風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
公演情報や稽古場速報、全国巡回公演の情報など
日々の出来事を速報!!

『Touch~孤独から愛へ』2020年 秋 九州・大阪地域巡回公演 第5週目

2020-11-28 13:01:06 | 全国巡回公演

一度東京に帰り、約二週間ぶりに九州に戻ってきた『Touch』班は、長崎県での公演からスタートです。

今週は

11月24日(火) [長崎県]長崎玉成高校 ますみ記念館

   25日(水) [長崎県]小浜高校 同校体育館

での公演でした。

 

長崎玉成高校

長崎市を一望できる高台にある長崎玉成高校。

創立100周年を記念して建てられた「ますみ記念館」という立派な校内ホールでの公演でした。

2014年のヘレン・ケラーの公演以来三回目の風の上演です。

公演前日、ホールの近くまでトラックが入って行けないため、敷地内の駐車スペースから学校にお借りした軽トラックを使っての搬入作業の後、舞台設営を行いました。

休日にも関わらず、担当の先生と教頭先生が最後まで付き添ってくださいました。ありがとうございました。

「コロナ禍という状況ではあるけれど、三年に一回しかない貴重な芸術鑑賞の機会。今回を逃すとなにも見ずに卒業してしまう生徒が出てきてしまうので、何とか見せてあげたいと思ったんです。」と、作業を見ながら教頭先生がおっしゃっていました。そういった先生方の想いを受けとめ、本番を迎えます。

公演当日は密を避けるために、午前と午後の二回に分けて公演をしました。

午前の部では、医療福祉科と衛生看護科の生徒約200人が観劇をしました。

時折笑いが起こりながら、しっかりと舞台を見つめる視線が印象的でした。

午後の部は、普通科(共育コース)と調理科の生徒約200人の観劇でした。

開演前は賑やかだった客席は、開演すると一変、真剣な眼差しで舞台を見てくれていました。

午後の部のカーテンコールでは、代表の生徒さんからのお礼の言葉と花束贈呈がありました。

「公演の余韻が残っていてうまく話せませんが、とても素晴らしい公演をありがとうございました。」と、ことばを詰まらせながらも一生懸命に想いを伝えてくれました。

終演後は、演劇同好会の生徒の皆さんが舞台裏見学を行った後、舞台撤去のお手伝いをしてくれました。

舞台のセットや小道具を興味津々に見たり触ったりしながら、劇団員との交流を楽しんでくれていました。

演劇同好会は、去年発足したばかりだそうです。今回の公演が、彼女たちの今後の活動の力になってくれたらと思います。

 

小浜高校

2017年のジャンヌ・ダルクの公演以来、今回で五回目の風の上演です。

担当の先生は、風を何度も呼んでくださっている先生で、「風さんは、公演ももちろんだけど、お手伝いも生徒たちが本当に楽しそうなんですよね。だから今回もお願いします。」と、事前の打ち合わせでおっしゃってくれました。

そして朝、学校に向かうと、駅伝部、野球部、そして生徒会の生徒の皆さんが元気に迎えてくれ、始業のぎりぎりまで搬入のお手伝いをしてくれました。

本番は、全校約160人の生徒の皆さんが、楽しみながらも力強い眼差しで舞台を支えてくれました。

カーテンコールでは生徒会長さんが、「演劇を見るのは初めてでしたが、とても迫力があって楽しかったし、感動しました。」と、感想を話してくれました。

終演後には、「舞台に上がってみたい」と急遽舞台裏見学が行われました。

舞台撤去には、バドミントン部、バレーボール部、有志の皆さん、そして朝に続いて生徒会の生徒の皆さんがお手伝いをしてくれました。そのおかげで、劇場になった体育館はあっという間に元の体育館に戻りました。

最後は手伝ってくれた生徒の皆さんと記念撮影。

風のバス、トラックが見えなくなるまで手を振って見送ってくれました。ありがとうございました。

コロナ禍のために、修学旅行や文化祭などの学校行事が中止になったり縮小しての開催になったりと、思うように行えない状況のなかで、芸術鑑賞会を実施するということは、大変な決断だと思います。「こういう状況だからこそ、演劇を見せてあげたい、触れさせたい。」という先生方の生徒さんたちへの想いを、一回一回の公演のなかで感じます。 その想いを受け取るように、生徒のみなさんの舞台に注ぐ視線も力強く感じます。

