風のBLOG

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『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』九州巡回公演第13週目 最終週

2015-12-22 22:29:59 | 全国巡回公演

1年も終わりに向かい、新しい年を迎えようと心身共に忙しなくなる12月半ば。九州巡回公演は50ステージを終え、第13週目、1年の締めくくりとも言える最終週を迎えました。

 

12月14日 鹿児島城西高校 (鹿児島県)  同校体育館
     17日 種子島中央高校 (鹿児島県)  同校体育館
       18日 種子島高校   (鹿児島県)  同校体育館


鹿児島城西高校

 自身の母校での公演でした。

 前日、日曜日だったのですが、2階体育館の搬入作業には担当の先生の呼びかけで、寮生の生徒さんの何人が集まってくれ、11tトラックから次から次へとでてくる舞台の大道具に興味津々の様子で、場を盛り上げてくれながらも、積極的に力を貸してくれました。

当日は午前と午後の2ステージ。
一回目の入場時、生徒さんたちは、ほんのり緊張感を持ちながらも、舞台装置が組まれ、いつもとは違う体育館に驚く声、歓声が少し控えめに聞こえてきました。
舞台に目を向け、身体を向け、沈黙を保ちながら真剣に舞台に向き合っているように感じました。
時折聞こえてくる控えめな笑い声は入場時の雰囲気を感じさせ、共に居て、声にしなくても表面に滲み出てくる彼らの温かさと共に作った舞台でした。
公演後には控え室に向かう役者に駆け寄り「かっこよかったです。」「ヘレン・ケラーはもちろん、サリバン先生の存在や、家族のことも知ることができてよかったです。」と飾らない、真っ直ぐな言葉をくれました。

 二回目の公演は、また一回目の雰囲気とはまた違った、弾けるパワーが体育館中に充満し、その声や、表情からは、体育館に入るなり目に飛び込んでくる大きな舞台装置に、「いつもと違う場所」という認識をしたときの高まりを彼らから感じられました。

舞台が始まると一転、賑やかだった客席が一気に静まり、じっと舞台で起こる出来事に目を向け、こちらが圧倒される程のその凄まじい集中力を切らすことなく見ていました。
カーテンコール時の代表の生徒さんのあいさつでは「ヘレンとアニーが最後にわかり合っていく様子に感動しました。アニーがヘレンに対して諦めずに向き合っている姿を見て、自分も何事にも諦めずに挑戦していきたいと思いました。」と花束と共に言葉を贈ってくれました。



公演後の座談会にはミュージカルをやりたい、ミュージシャンになりたい、舞台女優になりたいと形は違うけれど、大きく言えば同じ舞台に立つ者として自身の未来を持った生徒さんたちの声を、不安も含めた自身の問いを投げかけてきてくれました。

彼らが自身の感覚の中で見て、受け取ってくれたものが彼ら1人1人が思い描くものへのほんの力となってくれたら嬉しいです。





種子島中央高校


去年は天候に恵まれず、フェリーに乗ることが出来なかったため出来なかった悔しさを班のメンバー1人1人が胸に持って種子島にたどり着くことを祈るばかりであった種子島へ向かう日、種子島中央高校での公演の前日、私たちが乗るフェリーは鹿児島港を出航しました。天候は良くなく、波が高くなったら引き返すという条件付きで出航したのですが、無事種子島にたどり着くことができました。

当日の朝、学校に到着すると先生と数名の生徒さんが迎えてくれ、舞台道具の搬入作業に、冬の訪れを感じる冷たい北風の寒さを吹き飛ばす程、元気いっぱいに一生懸命、私たちに手を貸してくれました。
冷え込む体育館での公演でしたが、彼らの呼吸が聞こえるくらい、沈黙を保ち、真剣に舞台に向き合ってくれていました。


