風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
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「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」2022夏 西日本・東日本ツアー9週目

2022-07-21 16:21:59 | 全国巡回公演

7月5日[火]青森県 向陵高校

7月8日[金]茨城県 茗溪学園中学校・高校

今週は青森県と茨城県での公演でした。
春のツアーも千秋楽まであとわずかです。

向陵高校

八戸市では向陵高校のみなさんの、あたたかいおもてなしが印象的な公演となりました。


終演後にびっくりするくらい多くの生徒さんが手伝ってくれ、交流の楽しい時間を過ごすことができ、劇団員もたくさん元気をもらったようです。別れぎわには校長先生も「シーユーアゲイン」の言葉とともに見送ってくださり、風の次回公演を楽しみにしてくださいました。暑い体育館の公演でしたが、元気いっぱいのみなさんと過ごす時間は私たちにとって大切な(場)です。再会の日を楽しみにしています。


茗溪学園中学校・高校

つくば市の茗渓学園では中学校と高校の二回公演でした。ぎっしりと満席の会館は久しぶりです。

学校行事は2年半の制約を経て、少しずつそのあり方を変化させています。コロナ禍は相変わらずまた増える傾向のようですが、先生方はこれまでの経験をもとに、お互いの健康を気遣いながらの新しい鑑賞の形を探求している事を感じました。終演後には演劇部の座談会も開かれ、9月の発表会に向けてのそれぞれの想いや相談など、サリバン先生役の高階ひかりを囲んで盛り上がっていました。

アナグノス校長役:緒方一則


「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」2022春 西日本・東日本ツアー第9週目

2022-07-21 14:54:50 | 全国巡回公演

 

7月13日【東京都】府中西高校 昭島市民会館

7月16日 【東京都】 田園調布学園・中学部 同校講堂

 

 

4月にスタートした西日本・東日本ツアーもいよいよ千秋楽が迫ってきました。

熱い日々が続き、コロナに加え、集中豪雨と様々な試練がありましたが、学校は子供たちのためにと、

公演をやる気満々です!

 

 

 

府中西高校

 

コロナ禍で感染防止のために2回公演を希望する学校も多い中ですが、900人以上生徒が1回公演で観劇をしました。

コロナ以前に戻ったかのように思うくらい私たちも久しぶりの大人数での公演となりました。

この学校はコロナで公演が延期となり、今回2年越しの公演でした。

生徒さんたちはとてもワクワクしている様子で会場に入ってきました。元気な声が舞台袖まで聞こえてきます。

公演前の担当の先生の挨拶では、生徒さんたちに対し、とても熱いメッセージが伝えられました。

「やっとこの日を迎えることができました。皆さんも心を真っ白にして、劇団の皆さんが演じる”ヘレン・ケラー”の舞台に自身を染め上げてください。そしていろんなことを感じてもらえたら、と思います。」

舞台に向かう生徒さんは真剣に、息を呑むような静けさで、圧倒されるような客席でした。

公演後にも先生からの挨拶がありましたが、

「皆さんとってもよく観てくれていましたね。劇団の皆さんと一緒に舞台をよく作ってくれたのではないかと思います。」

と生徒さんたちをたくさん褒めていました。

 

コロナの心配もあり、交流会を行うことは叶いませんでしたが、2年延期となっても、

諦めずに生徒さんたちのためにここまで繋いでくださった先生方には本当に感謝を申し上たいです。

そして、全校生徒で1つのことに向かう今回の鑑賞行事が生徒さんたち一人一人にとって、

大切な思い出の1つとなってくれたらと思います。

 

 

 

田園調布学園・中等部

 

この学校は中等部の1・2年のみの行事での公演でした。

学校の講堂が地下2階にあるため、前日から舞台の準備がありました。

過去にも何度も公演をしている学校で、「肝っ玉とその子供たち」「ヘレン・ケラー」「ジャンヌ・ダルク」の公演を行っています。

今回の「ヘレン・ケラー」の公演は2回目となる公演でした。

生徒さんたちはとても元気な様子で会場に入場してきていました。

先生方からも「子供たちは今日の公演をとても楽しみにしていた」と伝えられました。

舞台に向かう生徒さんたちは、驚いたり、大いに笑ったりして、自由に観ていました。

舞台の最後の方では、真剣な様子でじっと前のめりになって舞台に向かっていました。

公演後には「この機会にいろんなことを子供たちには経験させたい」という先生の熱い思いから、

舞台道具の撤去作業のお手伝いと4つのグループになって交代しながら、座談会も行われました。

限られた時間の中でしたが、時間いっぱい質問をしてくれ、お手伝いも一生懸命に手を貸してくれました。

子供たちは帰り際に声をかけてくれ、「サインをください!!」といろんな感想を伝えにきてくれました。

 