『Touch』を通して、芸術鑑賞という行事を通して、客席にいる彼ら彼女らが何を発見するのか、何と向き合うのか。ひとつひとつの公演を噛みしめながら旅を続けていきます。

 

文:フィリップ役  佐藤勇太


『Touch~孤独から愛へ』2020年 秋 九州・大阪地域巡回公演 第4週目

2020-11-14 17:31:35 | 全国巡回公演
 
第4週目に入り、今週は大阪の高校からのスタートとなりました。
 
10月6日(金)大阪府 開明高校 於:大東市総合文化センター
10月9日(月)佐賀県 有田工業高校 於:同校体育館
 
 
開明高校
 
本来ならば今年の6月に行うはずだった開明高校の公演ですが、この11月に行うこととなりました。残念ながら高校三年生は受験勉強のこともあり、高校一年生と二年生のみの鑑賞となりましたが、先生方の「学校は授業だけじゃない、学校行事で子供たちに思い出を残したい」という熱意のもと年度内での実施となりました。
 
 
 
感染症対策も先生方や会場となったホールとも話し合い、客席数の制限もある中で生徒会の生徒たちが、しっかりと入り口での手指消毒・座席の指示も出して頂き、無事に届けることが出来ました。
 
客席は舞台が進むにつれ、生徒たちの緊張がとけ笑いが生まれ、最後は大きな拍手を送って頂きました。
 
 
お礼の言葉を述べてくださったのはなんと教頭先生でした。「20年以上前のこの学校が男子校だった当時、芸術鑑賞行事で風の『Touch 』を観たことを思い出しました。」というお話から「高校を卒業しても、生徒の皆さんは様々な人との出会いがあります。是非皆さんの人生をしっかりと歩んでください。」と熱いエールを生徒の皆さんに送って頂きました。
 
 
今回の公演で沢山のご協力を頂いた生徒会の皆さんとの一枚です。
 
この秋の九州ツアーで唯一の大阪公演は大盛況となりました。
 
 
有田工業高校
 
週をまたぎ、再度九州に戻ってきました。
佐賀県と長崎県の県境にある有田工業高校の公演。前日の搬入から担当の先生にお手伝い頂き、本当に有りがたかったです。
 
この学校では来週には文化祭・体育祭も控え、生徒の皆さんのワクワクが伝わってくるような雰囲気でした。勿論このコロナ禍で様々な対策をしながらですので、私たちの公演も午前午後と二回の上演を行いました。
 
 
 
上演中の笑い声、涙を流しながら観てくれた表情、学校の思い出をまた一つ彼らと共に創ることができました。
 
 
 
終演後は、図書委員の皆さんが片付けを手伝ってくれることになっておりましたが、そこに急遽バスケ部・バレー部の皆さんも参加してくれました。体育館の中と外に分かれ、皆で声を掛け合いながらとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。
 
 
 
11月になり九州もだんだんと寒くなってきました。定期的なPCR検査だけでなく、インフルエンザの予防接種も行い、体調には気を付けながら最後まで走り抜けようと思います。
 
トリート役 佐野準

『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』2020年秋 東・西日本ツアー 最終週

2020-11-13 16:04:09 | 全国巡回公演

9月から始まった「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」の公演もいよいよ最終週です。

 

11月9日(月)  安中総合学園高校 安中市文化センター

11月11日(水) かつやま子どもの村小・中学校 同校体育館

 

 

安中総合学園高校

 

会場に来た生徒さんたちの様子。

 

この学校は風初めての公演でした。

新型コロナウイルス感染症の感染予防対策として密を避けるために一回公演を二回公演にして行われました。

前日の舞台仕込みには演劇部の生徒さん、そして顧問の先生がお手伝いに駆けつけてくれました。

 

顧問の先生からは最後に美味しいお菓子を差し入れして頂きました。

 

「仕込みから参加したい」という希望で来てくれた演劇部の皆さんは、舞台道具の一つ一つに関心を持ちながら、劇団員と一緒になって作業に参加していました。

 

舞台仕込みの目処がたった頃、音響・照明のオペレート体験や座談会を行い、演劇部の皆さんは舞台転換のことや、一つの作品を作るのにかかる日数など、たくさんの質問をしてくれました。