公演後には有志の生徒さん含め、多くの生徒さんが撤去作業に集まってくれました。
積極的に劇団員に声をかけ、道具に興味を持ちながら、私たち劇団員と一緒になって手伝ってくれました。
会話の中に、舞台にあった台詞を入れてみたり、盛り上げて作業を共に進めてくれる姿には改めて、作業を含めたこの日の公演が種子島中央高校のみなさんとしか作ることのできない1つの舞台であったし、共に居た時間であったことを感じさせました。

また「自分たちは卒業したら東京に就職なので、自分たちが今度は見に行きます。」と何人かの生徒さんが声をかけてくれました。
この日出会うことのできた種子島中央高校の何人かと再会できる日は近いのかもしれません。
またどこかでみなさんとお会いできる日がくること、私たちも願っています。



種子島高校


さわやかな晴れ空だったのですが、空気は前の日よりも冷たく、体育館に座ってみるとなると床の冷たさが全身に染み渡る寒さの中での公演となりました。
入場時、体育館に組まれた舞台に「大きい!」「どうやったの!?」「初めて見た!」という生徒さんたちの言葉が体育館中に寒さを忘れさせてくれる勢いではっきりと響きわたっていました。



カーテンコール時の生徒さんのあいさつの「私たちは離島に住んでいるので、こんな大掛かりな舞台を観る演劇がありませんでした。今回こうして風さんが来てくださって、私たちにとっても演劇を知るいい経験となりました。これをきっかけとして、また、演劇をみてみたいと思いました。演じて下さった役者の皆さん、こんな素晴らしい舞台を作って下さったスタッフの皆さんに感謝します。」という言葉には様々な思いを感が感じられ、改めて、彼らと出会うことができて、この公演を共に迎えることができてよかったと感じました。

 

全53ステージの一回一回の公演でヘレン班メンバーの1人1人が今というときの瞬間を生きる、若い彼らの目に晒されることで、出会えたもの、見えたもの、その瞬間にあるものを強く感じた巡回公演であったのではないかと思います。

来年もまた豊かな出会い多き年となることを願って、私たちは新たな年の旅路に備えます。


アニー・サリバン役 高階ひかり


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』九州巡回公演第12週目

2015-12-13 20:46:31 | 全国巡回公演


頬をさす澄んだ冷たい空気から、冬の訪れを感じる季節となりました。
『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』、今回で第12週目となった公演は、トップの写真のように、どの学校でも、朝の早い時間から、お手伝いにたくさんの生徒さんが集まって下さり、その元気な姿や真剣な姿に支えられた公演となりました。
本当にありがとうございました。
写真は鹿屋工業高校の生徒さんです。

第12週目

12月7日 杵築高校(大分) 同校体育館
  8日 佐伯鶴岡高校・佐伯豊南高校(大分) 同校体育館
  9日 佐世保工業高等専門学校(長崎) 同校体育館
10日 鹿屋工業高校(鹿児島) 同校体育館
11日 真颯館高校(福岡) ウェルとばた



杵築高校

『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』第12週目最初の公演は、大分県の杵築高校です。
今回、風の公演は始めてということでしたが、朝の早い時間から、お手伝いのために、たくさんの男の子たちが集まってくれていました!



普段見慣れた体育館が劇場となっている様子に歓声を上げながら入場する生徒の皆さん。
開演前の、早く始まらないかな、という客席からの温かい熱が、舞台の袖にいる私達にもひしひしと伝わってきました。
本番が始まると、一気に舞台へ真っ直ぐに向き合う客席。その視線や呼吸が、体育館という劇場をとても濃密な空気で包んでいくようでした。



1幕が終わり、途中休憩のアナウンスが流れると、重く静かな空気から一変し、今自分が見たこと、感じたことやこれからどうなるのか、と思い思いに友達と話をしている生き生きとした声が聞こえてきました。



終演後には、2年生の男子生徒さんが集まってくれました。
その中には、朝のお手伝いにも来て下っさた生徒さんもおり、「今から片付けるのか、不思議な感覚だな」と言葉にする生徒さんの姿はとても印象的でした。





慣れない作業、始めて触れる一つ一つのものに真剣に、でも、時には友達と笑いあったり協力したりと、本番とはまた違った彼らの表情。
私達も彼らに支えられ、皆で公演を創ることが出来ました。