文化庁の公演もあり、第9週目の公演は6ステージを行なってきました。

コロナの心配が増していく中、「子供たちのために、今年こそ!!」と先生方が決心した公演が、

一人一人の子供たちの出会いや何かの発見に繋がっていることが伝わってくる公演でした。

そして何より、子供たちやその姿を見ている先生方、保護者の方々がものすごくこの時間を楽しんでいました。

来週、文化庁の公演で、4月から始まった「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」の旅は千秋楽を迎えます。

しかし、まだまだ私たちの旅は続いていきます。

コロナに負けず、待ってくれている人たちの元へ向かえる身体を持ち続け、

一つ一つの出会いがまた、誰かに繋がることを願いながら、また明日を迎えたいと思います。

 

 

 

アニー・サリバン役

高階 ひかり

 

 

 

 

 

 

 

 


2022 『Touch~孤独から愛へ』春ツアー その9

2022-07-17 05:44:37 | 全国巡回公演

7月11日(月) 【島根県】隠岐高校・隠岐水産高校

        12日(火) 【大阪府】泉北高校

        13日(水) 【大阪府】藤井寺高校

        14日(木) 【兵庫県】八鹿高校

        15日(金) 【大阪府】淀川工科高校

 

隠岐高校・隠岐水産高校

島内にある2校の高校の合同鑑賞会で、2019年のヘレン・ケラー以来4度目の風の上演でした。

午前開演ということもあり、生徒の皆さんは現地集合。集合時間よりもだいぶ早くから来ている生徒さんの姿も多くあり、公演を楽しみにしてくれていることがうかがえます。担当の先生も「みんな、今日の演劇を楽しみにしていました。」と、笑顔で話してくださいました。

約700席に少し間隔を空けてほぼ満席の客席。保護者の方も何人か参加してくださいました。公演は、時折笑い声が聞こえながら、リラックスして見てくれていました。

カーテンコールでは、生徒会長さんから「最後のシーンが印象に残りました。大切な人を失って初めて自分の素直な気持ちに気付くというのは、なんか悔しくて、鳥肌が立ちました。」と、率直な言葉を送ってくれました。そして、綺麗なひまわりの花束をいただきました。

公演後には舞台見学が行われ、呼びかけると両校合わせて40人もの生徒さん、先生方が参加してくれました。

「こういう小さな道具ひとつひとつが舞台をつくっているんですね。」と空き缶を眺めて話してくれる生徒さんや、自前のカメラで色んなところを写真におさめている生徒さんもおり、皆それぞれに見学の時間を楽しんでくれていました。

最後はみんなで記念写真。皆さんにとってのいい思い出として残ってくれたらと思います。

 

泉北高校

2020年から延期しての上演で、風の上演は初めての学校です。

「やっとこの日を迎えることができました。生徒も教員も楽しみにしていますので、どうぞよろしくお願いします。」と、担当の先生が打ち合わせの時に話してくださいました。僕たちも皆さんとどんな出会いがつくれるのか楽しみです。

公演は終始よく集中して、しっかりと見ているといった様子が印象に残りました。

公演後には終演後の呼びかけで舞台見学が行われました。本番のときとはうって変わって、好奇心全開で、はしゃぎながら舞台を見学してくれていました。

「一番後ろから見ていましたけど、遠くからでも、台詞のことばが心に入ってきました。」「一番前で生徒と見ていましたが、表情や息づかいも感じられてすごい迫力でした」と、生徒に混じって一緒に見学をしていた先生方も、まるで少年少女のように興奮しながら劇団員に感想を話してくださいました。

「こうやって、見終わったあとに舞台を見学させてくれるところは今までなかったです。きっといい思い出になったと思います。」と、話してくださる先生もいらっしゃいました。

その後、男子生徒が一人「話を聞きたいです。」ということで急遽座談会が開かれ、ハロルド役の柳瀬とマンツーマンでじっくりと話をしていました。

三年生は文化祭で演劇の発表があるそうです。今回の公演で感じたことを是非自分たちの発表でも活かしてもらえたらと思います。頑張ってください。

 