 

当日、会場は生徒さんたちがやってくると、たちまち活気で溢れ、私たち劇団員も本番を迎えるのを楽しみにスタンバイしていました。

本番中の生徒さんたちはとても集中して舞台に向き合い、時折控えめな笑ごえが聞こえたり、舞台で起こる出来事に対してたくさん反応が返ってきました。

最後のカーテンコールで挨拶をしてくれた生徒さんたちは、お礼の挨拶というよりは、自分たちが受け取ったものを体に余韻を残しながら、そのまま言葉にしてくれているのがとても伝わってくる挨拶でした。

終演後、楽屋に担当の先生が来てくださり、「あんな風に生徒が話してくれるなんて思ってなかったから、本当にやれてよかったです。」と熱い言葉をかけて下さいました。

 

撤去作業には再び演劇部の生徒さんたちが駆けつけてくれ、加えて演劇部を引退した3年生の生徒さんも来てくれました。

演劇部の生徒さんたちは役者を捕まえて自分たちの想いや感想を思いのままにぶつけて来てくれ、作業にも一生懸命手を貸してくれました。

演劇部の皆さん、最後まで本当にありがとうございました。

 

 

 

かつやま子どもの村小学校・中学校

 

ヘレン・ケラー特設コーナーを作ってくれていて、子どもたちはみんな今日の公演を楽しみに、事前にヘレンの本や伝記を読んでいてみんなかなり詳しかったです!

 

この公演は文化庁の事業として行われた、バリアフリーバージョンの公演でした。

当日、学校の希望で午前中から舞台見学、音響・照明のオペレート体験があるとのことで、前日に舞台仕込みを行いました。

前日の舞台仕込みには、かつやま子どもの村の劇団バッカスの中学生の子たちがお手伝いに参加してくれました。

まずは劇団バッカスの子たちとの自己紹介から始まり、作業を開始しました。

劇団バッカスの生徒さんたちは劇団員、そして仲間とお互いに声を掛け合いながらエネルギッシュに舞台仕込みを盛り上げてくれました。

舞台を組み立てるのも一緒にやってくれ、道具の運びいれから舞台セットの組み立てまでほとんど全ての作業に参加してくれ、小学生の子どもたちも舞台仕込みの様子を覗きに来ていました。

「体育館が広く感じる!」「体育館じゃないみたい!」と声をあげ、舞台仕込み終盤には「楽しみにしてます!」と声をかけてくれました。

 

当日は小学生の舞台見学からスタートしました。

ヘレン役の白根とヘレンの衣装を着た児童さん。

 

舞台手話通訳者の小島さんから手話を教えてもらう子供達。

 

小学生の児童さんたちは「ここも行っていいの!?」「これも触りたい!」と舞台セットを遊具で遊ぶかの様に、探検するかの様に舞台見学をしていました。

午後には劇団バッカスの生徒さんたちの舞台見学と場当たり見学、質疑応答を行いました。

場当たり見学の後に行われた質疑応答では舞台手話通訳に対しての質問や、三重苦を背負ったヘレンを演じることへの質問がありました。

「いよいよ、本番」と言わんばかりに体育館に集まった児童・生徒さんたちは「ヘーレン!!」「サリバンせんせーい!!」と役者を一人一人呼んでくれ、みんなの呼びかけで役者全員が出て来たところで、バリアフリー演劇のスタートとなる舞台説明が始まりました。

役者を呼び込む子供達。

 

公演が始まると、最初少し緊張感を持って舞台に向かっていた子どもたちは徐々にほぐれていき舞台上の一つ一つの出来事に笑ごえを上げたり、リアクションしたり、と参加するように舞台に向かっていました。

 

カーテンコールでは劇団バッカスの代表の生徒さんが「いろいろ挨拶の言葉を考えてたんですけど、もうこの場の言葉で言います。本当に本当に素晴らしかったです!ありがとうございました!!」と熱い一言をくれました。

 

終演後には座談会と撤去作業のお手伝いがあり、昨日の舞台仕込みから手伝ってくれてた生徒さんたちは自分たちが吸収したことを生かして、劇団員ともそうですが同じ学校の仲間たちと声を掛け合いながら、いいチームワークで一緒に作業をしてくれました。

 

