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成田 正の楽屋入り口 by STHILA COMMUNICATIONS

久しぶりの電線

2008-02-23 00:49:40 | ●Weblog
 前からちょくちょく吹聴してきた、公道に立ってる電柱トランスから家屋の電力計(メーター)までを、新品SV38ケーブルで直結する張り替え工事がやっと終わった。その目的の先頭ランナーは確かにオーディオ畑を走ってはいるが、効能がそこに限らないのは、これも前から耳学問で喧伝してきた通り。いかなる高級食材も、ボトルネック現象なしの綺麗な水(電源)でもてなさない限り、その品位に応える料理の味を絶対引き出せない。とは、ロスの田口さん曰く。すると一方、オーディオ専用回線以外にブラ下がっている、たとえばハイビジョンTVとか洗濯機とか冷蔵庫もその恩恵に浴すらしい、ということなので、ご近所の皆々様、ワゴン・クレーン車2台、交通整理係さんを入れ8人編成のリトル・ビッグ・バンドによる喧噪が、あくまで省エネ、地球環境を憂慮したあげくの顛末だったのをご理解いただき、この件どうか丸く収めて頂ければと切に真摯に願う次第です。実際のところ、炊飯器のご飯の炊きあがりが前よりふっくらツヤツヤ、冷凍室の野菜がしおれない、など、二度寝の夢にいっぱい出てきて参った。オーディオの方はというと、張り替え直後の音像が、テレビなら「16対9」が「4対3」に戻っちゃった感じに、真っさらな電ケと差し替えた時のショックを思い出したが、「打てば鳴る」官能のデリカシーは、のろまな電ケのはるか上を行く。つまり、エージングという行為に、肌で直感できる「やりがい」が付いてきた。そのお供は、学友Kと一緒にハマった『The Phat Pack/Gordon Goodwin's Big Phat Band』で、僕には中でも6曲目。音の彫りは浅いけど、速度感と付き合うには、これに勝るビッグ・バンド作品もないと思う。

ヘッドフォンとプリウス

2008-02-16 23:06:32 | ●Weblog
 田舎住まいなので、電車で入京するにはiPodと新聞雑誌類を欠かせない。にもかかわらず、iPodの音楽ライブラリー更新が今年初めてになったのは、「インポートの方法」をWAVの48kにしようがAACにしようが、移動中のヘッドフォンで聴く限り音質に大差なく、MP3で十分だという確かな諦念が住み着いてしまったから。きちんと「固定オーディオ」で聴くのとiPodで聴くのとでは、時によって物によって音楽の腰つきから表情まで全然別モノ。だから今は、ノイズ・キャンセリング・ヘッドフォンにケーブルを挿さず、車中では消音目的だけに使って、音楽をほとんど聴いてない。という矢先にドキっとさせられたのは、それして通奏ノイズ半減、耳ホカ・モードで裏道を歩いていると、トヨタのプリウスがモーター・ドライヴ・モードで後を付けてくる格好になった時。振り向けばそこにいると思えなかった車が、なんかキョトンとした顔つきでうしろにピタっと。クラクションでも鳴らされようものなら、呑んでなくても喧嘩が始まっておかしくない窮状。CO2排出量の抑制には大賛成だが、どこかがいつもミシミシ、ゴトゴト言ってる車ばかり乗ってきた僕にとって、あの静けさは限りなく怖い。だが、それだけに欲しい。いやしかし、もうすぐ4度目の車検整備の自家用車が走行わずか1万6000キロだ。車を持てるようになって初めて、車なしの生活図をぼんやり頭の中で書き始めるようになったのは、朝日新聞Be(16日付)の“しのびよる「クルマ離れ」”を読んだからではない。なお、昨日アイポに取り込んだタイトルは、『オーチャード~禁断の果実/リズ・ライト』。箱庭の小さな椅子で音楽を聴ける春が待ち遠しい。