藤井寺高校

こちらの学校も2020年からの延期の学校で、風は2001年のヘレン・ケラー以来、三度目の上演になりました。

開演前、担当の先生が舞台に立ち「今回の公演は元々三年前に立ち上がった企画でしたが、コロナで今年まで延期になってしまいました。劇団の方も、お待たせしました。と、エネルギーを溜め込んでこの藤井寺までお越しくださいました。みなさんの拍手で、盛大にお迎えしましょう。」と、大きな拍手で開演。本番が始まると、ジッと舞台に目を向け、見入ってくれていました。

終演後は、その場の呼びかけで集まってくれた生徒さんとの舞台見学が行われました。公演前の打ち合わせで、「舞台見学ですが、あまり集まらないんじゃないかな。」と、担当の先生はおっしゃっていましたが、予想に反してたくさんの生徒のみなさんが興味を持って参加してくれました。先生も驚いていました。

みんなで集合写真を撮ったあとは、客席で座談会が行われました。

くじ引きで、文化祭で劇を発表することになったクラスの生徒さんだということです。この日感じてくれたことを自分たちの芝居づくりに活かしてもらえればと思います。文化祭、目一杯楽しんでください。

 

八鹿高校

こちらの学校も2020年から延期になった学校です。

去年オープンしたばかりのあたらしい会館での初めての演劇鑑賞会です。

進行は放送部の生徒さんが担当。少し緊張した面もちでしたが、立派に進行をつとめてくれました。

開演前に、校長先生が「コロナで延期を重ね、3年越しにようやく演劇鑑賞会を実施することができました。まず、それがとてもうれしいです。みなさん、しっかりと楽しんで見てください。」と、生徒のみなさんに熱く語りかけていました。

その熱を感じてか、本番は生徒のみなさんが舞台へ食い入るように視線を向けてくれているのが印象的でした。

カーテンコールでは、生徒自治会長さん(八鹿高校では、いわゆる生徒会長のことを生徒自治会長と呼ぶそうです。)が、「演技、舞台セット、見せ方と、すべてに驚かされました。貴重な経験をありがとうございました。」と、堂々と話してくれました。

終演後には舞台見学を行いました。この学校も当日の呼びかけでしたが、舞台を埋め尽くすくらいたくさんの生徒のみなさんが舞台に上がり、熱心に見学をしていました。担当の先生も「こんなに集まるものなんですね!」と、驚きながらもうれしそうに話してくださいました。

舞台見学のあとは、何人かの生徒さんが代わる代わる座長の柳瀬に質問をしたり、交流をして会場をあとにしていました。

この日の公演が、みなさんのいい思い出になってくれたらうれしいです。

 

淀川工科高校

今旅の千秋楽(ツアーの最後の公演)の学校です。2014年のジャンヌ・ダルク以来3回目の風の公演ですが、こちらも2020年から延期を続けてようやく今年実施することができました。担当の先生もずっと鑑賞行事を担当されている先生で、「ずいぶんお待たせしてしまいまして、やっと生徒たちに見せられます。楽しみにしてます。」と、お互いにやっと公演が実現できたことを喜び合いました。

開演前には、教頭先生が舞台に立たれて、「人と人の触れ合いを大切にしている作品だと聞きました。きっと見終わったあとには、みなさんの心に変化があると思います。しっかりと鑑賞しましょう。」と、舞台と客席への期待のことばで開演しました。

舞台で起こる出来事を前のめりに見つめている姿が印象に残っています。

カーテンコールでは、生徒会長さんが、気持ちが昂った様子で、「今まで見てきた演劇のなかで、一番迫力があって素敵な演劇でした。本当にこうして見る機会をつくっていただき、ありがとうございました。」と、素晴らしい感想を述べてくれました。

公演後には、舞台見学と座談会が行われました。「なかなかない貴重な機会」と、小道具や舞台セットをすみずみまで真剣に見てくれていました。座談会も、質問に答える柳瀬に対して、真剣に耳を傾けてくれていました。

約3ヶ月に及ぶ春の旅が終わりました。今回もやむなく延期をすることになってしまった学校もありましたが、おかげさまで52回の公演を行うことができました。これも、これまでに学校と劇団とで、「どうやったら公演を実現できるか。」を時間をかけて話し合ってきたことが、実を結んだ結果だと思います。その源には、「コロナ禍で入学してきた生徒たちに、何か思い出を残してあげたい。」という先生方の想いがあり、その想いに旅の制作をするなかでたくさんふれてきました。先生方の想いに応えるためにも、そして、楽しみに待っている若い観客たちのためにも、自分たちにできることをしっかりとやり抜き次の旅へ歩みを進めていきます。