最後私たちが学校を去る時にみんなで見送りをしてくれました。

新型コロナウイルスの影響で来年に延期せざるを得ない学校もたくさんあった中で、なんとか一つでも思い出を作ってあげたいという、先生たちや保護者の皆さんの想いがしっかりと、子どもたちに繋がっていることを改めて実感する出会いの数々でした。

この熱を絶やさず、彼らと出会うために健康には一番に気をつけてこれから始まる「星の王子さま」の文化庁公演、そしてまだまだ続く「Touch〜孤独から愛へ」の九州巡回公演へ向かいたいと思います。

 

 

高階ひかり


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2020年秋 東・西日本ツアー 第6週目

2020-11-10 08:54:59 | 全国巡回公演

9月から出発した『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の公演も様々な出会いを経て、6週目を迎えました。

112() 和歌山県 近畿大学付属新宮中学校・高校 新宮市総合体育館

114() 兵庫県 明石商業高校 [明石市立市民会館 アワーズホール主催] 明石市立市民会館

近畿大学付属新宮中学校・高校

今週最初の公演は、近畿大学付属新宮中学校・高等学校での公演です。

近畿大学付属新宮中学校・高校は、2001年の「Touch~孤独から愛へ」以来、2回目の公演となりました。

公演日当日は、2回公演ということもあり、前日からの搬入・仕込みとなりました。

担当の先生も前日からお付き合い頂き、舞台が出来上がっていく様子にとても驚いていました。

そして、迎えた公演当日、午前中は高校1・2年生、午後は高校3年生と中学生との公演でした。

今回の公演は、保護者会の方々の協力もあり実現した芸術鑑賞行事ということで、開演前には、「本当は、保護者の方々も一緒に観劇をしたかったのですが、コロナの影響により、断念しなければならなくなりました。おうちに帰って、ぜひ家族の方々に今日のことを話してほしい。」と、保護者会会長さんが客席に熱いメッセージを送ってくれました。

本番が始まると、2階のギャラリー席に座る客席からも舞台に届くような、ひとりひとりが劇場となったこの空間を創っていき息づかいが聞こえるくらい、ぐっと舞台に向かう眼差しと姿に支えられた公演となりました。

また、午後の公演では、午前中に観劇した生徒さんが、裏方に興味があるということで、なんと、本番中の照明のオペを照明チーフとともにしてくれました!!一緒に創ることが出来た時間、私たちもとても嬉しくおもいます。

午前・午後とも、終演後には、生徒さんたちからの質疑応答の時間が設けられました。

質問は前もって生徒さんが考えてくれていて、‘風に入ったきっかけは何ですか?’、‘このような状況の中、稽古や練習の時間などは変わりましたか?’、‘ヘレンの義理の兄のジミーはどうしてヘレンとアニーが二人で生活するのを止めなかったんですか?’など、とても鋭い質問もありました。

終演後には、バックステージツアーとアニー・サリバン役の高階による座談会も行われました。

バックステージツアーでは、たくさんの生徒さんが帰るぎりぎりまで舞台に触れたり、劇団員と話したり、劇団員全員のサインをもらいに来てくれたりと、とても盛り上がって今いた。

座談会では、舞台の話や、様々な話で、時には真剣に、時には声を上げて笑っていたりした姿が印象的でした。

その姿を見ていた担当の先生は、「コロナの影響で制限されてしまう部分もありましたが、こういうことを生徒たちに体験して欲しかった。本当に良かった。」と、あたたかな眼差しで語ってくれました。

担当の先生も、最後の最後まで汗だくになりながらお手伝いをしてくれました。

担当の先生をはじめ、先生方、保護者の方々の想いがつながり、かたちとなった公演であったことを、本当にひしひしと感じました。心より感謝申し上げます。

明石商業高校 [明石市立市民会館 アワーズホール主催]

今週2日目は、先週に引き続き、明石市立市民会館アワーズホール主催の公演です。

明石商業高校は、先週公演を行った明石北高校と同じく、1996年の「星の王子さま」以来2度目の公演となりました。

コロナウイルス対策が徹底された会場に消毒やマスクを着用して入場する生徒さんたち。

午前は、2・3年生、午後は1年生の皆さんとの公演でした。

また、保護者の方々も今日の公演に足を運んでくれました。

開演前は、みんなで集まることが出来た行事にこころ踊るような明るい声がひびいていました。

その声に、私たちも、明石商業高校のみなさんとどんな出会いがあるのだろうかと、とてもわくわくしていました。

開演前には、担当の先生の諸注意や劇団・公演の説明、そして、校長先生より「演劇は映画とは違い、カットされ、出来上がった部分を見るのではありません。すべての場面でがここで行われ、それを自分がみることができます。そのみんなの姿が公演を創ります。おもいっきり感じてください。」と、公演を全身で楽しんで、感じてほしいという素敵なメッセージを客席に送っていました。

