風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
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2018年 春 『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』 東日本・西日本巡回公演 第10週目

2018-07-23 10:07:30 | 全国巡回公演

約2か月半に渡って、東日本地域・西日本地域を巡演した『ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎』の旅も、いよいよ最後の週を迎えました。

今週は、

 7月17日 〔埼玉県〕草加高校 越谷サンシティホール

7月18日 〔千葉県〕君津高校 君津市民文化ホール

7月19日 〔東京都〕田無高校 ルネこだいら 中ホール

 での公演を行いました。

 

草加高校

7月17日は草加高校の皆さんとの公演でした。1000人を超える全校生徒さんが客席に入ると、越谷サンシティホールの一階はほぼ満席に。元気な生徒さんたちの声が聞こえていました。客席後ろから登場する俳優たちを、不思議そうに、驚きをもって迎える生徒さんたち。瞬間、瞬間に「何が起こっているんだろう」と真剣なまなざしを投げかけてくれました。

公演後には演劇部の皆さんや、舞台に興味を持ってくれた有志の皆さんが舞台に上がり、先生方と一緒にバックステージツアーを行いました。影の映るパネルの仕組みをスタッフに尋ねたり、スーツケースを持ってみたり、俳優たちに質問するなど、それぞれが興味を持って舞台の裏側に触れていました。

演劇部の皆さんは近々発表を控えているとのこと。「私たちも短時間で舞台を作らなければいけないので、舞台の仕組みも勉強になりました!」と先生が話してくれました。皆さんの力を合わせた本番が、素敵な時間になることを私たちも応援しています。

 

君津高校

翌日旅班は千葉県に移動し、君津市民文化ホールで君津高校の皆さんとの公演を行いました。

2階席からも手を振ってくれるなど、始まりから、元気な明るい表情で迎えてくれた皆さん。冒頭からジャンヌ・ダルクの物語へと入っていくと、会場にいる生徒さんたちの空気も変わり、見る力を使って舞台を支えてくれました。

カーテンコールでは手拍子が起こり、最後までしっかりと一緒にいる時間を感じてくれていたことが、とてもうれしかったです。

君津高校では、皆さんが帰りのバスを待つ間にバックステージツアーを呼びかけました。30人以上の生徒さん、先生たちが舞台を見学してくれました。先生方の中には「前にいた学校でも風さんの舞台をみました。風さんの舞台は迫力がありますね」と声をかけてくれる先生もいました。

舞台裏に触れたことも含めて、公演が生徒さんと先生の中に残り、また感想を話し合ってもらえたら嬉しく思います。

 

田無高校

2018年春のツアーの千秋楽となったのは、西東京市の田無高校の公演でした。

田無高校では各学年ごとに芸術鑑賞会を行っていて、今回は2年生の生徒の皆さんが『ジャンヌ・ダルク』を観劇しました。東中野にある私たちの劇場「レパートリーシアターKAZE」にも足を運んでくださっているご担当の先生が公演前のお話で「君たちの先輩たちは今までもう少し大きな劇団の舞台を見ていました。でも今回は風の皆さんの舞台を観劇することにしました。風の皆さんはエンターテイメントではない、若い人たちのためにしっかりとした舞台を作り続けている皆さんです。みなさんにその舞台を見てほしいと思います」と話してくれました。

当日は保護者の皆さんもたくさん観劇に訪れていました。初めて見るもの、触れるものでもあったかもしれません。先生が公演後おっしゃっていたように、全校で舞台に触れ、何かを考え、疑問が浮かび、友達や先生との空気を感じながら触れてもらった舞台が、いつか皆さんの力に変えてもらえるものとなることを願っています。

公演後は演劇部、有志の生徒さんたちとバックステージツアーの後、座談会を行いました。とても楽しい時間でした、皆さんありがとうございました!

 

 

5月1日から始まった『ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎』の春のツアーは、各地の生徒さん、先生たちと一回一回の時間を過ごし、千秋楽を迎えました。演劇に触れるという時間が、皆さんの日常の中に、発見を生み出したり、刺激を受けたり、「あれは何だったのかな」と引き続き友達や先生と話をしてもらえるような時間となればうれしく思います。

公演を支えていただいた先生方、そして「見ること」のなかで一緒に舞台を作ってくれた生徒の皆さん本当にありがとうございました!いつかまた再会できることを、そして皆さんが元気に活躍されることを願っています!

 

ジャンヌ・ダルク役 白根有子


2018年春・西日本ツアー「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」第11週目(最終週)

2018-07-22 09:53:33 | 全国巡回公演
 
5月のGW明けから始まった『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』の西日本ツアー。いよいよ最終週を迎えました。例年以上に公演期間も長く、かつ密度の濃い旅公演となりました。
 
 
7月17日 倉吉農業高等学校(鳥取県文化振興財団主催)/  同校体育館
7月18日 大阪市立工芸高等学校  /  クレオ大阪中央
7月19日 四天王寺学園中学・高等学校   / 同校体育館
 
 
 
 

倉吉農業高等学校

長い桜並木を登り、清々しい緑に囲まれた学校に到着。倉吉農業高校の広大な敷地で、生徒の皆さんは野菜や果物の栽培、米づくり、畜産、食品加工などを学んでいるそうです。
公演準備の日に学校で作った大きなスイカを先生が差し入れして下さいました。甘くて美味しい!
この公演は、今ツアー4回目の鳥取県文化振興財団主催公演。倉吉農業高校が演劇部門に申し込んだのは今回が初めてとのことで、演劇を見たいという学校が増えたことに財団の皆さんも喜んでいました。
 
 
公演当日は少しでも涼しいうちにと、朝9時過ぎに開演しました。それでも7月の熱気に包まれた暑い体育館で、生徒の皆さんは最後までしっかりと一緒に公演を創ってくれました。
カーテンコールでは舞台と客席がお互いの姿に心から拍手を送り合いました。
 
 
公演後には食品科のクラスの生徒さんと先生方が片付けを手伝ってくれました。暑い中、本当にありがとうございました!
 
