風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
公演情報や稽古場速報、全国巡回公演の情報など
日々の出来事を速報!!

肝っ玉おっ母とその子供たち―あとから生まれてくる人たちに

2012-02-24 19:36:51 | 公演情報
レパートリーシアターKAZE2012年幕開け公演 江原早哉香演出による「戦場のような女 あるいはボスニア紛争の戦場のような女の性について」の公演は、静かに、そして緊張感を感じる客席から多くの反応を受けて人間、歴史、社会、生と死、絶望と希望、、、など、私たちが昔も今も、きっとこれからも抱える問題や疑問について語り合える空間を持つことが出来ました。これからも思考し続けるひとつのレパートリーとして、皆さんと育てていきたいと考えています。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

さて、3月に控える第2弾公演のご案内です。

「肝っ玉おっ母とその子供―あとから生まれてくる人たちに」
3月10日[土]~3月11日[日]  開演:2時~
作:ベルトルト・ブレヒト Bertolt Brecht 翻訳:岩淵達治
脚本・演出:浅野佳成 作曲・音楽制作:八幡茂 演出助手:江原早哉香/南雲史成
舞台美術・衣裳:アンジェイ・ピョントコフスキ Andrzej Piątokwski


1999年のレパートリーシアターKAZEのオープニング企画として初演してから上演、稽古を繰り返し、2006年からは全国巡回公演作品となった「肝っ玉おっ母とその子供たち」。九州、西日本地域での高校・中学校で巡回公演を経て、昨年からは東日本地域での上演が続いています。ヨーロッパ全土を巻き込んだ30年戦争(宗教戦争)を背景に若い彼らが見るものは史実の歴史や戦争の賛否ではなく、人間の生き様です。

第二次世界大戦が勃発した1939年、ブレヒトが亡命中に執筆した問題作。戦争によって街を奪われた人たち、そしてそこにあった生活をも奪われた人たちが〈あとから生まれてくる人たち〉に歌う〈自由と受難の劇〉。
幌馬車に商品を積んで軍隊を追いながら「戦争」で生計を立てている肝っ玉おっ母(アンナ・フィアリング)は、その代償としてひとり、またひとりと子どもを失う。しかし彼女は軍隊を追って、ひとり幌馬車を曳く……。

人間同士が引き起こした戦争は政治、社会、国を揺るがしていく。
その中で生き抜いていく人間の力強さや弱さ・・・
遠い過去のことではなく、私たち舞台と観客が今、互いに真の目でそこに隠されている多くのことを発見していきたいと願います。

またこの公演は、風が行っている「春の劇場体験週間」として、中野区の中学生がレパートリーシアターKAZEで3月7日・9日に鑑劇します。

チケットのお申し込みは、東京演劇集団風ホームページ、またお電話、FAXでも受け付けています
皆さまのご来場、お待ちしております!!


平成23年度文化庁“次代を担う子どもの文化芸術体験事業”『星の王子さま』の追加公演が行われました!

2012-02-22 11:04:25 | “文化芸術による子供育成推進事業”
2月13日~17日、平成23年度文化庁“次代を担う子どもの文化芸術体験事業”『星の王子さま』の追加公演が行われました。
昨年の11月~12月にかけて行われた本公演と同様、中国地域の小学校・中学校での5ステージの公演でした。

 2月13日 島根県 雲南市立掛谷小学校
 2月14日 島根県 奥出雲町立八川小学校
 2月15日 広島県 三原市立沼田西小学校
 2月16日 広島県 呉市立明立小学校・原小学校
 2月17日 山口県 周防大島町立久賀中学校・久賀小学校

雲南市立掛谷小学校


↑6年生による旅立ちの歌「僕の旅は続く」リハーサルの様子



2月11日、『星の王子さま』のメンバーは東京を出発し、12時間をかけて島根県の雲南市へ。いよいよ追加公演のスタートです。
翌日は掛谷小学校の体育館で、朝から公演の準備に取り掛かりました。その日の雪はちょうど少なくなったところ、とお聞きしましたが雲南市も毎年雪が積もる地域。寒い中、先生方が到着を待っていてくれました。


↑特別クラスの子どもたちの舞台見学で、音響の仕事を体験する子どもたち。呑み助を演じてくれた先生を一生懸命応援してくれました!