本番が始まると、広い客席からは、とてもリラックスした、自分の姿で舞台に向かう客席をとても感じました。

時には、ささやくような笑い声が聞こえたり、その驚きや反応が舞台にしっかりと伝ってきました。

また、午後の公演では、代表の生徒さんから「ヘレン・ケラーとアニー・サリバンの物語を舞台で観れてよかった。このような状況の中、公演に来てくださりありがとうございました。」としっかりとした素敵な言葉をいただきました。本当にありがとうございました。

今回主催された担当の方も、「私も袖から見入ってしまいました。このような時間が創れて、本当によかったです。」と語ってくれました。

明石商業高校の顔見知りの生徒さんも、「公演を観劇出来て良かった!」と笑顔で言葉をかけてくれていたそうです。

先生方や公演を支える方々の熱い想いが、生き生きとした生徒さんの姿につながっていったのだと感じる公演の週でした。

来週は、ついに『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の今年最終のツアーとなります。

千秋楽はバリアフリー公演も待っており、新たな出会いと、これまでの出会いを胸に、公演地へと向かいます!

 

文:ヘレン・ケラー役 倉八ほなみ


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2020年秋 東・西日本ツアー 第5週目

2020-11-08 20:06:37 | 全国巡回公演

「バリアフリー公演」を終えて、秋の旅も、無事半ばを過ぎました。

今週は、3日間連日朝・昼2回公演という、今回のツアー中、最もハードなスケジュールになっています。

トップの写真は坂出工業高校の明かり合わせのお手伝いに来てくれた新体操部の生徒さんです。

1027() 岡山県 玉野高校 同校体育館

1028() 香川県 坂出工業高校 同校体育館

1029() 兵庫県 明石北高校[明石市立市民会館 アワーズホール主催] 明石市立市民会館

玉野高校

この学校は、2002年に「星の王子さま」、そして3年前の2017年に「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」を上演。

今回が東京演劇集団風の3度目の公演となります。

実はこの春「Touch~孤独から愛へ」の上演を予定していましたが、コロナ禍の為、止む無く延期。しかし、この状況下でもなんとか生徒たちに観劇させたいという先生方の熱い思いが実って今回上演の運びとなりました。

公演前夜、体育館に向かうと、担当の先生とかつて演劇部の顧問をなさっていた教頭先生が笑顔で迎えて下さいました。

舞台の搬入が始まると、作業服に着替えた教頭先生が、劇団員といっしょに重い荷物運びを手伝って下さり、おまけに照明の複雑な配線作業にも手を貸して下さいました。

劇団の照明チーフの坂野は、「こんなことまでやって下さる先生を初めて見ましたよ。びっくりです。」とのこと。

先生は「好きでやってます。」とニコニコ顔でこの日の作業終了まで、おつきあい下さいました。

13年間も演劇部の顧問をなさっていたこと、それにご自身もかつて演劇の仕事にたずさわっておられたことなど、直接お話を伺うこともできました。

翌日、朝と昼の2回公演。

この日を心待ちにしてくれた生徒さんたちや先生方の、舞台への集中力は、凄かった!

舞台で起こることの一瞬一瞬を見逃すまい、聞き逃すまいという、熱いおもいが、充満する体育館でした。

終演後、演劇部、卓球部、バスケ部の生徒さん達が搬出のお手伝いに駆け付けて、テキパキと体を動かしながら、荷物をトラックへと運んでくれています。(教頭先生は昨夜に引き続き作業着姿でお手伝い)