 
そして、学校で作った野菜たっぷりのカレーと、お土産にメロンをいただきました。
明後日には農業市があるそうです。動物や作物を育て、地域の人たちとふれあい、生徒の皆さんが喜びを感じられる経験がたくさんありますように。
 
 
 
 
 

大阪市立工芸高等学校
 
美術科とデザイン系の5つの学科がある全国で唯一の公立高校です。
私たちは2010年の『肝っ玉おっ母とその子供たち』以来の久しぶりの公演でした。今回は1・2年生の皆さんが観劇しました。
公演が始まると自由な雰囲気で、一人一人が自分の感覚で物事を発見している様子が伝わってきました。
 
 
公演後には先生方の希望により、全校生徒の皆さんと座談会を行いました。劇団からはアニー・サリバン役の渋谷愛とヘレン・ケラー役の倉八ほなみが参加しました。公演前に担当の先生が「質問する生徒が少ないかも…」と心配していましたが、始まると生徒さんから次々に質問が出て盛り上がりました。美術的なことだけでなく、ヘレン・ケラーの生涯のうち少女時代に絞って上演しているのはなぜか? あなたにとって俳優の仕事って何ですか?など作品の根底に興味を持っての質問が多くありました。
 
30分の座談会が終わった後も個人的にまだ聞きたいことがある生徒さんたちが2人の周りに集まっていました。
この日は街中の会場だったので交通整理をしながら道具の搬出をしていたのですが、帰り際にたくさんの生徒さんたちが笑顔で声をかけてくれて、暑さも吹き飛ぶほど嬉かったです!
 
 
 
 
 
 
四天王寺学園中学・高等学校
 
夕方から搬入作業のため学校に到着。最新の設備と開放感のある校舎に驚きました。
四天王寺学園では新しい校舎でスタートした時から生徒が芸術や様々な分野に関心を持てるような機会をつくっているようです。「3年前にお話を聞いてからずっと風の公演を呼びたいと思っていました。やっと実現しました!」と担当の先生。
公演が始まると笑い声や真剣な眼差しで舞台に向き合ってくれた生徒の皆さん。先生や保護者の皆さんもそれぞれの立場から見て感じ、考えてくれている様子が伝わってきました。
 
 
 
先生が公演直後に「劇団の皆さんが舞台裏を見せてくれますのでホームルームが終わったら体育館を訪ねて下さい。」とアナウンスすると、たくさんの生徒さんたちが舞台に走って上がってきました。「今すぐ見たい!」という勢いでした。放課後には舞台見学と片付けを手伝ってくれる有志の生徒さんが集まり積極的に参加してくれました。また体育館の片隅では、演劇部の皆さんとヘレン役の倉八が座談会を行いました。
 
 
 
約2ヶ月半の西日本ツアー。
長年かけて公演を実現させた学校もたくさんあり、地域ぐるみで若い人たちが演劇にふれる場をつくった公演もあり、生徒の皆さんとの交流も様々な試みを行いました。西日本地域での公演の可能性が大きく広がった旅となりました。
そして一人一人の生徒さんが心の内に秘めている夢や願いや悩みと出会い、人と分かち合える場を創りたいと向かって行った毎回の公演。
ツアーメンバーそれぞれの中に、出会って来た人たちの表情や言葉が生き続けていくことと思います。
先日の大雨や地震による災害で被害を受けた地域の皆様、公演が延期となった学校の皆様にできる限り早くお会いし、演劇を通して生きる喜びを届けられるよう願って取り組んでいきたいと思います。
 
 
文  パーシー役  稲葉礼恵
 

2018年春・西日本ツアー「ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち」第10週目

2018-07-17 18:03:20 | 全国巡回公演
 
蝉の音色が響き渡り、暑さと共に夏の訪れを感じる季節となりました。
「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」の公演もついに10週目と二桁目に突入しました。
ブログのトップの写真は、大阪府にある大谷中学校で行われ公演のバックステージツアーの様子です!

7月8日(日) 大阪プレミアム公演 (大阪府) 摂津市民文化ホール
7月9日(月) 開星中学校・高等学校 (島根県) 松江市総合文化ホール
7月10日(火) 仁愛女子高等学校 (福井県) フェニックス・プラザ
7月11日(水) 大谷中学校 (大阪府) あべの区民センター
7月12日(木) 朱雀高等学校 (京都府) 長岡京記念文化会館

大阪プレミアム公演
今週の始まりの公演は、大阪府の摂津市民文化ホールで行われた プレミアム公演です。
西日本地域でのプレミアム公演は今回で9回目となりました。

風と先生方や人々の繋がりが膨らみ今日まで続いている西日本地域の大切な公演のひとつである今回の大阪府でのプレミアム公演。
当日の会場には、地域の方々や先生方、中学校・高等学校の演劇部の生徒さんたち、遠くからは三重県の学校から公演に足を運んでくれた生徒さんたちもいらっしゃいました。
開演前にはバックステージツアーも行われ、幅広い年代の方々が一緒になって、舞台セットの大道具や小道具、衣装、音響や照明などを劇団員、一緒に参加している家族や友人たちと言葉を交わしながら盛り上がっている様子はとても印象的でした。

まだまだこれから公演を控えている演劇部の皆さんもとても真剣に劇団員に質問をしたり、言葉に聞き入っていました。







開演前には、長年風を支え、見守り続けてくれている、NPO法人日本学校演劇教育会関西支部長の南村さんに素敵な挨拶をして頂きました。
本番が始まると、とても濃密な空気が舞台まで伝わり、時には子どもたちの笑い声や真剣な眼差しに支えられながら、『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』の物語が進んでいきました。
カーテンコールでは、客席から観劇をしてくれていた女の子から、素敵な花束と贈り物も頂きました。本当にありがとうございました。



また、終演後に行われた座談会では、たくさんの方々が参加して下さり、風を支え続けてくれている方のひとりである吉田さんによる劇団紹介と素敵な司会進行をして下さり、参加して下さった方々も質問だけでなく、その質問や話してくれたことを通して、一緒に話を聞いていた客席の方も自分の経験や考えや想いを一緒に話したり、語ってくれたりと、会場もとても盛り上がりをみせました。
南村さん、吉田さん、本当にありがとうございました!
人と人との想いや繋がりから生まれ、支えられ、その繋がりがまた、新たな繋がりを生むようなとても貴重な時間となりました。
今回の公演を支えて下さった方々へ心より感謝申し上げます。

開星中学校・高等学校
今週2日目は、鳥取県の開星中学校・高等学校での公演でした。
開星中学校・高等学校では、2012年の『ヘレン・ケラー』、2014年の『ジャンヌ・ダルク』を公演しており、今回で3回目となりました。
午前中の仕込みの作業の時に、舞台関係に興味があり、その道に進もうと心に決めている、高校2年生の2人の生徒さんが、舞台のお手伝いと見学に来てくれました。





舞台の構造を劇団員と一緒に見たり触れたり、また、音響さんと一緒にサウンドチェックの様子も説明をしっかりと聞いていたりと、その眼差しと姿勢から、自分が歩みたい道をしっかりと持っているのがとても伝わってきました。
また、照明の当たりを合わせる時には、モデルとして舞台にも立ってくれました。

