもって、興奮気味に細かなところを質問して、Touchの舞台を縦横無尽に駆けまわる姿が印象的でした。




高田商業高校

高田商業高校さんは風初めての公演で2020年から延期の、待ちに待った公演です。

開場前、舞台袖に明るい声が聞こえてきて、元気な声を聞いた僕たちも開演がいまかいまかと楽しみにしていました。

公演中は舞台に立つ僕たちも圧倒されるほど集中して舞台に目を向け、何が起こっているのか一つも見逃さないぞ。というようなそんな姿で舞台と向き合ってくれました。

カーテンコールでの代表の生徒さんの挨拶では「ハロルドが二人の兄弟を成長させていく姿が心に響きました。」と想いのこもった言葉をいただきました。


公演後のバックステージでは舞台裏がどうなってるのか、テレビや水道の水、信号がどのような仕組みで動いているのかと、
公演中に気になった細かいところを一つ一つ確認していくように、熱心にたくさんの質問をしてくれました


宮津天橋高校 宮津学舎

00年の『ヘレン・ケラー』13年の『ヘレン・ケラー』以来3回目の公演です。
昨年からの延期の学校です。

開演前、生徒さんも先生方も舞台装置に興味津々で「めっちゃ楽しみ!すごいよこれ!」とこれから始まる舞台がどんな時間になるんだろうとワクワクしたようすで開演を楽しみにしていました。

公演中は前のめりに舞台を観る生徒さんや最後に涙をぬぐう生徒さん、一人一人が自分の姿で舞台に向かっていました。


カーテンコール、生徒会長さんの挨拶では「擬似家族ができて、そこに亀裂が入って、最後にハロルドが亡くなって、3人の気持ちがごちゃごちゃとなって、でもその関係にすごく感動しました。卒業すると芸術に触れる機会が少なくなると思います。そんな中、このように芸術に触れる時間があってよかったです。ありがとうございました。」と観たもの感じたことを一生懸命伝えてくれました。その姿に僕たちも感動しました。

公演後のバックステージ、撤去作業のお手伝いの時には、建築科の先生や生徒さんたちが舞台の構造に興味をもち、あらゆる角度から舞台をみて、「これはこうなってるんだ、すげー」とメモを取りながら見学していました。片付けには部活動の生徒さんたちも協力してくれて、大きな掛け声でリズム良くトラックに道具を積み込んでくれました。おかげで撤去作業もあっという間に終わりました。

最後には担当の先生が「うちにも二人、小さい子がいるので二人を思い出しながら見て、心がつまるような思いでした。」と声をかけてくれました。



宮津天橋高校 加悦谷学舎

06年の『ヘレン・ケラー』18年の『ヘレン・ケラー』以来3回目の公演です。
こちらも昨年からの延期の学校です。



前日仕込みの搬入をバスケ部と女子バスケ部の皆さんが手伝ってくれました。

開演前は前の日に搬入を手伝ってくれたバスケ部の2人が舞台を観に来てくれました。
「自分が運んだ道具がこんな形でこんな風に使われるなんて想像できなかった!」と驚きながら舞台の隅々まで見学しています。

公演中は舞台から一人一人が集中して真剣な表情で舞台と向き合い、舞台上で起こっていること一つ一つに反応していました。


カーテンコールでは代表の生徒さんから「こんなに間近で演劇を観ることがないのでこんなに近くで観れて嬉しかったです。私たちも文化祭で演劇をするので今日観たことを活かしていきたいです。観る人の印象に残るような演劇をできるように頑張ります。」と力強く熱い挨拶をいただきました。

公演後の撤去作業のお手伝いには女子バレー部の皆さんがきてくれました。
チームワーク良く、重い物もみんなで協力し合いながら手伝ってくれました。
終始笑顔で、笑いの絶えない、明るい雰囲気で撤去作業ができました。


最後はみんなで記念撮影

『Touch〜孤独から愛へ』春のツアーも半分が過ぎました。
一人一人と出会い、一瞬一瞬何かに触れたときに大きな喜びを感じます。
まだまだコロナウイルスの波は続いてますが、みなさんからもらったエネルギーを力に変えて、これからも『Touch』の旅は最後まで駆け抜けていきます。