そして、時折、体育館のあちらこちらで、出演者やスタッフに質問ぜめ。

担当の先生はホクホク顔です。

「来年も是非、KAZEの演劇が見たい!」と担当の先生に熱願する生徒さんに、「3年サイクルで来年は、音楽のとしだからねぇ...」と残念そう―。

お手伝いのおかげで、短時間の作業を終え、「また会いましょう!ありがとうございました。」と手を振り合って、バスに乗り込むとすぐに朗報が入りました。

3年後の演劇も是非、風に!」と、校長先生も教頭先生も口をそろえておっしゃったとの事。

これ以上の喜びはありません!!この感慨を胸に、バスは次の公演地香川へと向かいます。

坂出工業高校 

この学校は、風初めての公演でした。

昨夜のうちに玉野から移動。

「朗報」のおかげでハイテンションのまま、搬入も仕込みもいいテンポで進められました。

当日の朝、照明の最終チェックをしているところへ6人の男子新体操部の生徒さんが顔を見せてくれました。

「何か手伝えることありますか?」とのことだったので、ありがたくお願いすることに。

照明チーフの指示通り、舞台のあちこちに立ってライトを浴びています。

みんな初めての経験で緊張した面持ちでしたが、楽しそうでもありました。

そして、いよいよ本番。普段見慣れない演劇空間に驚き、同時にワクワク感が舞台裏の私たちにも伝わって来ます。

マスク着用の為、はっきりと表情は見えませんが生徒さんたちの熱い眼差しは、しっかりと舞台に向けられていました。

食い入るように、のめり込んで舞台を見つめる彼らの姿は、とても印象的でした。

終演後、「希望者は、舞台の撤去作業のお手伝いを」という呼びかけに応じて、あの新体操部の生徒さんたちが13(朝より増えています。)来てくれました。

そして、バレー部、バスケ部などの屈強な若者たちが次々と体育館に足を運んでくれました。撤去作業が追いつかないほどに。

その中には紅一点、舞台の裏方に興味があると、女生徒さんが作業着に着替え駆け付けてくれ、男子生徒さん顔負けにお手伝いをしてくれました。

また、作業の合間に新体操部の2人と目が合って声をかけると、「スゴイものを見せていただきました!」とニコニコ顔。

今年はコロナのせいで、大会も中止になり、元気の出ない生活だったけれど、これから元気出して頑張ります、と言ってくれました。

こちらこそ、たくさんの元気をありがとう!

明石北高校[明石市立市民会館 アワーズホール主催]

明石北高校は、来週114日観劇予定の「明石商業高校」とともに、明石市立市民会館アワーズホールが主宰の公演です。

両校とも、1996年の「星の王子さま」をご観劇いただきました。

今回が2度目となります。

このコロナ禍において、公演を実現するために、ご尽力下さいました会館の皆様及び、関係者各位に心からお礼申し上げたいと思います。

感染防止対策が徹底されている会館に生徒さんたちが入場して来ます。

着席すると、静かに開演の時を待ってくれています。

開演前の校長先生の言葉、「皆さんの感性と創造力を働かせて舞台に向き合って下さい。」サブタイトルの「ひびき合う者たち」これが重要なキーになると思います、と観劇の手引きとなるような、お話をして下さいました。

それに応えて、大きな拍手で開演。

カーテンコールの拍手は、さらに大きく劇場中にひびきました。

3密を避けるため、会館からの要望もあって、バックステージツアーもお見送りも叶わず、生徒さんたちとじかに会話を交わせなかったのは、残念ではありましたが、これも致し方ないことです。

2ステージ目も、感動のなかで幕を閉じ、「来週もよろしくお願いします」と会館の方々へお礼を述べて会館を後にしました。

3日間6ステージを無事に終えて、次の目的地へと向かいます。

 

文:アーサー・ケラー役 酒井宗親


『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2020年秋 東・西日本ツアー 第4週目

2020-11-02 00:00:00 | 全国巡回公演

 

秋もだいぶ深まり、地域によっては冬の足音が聞こえて来ているところもあるようですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

さて、私たち『ヘレン。ケラー〜ひびき合うものたち』公演班は早いもので4週目を迎えました。

今週は兵庫県と和歌山県。

10月19日[月] 兵庫県 相生産業高校 同校体育館

10月22日[木] 和歌山県 初芝橋本中学校・高校 河内長野ラブリーホール

10月25日[日] 滋賀県 (公益)びわ湖芸術文化財団地域創造部主催 碧水ホール バリアフリー演劇一般公演

両校とも前日に公演準備を行いました。

相生産業高校(2ステージ)
体育館で部活動を終えた生徒さんたちがこんにちはー!と元気に迎えてくれました。
清々しい空気感に包まれ2階体育館への搬入にエネルギーをもらいました。