公演が始まると、とても元気な拍手と歓声が舞台に響き渡り、『ヘレン・ケラー』の物語が進むにつれ、時には笑ったり、時にはふっと、静かに真剣な眼差しを舞台に向けていました。
カーテンコールでは、生徒会長さんから「私も、明日を生きる勇気が出ました」と素敵な言葉を頂きました。
終演後には、希望者の生徒さんたちのバックステージツアーも行われ、舞台だけでなく、楽屋の方まで足を運び、公演の隅々まで感じてくれているようでした。





撤去作業を見学しながら、最後の最後まで残ってくれた生徒さんもおり、真剣に情熱を持って、自分の歩みたい道、そして、そこでぶつかっている壁やそれでも、自分の夢を貫きたいという想いをたくさん語ってくれました。
そして、そんな熱い想いを持った生徒さんの姿を観て、先生方も「こんなに強くまっすぐな想いを持っていたのか」と驚き、見守ってくれていた姿もとても心に残りました。

仁愛女子高等学校
今週3日目は、福井県の仁愛女子高等学校での公演でした。
仁愛女子高等学校では、1994年に行った『TOUCH』の公演以来、24年ぶり2回目と久しぶりの公演となりました。



公演が始まると、1000人を超える客席からは、ぐっと空間いっぱいに、密度のある視線を舞台上からもしっかりと感じました。
カーテンコールでは、代表の生徒さんより、「ヘレンは、分からない指文字を教えられても、諦めずにいて、サリバン先生は、そんなヘレンと向き合い続けてすごいと思いました。私も将来先生を目指しているので、すごく学ぶことがありました。」と素敵な挨拶を頂きました。



終演後には、今回はバックステージツアーと座談会はありませんでしたので、会場を後にする生徒さんたちの送り出しに向かいました。
送り出しの最中、生徒さんたちから、「本当に迫力があって面白かったです」、「ありがとうございました!皆さんも頑張って下さい!」、「また、来て下さい!」と、感想や想いの込もった声を元気な笑顔と共に掛けてくれました。
送り出しを終えて、舞台へ戻ってみると、バックステージツアーの予定はありませんでしたが
、公演を観終わった後に、舞台へ興味を持った生徒さんたちが残って、自分の心のままに舞台見学を行なっていました!





何かに心をふるわせたり、自分の中に湧き上がってきたものを掴み、勇気を持って踏み出す彼女たちの姿は、本当に輝いていました!!

大谷中学校
今週4日目は、大阪府の大谷中学校の2年生と3年生の生徒さんたちとの公演でした。
風の公演は初めてとなる大谷中学校での公演。
今回の大谷中学校の公演の実施には、「どうしても風の公演を生徒たちに観せたい。」という、今回の公演を繋ぎ、支えて一緒に創り上げて下さった、ご担当の高杉先生の想いがあり、その思いと共に10年という月日を得て、実現された公演です。
開場と同時に客席からは、とても元気な声が響き渡り、これから彼らといったいどんな公演を創ることが出来るだろうかと胸が高鳴りました。
本番が始まると、舞台上で起きている一瞬一瞬の出来事を捉えるように、探究心の込もった眼差しで舞台に向き合っている姿に、私たちも支えられた公演となりました。
終演後のバックステージツアーでは、たくさんの生徒さん達が参加してくれて、ヘレン・ケラーやヘレンのお母さんのケート・ケラーの衣装などを着てみたり、食卓のシーンを真似してみたりする生徒さんの姿もありました。







 

また、劇団員たちにも臆することなく、自分から話しかけている姿からは、人や世界と真っ直ぐに出会おうとする彼らの強さをとても感じました。
 


バックステージが終わった後の座談会にも、演劇部の生徒さんも一緒にたくさんの希望者の生徒さんたちが参加してくれました。
時間の続く限り、最後の最後まで、自分たちの感じたことや思ったことをとてもストレートにぶつけ、そんな生徒さんたちのエネルギーのある姿を先生方も熱い表情で見つめていました。

朱雀高等学校
今週最後は、京都府の朱雀高等学校での公演でした。
朱雀高等学校では、2000年の『ヘレン・ケラー』の公演から続き、2009年に行われた『肝っ玉おっ母とその子どもたち』の公演から、9年ぶりの5回目の公演となりました。
なんと!朱雀高等学校の演劇部の皆さんは、全国大会への出場が決まっているそうです!!
本当におめでとうございます!!!
また、3年生は秋に行われる文化祭で演劇発表をするということで、演劇についてとても積極的に活動をされている学校でもありました。
本番が始まると、舞台上で起きていく出来事に、時には隣の友人と小声で語り合ったり、時には声を上げて反応したりと、とてもリラックスした、自由な姿で、ひとりひとりが舞台に向き合っているように感じました。
また、彼らの公演中のしっかりと舞台に向き合う姿に、終演後には、「きみたちの姿に先生は驚かされました」とご担当の池上先生は驚きと嬉しさを込めて生徒さんたちをとても褒めていました。
終演後には、演劇部の皆さん、そして、演劇発表をする3年生の代表の生徒さんたちとの、バックステージツアーとアニー・サリバン役の渋谷愛との座談会が行われました。
 
 
 
 
バックステージツアーも座談会もとても盛り上がり、そこには、演劇部の生徒さんたちは、これから待っている全国大会へ向けて、また、3年生の皆さんは、秋に行われる文化祭へ向けて、不安や壁も感じながらも、何かヒントはないか、仲間と一緒に自分たちがどういう演劇と出会えるだろうかと、とても前向きな姿勢で向き合っている姿がありました。
 
 
残念ながら、13日に予定していました岡山県の岡山御津高等学校での公演は、豪雨の影響で予定していた会場となる体育館を使用することが出来なくなってしまった為、延期となりました。
皆様のご無事をお祈りすると共に、岡山御津高等学校の皆様と出会い、共に公演を創ることが出来る日を心よりお待ちしております。
 
記録的な豪雨により、多くの悲しみや不安を残していった西日本の地域。
心よりご冥福とご無事をお祈りすると共に、私たちが出会ってきた、公演を支え共に創り上げて下さった先生方、“今”という時間を可能性に溢れた未来へ向けて、命を輝かせながら生きる若い観客たちの姿や想いを胸に、これからも人と人との繋がりと出会いの旅を続けていきます。
 
文:倉八ほなみ (ヘレン・ケラー役)
 

2018年 春 『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』 東日本・西日本巡回公演 第9週目

2018-07-13 10:03:45 | 全国巡回公演

青森県・向陵高校での公演を終え、旅班は東京へ

今週は東京都から群馬県、そして石川県を巡りました。

TOP画像は群馬県の共愛学園の大礼拝堂です。

 

7月9日(月)  [東京都] 科学技術高校 ティアラこうとう

  10日(火) [群馬県] 共愛学園中学校・高校 同校大礼拝堂

  11日(水) [石川県] 鵬学園高校 七尾サンライフプラザ

  12日(木) [群馬県] 前橋育英高校 保育科 前橋市民文化会館

4校5ステージの公演でした。

 

科学技術高校

風の公演は2011年の『肝っ玉おっ母』以来の公演となりました。

ジャンヌ・ダルクの物語から、何かをつかもうという熱い視線が印象的な客席でした。

公演後には担当の先生の「このあと、劇団の方からのご提案で、舞台裏の見学ができます。興味のある生徒は残ってください。」の呼びかけで舞台裏見学が行われました。

なんと、40人近くの生徒の皆さんが集まってくれました。

これには先生もビックリ!