佐藤勇太(フィリップ役)


2022年『Touch〜孤独から愛へ』春ツアーその8

2022-07-12 07:58:19 | 全国巡回公演

4月下旬から始まった、『Touch〜孤独から愛へ』の春のツアーも今週、そして来週までと残りわずかとなりました。 たくさんの出会いを繋げながら迎えた今週は、

7月5日(火) [山口県]早鞆高校 下関市民会館

7月8日(金) [島根県]安来高校・松江養護学校安来分教室

早鞆高校

今週はじめは、早鞆高校での公演でした。 早鞆高校では、2007年に『ハムレット』、2010年に『肝っ玉おっ母とその子供たち』、2012年に『ヘレン・ケラー』を公演しています。 10年ぶりの再会となった公演です。 早鞆高校では芸術鑑賞行事は、一昨年に予定されていたのですが、コロナの影響により、今年へと延期をした公演でした。 根気強く公演を繋げ、そして、今日へと決断をしてくださった先生方に心より感謝を申し上げます。

開演前には、担当の先生方、そして一足早く、進行の打ち合わせに来た生徒会の生徒さんが、緊張しながらも、今日の公演を楽しみにしてくれていた想いを伝えてくれました。

午前の開演となった会場に、元気に入場する生徒さんたち。

900人の生徒さん、先生方、そして、数名の保護者の方々が客席を目一杯使って観劇しました!みんなで一緒に過ごせる時間が限られて来たという状況のなか、友達や先生たちと入場する生徒さんたちの姿から、ワクワクとした様子が伝わってきました。

 

 

開演前には、"みんなには、自分の目で見て、聴いて、感じて、自由にリラックスしてほしい。"とい先生の言葉と会場に響き渡る大きな拍手で開演しました。 公演が始まり、物語が進んでいくにつれて、熱気を帯びてくる会場。

終演後には、生徒会長さんの"今日は、本当にありがとうございました。私も、友だちと支え合いながらこれからの学校生活を送りたい"という素敵な挨拶と、とても綺麗な花束を貰いました。 撤去作業が終わった後は、この舞台で早鞆高校の吹奏楽部のみなさんが練習に使うとのこと。 撤去作業が終わった後、吹奏楽部の生徒さんが、"今日はとっても楽しかったです!みなさんも頑張ってください!"と力強く想いを伝えてくれました。ありがとうございました!!

安来高校・松江養護学校安来分教室

今週2日目の公演は、安来高校・松江養護学校安来分教室の公演です。

この学校では、1992年に『星の王子さま』、1994年に『Touch』、2010年に『肝っ玉おっ母とその子供たち』を公演しており、今回で4回目の公演となりました。
雨の中ではありましたが、傘をさしながら元気よく入場する生徒さんたち。
会場に足を踏み入れた生徒さんたちからは、“すごい!”、”楽しみ!“という声が聴こえてきました。
本番が始まると、声を出して笑ったり、時には、真剣な眼差しで舞台に向き合っている姿がありました。
終演後には、生徒会長さんから、“劇を観るのは初めてでした。前の席に座っていて、圧倒されました。劇の感想は、トリートにハロルドが父親のように接していたように感じたところです。”と、素敵な挨拶と素敵な花束を頂きました。
終演後には、演劇部の生徒さんたちによる舞台見学と座談会が行われました。
演劇部の生徒さんたちは、ついこの間、学校での発表を行ったそうです。役者やスタッフと目を輝かせながら、舞台や小道具に触れたり、話をする演劇部の生徒さんたち。
また、現在3年生の演劇部の部長さんは、1年生の時に、学校に訪れていたトリート役の佐野と会い、今回の公演での再会をとびっきりの笑顔で喜んでくれていました。
舞台見学が終わり、ハロルド役の柳瀬との座談会では、まっすぐな眼差しで、質問をしたり、話を聴いたりと熱い時間が流れていたように感じました。
今回の公演を繋げて下さった先生方に心より感謝申し上げます。
 
『Touch〜孤独から愛へ』春のツアー公演も残るところ来週が最後の週となります。
出会ってきた、先生方、生徒さんたちの想いや眼差しや表情や姿を胸に刻み、来週の公演へと繋げていきます!!