蒲原智城


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2022春 西日本・東日本ツアー 5週目

2022-06-16 11:25:52 | 全国巡回公演

6月6日[月] 福島県いわき市 平商業高校 同校体育館

6月7日[火] 福島県相馬市 相馬総合高校 相馬市民会館

6月8日[水] 山形県鶴岡市 鶴岡南高校・鶴岡工業高校 鶴岡市文化会館(荘銀タクト鶴岡)

 

平商業高校

風の公演は初めてとなる平商業高校。実は2年前に公演を予定していましたが、感染症の影響で延期となりました。ですが、この2年の間も担当の先生方が熱い想いを持ち続けてくれて今回の出会いに結びつけてくれました。

午前中に1・2年生、午後は2・3年生が観劇。開演前は校長先生が「芸術は豊かな感性を育み、生活に潤いや彩りを与えてくれます。今日は普段の生活から離れて、忙しい時間の中で忘れがちな大切なものを感じてほしい」と生徒さんたちにお話しされました。また担当の先生は「演劇は静かに見なければいけないと思うかもしれませんが、自分たちの感じたように自由に見てください!」と声を掛けてくれました。

先生のかけ声でさらに、リラックスした生徒さんたちは、自由に、そして感じるままに楽しみながら舞台を共につくりあげてくれました。動きのある客席が時間と空間にリズムを生みだし、舞台に立つ私自身もあっという間に2時間が過ぎていきました。カーテンコールでは「あきらめないことの大切さを感じた」と生徒さんからの言葉がありました。またヘレンの友達パーシィーが大人気でした!

公演後には各回とも自然とバックステージ、役者との交流がはじまりました。明るくて気さくに話しかけてくれる生徒さんたちは指文字を真似たり、ポンプの水を出して盛り上がったり、涙を流しながら「セリフが心に刺さった」「今すぐまた見たい」など、たくさんの想いと笑顔を贈ってくれました。

演劇部との座談会も行われ「メイクはどうしていますか」「演劇の仕事をずっとしているけれどプライベートでは何をしていますか」「演劇を始めたきっかけは」「やめたいと思ったことはありますか」など、多くの質問がありました。後から先生が教えてくれたのですが、最初は何を話したらいいか分からず、座談会に少し消極的気味だった様子の演劇部のみなさん。ですが少しずつ打ち解け合っていき、最後には自分たちから役者に進んで話しかけにいっていました。今月25日には発表があるとのこと。応援しています、頑張ってください。有志で片付けを手伝いに来てくれた生徒さん、アナグノス校長先生と写真を撮りたいと走ってきてくれた生徒さん、最後の最後までありがとう。みなさんの姿に支えられました。

担当の先生は以前、 飯舘村の学校に勤めていた時に『ハムレット』を観てくれていたそうです。「また会えると思います!」とキラキラの笑顔で見送ってくれました。

 

 

 

相馬総合高校

相馬東高校と新地高校が統合してできた相馬総合高校。こちらの学校も2年間の延期を経て、実った公演です。統合前の各校では、今までも風の上演を行ってきましたが、統合後に全校生徒が集まるのは今回の芸術鑑賞会が初めてだそうです。会場にぞくぞくと集まる生徒さんたち。生徒会役員の進行で開会しました。はじめに校長先生が「コロナ禍のなかで奪われたものがあります。それは文化や芸術です。音楽を鑑賞する、映画を見る、演劇を観る機会がなくなってきてしまいました。YouTubeやテレビを見ることはできますが、今日は画面ではなく、生の息づかいや熱いハートを感じてほしい」と熱く語ってくれました。

およそ600人いる生徒さんたちの視線を全身で浴びる、そのような感覚になるほど集中している客席。1幕が終り休憩になるといろんな声が聞こえてきました。袖から客席を覗くと、ヘレンの動きを真似ている生徒さんもいました。カーテンコールでは生徒会長さんから「まだ見たいと思うほどでした。この物語を通じて色んなことを考えました」と真っ直ぐな瞳でメッセージをもらいました。