「例年、交流会のようなものはやってなかったので、当初は実施する予定ではなかったですが、声をかけてみるもんですね(笑)こんなに集まってくれるとは。」

興味津々に舞台の隅々まで、生徒の皆さん(先生方も)見学を堪能してくれていました。

劇中に使っている鞄を固定点にして、マイムをやっています。巧いものですね。

人形を撮っているところをパチリ。撮影している目は真剣そのものでした。

 

共愛学園中学校・高校

共愛学園は風の公演は初めてとなります。

2ステージの公演ということで、前日の夜に舞台の設営がをしました。

トラックが学校に到着すると、ちょうど下校中の生徒さんとすれ違いました。

「うわっ、何このトラック!スゴい!大きい!私も乗りたい!」

と、口々に驚きの声をあげていました。

本番はどんな空間になるのか、楽しみになりました。

本番当日の朝は、公演前に共愛学園の朝の礼拝がありました。

礼拝堂に入ってくる生徒さんはみな、いつもと違った礼拝堂に興奮しながらも礼拝のときはしっかりとした態度で祈りを捧げていました。

礼拝堂のステンドグラス。日の光に照らされて、美しい空間が広がっていました。

出来上がった、礼拝堂に組まれたジャンヌの舞台。椅子が良い雰囲気をつくってくれています。

 

本番は、午前の回は高校生のみ、午後の回は中学生と高校生が観劇しました。

校長先生の「劇団の方々を拍手でお迎えしましょう!」

という言葉で開演。

礼拝堂という荘厳な雰囲気の空間が、生徒たちの歓声とともに一気に劇場という別の空間に変わりました。

皆、それぞれに楽しみ、ときに友達と話したりしながら見てくれていました。

午後の公演後に、演劇部の皆さんが舞台裏見学に来てくれました。

 

鵬学園高校

旅班は群馬を離れ、石川県へ。

鵬学園高校も風は初めての公演となりました。

開演前には校長先生が生徒たちに向けて

「ジャンヌ・ダルクの世界をしっかりと味わって、一つでも二つでも、自分のためになるものを見つけてください。」という熱いメッセージを伝えてくれました。

その想いに応えるような、熱い視線で彼らは舞台を支えてくれていました。

公演後には、新聞部の皆さんと舞台裏見学&インタビューが行われました。

 衣装や道具の説明に熱心に耳を傾け、インタビューでは芝居についての感想や質問だけでなく、劇団の活動についてなど話題は尽きなかったようです。

 

前橋育英高校

学校としては二回目の風の上演となりますが、保育科単独としては初めての上演でした。

担当の先生は、なんとご主人とお子さんが共愛学園に通っているそうで、「今晩の食卓の話題は、ジャンヌ・ダルクで決まりですね。生徒たちも楽しみにしています。」と笑顔で話してくれました。

前橋育英と言えば、サッカーや野球の強豪校として知られており、男子のイメージが強いように感じますが、保育科は女子一色。

開演すると、元気いっぱいに役者たちを迎えてくれました。笑い声のたくさん響く、あたたかな客席でした。

公演後には、希望者の生徒さんたちとの舞台裏見学と座談会が開かれました。

皆、それぞれに思ったことや疑問などを話してくれ、充実した時間となりました。

公演後の舞台裏見学の様子(写真が暗くてごめんなさい。)

座談会での一コマ。座長の栗山がマイムの動きを説明しています。

最後は搬入口でトラックと一緒に1枚。今日という日を目一杯楽しんでくれていたようです。


公演中の彼らの視線や、公演後に行われる舞台裏見学や座談会での彼らの姿から感じることは、きっかけさえあれば、彼らは何かを見つけ、楽しみながら考え、感じてくれるのではないかということです。

だからこそ、彼らにとってきっかけとなり得るだけのものを、私たちはつくらなければいけないのだと思います。

5月から始まったジャンヌの旅もいよいよあと一週間です。一回一回の客席とどんな時間、空間を一緒につくれるのか、挑戦し、真剣に楽しみたいと思います。

 

伝令・死刑執行人/佐藤勇太


2018 春 『ジャンヌ・ダルク ―ジャンヌと炎』 東日本巡回公演 第8週目

2018-07-08 14:32:24 | 全国巡回公演

7月に入り、『ジャンヌ・ダルク ―ジャンヌと炎』の旅は終盤戦、8週目を迎えました。

7月2日(月)[岩手県]盛岡白百合学園中学高等学校 同校大ホール

  3日(火)[宮城県]本吉響高等学校 気仙沼はまなすホール

  5日(木)[山梨県]下吉田中学校 富士吉田市民会館

  6日(金)[青森県]向陵高等学校 同校体育館        で公演を行いました。

 

 盛岡白百合学園中学高等学校

 開演前に校長先生がお話しされたように、盛岡白百合学園中学高校は、風が上演するのは3回目となります。

女の子ばかりの客席から響く明るい笑い声で開幕しました。そして芝居が進んでいくにつれ、真剣な眼差しが舞台に注がれてきました。

終演後は生徒さんを代表して演劇部の部長さんからご挨拶と花束をいただきました。

「ジャンヌ・ダルクと聞いて、神聖な物語を想像していましたが、人間の弱さや、どろどろした面など、新しい印象を受けました」。

この学校では、ジャンヌの名前を知らない生徒さんはいないのです。校歌の2番には

♪ 聖女ジャンヌが掲げてし 至誠の旗に正義の剣 をみなの魂こもりたる 命のしるし 白百合の花 ♪ と歌われています。

今回の観劇を通して、ジャンヌという少女に対しての新しい発見や思いが生まれてくれたなら嬉しいです。

引き続き、生徒さんたちを代表するように演劇部の生徒さん3人とジャンヌ役の白根との座談会が行われました。

白根は仲間と芝居をつくっていく醍醐味について、「ひとつひとつ皆で話し合って、可能性はすべて試みてみること」と

アドバイスしていました。結果でき上がった芝居は、観客に何かを届けるものとなるでしょうし、あなたたちにとって大切な思い出となるでしょうと。

名残惜しいお別れにあたり、素敵な出来事がありました。生徒昇降口にあるジャンヌ像を見せていただきました。

大ホールから校舎へ向かうため、私たちのバスに初めて、生徒さんが乗車。

道案内をしていただき、ジャンヌ像の前で記念写真。新聞部の生徒さんも撮影してくれました。

今回の公演について、私たちのBlogより先に、学校のHPで報告してくださっています。

ご尽力いただいた先生方、ありがとうございました。

 