こちらは3年に1回鑑賞行事を実施、風は2002年『星の王子さま』、2017年『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』に続いて3回目の上演でした。

公演当日。
午前午後の2回公演。
両公演とも担当の先生の司会から始まり校長先生のお話の後、拍手をいただき開演。

午前公演のカーテンコールでは代表の生徒さんが「皆さんの熱意がわかりました。これからの就職活動に活かしたいと思います。」と感想を述べてくれました。

終演後、4人の1年生の男子生徒さんたちが舞台見学に来てくれました。
いたる所に興味関心を持っていろいろ質問してくれました。
うち2人の生徒さんがもう1回観たい!と午後の公演も鑑賞。
そして、何と開演の音楽や雷の音や照明の操作でしっかり参加もしてくれました!


午後公演のカーテンコールでは2年生でしょうか?代表の生徒さんから「体育館に入って来た時セットの凄さにびっくりしました。愛情の大切さが伝わってきました。」とメッセージをもらいました。

2回ともこの時間をとても楽しみにしてくれていた事がひしひしと伝わってくる公演でした。

終演後は午前公演で見学に来て一度戻った生徒さん2人も合流して、10数名の生徒さんたちがこぞって撤去に力を貸してくれました。
体育館のステージ上ではアニー・サリバン役の高階と3人の女子生徒さんたちが座談会。



開演前のお話しからも伺えた、人と人との触れ合いや人間関係を大事にされている校長先生のご英断で搬出のお手伝いや座談会など生徒さんたちの思いが実現しました。

コロナ禍という状況の中での急なご判断は不安もおありだったと思います。
しかし、楽しそうな生徒さんたちの笑顔とその様子を嬉しそうに見守る先生方の柔らかな表情が素晴らしいご判断だった事を物語っていました。
校長先生もずっと体育館にいて下さったので安心して交流する事が出来ました。
本当にありがとうございました。



手伝ってくれた生徒さんたち、そして『ヘレン・ケラー』の公演中だけに限らず、私たちが相生産業高校に滞在していた間を素晴らしい時間にしてくれた全ての皆さんに感謝です!



相生産業高校を後にし〈忠臣蔵〉の主人公、四十七士や浅野内匠頭がその昔暮らしを営んでいた赤穂市で中継。
風バスのワックスがけや車内清掃など衣装や小道具のメンテナンスも。
せっかくなので私は義士たちの住居跡を当時に思いを馳せながら巡ってみました。
それぞれ暫しのリラックスタイムを過ごし、21日いざ、河内長野へ!

初芝橋本中学校・高校
初芝橋本中学校・高校こちらは風は初めての上演です。
和歌山県橋本市内の学校ですが、ラブリーホールでの実施です。
どんな出会いになるのか楽しみにしながら仕込み。


やはり座席には新型コロナ感染症対策のためのテープが貼られ、客席数の約半分が使用を控えられていました。
オーケストラピット分と最前列を全て空けた状態で生徒さんたちは着席する事になり、2階席まで広がりを持った客席に。

22日公演当日、午前公演でした。
生徒さんたちは時間差で来場。
通常より少し長い開場時間を設定し、徐々に皆さんが集まって来ました。

生徒さんたちの元気な声がだんだん増えていくに連れて、私たちのワクワクも大きくなっていきました。

担当の先生の進行で校長先生のお話と思いきや「しゃべりたい事はいっぱいありますが言いません。」
え?と思った次の瞬間「楽しみましょう!」と一言。
「この空間を楽しいものにしましょう。」
最後にもう一度「楽しみましょう!」
生徒さんたちも拍手喝采!
それを受けた担当の先生から「では、もっと大きな拍手で劇団の皆さんをお迎えしましょう!」
大拍手をいただき、開演。