↑舞台裏を体験する子どもたち

1月のワークショップからみなさん一生懸命練習してくれていました。全校で歌ってくれた歌もとても素晴らしかったです。公演には近くの分校の高校生も観劇に来てくれました。終了後はみなさんとお話しすることはできませんでしたが、どんなことを感じてくれたでしょうか。公演後先生方が「子どもたちの普段とは違う様子を見られるよい機会でした」と言っていただきました。公演を通して感じてくれたことが、これからのみなさんの成長に何か生かしていただけるものがあれば嬉しいです。


↑出演者と交流する子どもたち、出演者にサインをもらいに来てくれました。


奥出雲町立八川小学校


↑6年生が書いてくれた黒板。「星の王子さま」の絵もたくさん書いてくれました。

掛谷小学校での公演を終えて、旅班は夜7時ころから八川小学校での準備にとりかかりました。準備を進める私たちに、先生方が豚汁をつくって待っていてくれました。みなさんの細やかなご配慮、本当に嬉しかったです。


↑地理学者役で出演してくれた校長先生のリハーサル

校長先生は公演前日から、学校の様子を八川小学校のBLOGで伝えてくれていました。とても嬉しい記事でした!
八川小学校のブログ


↑公演終了後には、5年生のみなさんが撤去を手伝ってくれました。


↑先生方もたくさん撤去を手伝ってくれました。みんなでつくった公演、みんなの舞台であることを感じることができました。撤去を手伝っていただいたみなさんありがとうございました。


↑公演終了後には、6年生の皆さんと俳優との座談会も行われました。公演後みなさんの感想やお話を聞くことができて、私たちもとっても楽しかったです。

みんなで一緒につくった舞台だからこそ、愛着が感じられる公演でした。児童のみなさんは出演者としての自覚をしっかり持って参加してくれましたね。観劇中舞台を支えてくれる視線や姿にびっくりしました。1月から1カ月しかたっていないのに、とても親しい人同士のように感じられたことが本当に嬉しかったです。みなさんありがとうございました。


三原市立沼田西小学校



沼田西小学校での公演は、午前中の公演で、午前中怒涛のように本番を迎えましたが、先生のご配慮で出演者と一緒に給食を食べる機会を設けていただきました。公演後の感想を聞きながら一緒に過ごせたこと、楽しい時間でした。


↑子どもたちと一緒に給食。キツネ役の工藤と。

公演後には沢山の児童さんが、控室や体育館に会いに来てくれましたね。少し照れくさそうに声をかけてくれたみなさんの様子や、一人一人のみなさんの顔が今も心に残っています。公演後校長先生とも色々なことをお話しできました。この事業が子どもたちにとってとても大事な事業だと話してくれました。みなさんの期待や想いに、少しでも応えることができたでしょうか。お忙しいなか準備してくださった先生方ありがとうございました。


↑撤去をしている体育館に5年生のみなさんが来てくれました。公演後すぐ書いてくれた感想を持ってきてくれたとのこと。5年生には「うぬぼれ男」が大人気でしたね!かきたての感想、とっても嬉しかったです。


↑感想を持ってきてくれた5年生のみなさんと


呉市立明立小学校・原小学校


↑地理学者を演じてくれた校長先生。校長先生の元気な姿が、学校全体を明るい雰囲気に包んでいました。

明立小学校での公演は、近隣の原小学校の6年生も一緒に参加してくれました。短い時間でしたが先生に調整していただき合同でのリハーサル、参加をすることができました。中学校では一緒に学ぶことになるとのこと、両校ともとてもかっこいい立ち姿でした。


↑午前中に行われた舞台見学の様子


↑どこから音が聞こえるでしょう?午前中は先生方が舞台に触れる時間をたっぷりとってくれましたね。


↑照明の操作を体験する子どもたち


↑光の形をどうやって変えるのか。みんな興味深々でしたね。

1年生から両校の6年生まで、それぞれの見方、参加の仕方で舞台を支えてくれました。先生方もそんなみなさんの鑑賞の様子が嬉しかったとおっしゃっていました。ワークショップで初めて出会ったときから、大きな声で声をかけてくれました。元気な皆さんと出会って、私たちもたくさんの元気をもらうことができました。先生方、児童さん達本当にありがとうございました。


周防大島町立久賀中学校・久賀小学校

平成23年度文化庁“次代を担う子どもの文化芸術体験事業”追加公演の最後の公演となったのは、周防大島町立久賀中学校体育館で行われた、中学校・小学校の合同公演でした。
先生にお願いし、午前中には舞台見学の時間、そして中学校3年生、小学校6年生合同での「僕の旅は続く」リハーサルの時間をとっていただきました。