本吉響高等学校

本吉響高等学校で風が上演するのは今回が6回目となります。

前担当の小野寺先生は私たちの拠点劇場レパートリーシアターKAZEにもお越しいただいています。

お互いに再会を喜び合い、さあ本番へ。ご担当の先生のみならず図書委員の皆さんが、今回の公演を仕切ってくださいました。

開演前の客席からは、のびのびした元気な雰囲気が感じられます。上演中に、ひとりひとりが、いろいろな視点から舞台を観ている空気感が伝わってきます。

多様な可能性を秘めているその眼差しに応えるべく、私たちの緊張感も高まりましたが、濃密な時間をともに過ごすことが出来ました。

カーテンコールでは、客席中央の男子生徒さんがスタンディングオベーションを贈ってくれました。ありがとう!

終演後にはバックステージツアーが行われました。芝居の後の興奮冷めあらず、生徒さんと俳優・スタッフとの会話がそこ、ここに生まれました。

ジャンヌ役の白根有子かジャンヌ人形について解説を

 

シャルル7世の衣裳を着て、恥ずかしながらもご満悦!?

出演者のサインが書かれた色紙をプレゼント

 

下吉田中学校

 富士山のすぐそばなのに姿は見えず、あいにくのお天気。傘をさして生徒の皆さんが集まってくださいました。

 風の上演は4回目の学校です。

開演前の客席からは、「よろしくお願いします」「ありがとうございました」などと大きな礼儀正しい声が聞こえてきます。

お礼の言葉と花束を渡してくださる生徒さんとの打ち合わせのあと、スタッフの赤木さんがプチ舞台裏見学を披露。

そして、担当の先生からの相図で、元気に開幕しました。

どんなふうに観てくれているのか、私もドキドキ。本番中に客席を覗いて撮影。

画像処理を含め、渾身の1枚です!?

ビビットな感性で思考しつつ、視線を注ぐ姿が見られました。

 

向陵高等学校

 山梨県富士吉田市から青森県八戸市までは、かなりの移動距離でしたが、そのキツさを払拭する出会いが待っていました。

久しぶりに体育館での公演です。向陵高校では2年前の『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』に続き2回目となります。

ですので3年生は『ヘレン』の公演をよく覚えてくれていました。

100余人の生徒さんと、先生方・保護者の皆さん、とても舞台と客席が近い空間です。

舞台上の俳優は客席との対話を積極的に試み、客席に座るひとりひとりからは、それに応える眼差しが注がれていたような気がします。

開演前には3年生と希望者がバックステージツアーに来てくれて、これから始まる芝居への期待感を示してくれました。

終演後には、全校生徒との記念写真の撮影が行われ、ホームルームのあとには、大勢の生徒の皆さんが撤収・搬出のお手伝いに集ってくださいました。

ちなみにトップの写真は、ジャンヌ役の白根用の小さな戦闘服を着ることが出来、とても似合っていた男生!                                               

その様子を見つつ、ひとりひとりの生徒さんに声をかけていた校長先生、

美味しいおまんじゅうのお土産をありがとうございました!

2年前の色紙を持ってきて見せてくださったのも、嬉しかったです。

  

 

気持ちよく撤収を手伝ってくださった生徒の皆さん、ありがとうございました。

バトン部は8日(日)が東北大会にもかかわらず、一生懸命手伝ってくださいました。

良い結果であることを願っています。演劇部はないけど演劇を目指している彼女も、頑張ってくださいね。

 お忙しいなか、公演成立にご尽力いただいた先生方に感謝申し上げます。

 

『ジャンヌ・ダルク』8週目、地震や大雨、各地で大きな被害が出ている中、無事公演を終えることが出来ました。

各地で被害に遭われた皆さまには衷心よりお見舞い申し上げます。

芝居なんかしている場合じゃないんじゃない? いや、だからこそ芝居を!

心は揺らぎます。でも人と人をつなぐきっかけが、その絆をつくるのが芝居であり得るならば、

待っていてくれる方がいる限り……私たちの旅は続きます。

改めて、私たちの仕事の価値はどこにあるのか、問い続けなければならないと思う1週間でした。

(ヨランド・ダラゴン/ユニコーン役:木村奈津子)

 

 


2018年春・西日本ツアー「ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち」第9週目

2018-07-07 11:03:06 | 全国巡回公演

7月に突入し梅雨も明け、ひときわ爽快な青空とともに『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の旅は第9週目に突入しました。

7月3日(火) 飛騨神岡高校(岐阜県) 同校体育館
7月4日(水) 善通寺第一高校(香川県) 多度津町民会館
7月5日(木) 琴平高校(香川県) 多度津町民会館


飛騨神岡高校

第9週目初日は岐阜県、飛騨神岡高等学校。
たくさんの山に囲まれ、自然豊かな地域であり、心地よいそよ風も吹いていて爽やかなスタートをきりました。

飛騨神岡高校では1993年に『Touch 』、96年には『星の王子さま』、2011年に『ヘレン・ケラー』、2015年には『ハムレット』と5回目の公演です。

バックステージは本番前と終演後に分かれており、まずは公演前のバックステージが始まりました。
一人一人が様々な所に興味を持ち、ポンプや背景幕、舞台装置の下、そしてこの舞台装置をどうやって運んでいるのだろうとトラックの中も見学しました。
中には「ヘレンケラーの伝記を読みました。最後のシーンがどう演じられるのか楽しみにしています。」と声をかけてくれた生徒さんもいて、私たちも本番でみんなと出会い、何を創っていけるのかとワクワクしました。









そして待ちに待った本番。
公演中、彼らが舞台に向ける視線や姿勢は一緒にヘレン・ケラーを作ろうという強いものや舞台に投げかけられる疑問などを感じました。
カーテンコールでの生徒代表の挨拶では「自分たちが普段使っている体育館が新しい空間になっていてとても感動しました」と話してくれ、彼らが大切にしている日常的なものやその日常に突然現れたものを受け入れる彼らの素直な感性を肌で感じました。

終演後は3年生の男子全員と有志の皆さんとバックステージと撤去作業をしました。
バックステージでは役者に成りきり台詞を言ったり、劇団員に舞台の構造や工夫を質問したりと、一人一人が活き活きと舞台を楽しんでいました。









撤去作業も声を掛け合って劇団員とコミュニケーションを取ったり、積極的に動いて道具に触れたり、時には質問を投げかけて、今日自分達が過ごした時間や過ごしている時間をとても濃いものとしていこうとする姿があり、様々な言葉や笑顔で溢れた空間でした。