生徒さんたちは始まりと同時にすーっと集中し、最後までこちらが吸い込まれそうなくらいの視線を向けてくれました。

カーテンコールでは生徒会長さんから「とても感動しました。皆さんこれからも身体に気を付けて頑張って下さい。」と応援メッセージをもらいました。


終演後は校長先生、教頭先生、担当の先生が楽屋を訪ねて下さりこの状況下で行事を実現出来た事、生徒さんたちが本当によく観てくれた喜びを分かち合いました。

撤去作業を終え、私たちは一度帰京。
翌日の朝、早々に校長先生からお心のこもったとてもご丁寧なメールをいただきました。
そこには演劇をあまり観た事がない中高生の集中力に驚かれた事。
これからの芸術を支えていく若者たちは本物に触れる事が大事だという事。
それは人生を豊かにし、生きる勇気を与えられる。
文学や芸術にはそういう力があるという事などなど、素晴らしいメッセージがたくさんたくさん書かれていました。

開演前のたくさんあるしゃべりたい事とはこの事だったのですね。
きっと何かの機会にお話しになると思いますが、ぜひ生徒さんたちにも見せてあげたいメッセージでした。

校長先生の生徒さんたちへの想いに感動しました。
本当にありがとうございました。


カーテンコールでは綺麗な花束を、お別れ際には名産品(ゆず味噌ポン)や銘菓をたくさんいただきました。
どれも本当に美味しかったです!
ごちそうさまでした!

コロナ禍という今まで経験した事のない状況の中、私たちを受け入れ、行事実現のために尽力下さった先生方、保護者の皆さまのご理解に心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

そして何よりこの『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』を身体いっぱい一緒に創ってくれた生徒さんたち本当に本当にありがとうございました。

これから冬に向かってますます厳しい状況になるかも知れません、気を張る事も多々あると思いますが、皆さまくれぐれもお身体には十分お気をつけてお過ごし下さい。

またどこかでお会い出来る日を願いつつ、日曜日のバリアフリー公演に繋げていきたいと思います。

本当にありがとうございました。

(公益)びわ湖芸術文化財団地域創造部主催 バリアフリー一般公演


25日の日曜日は滋賀県・甲賀市水口町の碧水ホールにての公演です。
主催は(文化芸術✖️共生社会プロジェクト)実行委員会のみなさんです。
今年2月に上演した滋賀県・アメニティーフォーラムでのバリアフリー演劇『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』をご覧いただき、実現することができました。その間、コロナ禍のこともありこの日を迎えるまでには実行委員会の大変なご苦労と地域のみなさんの理解がなければ延期となっていたことでしょう。
客席数は138席に制限されていましたが、予約の皆さますべて来場いただき、満席で開演することができ、子供たちからお年寄りの方々まで幅広く、本当に嬉しい気持ちです。

 


今はたくさんの制約のもとで暮らしいていく時代になっています。人との距離・会話・消毒や手袋の対策をはじめ、社会のあり方まで見直されざるを得ないでしょう。そのなかで様々な人たちが集い、発見して元気になれる劇場を私たちはこれからも大切にしていこうと思います。


私たちの『ヘレン・ケラー』と滋賀県はとてもつながりが深い場所。一か月ほど前に上演した信楽学園を創立したひとりであり、学園長・寮長でもあった池田太郎氏の言葉は、テキストの中でサリバン先生を励ましていく声として彼女の恩師アナグノス校長から語られます。以下。

(問題児を教育しようという教師は自己の真の幸福感を築くべきであります。それでは我々の幸福感はどうして築かれるのでありましょう。教師が真理を愛し、真理を学びとろうという情熱に燃えていることを挙げたいと思います。教育において幸福感をもった生徒をつくろうと思ったならば、生徒が、こころから教師を信頼しうるものとしなければなりません。生徒をしてこの苦しみを自由に語り得る、温かい関係を築くようにしてやらなければなりません。これには教師が多かれ少なかれ真理を愛し、真理を学びとって自己のものとしていく姿がなければならないと思います。そこから教師の幸福感が生まれ、清らかな微笑みが生まれてくると思います。
清らかな微笑みをもった教師はよく生徒にタッチする。
触れる ということです。)

幸せとはなにか、教育者に限らず人間の姿を見つめていく時代かもしれません。そんな場の共有が碧水ホールに芽生えた時間だったと感じています。

これからインフルエンザの流行る季節にもなってきました。
劇団員一同、健康管理をしっかりとしながら、公演を楽しみに待っていてくださる方々との出会いを大切に公演の場を継続していくつもりです。

文:ケート・ケラー役 仲村三千代/ アナグノス役 緒方一則