文:倉八ほなみ(スタッフ)


2022『Touch~孤独から愛へ』春ツアーその7

2022-07-11 23:00:00 | 全国巡回公演

6月28日(火曜日)【岡山県】矢掛高校

6月29日(水曜日)【山口県】鴻城高校

6月30日(木曜日)【岡山県】高梁城南高校

7月 1日(金曜日)【兵庫県】姫路北高校

 

6月28日(火曜日)【岡山県】矢掛高校

2019年に『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を上演、『Touch』は2022年に公演予定でしたが、延期となりました。

12:30開場  炎天下、10分弱の道のりを歩いて生徒のみなさんがやかげ文化センターへ。もう汗だくです。

「暑いですね」とごあいさつすると、ご担当の先生は「でもセットをみて、ワッすごい!と喜んでくれていたのでよかったです」とのことでした。

図書委員の生徒さんの諸注意とあいさつで開演。

「全員が芸術鑑賞を楽しめるようにルールを守りましょう」

2階席も含めて、ひとつ置きの座席はほぼ満席。

開場したとたんから、ものすごい集中力で舞台に向きあってくれました。

カーテンコールでは。図書委員の生徒さんがあいさつ。

「生の演劇、迫力のある演技に引き込まれました。

最後にトリートとフィリップが抱き合うシーンが一番印象に残っています。僕も目標をもってこれからの学園生活を送っていきたいと思います。」

彼に応えて、ハロルド役の柳瀬は「生徒のみなさん、三年間お待たせしました。」とはじめ、

「客席はさまざまなことを受けとっていることをひしひしと感じながら本番をやってました。おかげでいい舞台をつくり出せたと思います。」

その後、舞台裏見学には30数名の生徒さんが参加。あちらこちらでいろんな写真も生まれました。

座談会には、16名の生徒さんが参加してくれました。

6月29日(水曜日)【山口県】鴻城高校

山口県鴻城高校は2016年に『ジャンヌ・ダルク~ジャンヌと炎』、2019年には『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を上演しました。

2020年以来、全校生徒が集まるのは今回がはじめてということです。

会場となった維新ホールは2021年5月に完成、オープンは7月という真新しい劇場でした。

「Touchの意味を考えながら、リラックスして楽しんで見てください。」

ご担当の先生のあいさつと拍手で開演。

始まりとともにシーンと静まりかえる客席、静かな熱が伝わってきます。

少し高い2階席には保護者の方も。

兄弟の部屋をのぞき込むと同時に生徒のみなさんの真剣な姿が見えています。

 

カーテンコールでは生徒会長からお礼の言葉がありました。

「普段、なかなか観ることのできない舞台を実際に間近で観ることができて感動しました。」

校長先生からは

「日本で一流の劇団がはるばる山口まで来てくださり、PCR検査を重ねて、綱渡りをしながらのこのような熱演。すばらしい舞台でした。ハロルドがトリートのすさんだ心を少しずつ溶かしていく姿に私も涙が出ました。あらためて演劇のもつ学校教育への有効性を感じました。」というごあいさつをいただきました。

そして、11名の演劇部のみなさんの舞台裏見学は『Touch』の舞台をくまなく観察しながらこの場を背景にして魅力的な写真が残りました。

 

6月30日(木曜日)【岡山県】高梁城南高校

高梁城南高校は2020年の上演予定が延期となった学校です。

高梁市文化センターまでは歩いて3分、まずは一年生から入場。

「入ってくる顔、みんないい顔をしている。楽しみにしていたんだと思いますよ。」

と受付にいらした先生が話してくれました。

開演と同時にやわらかな空気が場内に流れ舞台を注視していく、

一刻一刻を静かに吸い込んでいくような客席でした。

 

カーテンコールでは、一瞬の間のあと、あたたかく大きな拍手が起こりました。

生徒会長は「二年間待っていました。『Touch』はすばらしい劇でした。迫力ある演技に心奪われました。有意義な時間となりました。ありがとうございます」と語ってくれました。

柳瀬も「二年間お待たせしました」と始め、

「黙って息を止めるようにして舞台を鏡として、自分をあるいはだれかを写し出し、思い起こしているのだと感じられました。みなさんのおかげでいい舞台をつくることができました。」