終演後はロビーで生徒さんたちをお見送り。手を振り合ったり、「面白かったです」と感想を伝えてくれたり、「最後は涙が止まりませんでした」とまたまた涙を流して話してくれたり。ひとりひとりの表情を見ることができました。お見送りの途中では演劇部のみなさんと顧問の先生とその場で座談会も行いました。18・19日に大会がある演劇部のみなさんは練習も佳境に入っています。発声の話から色々と膨らみましたが、みなさんの今の姿で、自分たちが力を出し合ったこと、考え悩み、見つけて信じたことを大切にして、舞台に立ち人の前に立つとができたらと願っています。思いきり、やりきってきてください!!

 

鶴岡南高校・鶴岡工業高校

今週最後の公演地は山形県鶴岡市。田川地区合同演劇鑑賞会のなかで行われた公演です。両校とも以前に『TOUCH』『肝っ玉おっ母とその子供たち』を上演しています。今回は午前中に鶴岡南高校、午後に鶴岡工業高校の生徒さんが荘銀タクトホールで鑑賞しました。

鶴岡南高校の担当の先生は公演前に「ヘレン・ケラーの物語を通して、みなさんの生き方や人のあり方を考えてもらいたい」と生徒さんにメッセージを送りました。先生の言葉を受けとめるように、生徒さんたちは真摯な姿で舞台と向き合ってくれました。私にとっては、生徒さんがこの2時間で少しでも、これからの何かにつながる瞬間を感じてくれたらと望み、また演劇とは人にとって社会にとって何なのだろうと、考えさせてもらえる時間になりました。カーテンコールでは生徒会長さんが「僕たちも夢や目標に向かって頑張りたい」と力強く話してくれました。また代表で副会長さんが、学校からの贈りものサクランボを贈ってくれました。公演後には、担当の先生が「親としても教師としても、子どもたちを押し込めるのではなく、その子の姿を見つめていきたいと思った」と率直な想いを伝えてくれました。

午後の公演の鶴岡工業高校では、開会前からとても元気な声が会場中に響き渡っていました。「演劇の世界へようこそ!」という担当の先生の素敵な言葉で幕が開きました。「笑いたい時は思いきり笑ってください」という先生の言葉を聞いて、もともと活気のある空間でしたが、生徒さんたちの姿がさらに活き活きしていたように感じました。力強くどっかりとした客席、というのでしょうか。彼らの「ここいいる」という意志が明確に伝わってきます。芝居中は色んな場所から話し声、笑い声が聞こえ、今ここで共に生きている時間をつくりあげてくれました。見られることで感じる肉体に起こる感覚。みんなのなかに舞台がある、そんな実感がありました。カーテンコールでは生徒会長さんが「T・H・A・N・K・Y・O・U」と指文字をヘレンに打ってくれました!この指文字には生徒さんも先生もびっくり。嬉しいサプライズでした。公演後、担当の先生は生徒さんたちの姿をとても喜ばれていました。

生徒さんたち、先生方、ありがとうございました!ツアーを続けていく中で「公演をほんとうに楽しみにしていました」とういう声、「夢」「目標」という言葉を生徒さんたちから多く聞き、そして先生方からは「教師である自分たちを振り返る時間でした」という声も聞きました。誰もが今を懸命に生き、誰もが自身のために誰かのために思考していることを、あらゆる場面で感じました。一緒に公演をつくれることを、そのことで共に笑い泣き、未来を夢見られることを心から願い、明日の出会いに期待して『ヘレン・ケラー』の旅はつづきます。

文:渋谷愛(アニーサリバン役)

 

 


『ヘレンケラー~ひびき合うものたち』2022年春 西日本・東日本ツアー 4週目

2022-06-14 07:41:04 | トピックス

『ヘレンケラー~ひびき合うものたち』2022年春 西日本・東日本ツアー 4週目

 

5月30日(月) 【新潟県】新潟大学附属新潟中学校 同校体育館

6月 1日(火) 【茨城県】つくば国際大学東風高校 同校体育館

6月  3日(水)  【群馬県】太田工場高校 太田市民会館

6月 4日 (土)   【千葉県】多古高校 多古町コミュニティプラザ文化ホール

 