佐伯鶴岡高校・佐伯豊南高校

今週2回目の公演は、佐伯鶴岡高校、佐伯豊南高校です。
この2校は来年度には統合し、佐伯豊南高校となるそうです。
佐伯鶴岡高校とは、今回で10回目となる風の公演。
佐伯鶴岡高校にとっては、最後の公演となり、先生方、生徒さん方にとっても、様々な想いの中での公演となったようです。



学校に到着すると、たくさんの男子生徒、女子生徒の皆さんがお手伝いのために集まってくれていました。



とても明るい声を上げながら入場する生徒の皆さん。
本番が始まると、“何が起きているのだろうか”と、とても静かに舞台を見つめていましたが、物語が進むにつれて、彼ら自身もリラックスし、舞台上で起こる出来事の瞬間瞬間に思い思いの反応を起こしていました。





終演後には、明るい表情でたくさんの生徒さんが撤去のお手伝いに、そして、座談会には3人の生徒さんが集まってくれていました。
自身も中学時代に演劇を経験したことがあると話す女の子達。
“一つのことをやり切った”こと、そして、これから自分がやり切っていきたい事や想いを、悩みながらも波紋のように語り合う彼らの姿。



この1日の公演が、彼らの中での大きな刺激となってくれたようです。



佐世保工業高校

今週3回目の公演は、佐世保工業高等専門学校です。
佐世保工業高等専門学校では、2010年の『ハムレット』の公演以来、風2回目の公演です。
学生会の皆さんが朝の搬入のお手伝いに集まってくれました。





さすが、工業の学生の皆さん!
チームプレイも抜群にとても手際よくお手伝いをしてくれました。

900人という生徒数のため、体育館いっぱいに詰まった客席。
劇場となった体育館での本番は、客席から、静かに凛とした空気が流れていました。



終演後は、学生会長さんからの「アニーの情熱や努力、何事にも諦めないこと、そして、ヘレンの負けず嫌いなところが上手く噛み合っていくところが良かったです。」と挨拶の言葉を頂きました。
また、座談会にも早くから集まってくれ、公演を通して感じたことを、笑顔で語ってくれたりと、とても盛り上がったようでした。





今回の公演が、舞台や自身のことだけでなく、皆で何かをする中で、仲間達の意外な側面の発見や出会いの場ともなったようです。



部活に来た女子バスケ部の皆さんです。

なんと、終演後、ハムレットでお世話になった当時の芸術鑑賞行事の担当の先生から、学校の近くの美味しい佐世保バーガーの差し入れを頂きました。
皆さんの想いのこもった佐世保バーガーは絶品でした!
本当にありがとうございました。



鹿屋工業高校

今週3回目の公演は、2007年の『ハムレット』以来4回目の鹿屋工業高校です。
朝の搬入のお手伝いには、とても元気な野球部の皆さんが集まってくれていました。
元気な掛け声で積極的に動く野球部の皆さん。



生徒数のほとんどが男の子で、女の子は10人ちょっとしかいないそうです。
本番が始まると、時には静かに、そして、時には舞台に語りかけてみたりと、自身の感性を揺らしながら舞台に向き合っているいる姿が印象的でした。

公演が終わると、実は昨年、国分中央高校で『ヘレン・ケラー』を観ました、と、先生が声を掛けて下さいました。
“場所や観客が変わるだけで、こんなに違うのですね。生徒の雰囲気も作品も前回とは違い、たくさんの発見がありました。”と、笑顔で語ってくれました。



ポンプの構造に皆興味津々。









終演後には、たくさんの生徒さんが集まってくれ、あっという間に劇場から、皆さんの体育館に戻りました。
座談会では、自分の中で起きた様々なインスピレーションを次々と語り、公演とそして、自身を通してたくさんの発見があったようです。