と感謝を述べました。

また、当日の呼びかけで希望者の方がたくさん舞台裏見学に参加してくれました。

しばらくして、さらに生徒さんが集まってきました。

学校でのHRを終えて戻ってきてくれたそうです。先生も集まってくれた生徒さんの多さにびっくりされていました。

 

7月1日(金曜日)【兵庫県】姫路北高校

姫路北高校は定時制の学校です。風ははじめて上演します。今年の『Touch』春ツアーの最後の体育館での公演です。夜の公演のため昼13時から設営作業に入り、姫路北高校の演劇部の生徒さんと隣の姫路東高校の演劇部の生徒さんが手伝いに集まってくれました。

荷物の運び入れから鉄骨の舞台の組み立て、≪体育館を劇場にする≫プロセスを汗だくで共有してもらいました。道具の仕組みやねらいを説明する柳瀬の話も同じつくり手として、熱心に耳を傾けてくれました。

 

18:30一幕開演

扇風機をつけ、窓を開けカーテンを閉めた場内は蒸し暑い。それでも前を見てしっかり舞台をとらえていきます。

ハロルドがロープで椅子にくくりつけられた時には客席の前方の女の子たちから笑いが起こり、椅子のまま移動・・・口にはられたガムテープを手を使わず外してしまうハロルドの動きに感心しつつ楽しんで見ていました。

そして、少し不思議な感じがしたのがハロルドがフィリップの肩に触れる場面―――照明の変化と音楽に合わせるかのように外からさわやかな風が体育館に流れ込んできました。

19:40 二幕開演

外もうす暗くなり、客席側のカーテンを開け放しての上演です。

(ギャラリーから外を見ると姫路城が大きく浮かび上がっています。)

終盤ハロルドが死んでトリートが「俺、デッドエンドキッドだよ、デッドエンドキッドだってば、、、」と叫ぶシーンでは、客席の空気が濃く重みを増して、舞台に向かっていました。

カーテンコールでは、演劇部の男の子が「今までの高校生活の中で一番感動しました!」と語ってくれました。

そして、トリートとハロルドには花束を、フィリップには<世界地図>をプレゼントしていただきました。

柳瀬は「客席と舞台をつないでくれた、先生方に感謝」を述べ、

「暑い体育館で熱い視線に支えられていい本番を迎えることができました。これはみなさんのおかげです。」とさらに感謝を伝えました。

5月上旬から始まった『Touch』の巡回公演も早6月を終え、7月に入りました。不安定な天候も心配でしたが公演はありがたいことに順調に続いています。

2020年から延期となった学校、そしてまた、はじめて上演する学校・・・

先生も生徒のみなさんも期待を込めて待っていてくださったことを本当にうれしく感じました。

そして、カーテンコールで座長の柳瀬太一が言うように

「ひとりひとりの中にTouchが生まれている」と実感します。

私はふと作者のライル・ケスラーが今、この客席に座ったらどんなに喜ぶだろうと思いました。2001年に来日、レパートリーシアターKAZEでの公演後「今回の風の上演は今まで上演された舞台、映像の中で私の心の中に一番近いものを感じました。」と語ってくれました。

あれから21年『Touch~孤独から愛へ』の旅はこれからも続きます。

 

文:スタッフ 保角淳子


2022『Touch~孤独から愛へ』春ツアーその6

2022-07-11 22:27:25 | 全国巡回公演

2022年『Touch~孤独から愛へ』春ツアーも、6月後半に入り日々の気温も、だいぶ上がって来ました。

 

6月20日(月) 【山口県】防府商工高校   同校体育館

6月24日(金) 【岐阜県】吉城高校   飛騨市文化交流センター

6月25日(土) 【埼玉県】 社会福祉法人清心会さやかグループ   秩父宮記念市民会館

 

防府商工高校

6月19日(日)14:00明日の公演の準備のため、防府商工高校を訪れました。担当の先生が見守るなか3時間ほどで前日の仕込みは終わり、明日を楽しみとし学校を退去しました。

6月20日(月)8:45、学校入り。仕上げの作業を終えて、いよいよ本番です。

3年生と1年生の半分が午前の部、2年生と1年生の半分が午後の部となります。暑くなるのを見越し、なるべく風を通すようにしての公演が始まりました。

1回目も、2回目も、思ったほどの暑さにはならず、生徒さん達も集中して見ているようでした。

公演が終わり、演劇部の生徒と多くの生徒が舞台見学、

その後のバラシにも参加してくれました。どうもありがとうございました。

こちらの学校も、コロナの影響で2年間順延しての公演でした。皆さんの学校生活が、早く正常に戻ることを願いつつ学校をあとにしました。

 