新潟大学附属新潟中学校

新潟大学附属新潟中学校では、風の公演は何回も観ていただいていて、『ヘレン・ケラー』も今回で2回目になります。

学校では毎年9月に全校で取り組む演劇発表には、歴史もあり、生徒さんたちの意気も高まっているとのことでした。

『ヘレン・ケラー』の公演は、午前と午後の2回公演でした。午前は1年生と3年生の半数、午後は2年生と3年生の残り半数が観劇しました。午前の観劇は集中してしっかり見入っていました。午後は少しゆとりを感じましたがやはり真剣に見入っていました。観劇後お礼のことばとして生徒会長さんが「演劇にはいろんな可能性があるんだと思いました。」と話してくれました。彼が『ヘレン・ケラー』の舞台から感じとったこと、そして自分たちも演劇祭に向けて頑張るという思いも伝わってきました。

コロナの為、この2年間は鑑賞行事は中止、昨年は演劇部などの卒業生との交流もできず、演劇発表会は自分たちの力だけでやったそうです。

今回の公演でのバックステージツアーで舞台や道具、照明、音響との交流も含め、彼らの意気高揚につながればうれしいです。どんな演劇祭になるか、私たちも楽しみな思いにさせられました。

 

つくば国際大学東風高校

東風高校は『星の王子さま』、『ジャンヌ・ダルク』につづいて『ヘレン・ケラー』は風の3回目の公演になります。

昨年はコロナで芸術鑑賞会は中止に、今日も校長先生のお話は校内放送で行われました。それでも実施してくださった先生方には感謝しています。

午前は1年生と3年生の半数、午後が2年生と3年生の残り半数での観劇になり、2回公演でした。

2回とも共通して感じたのはゆったりとしっかりと見入っていることでした。一人ひとりでそれぞれが自由に感じ反応していました。

東風高校では生徒会というのはなく、東風クラブという、選挙ではなく自選の生徒たちが活動しています。そのクラブ会長が終演後の挨拶で「今日は東風高校のために、熱い舞台をつくっていただきありがとうございました。」と熱い言葉をいただきました。

明日が文化祭ということもあり、バックステージでの交流は予定されていませんでした。しかし、2回目の舞台への合間に生徒さんたちは舞台見学をし、なかには出演者のサインを求めてきたり、積極的な生徒さんたちでした。

舞台撤去には東風グループの2名、明日発表の準備にきた野球部3人と担当の先生、テニス部1人が最後まで手伝ってくれました。

明日の発表も希望していることが全てできるわけでもなく、それぞれも楽しみたいと盛り上がっていることを感じさせられました。明日1日が彼らの一人ひとりが楽しみ、仲間との思い出に残る一日となることを願います。

 

太田工業高校

太田工業高校でもコロナの為、鑑賞行事は2年延期になりました。

開演前の校長先生のお話が「それではみなさん楽しんで見てください。」と終わりました。客席も暗くなった時、いっきに大きな拍手が起こりました。なんだか熱い拍手でした。

生徒さんたちは集中しているだけでなく、いろいろと反応したり、まっすぐ集中したりと、楽しんで見ていることが伝わってきました。終演後、静みきった少しの間。次に大きな拍手が湧き起こりました。この少しの間に、生徒さんたちと共につくった時間の濃さを感じさせられました。

次回の鑑賞行事の時はコロナも収まり、伸び伸びと交流できることを期待します。

 

多古高校

朝、会館に到着した時、担当の先生から「町に久しぶりに演劇が来ました。」と歓迎の声をかけられました。

学校では、午前中PTA総会が行われ、同窓会の方々も見に来られるかもしれない。町の人たちにも声をかけているそうでした。私たちも検温、消毒の準備をして生徒さんたちの来場を待ちます。開演前から生徒さんたちが集中しているように感じられます。そして、真剣に見入っている生徒さんたちの空気がしっかりと伝わってきました。