真颯館高校

今週最後の公演は、芸術鑑賞行事を初めて行ったという真颯館高校です。
巡回公演最後の会館での公演。
 
 
舞台上に出来上がったセットに、これから始まることへ、様々な想像力を働かせているようでした。
 
 
開演前、“今回の劇のテーマは愛。LOVEです。愛は目には見えません。ですが、相手から愛を注がれると、優しさや温かさを感じることが出来ます。”と校長先生による、公演への思いを、愛を込めて生徒に語っていました。
先生方の想いのバトンを生徒も、そして、私たちも受け取り、客席からの盛大な拍手の中、本番が始まりました。
本番中は、友人達と共に、舞台と共に、自身の感性を巡らせながら、とても自由に作品と出会ってくれているようでした。
 
 
 
終演後のバックステージツアー、座談会には、舞台を観たり、話したいと、希望者の生徒さんが数名来てくれました。
舞台一つ一つの装置や工夫に“すごい”と声を漏らす生徒さんの姿。
自分の手で触れ、全身で舞台空間を感じてくれているようでした。
座談会では、しっかりとした瞳で役者の話を聴き、見つめる姿がありました。
 
 
 
『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』、九州巡回公演も残り1週間となりました。
これまでの濃密な出会い、そして、共に公演を創り上げてきた皆さんの想いや発見を、私たち自身も胸に想い、頑張っていきます。
 
文:ヘレン・ケラー役 倉八ほなみ

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』九州巡回公演第11週目

2015-12-06 16:02:12 | 全国巡回公演

ヘレン・ケラーの旅は11週目を終えて、残り2週間となりました。

一旦、東京に戻った旅のメンバーは、12月25日~27日に行われるレパートリーシアターKAZEでの凱旋公演の準備をしました。ぜひ、皆さんのご来場お待ちしています!!

第11週目

12月3日 鹿児島県 出水中央高校 出水市文化会館

   5日 福岡県 九州産業大付属九州高校 同校講堂

 

出水中央高校

出水中央高校は、91年『星の王子さま』、94年『Touch』、2000年『星の王子さま』、03年『ヘレン・ケラー』、09年『肝っ玉おっ母とその子供たち』の上演を経て、6度目の上演です。

開演前の担当の先生、校長先生のご挨拶では、「時は、1880年、」と生徒さんたちに向けてヘレン・ケラーとその家庭教師アニー・サリバンの二人の出会いから生涯の話があり、「出水中央高校の皆さんでヘレン・ケラーを迎えましょう!!」と熱いメッセージが送られました。

本番が始まると、皆さん1つ1つの出来事をとてもリラックスして見てくれています。笑いや沈黙、彼ら彼女らの視線は素直で、きっと私たちの想像以上に出来事を大きく感じてくれていたんじゃないかなと思います。

公演後、校長先生との記念撮影

公演後には希望する生徒さんたちとの座談会が開かれ、たくさんの生徒さんが参加しました。

 

 

九州産業大付属九州高校

九州産業大付属九州高校では、95年の『星の王子さま』、そして昨年2014年の『ヘレン・ケラー』の公演を経て、3度目の上演となりました。昨年、今年と1年生のみの観劇です。この上演が、今後の高校生活のはずみになってくれたら嬉しいです。

満席の客席から講堂に少しずつ広がっていく空気を感じながら、時間が過ぎていきます。皆さん、始まると真っ直ぐな視線を舞台に向けてくれ、舞台に立っていて観客からの想いを感じる公演でした。その中には、ただ楽しむということだけでなく、何かをつかみたい、という感じを受けました。

終わりのカーテンコールではきっといつもの講堂とは全然違う雰囲気になっていたと思います。一生懸命お礼の言葉をかけてくれた生徒さんありがとうございました!!

公演後には、舞台見学が行われ、舞台の構造や1つ1つの小道具を手に取り、その工夫に驚きの声が上がりました。

照明、音響スタッフによる説明の様子、実際に触れて舞台を再現したりしています。

ヘレン・ケラーの旅も夏の終わりから始まり、あと2週となりました。凱旋公演まで、1回1回大切に駆け抜けて行きたいと思います。

ジェイムス・ケラー役 中村滋