善通寺第一高校

第9週目2日目は8時間の大移動を終え、善通寺第一高等学校での公演。

この学校では去年公演が予定されていたのですが、台風の影響で延期となり先生や生徒、劇団員もとても悔しい思いをし、絶対にまた公演をしましょう!という強い想いを持って、1年間待ちに待っての公演です。



開演前の様子です。
元気に開場し「おぉー!」と声が聞こえたり、じっと舞台を見つめてる姿があり、公演を楽しみに待っていてくれたのが伝わってきました。
その姿を見ていると去年の悔しい思いがふと晴れて、本番に向かって気が引き締まりワクワクしました。

開演すると開演前の雰囲気が一変、
集中した眼差しと緊張感のある客席で舞台に立ちながら観客の存在感をひしひしと感じ、様々な事を思考する空間を作り上げてくれました!
終演後、担当の先生も同じように生徒さんたちの集中した姿勢や観る力を感じたようで、興奮気味に生徒たちに「みんな素晴らしい姿勢で観ていたと思います。今日感じた事を大切にしで下さい」と声をかけていました。

終演後はバックステージと座談会もおこないました。
バックステージ、座談会には演劇部の皆さんが参加しました。
ポンプや玄関を見て「おぉーすげぇ」と、間近で見ると本番中とはまた違う驚きがあると伝えてくれました。
驚いた後はすぐにポンプ土台や玄関、衣裳などはどうやって作ったのか詳しくきいていました!






実際に衣裳を着て舞台に上がってみました!


座談会では劇団に入ったきっかけや照明の仕込み方、ハプニングが起こった時の対処の仕方などたくさんの質問をして劇団員の話を聞いてました!





この日の公演は去年の悔しさから先生方や生徒さん、多度津町民会館のスタッフのみなさん、劇団員などたくさんの人の力が1つになってできた公演だったと思います。
素敵な一日になりました。




琴平高校

第9週目3日目は琴平高等学校。

琴平高校は2015年「ジャンヌ・ダルク」の公演に続き、2回目の公演です!

写真は開場中の様子です。
男子生徒も女子生徒もみんなが仲睦まじい様子で、とても賑やかな雰囲気で開演しました!



本番中はヘレンとアニーが取っ組み合いをしているシーンではクスッと笑ったり、ポンプから水がでると驚くような反応があり、ラストシーンでは前のめりになって観ている生徒さんも見えて、一人一人が様々な反応を持って色んな視点から舞台を観ているのが印象的でした!
終演後の代表の生徒さんの挨拶では、「サリバン先生がヘレンに触れ合い続けてヘレンが変わっていく姿に感動しました。」と芝居を観て感じた事を綺麗な花束と共に率直に伝えてくれました!



そして終演後は役者全員で送り出しをしました。
サリバン役の高階やヘレン役の倉八に感想を伝えてくれたり、お父さん役の酒井に「お父さん!」と言って手を振ったり、とても明るくて元気をもらいました。





そして、5日の午後に予定していた「丸亀城西高等学校」、6日の午前に予定していた「多度津高等学校」、6日の午後に予定していた多度津町民会館主催「多度津中学校」での公演は、非常に残念ながら大雨、洪水の影響で中止となりました。
去年に続いて天候に恵まれず、悔しい思いもありますが、まずは地域の皆さんの安全が最優先です。
被災地の皆さんのご無事をお祈りするとともに、また元気な姿で改めて出会える事を劇団員一同願っています!

文:蒲原智城 (ジェイムス・ケラー役)


2018年春・西日本ツアー「ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち」第8週目

2018-07-05 15:57:59 | 全国巡回公演

6月25日(月) 宿毛高校(高知県) 同校体育館
6月26日(火) 広島大学附属東雲中学校(広島県) 同校体育館
6月27日(水) クラーク記念国際高校 広島キャンパス/広島修道大学附属鈴峯女子中学校・高校(広島県) 西区民文化センター
6月28日(木) 倉吉西高校(鳥取県) 同校体育館
6月29日(金) 倉敷市立真備陵南高校/倉敷市立真備中学校(岡山県) マービーふれあいセンター


5月7日に出発した春のツアーも早いもので8週目に突入しました。
24日(日)、高知県は宿毛(すくも)高校の仕込みから始まりました、
因みに宿毛(すくも)とは枯れた葦のことだそうです。
その昔、葦原だったことからこの地名になったそうです。

宿毛高校

さすが南国土佐!
公演前日、今ツアー初めて本格的な夏を感じさせる太陽の下、2階の体育館への搬入。
生徒支援部の先生方が待機して下さっていて、大汗をかきながら手伝って下さいました。
本当に助かりました!
こちらは“風”3度目の上演です、
公演当日は最高気温になる前の午前中の開演だったので、快適とまではいかないまでもそこまでの暑さはなく、とても大きな体育館だったこともあって、生徒さんたちにはゆったりと鑑賞してもらえたと思います。
上演中もリラックスした時間が創られていきました。
人権教育の一環とのことでしたが、その場で展開されていることが何なのか考えながら観てくれている客席でした。
終演後はお昼の時間と休み時間を使って、大勢の生徒さんたちが入れ替り立ち替り見学に来てくれました。
そして、撤去には午後の時間空いている先生方もまた入れ替り立ち替り力を貸して下さいました。
前日も頑張って下さったとても細身の女性の先生がドアの装置が出てきたときに、あっ!あれ運んだ!って思いましたと笑顔で言って下さったのは嬉しかったです。
先生方の頑張りを生徒さんたちはしっかり感じたのではないかと思います。
こちらでは、何と親子二代に渡ってこの学校で“風”の公演を観ている生徒さんもいました。
歴史を感じます。






突然参加の生徒さんたち!