終演後の生徒会長さんの挨拶では、コロナ禍でも頑張っていることに含め「私も俳優になりたい思っています。」と夢を語ってくれました。

この3年間のなかで、彼らは1人ひとりが、自分と、学校で社会で向き合って生きている。そこでは、あきらめるだけでなく、夢も希望も育てていると思う。コロナのなかで今だからこそ感じたり考えたりすることができるものもあるのだと思う。『ヘレン・ケラー』を観た時間のなかで、彼ら一人ひとりが改めて考えたり発見したりしたことがあったなら、私たちにとっても喜びであり、支えでもあります。

コロナ禍での旅はまだつづきます。コロナだけでなく、私たちは何と何に向き合っているのかと問い続けている旅でもあります。その一日一日をつくりつづけていきます。

 

文:坂牧明(医者役)


2022『Touch~孤独から愛へ』春ツアーその3

2022-06-09 22:28:20 | 全国巡回公演

今週のTouchの公演は、岡山県の学校に行ってきました。

 

5月30日 創志学園高校(岡山)

5月31日 倉敷青陵高校(岡山)

6月 1日 金光学園中学校・高校(岡山)

6月 3日 湯原中学校(岡山)

 

5月30日 創志学園高校

2020年の公演が延期になり、ようやく今年公演が実現しました。

感染症予防として座席を一席ずつ開けての観劇となりました。

開場時間より一足早く生徒会の生徒さん方が入場し、入場誘導の打ち合わせを先生としていました。

入場が始まり、生徒会の生徒さんの進行が始まりました。

担当の柚木先生から

「三年ぶりの芸術鑑賞会になりました。芸術鑑賞行事では、三つの意義があります。

  • 芸術に触れ、五感で感じ取り、日々の生活に生かしてほしい。
  • 進路の参考になる。プロとして働く人たちの姿を見て、働くこと・極めることについて考えてほしい。
  • 観劇する機会自体を作る。日々の生活では触れないものにふれ、違う価値観を知る。

以上、三つの鑑賞行事の意義を考えながら見てもらえればと思います。」

と話していただきました。

また、校長先生から、

「コロナ感染症の影響で、日々声を上げることをセーブしていると思いますが、感染症対策として一席空けて座り、マスクもしているので、笑いたいときや泣きたいときは我慢せず、声を出して笑って泣いてください。演劇では、出演者だけではなく見ている皆さんと一体となることで作り上げるものです。リラックスして舞台と一体となって楽しんで見てください。」

と言葉をいただき、今週の幕が上がりました。

カーテンコールで進行してくれていた生徒さんが

「兄弟が成長していき、変化していく姿に感動しました。」と言ってくれました。

また、生徒代表さんが

「アメリカの孤児の兄弟の話ということで知らない価値観を知り、新しい発見ができればという気持ちで見始めましたが、見ているうちにそれぞれの人間らしさを感じ感情移入していました。知らないという価値観や偏見にとらわれずに見ていくことが大切だと感じました。」

自分の発見したことを噛みしめながら、素敵な花束とともにお礼の言葉を伝えてくれました。

終演後、三年生の記念撮影がステージ上で行われ、

その後バックステージで多くの生徒さんが舞台に来てくれました。

音響を見学しに来てくれた三年生に話を聞くと、二年間なかなか文化祭らしい文化祭が出来てこなかったことを話してくれました。一緒に見学していた友達と効果音などの音作りを挑戦してみないか、とわくわくした様子で話し合っていました。

 

5月31日 倉敷青陵高校

倉敷青陵高校の公演も2020年から延期になり、今回実施することができました。

午前は一年生、午後は二・三年生と二回に分けた公演になりました。

開演前は先生から、

「無事に芸術鑑賞会をできました。コロナの影響で3年ぶりの開催です。席も一つ空け、マスクもしていますが、せっかくなのでリラックスして舞台と君たちとの心を繋いで楽しんでください。」と話していただき、リラックスした中で公演が始まりました。

午前のカーテンコールでは一年生の代表の生徒さんが

「普段味わえない有意義な時間を過ごすことができました。演劇のことはあまりしらなかったけど、迫力と感動があり演劇のすごさを知れました。人と人とのふれあいの温かさを知ることができました。」と話してくれました。