 

吉城高校

公演前日の6月23日、旅班は飛騨市古川町へ入りました。全国的に猛暑日だったこの日も、夕方には涼やかな空気が流れていました。

翌日、飛騨市文化交流館で吉城高校の演劇観賞会です。担当の先生は、前年に公演した神岡高校の時も担当されていて2年ぶりの再会です。

仕込みが終わり、いざ開演です。開演前の諸注意等は、生徒会によって行われました。生徒会が公演の実現に大きな役割をしてくださったとのこと、どうもありがとうございました。

校長先生の冒頭あいさつでは、全校生徒を起立させ、後方に座った老人会や一般の方々に、感謝の気持ちを伝えさせている姿が、印象的でした。地元のつながりを、大切にされている校風なのが、良く分かりました。

カーテンコールでは生徒会長さんのお礼の言葉と花束をいただきました。その後多くの生徒さんが舞台見学に来てくれ、その後の座談会もたいへん盛り上がりました。

吉城高校の皆さま、飛騨市交流文化センターのスタッフの皆さま  、どうもありがとうございました。

 

社会福祉法人清心会さやかグループ (バリアフリー・一般)公演

巡回アメニティフォーラムin埼玉での公演です。アメニティフォーラムin滋賀に続いて2回目となります。会場は、秩父宮記念市民会館です。この日も、朝から暑くなりましたが、私達旅班の会場入りを、清心会関係者の方々が待ち受け、搬入作業を一緒に行ってくれました。

皆さんが生き生きと動かれ楽しそうに作業する姿を見て、劇団員も身の引き締まる思いがしつつ、仕込みを行っていきました。

別会場では同時刻に、社会福祉に関するそれぞれの分野のトップランナー達によるフォーラムが行われ、そちらも大盛況でした。(劇団からは、俳優渋谷愛が出演しました。)

15:15 客席の入場が開始され、希望する方には舞台上の見学をしていただきました。

何人もの方々が、開演前のセッティングがしてある舞台上をご覧になりました。

バリアフリー演劇の説明などがあって、いよいよ開演です。

多くの観客のなかには、なにかしらの障害がある方も多数いらっしゃり、全ての人びとが同じ場所で観劇するバリアフリー演劇を体現できました。これからもたくさんの意見をいただき、より皆さんが楽しめる芝居にしていけたらと思います。

終演後、清心会の方々が、バラシの手伝いに入ってくださりました。

その後、別会場で全体の懇親会が催され、大変な盛り上がりのなかアメニティフォーラムin埼玉の終焉となりました。関係者の皆さま本当にお疲れ様でした。

 

文(舞台監督 佐田剛久)


「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」2022春 西日本・東日本ツアー8週目

2022-07-06 15:47:01 | 全国巡回公演

6月30日[木]山梨県 下吉田中学校

7月1日[金]東京都 武蔵野市教育委員会主催公演

下吉田中学校

下吉田中学校はヘレン・ケラー、ジャンヌ・ダルクと風の公演を何度も上演している学校です。今回は久しぶりの演劇鑑賞会となりました。今年の秋には、コロナになって以来、初めての演劇発表があるみたいです。開場中、場内のスタッフに「こんにちはー!」と元気よく挨拶をし、その声は舞台裏にいる私たちにも聞こえてきました。まさかスタッフに挨拶をしているとは思っていなかったので、元気の良さに驚きました。座席を隣の人と間を空けながらの鑑賞となりましたが、無事に今日を迎えられたこと、その喜びを先生をはじめ生徒達も感じているのがよくわかる時間でした。そんな中での開演、食い入るように見ている姿がとても印象的でした。今舞台で起きていることと一緒になってしまうのではないかと言うくらいエネルギーを感じました。

お礼の言葉では、ひとりひとりに思ったことを伝えてくれ、その堂々と伝えてくれる姿に驚きました。思ったことをそのままに伝える、言葉以上のものが伝わってきます。なかなか出来ることで話無いなと驚きました、皆さんで作り続けてきた学校をとても感じることが出来ました。これからもがんばって下さい!

是非、今日の鑑賞会が皆さんの演劇発表に繋がれば嬉しいです、応援しています!そしてまた会いましょう!

