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成田 正の楽屋入り口 by STHILA COMMUNICATIONS

SMEのターンテーブルのことなど

2010-10-25 22:38:33 | ●Audio&Visual
 噂には何度も聞き及び、しかし、生の姿を見たことのない名機、銘品に手を触れ腰を引く。こんなこったあ滅多にあるまい、という強力な感動体験を昨日してきた。音楽之友社・月刊『Stereo』誌の取材アシスタント役で、SMEのターンテーブルMODEL20MkIIに何度も触った。代理店HPから拝借(どうかお許し下さい)したトップ写真のが、アーム抜きで税込1,995,000円。それでいてこれがハーマン扱いのミッドクラスとまだこの上の上があり、他社に目をやればまだそのはるか上もある。僕にはその凄さを解読できる能力はないが、見て触って知ることの大切さを思い知らされたのが何より嬉し楽しだった。
 と、これ以上に細かなことは、この取材企画のバンド・リーダーを務めた田中伊佐資さんに礼を失するので口チャックだが、試聴につき合わせてもらったMC中心のアナログ・カートリッジが、なんと20種類で、価格帯は52,500円から399,000円までワイド・レンジ。ひとつひとつの大半に何らかの個性があるうえ、お高くなるほど充実感も上げていき、だが、しかし、おーっ、コレだ!! となるのと、それがぴったり経済的な身の丈から飛び出すのとほぼ一緒。これぞまさに喜び極まれば憂いを生ず、でもあった。
 ただ、こういう取材を、たかがレコードを聴くマニアの畑仕事と傍観する人も少なくないかも知れないが、これって実は、様々なカートリッジにインタヴューしていくのと同等の仕事。音が厚い薄いなどこっちが何を言ったところで相手は反論してこない。その代わり、最初っから反論含みで僕たちをいい意味で攪乱しにかかる装置ってなことなのだ。音楽的であるかないかが鍵になるはずだ。
  

ステレオのオルゴール

2010-10-21 23:41:38 | ●Audio&Visual
 総武線・信濃町駅から歩いて5、6分のところにある民音音楽博物館に行ってきた。いやはや、凄かった。民族楽器、チェンバロや歴代ピアノ各種、オルゴールや蓄音機など貴重種があれこれズラリ。目当ては蓄音機だったものの、いちばんやられたのは、2枚のディスクを同時に回す、ステレオ・オルゴールの超常美学的響き。これを聴きにもう一度、いや、二度三度と足を運びそうだ。こういう館の存在すら知らなかったのは僕だけだろうか。どうあれ、未見の人には誠に僭越になるのを承知で、知らないより知っておいた方がいい、と言いたい。音楽と音に関心があれば、1週間通い詰めてもまだ事足りないかも知れない。
 それに気を良くして、ディスクユニオンで『ワルツ・フォー・デビー/ビル・エヴァンス』の限りなく初版に近いアナログを、5800円也で購入したところ、A面1曲目がグログロにワウって意気消沈も限界超。そこで、目視の検盤も試聴もせぬままでは、クレームも通らないかもとダメもとで電話を入れたところ、ユニオンご立派、というか当たり前と言えば当たり前、「申し訳ありません」とあっさり決着。が、ご破算になったのは結構だけれど、これでまたも中古LP購入に伴うリスクの大きさを痛感した次第。楽器もレコードも、ヴィンテージ至上主義には要注意だ。

マイルス・デイヴィスの箱モノ大攻勢

2010-10-11 17:01:16 | ●Weblog
 最新のBOXセットは、楽器ケースのレプリカ入り。値段も値段ながら、物量も桁外れ。音楽を聴くための買い物としては、大漁まとめ買いもいいところで、聴くために買う人が一体どれほどいようか。とか言いつつ、どっちかに手を出しそうで、目下、秘密裏に頭を抱えているところ。今篇は気まぐれで写真にリンクを貼ったので、色々な意味で頭を抱えるのがお好みの方はポチっと。  そんなこんなを引きずりながら、今日はターンテーブルのクリーニングと注油に大汗をかいた。プロセスを写真に残すなんてもってのほか。オイルを入れた注射器をモーター部に当てる時は、シャッターを切る時のようで息を止めてるものね。その代わり、かいた汗の分だけ精神衛生上スマートになれる、という体育の日となりました。

東洋化成

2010-10-10 17:33:41 | ●Audio&Visual
 先週の6日(水)、本邦唯一のアナログ・カッティング&レコード・プレス会社の東洋化成で、色々と勉強させてもらった。その訳は、55 Recordsがハンク・ジョーンズの未発表作を、SHM-CDとアナログで同時リリースするためで、予定どおり行けば、『Discoveries』の題で12月15日発売となるはず。業界の冷え込みが止まらない中、かなりの英断だろうが、これぞインディーズ、社主の好きこそ物の上手なれ、だろう。こっちもこのネタをどこにどうまとめるか知れない、いわば手弁当の仕事。それでも現場を目の前にすると、「取材」のふた文字にこめかみの辺りを押される感じに、おおーっ、まだ大丈夫だ、などと。ただし、皆さんに「生まれて初めて見る」と言っておきながら、実は学生時代に一度だけ見学ツアーに行ったことを、帰ってから思い出した。改めて見て、いちばん面白いのはやはり、AB面のラベルに挟まれた、プレス直前のヴィニール塊で、向こうではこれをビスケットと呼ぶそうだが、僕にはどう見てもダブル・チーズバーガー。これがスタンパーにグワシと押しつぶされながら、30センチLPの命を宿すって、今さらながら凄い発明です、コレ。
 そこで今日、お借りしたテスト・カットをかけつつ、一方でレコード・スタビを載せたり取ったり。手前の青いやつ以外は、お世話になっている「PC STAFF」社主からの借り物(感謝です)。青いのは「ムサシノチェッカー3」といって、山本巨匠イチ押し、田中伊佐資さん推薦の順でついこの前手に入れた優れモノ。右上はニコン一眼のボディ・キャップ。上の砲金1.8キロは怖くて試せなかったが、この三つなら、ムサシノが金メダル、テクニカ639が銀、左のテクニカが銅。明日に予定していたTD124のオイルメンテがますます楽しみになってきた。