終演後、図書委員の生徒さんが座席の消毒をしてくれました。

午後の公演の前には、ステージ上で壮行会が行われ、運動部の生徒さんが校長先生と生徒会長からエールを送られていました。

「兄弟が成長していく姿、ハロルドが勇気付けるシーン、どのシーンも心に強く残りました。また機会があれば風さんの演劇を見たいです。」

と午後のカーテンコールで代表の生徒さんが話してくれました。

終演後、二・三年生の演劇部の生徒さんがバックステージを行いました。

バックステージ中でも涙ぐんでいる生徒さん

トリートの姿に感情移入し、なかなかセットにも上がれないようでした。

トリート役の佐野と話し、また涙が溢れていました。

その後、風の掲示板にも熱いメッセージを送ってくれました。

 

6月1日 金光学園中学校・高校

金光学園の公演も2020年から延期になり、今回実施することができました。

前日に体育館に入り、公演の準備をしました。

高校では、コロナ感染症の影響で全校集会は二年半ぶりだったそうです。

午前は高校生が、午後は中学生が観劇しました。

担当の平田先生の

「3年越しに実現した演劇鑑賞会です。公演を完成させる最後のピースは観客の私たちです。キャストや小道具や大道具、照明に音響すべてを目で耳で心で感じて楽しんでください。」という言葉で開演しました。

 

終演後、平田先生から、

「舞台から受け取ったものそれぞれあったと思います。皆さんの中でもしかしたら、物語は続いているかもしれませんね。それぞれ今回の演劇で感じたことを、大切にしてください。」

と、話していただきました。

退場の際、照明卓をのぞいてくれた生徒さんがいたので、急遽バックステージが行われました。いま見たばかりの演劇のセットを興味深そうに隅々まで見学していました。

その後、撤去作業では、中学校も高校も多くの生徒さんがお手伝いに来てくれました。

家具を生徒さんと劇団員で一緒に運びました。

高校・中学校それぞれへの色紙を受け取ってもらい記念撮影です。

撤収作業終了後、生徒さんが下校送迎バスを待ちながら、風のバスを見送ってくれました。

 

6月3日 湯原中学校

真庭市スポーツ・文化振興課の主催による公演です。

2019年に『ヘレン・ケラー~ひびきあうものたち』を上演し、2020年から延期になり、今回ようやく実施できました。

隣の湯原小学校の児童さんとともに観劇しました。

開演前に校長先生から

「コロナ感染症の影響でこの二年間演劇鑑賞会を行うことができませんでした。

今日は風さんが来て、この会を開くことができました。演劇を見る機会はなかなかないと思います。体育館に入ってみてどうでした?セットや小道具を見るだけでも驚いたと思います。これを見るだけでも価値があると思います。

発表など人前で話すとき、自信がないと大きい声で話せなかったりします。今日劇団の人の演技を見て、その声の出し方、表情を見て、日々の生活の参考にしてくれればなと思います。

せっかくなのでリラックスしてめいっぱい楽しんでください。」

と挨拶をいただき開演しました。

70人ほどの児童・生徒さんでの観劇ということで贅沢な空間での観劇になりました。

生徒代表さんが

「本日はお忙しい中、演劇をしていただきありがとうございました。声に迫力があり、感情が乗っていてとても感動しました。ありがとうございました。」とお礼のことばを伝えてくれました。

終演後、希望者ということでしたが半数以上の生徒さんが撤収作業のお手伝いに体育館に集まってくれました。

 

 

 コロナウイルス感染症の影響で去年一昨年と公演が延期になり、ようやく実現できた公演ばかりでした。先生方から「ようやく実施できた」と芸術鑑賞への熱い思いを聞き、生徒さんからは、ようやくできるようになった文化祭への意気込みをたくさん聞けました。改めて、先生方・生徒の皆さんに出会えることの喜びを実感しました。ありがとうございました。

 

文:上田舞子(音響スタッフ)

※文化庁主催の公演など、一部掲載していない公演もあります。