第50回グラミーとジャズ

2008-02-13 23:18:41 | ●Weblog
 ハービー・ハンコックが通算11個目のグラミーで遂に主要部門の「Album Of The Year」を初受賞。同時に「Best Contemporary Jazz Album」部門も。それにしても主要部門の栄冠に輝くとは、作品がジョニ・ミッチェルねただろうがオリジナルだろうが、この際どうでもよくなってきたに違いない。しかも、ハービー曰く「ジャズ・ミュージシャンの受賞は、1965年の『ゲッツ/ジルベルト』以来43年ぶり2度目のこと」。これには異論がないわけではないが、実際そう言えなくもない一面も。ほかでは、マイケル・ブレッカーの2部門制覇と、『Brown Street/Joe Zawinul』のアレンジ部門での受賞。07年に没したふたつの巨星へのレクイエムにもなった。見落としがちなのは、「Best Classical Crossover」のタートル・アイランド・カルテット、「Best Instrumental Composition」のマリア・シュナイダー、「映画・テレビ用音楽」のサイーダ・ギャレット、「歌伴編曲」のジョン・クレイトン、功労賞には07年に逝去したアル・ヴィオラなど。驚いたのは、林屋小さんと額賀大臣を混ぜたような顔つきになっちゃったクインシー・ジョーンズと、赤鼻のアンディ・ウィリアムス。これはハイビジョン映像の功罪と言えるかな。いずれにせよ毎回共通して否めない、対岸の花火を見聞きするかのような気分は、こちらの勉強不足から来るものなのかしらん。

バーニー・グランドマン

2008-02-12 01:18:58 | ●Weblog
 第50回グラミー授賞式のWOWOW放映、朝の同時中継に付き合えなかったので、夜版をさっきチェック終了。で、あれこれ御託を並べる前にひと言、最後の最後にハービー・ハンコックと一緒に登壇した、ステージ右端の銀縁眼鏡のオッサンが、NARASにマスタリングの重要性を知らせた、かのバーニー・グランドマン。評判は色々らしいけど、僕はこの人の音が大好き。前項、ゴードン・グッドウィン作品もこの人の仕事。チック・コリアのところのバーニー・カーシュが録音して、バーニー・グランドマンがマスタリングすると、「ダブル・バーニー」と呼ばれ鬼に金棒らしい。ロスで一度お会いした限りだが、愛嬌がまったくない分だけ、こちらの共感はパンパンに膨らんだ。なお、『The Phat Pack/Gordon Goowin's Big Phat Band』の録音技師はトミー・ヴィカリ。 

オーディオとジャズ・クラブ

2008-02-05 00:18:16 | ●Weblog
 オーディオ熱をたぐり寄せてから、ある程度まで音を追い込んだクラブのショウが面白くて仕方ない、というところの昨夜のブルーノート東京での「PATTI AUSTIN meets GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BANDには、音楽、音響、音質など様々な意味で溜飲を下げたってこればかりは「私の今日の出来事」みたいな備忘録嫌いも、口をつぐんでいられなくなった。ビッグ・ファット・バンドの最新作『The Phat Pack』は、リードもブラス・セクションもリズムもビートも、クラスターまで寸分なく合い過ぎなので、プロトゥールス・レコーディングの加工術が奏功したアンサンブルかと疑いをかけてきたのがこのライヴ・ショウを心待ちにした近因だったが、いやはやとんでもない、ブリブリ、パリパリ、ヌルヌルなど、いかなるハーモニーもCDとおんなじ。これには、お抱えエンジニアが卓を操作したしない(実はしていた)と関係ない、奏者ひとりひとりの出音の確かさが物を言っている感じがビシビシ。仮にノンPAでやったにしても、何人かを医務室送りにしておかしくなかった(いや、どなたも行ってません)。詰まるところ、かのパティ・オースティンがバックに食われた。または、歌手、バック共に凄過ぎたってことで、今日5日(火)が最終日。その翌夜からブルーノート東京はセルメンと来るから大変なことになった。それと閑話休題、このくらいの時刻、24時ちょい過ぎから、ウチのオーディオのSNが急に良くなる。聴いているのはブルーノート東京入りする前に新宿のタワレコで買った『Silverline/Gordon Goodwin Big Phat Band』。それで分かったけど、このビッグ・バンド、少々これみよがしのところがあるね。