広島大学付属東雲中学校

宿毛高校に続き、こちらも“風”3度目の上演です。
この日も朝から暑い一日でした。
搬入や仕込みの際、行き合った生徒さんたちが笑顔で挨拶をしてくれる清清しい始まりでした。
ヘレン・ケラーの人たちだと友達と話している声も聞こえて来ました。
この日を楽しみに待っていてくれたことが分かりました。
鑑賞行事を担当されている先生は東京の拠点劇場、レパートリーシアターKAZEにも何度か足を運んで下さっていて、期待の程が伺えます。
いざ、開演。
午後になり気温と湿度も上昇。
生徒さんたちは肩が触れ合うくらいの客席、平日の昼間にも関わらず30名の保護者の方も参加して下さいました。
生徒さんたちは今期一番の蒸し暑さの中、真剣な眼差しを舞台に向け食い入るように観てくれました。
特別支援学級の生徒さんたちがお互い寄り添うようにしていた姿がとても印象的でした。
そして、カーテンコールでは感極まった生徒会長さんが涙を流しながらアニーが一生懸命ヘレンに教えている姿に感動しました。これからも色んなこと探求して、作品を創っていって下さいとエールを送ってくれました。
思わずこちらも泣いてしまいました。
終演後は希望者30名の生徒さんたちがバックステージツアー、その後は座談会と撤去作業に別れてそれぞれ楽しみながら、時には仲間どうし盛り上がりながら元気に参加してくれました。



カーテンコールで学校のロゴ入りトートバッグと多色ボールペンをいただきました!
大事にします。
ありがとうございました。







27日(水)、この日は広島市西区民センターにて午前、午後の2ステージ。

1ステージ目は

クラーク記念国際高校 広島キャンパス

2年前の『ジャンヌ・ダルク』に続き2度目の上演です。
前日、私たちは東雲中学校の公演を終え、その足で西区民センターの仕込みをしました。
ぜひ見学をしたいという6名の生徒さんたちが先生と一緒に待っていてくれました。
ひと通り荷物が搬入されている様子を見学。
アニー・サリバン役の高階ひかりが案内人を務め、大道具、小道具、衣装などまだ見ぬ『ヘレン・ケラー』の世界に触れてもらいました。
それぞれに興味があることを熱心に見たり聞いたりしてくれました。
公演当日、こちらも人権行事のひとつとしての公演でした。
開演前、鑑賞行事担当の先生から生徒の皆さんに向けて事前学習をしましたね?そして今日が本番です。でも、この時間だけではなく、事後学習までが人権の時間です。この場で感じたことをこのあとも一人ひとり
考えて欲しいというお話でスタート。
本当に一人ひとりの目線で、視点で感じたことを捉えながら観ている。
そんな時間だったと思います。
終演後、生徒さんたちのお見送りに出た高階がひとりのお母さんから、昨夜うちの息子が見学に来てアニー役の方にいろいろ案内して見せてもらった話を聞いて、今日観に来たんです。と声をかけていただいたそうです。
私たちにとって嬉しい報告です。
バックステージツアーもたくさんの生徒さんたちが参加してくれました。








2ステージ目は

広島修道大学付属鈴峯女子中学校・高校

こちらは3度目の上演。
開場の時間、女子校ならではの楽しそうな声が聞こえていました。
保護者の方の姿もモニターに映し出され、予想以上に多くの方がいらして下さってました。
生徒さんの司会で開演。
とても自由な、楽しみながらの観劇。
俳優の細かい動きまで捉えて反応を返してくれました。
休憩時間、この日会場に来ていた劇団員がお母さんたちがヘレンの気持ちになって、あら~とか、見つかっちゃった!とか言いながら観ている。のが面白いと言っていました。
そんな空気感も生徒さんたちに伝わっていたのでしょう。
賑やかな雰囲気で、きっとのびのびと生活しているのだろうと思わせる客席でした。
人権教育の一環だったのでしょうか?
終演後、校長先生が生徒の皆さんに人の事を考えられる人になって欲しいと語っていらっしゃいました。
その後は演劇部の生徒さんたちとバックステージツアー&座談会。
私たちが会場を出るまで一緒にいてみんなに色々な話をしてくれました。
来年度から共学になるとのこと。
女子校としての歴史は閉じられますが、新たな一頁が開かれます。
どんな学校になっていくのか、私たちも楽しみにしたいと思います。









倉吉西高校

鳥取県文化振興財団主催の公演でした。
朝、搬入を野球部の生徒さんたちがお手伝いしてくれました。
とっても助かりました!
開演前、何とこちらは鑑賞行事を行うのは二十数年ぶりとのこと。
思いきってやってみることにしました。と、鑑賞行事担当の先生が生徒さんたちに話されました。
どんな公演になるのか、舞台袖で聞いていた私たちも一瞬、身が引き締まる思いでした。
この日もムシムシするじっとりした暑さの中での公演でした。
しかし、生徒さんたちは乱れることなく舞台に集中してくれました。
本当に素晴らしい態度でした。
終演後、生徒たちみんな良く観てくれて、やって良かったという先生の言葉は私たちにとっても喜びとなりました。
文化祭を二日後に控え、もう一度出演者が舞台に上がり質問コーナーへ。
演劇を創る生徒さんたちから、
演技をする上で大事にしていることは何ですか?
声は通るが、セリフをちゃんと伝えるにはどうしたらいいですか?
あさって本番なのにまだセリフを覚えていません。
転び方を教えて下さい。
という質問をもらいました。
それぞれの答えが参考になればうれしいです。
希望者を募ってのバックステージツアー、座談会の中で質問コーナーで聞けなかったことや感想がそこここで話されました。
そして、撤去は有志の皆さん。
途中から文化祭実行委員会のみなさんがお手伝いしてくれました。
ありがとうございました!
またこの日は偶然、財団の担当の方の母校で、しかも、当時担任をされていた先生が校長先生になられていて、驚きの再会を果たすという素敵なエピソードが生まれました。
楽しそうに文化祭の準備をしている生徒さんたちに見送られながら、私たちは明日の準備のため岡山県は倉敷市のマービーふれあいセンターに向かいました。


朝の搬入を手伝ってくれた野球部の皆さん




ヘレンがいっぱい!

今週のラストは、たけのこのふるさと倉敷市真備町での2ステージです。
偶然にも両校記念の年周りでした。

1ステージ目は

倉敷市立真備(まび)陵南高校

こちらは県内の他の高校で『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を上演した後、生徒さんが学校のホームページに生きる幸福を感じる舞台だったという書き込みを見て、これを生徒に見せたいと思われた先生が連絡下さったところから上演に至りました。
昨年度のことだったので、残念ながら連絡を下さった先生は他校へ転勤されて当日はいらっしゃいませんでした。
いつかご覧いただけることを願っています。
このような先生の思いを引き受けての公演。
校長先生の70周年の記念にぜひ、いい演劇をみんなに観せたいと思いました。演劇はみんなで創るものです。いい演劇にしましょう。というメッセージで開演。
生徒さんたちはこの言葉をしっかり受け止めたくれたようで、舞台上で起こっている出来事にまっすぐ向き合ってくれました。
終演後は事前に行われたヘレン・ケラークイズの全問正解者にプレゼントということで、舞台上で出演者全員との握手と記念品の贈呈が行われました。
22名の参加者のうち8名が全問正解。
うちお一人が先生でした。
6回通信を出し、7回目に穴埋め問題が出されたそうです。
先生方の70周年を盛り上げようという意気込みを感じました。





 