↑公演に向けて図書委員会のみなさんがつくってくれた「星の王子さま」の紹介掲示板。公演に向けて少しでも作品に興味を持ってくれるよういろいろ工夫してくれていました。


↑卒業を間近にひかえた中学校3年生、小学6年生が一緒に参加してくれた「僕の旅は続く」


↑午前中に行われた舞台見学。中学一年生のみなさんはワークショップの時インフルエンザでお休みでした。当日は元気な皆さんの姿に出会えて本当に嬉しかったです。みなさん色んな事に興味を持って見学してくれましたね。


↑撤去を手伝ってくれた生徒さんたち。3年生が率先して自主的に手伝ってくれた撤去。みなさんの気持ちが嬉しかったです。そして「大切なものは目には見えない」みなさんの優しさや、暖かさに触れることができました。


『星の王子さま』追加公演を終えて、みなさんとの出会いを通して、私たちは改めて人と人とが出会うことの可能性と、人と人とが協力してつくるものの力強さを感じることができました。真剣に人と対峙すること―忘れてはいけないことですね。いつかまた公演のことを振り返ることがあったら、一緒に過ごした友だち、先生、みなさんがいま持っている大事な感性とともに全員が一緒に過ごした時を思い返してくれたらと願います。心温まる時間をありがとうございました!どうぞみなさんお元気で過ごして下さい。


↑撤去を手伝ってくれたみなさんと、「星の王子さま」ツアーメンバー



















もうひとつの 「星の王子さま」

2012-02-04 06:52:30 | トピックス
滋賀県次世代育成ユースシアター事業 ミュージカル「星の王子さま」が今日から本番を迎えます。

この事業は、子どもたちの成長を何よりも主軸におき、≪コミュニケーション・ワークショップ≫を重ねながら作品をつくり、若さと活気あふれる“人”の育成を目指す事業として、滋賀県・(財)滋賀県文化振興事業団が企画した、東京演劇集団風との提携公演です。
また、この舞台は「復興への希望と祈りの行動メッセージ事業」と位置づけられました。

西垣耕造が演出を務め、8月から月、数回の≪コミュニケーション・ワークショップ≫を重ね、小学4年生から高校3年生までの22人のメンバーはチーム作りをしてきました。12月下旬からはワークショップで感じたこと、経験してきたことを振り返りながら、本読み、立ち稽古、振付や歌練習を行い、今日と明日がいよいよ本番です。

2月1日には風のスタッフチームも滋賀県に入り、舞台の仕込みが行われ、舞台稽古を繰り返し行いました。
“誰かのために演じることの価値”を考え続けた日々、22人のそれぞれのメンバーが「目に見えない大切なもの」を体の中に持ちながら舞台に立ちます。



復興への希望と祈りの行動メッセージ事業
滋賀県次世代育成ユースシアター事業

ミュージカル 星の王子さま
訳:内藤濯  構成・演出:西垣耕造
公演日:2月4日[土]・2月5日[日]  開演:15時~ 
会場:しが県民芸術創造館ホール



お問い合わせは しが県民芸術創造館



躍動する出会いの中で

2012-02-03 16:31:52 | トピックス



 2月3日、杉並区神明中学校1年生6人が職場訪問でレパートリーシアターKAZEを訪れました。
 レパートリーシアターKAZEではこの3、4年、職業訪問、職業体験学習で若い方たちがこの劇場を訪れています。
 「演劇って、劇場ってどんな場なんだろう?」
 彼らの中にはたくさんの好奇心と、人と触れ合う喜びと、未知なるものが溢れていたようです。

 この日は『戦場のような女 あるいはボスニア紛争の戦場のような女の性について』の公演後、劇場では舞台の片付けを行っていました。
 生徒のみなさんが訪れた時の劇場は、客席と舞台が片付けられていく真最中の時。
 到着後、すぐ「皆さんにとって演劇って何ですか?」という率直な質問は、私たち自身を問い返していく瞬間でもありました。
 ものが溢れかえっていく様と、これから次のことに向かっていく様の中で、劇場の片隅にあるもの、壁、床、ものとものの間に見えてくるもの、そのなかであれは何か、あそこは何か、そこには何があるのかと発見し、積極的に取り組んでくたように思います。彼らが見たもののなかには形になっていないもの、そこからはみ出てしまったもの、そこには多分通常見ることは出来ないものばかりだったと思います。まさに劇場が顕わになった時です。
 私にとって演劇とは何か? 人と何かを繋いでゆくこと、私もその間にいて一度だけの舞台と通して、そのことを考え続けていくことでもあると思っています。
 あっという間の2時間でしたが、ここで見たもの、感じたことが彼らの創造力やこれからの自分に繋がってくれたらと思いました。