武蔵野市教育委員会主催公演

以前にヘレン・ケラー、肝っ玉おっ母とその子供たち、ジャンヌ・ダルクと上演している武蔵野市教育委員会主催の公演です。今回は、武蔵野市内の1中から6中の一年生の観劇でした。以前にこちらの市長さんがレパートリーシアターにバリアフリー演劇ヘレン・ケラーを観劇してくれていて、是非市内の中学校の皆さんにと繋がった公演です。

6校が集まったと言うこともあり、二階席まで満席の客席。他校の生徒に手を振ったり、話したりと久しぶりの再会もあったのでしょう、パンフレットをじっくりと眺めている生徒さんもいます。とても元気な生徒さんの姿を感じながら、校長先生の挨拶からスタートしました。久しぶりの鑑賞会であること、ヘレン・ケラーの生い立ち、アニーサリバン出会いの話からの開演となりました。とてもリラックスしながら、出来事をストレートに受け取る姿、そして時たま聞こえる笑い声と緊張のシーンでは会場内が張り詰める感じなどを身体に感じながらの公演でした。

カーテンコールでは、割れんばかりの拍手と代表の生徒さんから「ヘレンのわからないことの苦しさ、わかった時の喜び、アニーの愛情を感じました。」と笑顔でメッセージをくれました。そしてみなさん、最後まで思い切り手を振って見送ってくれる姿が印象的でした。またお会いできる日を楽しみにしています。

7月に入り、このツアーも残り三週間となりました。暑さ、コロナに気をつけながらやっていきたいと思います。

来週は青森県からのスタートです!

ジェイムスケラー役 中村滋


2022『Touch~孤独から愛へ』春ツアーその5

2022-07-02 10:11:00 | 全国巡回公演

ぼちぼちと夏を感じ始める時期になってきました。

 

6月13日(月)丹後緑風高校 久美浜学舎 同校体育館

  15日(火)松坂工業高校 松坂市民会館

 

丹後緑風高校 久美浜学舎

先週に引き続き今週も京都府からの公演です。丹後緑風高校久美浜学舎は、先週の久美浜学舎とはもともと別の学校ですが、最近同じ学校になったそうです。2020年新型コロナウイルスの影響で延期になり、やっと実現できた公演です。

午前中、私たちが準備をしていると体育の着替えのために生徒たちが出入りしていました。授業が終わり戻ってきた生徒たちからは徐々に出来上がっていく舞台への驚きと期待の声が上がっていました。普段舞台設営の経過を見られることがあまりないので、私たちも気合が入ります。

そうして迎えた公演。校長先生のご挨拶に鼓舞されたのか、客席から無邪気な声や笑い声が全力で舞台を支えてくれていました。

カーテンコールでは、生徒会長さんの素敵なご挨拶と大きな花束をいただきました。ありがとうございます!

終演後、片付ける前の舞台を各々見学しながら、「スピーカーがこんなところに!」と面白い発見をしていました。

気づくと片付けのお手伝いには、30人くらいのいろいろな部活の生徒の皆さん、そして先生方まで参加してくれていました。その中には校長先生の姿もあり、生徒たちと仲良い様子がとても印象的でした。

あっという間に片付けも終わり手伝ってくださった皆さんと記念撮影。

多くの元気をもらい私たちは次の公演地へ向かいます。

 

松坂工業高校

松坂工業高校では1996年『星の王子さま』、2008年『肝っ玉おっ母とその子供たち』の公演以来、14年ぶりの再会です。こちらも2020年から延期を続けてきた、待ちに待った公演でもあります。

開場前、代表のあいさつの生徒との打ち合わせ。

場内では生徒会の皆さんが手指消毒や座席誘導を手伝ってくれていました。

そしてこの日は運動部の皆さんの壮行会も同時に行われました。

そんな温かい雰囲気の中始まった公演は、生徒の皆さんのまっすぐで静かな視線を後ろから見ていても感じるくらい集中した空気が印象的でした。

カーテンコール、生徒会長さんより熱のこもったメッセージと副会長さんから花束をいただきました。

 

終演後、希望者と生徒会の皆さんによる舞台裏見学が行われました。そしてそのまま話も尽きないので座談会へ。片付けの最後まで話は尽きなかったようです。

この春の巡回公演ももうすぐ折り返し地点を迎えます。暑さもますます厳しくなってきましたが、これまでに貰った元気を胸に最後まで走り抜けていきます。

文:フィリップ役  石岡和総