倉敷市立真備(まきび)中学校

いよいよ今週ラストのステージ、こちらは50周年記念行事。
開演前ご担当の先生が、一昨日たまたまラジオを聞いていたら27日はヘレン・ケラーの誕生日だったそうでヘレン・ケラーが遺した言葉をいくつか紹介していました。

世界で最も素晴らしく、

最も美しいものは、

目で見たり

手で触れたりすることはできません。

それは、心で感じなければならないのです。

この言葉が一番印象に残りました。ぜひ心で感じて欲しい。
と、生徒の皆さんにメッセージを送られて開演。
余談ではありますが、サン=テグジュペリも『星の王子さま』の中でかんじんなものは目には見えないんだ。心で見なくちゃね。とキツネに言わせています。
『星の王子さま』も私たちは上演しています。
改めて響いて来ました。
そんな私たちも含め、心で感じるとはどういうことかという事に真摯に向き合いながら『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』を観客の皆さんと共に創った2時間を過ごせたと思います。
終演後、予定にはありませんでしたが、先生から生徒たちにぜひ舞台を見せてあげて欲しいという申し出をいただき、急遽バックステージツアーを行い、そのまま客席にて座談会。
たくさんの生徒さんたちが参加してくれました。
『ヘレン・ケラー』のことだけに留まらず劇団の活動全般、国内のツアーから海外公演、東京での活動に至るまで質問をしてくれていました。




(写真のブレがヒドくてごめんなさい!)


今週も大勢の生徒さんたち、先生方、時には保護者の皆さんまでもがバックステージツアーや座談会に参加して下さいました。
大道具や小道具、衣装の細かいところや本当に小さなもの、隠れたところにまで興味を抱いて実際に触ったり、覗いて見たりしてくれたこと、質問や感想、エールを直接伝えに来てくれたことは本当に嬉しく思うと同時に、様々な発見に繋がりました。
たくさんの素敵な言葉が私たちの中に残っています。
そして、搬入や搬出を手伝ってくれた生徒さんたち、先生方、公演実現に向けて尽力下さった全ての方々に心から感謝しております。
素晴らしい出会いと時間を本当にありがとうございました。
あと3週間弱、皆さんからもらったものをエネルギーに“風”は元気に駆け抜けて行きます!

いよいよ夏本番、暑くなりますね。
皆さまくれぐれもお身体にはお気をつけてお過ごし下さいませ。

いつかまた、どこかでお会いできますように!

ケート・ケラー役 仲村三千代


2018年 春 『ジャンヌ・ダルク~ジャンヌと炎』 東日本巡回公演 第7週目

2018-07-04 19:52:51 | 全国巡回公演

「ジャンヌ・ダルク~ジャンヌと炎」の東日本ツアーも7週目に入りました。
旅も中盤を過ぎ、毎日の「出会いの場」をつくるために、みんながそれぞれの力を発揮しています。

この週は、

6月25日(月) 仙台第二高校 仙台市民会館

     26日(火) 仙台第三高校 イズミティ21

     27日(水) 紫波第二中学校・紫波第三中学校 紫波第三中学校体育館

の3ステージの公演でした。

印象に残った言葉から、この週の公演を振り返ってみようと思います。

 

仙台第二高校

「演劇は歴史の事実を知るためだけに見るのではありません。
 私は、現代にもたくさんのジャンヌ・ダルクがいると信じています。
 舞台から多くのメッセージを受け取りましょう」

開演を待つ生徒たちを前にして、教頭先生が話された言葉です。
もちろん、ジャンヌ・ダルクは歴史上の人物ですが、いまから始まる舞台を見せたいと思った先生の想いは、きっと生徒さんたちにも伝わったのではないかと思います。
自由な明るさのなかにも、真剣さと思慮深さを持った客席だと感じました。
現代のジャンヌ・ダルクでもある観客たちが、この日の舞台から何か刺激を受けてくれたらと願っています。

会場直後、生徒さんたちの期待が伝わってきます。

行事の進行を務めた図書委員のみなさんとの座談会。多くの意見が交わされた充実した時間でした!

 

仙台第三高校

「ジャンヌが劇中でされた仕打ちは本当にひどいものだったが、それを自分の力に変えたジャンヌの姿に感動しました。
 この時代でも同じ。
 自分の力で切り開いていきたい」

 終演後のカーテンコールで、図書委員長さんが涙を流しながら必死に語ってくれた言葉です。
 舞台に立つ私たちも思わず涙ぐんでしまうくらい、その気持ちが伝わってきました。
 彼女はその後楽屋を訪ねてくれて、さらに舞台の感想を話してくれました。

「ジャンヌは、国王をはじめ自分を裏切った人も許した。
 人というのはもろくて弱い存在だと知ったうえで、人を愛し、信じる力を持っていたのだと思う」
 まさに「現代のジャンヌ・ダルク」との出会い。本当に感動し、嬉しくなる瞬間でした。

楽屋を訪ねてくれた図書委員長さん。素晴らしい感想をありがとう!再会を願っています!!

また教頭先生が、「生徒たちが引き込まれていた。彼らのつくる会場の空気がすごかった」と驚きながら話した通り、非常に集中した客席でした。

舞台そのものよりも、生徒たちを褒めていた教頭先生の言葉が印象的でした。

 

紫波第二中学校・紫波第三中学校

「精一杯の声を出した この瞬間がいつかきっと
 君が生きていく力に 変わる時が来るから」

終演後に両校の生徒たちが一緒に歌ってくれた合唱曲『時を超えて』の歌詞の一部です(トップの写真はその合唱の様子です!)
神の声を聞いたジャンヌが、民衆を立ち上がらせるために声を上げ、その後自分を裏切ったものたち、裁判官たちに対しても声を振り絞り、そして自分を火刑にかけた死刑執行人にも優しく許しの声をかける・・・。
そのジャンヌの「精一杯の声」が、観客たちの生きていく力に変わるなら、これほどうれしいことはありません。
2校の生徒さんがみんなで一緒にひとつの経験をするというのは、そんなにないことかもしれません。
彼ら彼女らの声は間違いなく私たちに届きました。そして、彼ら自身をきっと励ますはずです。

体育の時間を利用して、生徒たちが仕込みの様子を見学に来てくれました。ブナの木の素材感に興味津々!

会場となった紫波三中の生徒さんが、積極的に撤去を手伝ってくれました。ありがとうございました!

これほど多くの生徒さんが手伝いに来てくれました。先生方も含め、いい表情です!

 

この週の3公演はすべて、3年前に『ヘレン・ケラー』で公演した学校でした。

ひとつの出会いがまた次の出会いを生む、その出会いの連鎖は私たちがとても大事にしていることです。出会いそのものが私たちの演劇とも言えます。

生徒のみんなにとっても、公演の場が、何か自分自身の大切なものと出会う場になってほしいと願い、日々の公演を続けています。

 

田中賢一(語り手役)