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成田 正の楽屋入り口 by STHILA COMMUNICATIONS

音のホームセンター

2010-11-28 23:36:05 | ●Audio&Visual
 昨日、ロスから帰国中の田口晃さんに、オーディオ診断のため我が家までご足労頂いた。歯に衣着せぬ訓言の速射砲と呼ばれ、いかに弾数を費やしても的を外さない。そのことが胸に染みてよく分かった。的に当たったアドヴァイスは数知れず。さすがバーニー・グランドマン・マスタリングなど業界トップの随所からお声がかかるはずだ。それだけにこっちにとって怖かったことこの上なし。ボコボコに叩かれたら「音質探検隊」なる企画ページをジャズ誌でやってる手前、身も蓋もないもの。が、幾分遠慮頂いたのか、深手の傷を負わずに済んだうえ、ビシっと一発、僕自身もなんとかせねばと苦悶してきた患部の治療法を授かった。「素抜けのスピーカー背面を壁とツライチで埋めろ」と。そこでひとまず、FAPSのRaswall反射面を手前にして、写真のように配置するとだ、歌やベースなど左にふらつく傾向のセンター定位が、するっと真ん中に集まってきた。が、このままでは向こう奥にあるトイレに行けない、など、オーディオ専用室を持てない一般平民の悲喜こもごもも、比例するように襲ってきてやれやれ。年が明けても幸せボケのままいられれば、世話になってきた工務店の親分に相談してみようと思う。いずれにせよ、ロスからの特使の厚遇には平身低頭で深謝。ありがとうございました。

kontrapunkt b

2010-11-22 23:45:44 | ●Audio&Visual
 「SMEのターンテーブルのことなど」で書いた『Stereo』誌の最新12月号を読んだぞ、というメールがポンポン来た。古くからのダチの大方は「テキトーなことばかり言いやがって」で、久しぶりに便りをよこしたヤツは「ゼーブンとデコ剥げ進んだな」と余計なお世話もの。「オーディオに行ったところでお前の耳じゃあ無理よ」とは、映画学科録音課の学友。「耳より懐が追いつかない」と返事しておいた。で、そこに折良くというか運悪くと言おうか、TさんからオルトフォンのKontrapunkt bをいかがとのお誘い。そのタイミングの良さに降参、そして、歴史が磨いた表現世界の深さに驚嘆。EARの834Pが、MCカートリッジのためのものであることも分かった。もちろん、上には上があるのを承知の上で。今日は、どこが優秀録音なの、というままきた『モントルーのビル・エヴァンス』(ラベルに溝ありの初版周辺モノ)に、酒抜きで仰るとおりです、と。『モーフ・ザ・キャット/ドナルド・フェイゲン』の2枚組LPは、小音量でも低音が特盛り。早いうちにリード線をなんとかせねば。

階段の一段飛ばし

2010-11-16 22:14:20 | ●体育会系
 達成感の反意語は敗北感らしい。それを今日、西国分寺駅で武蔵野線から中央線に乗り換える時、まざまざと味わった。いつ頃までだったか、上り階段の一段飛ばしに不自由を感じなかったのが、あれれ、5回もやると思うように足が上がらずころびそう。息を切らしながら、「老いは足から」を黙唱して今年の反省ノートに刻み込んだ。上下中央にバランスがとれたエクササイズでないと巧いこといかないのはオーディオと一緒。鉄棒や腕立て腹筋に懲り過ぎて、これぞ灯台もと暗しってやつだ。が、こうした一種の窮状に巻き返しをはかる快感を忘れないのが体育会系だ。体重を落とすより上げる方が楽なのに似ている。炎暑時でなかったのもこれ幸いだ。写真は、誰彼に説明するたび首をかしげられる、我が仕事部屋の鉄棒。この後、棒前にからだが行った時、重心を浮かせると同時に、一気に逆手に持ち替える。笑われようがバカにされようが、これでここ3年、「私は今日まで生きてきました」なのだ。明日からまずスクワットを再開することにした。

変な達成感

2010-11-13 16:43:52 | ●Weblog
 報酬の来る仕事を何ひとつしなかったのに、何だろうこの達成感は。まず朝一、新調した象印のスチーム加湿器が届き、小一時間ほど試運転すると湿度30%代が50%代に跳ね上がって、喉がホコホコ。勢い車のガソリン補給。遠出の予定なしだから10リットルだけ入れ、ふと見るとセルフ洗車が空いたので「超撥水1000円コース」でゲートイン。そこまではいい調子が、いきなり酒飲み特有の、お腹キュルルーン。つまり、爆撃命令だ。が、車から出られない。ずいぶんな理力を使って凌いだ。継いで近くの回転寿司で栄養補給後、行きつけの床屋へ。そこではいつものチーフの手が空かず、理想とする『大脱走』のマックイーン体とはほど遠いものになった。ダラっと家に帰って、前項のHDtracksでMy Accountだけ取っておこうとすると、「For the time being, HDtracks only sells to U.S. Residents」と出てあ痛た~。ただ、おかげで考えがひっくり返った。すでにSA-CDなどの高音質盤を持っていて、敵がミニマム・オーダーの一線を厳しく引いてこなければ、これっというのに狙いを絞った1曲釣りで行けばいいのだと。これかな、達成感にいちばん効いたのは。夜はトップ写真の『Conversations/Jim Hall & Joey Baron(正真正銘のデュオ)』(ArtistShare)にずっぽり。手配を代行してくれた55 Records社主氏に深謝。ジムホさんの大冒険にはまたも脱帽ってなことで。

ウェスの手の甲

2010-11-10 22:41:51 | ●Audio&Visual

 アナログにがっつりハマると、CDSA-CDが気になって仕方なくなる。まさかそんなはずではとか、落差への興味は次々と止めどない。逆もまたまんまと正なりだ。贅沢な話に思えるかも知れないが、ハイエンド機のひとつとないウチを羨む人などいないだろう。ただ、目下話題のSHM仕様SA-CDの話題に付随して、解説の執筆陣にSA-CD再生環境にいない人がいると知ってあれっ? それはちょっとなあと。こういう手の原稿書きは、安手の機器だって構わないと思う。聴いた体験の積み重ねこそ物を言うからだ。機器を手なずけさえすれば、自信を持って語れる経験則を貫けるものだ。まあ、それはさておくとして、ここ半月は、山本巨匠から譲り受けた『フル・ハウス/ウェス・モンゴメリー』のオリジナルLPで、音の逞しさにひっくり返った次に、カヴァー写真の鮮明さに愕然。複写を繰り返した日本盤LPに、ウェスの右手甲のしわをさほどくっきり見て取れるものはない。やはり今後のオーディオが、配信とアナログに二極化しそうな気配を、そこに改めて見て取れた気がした。そうこうするところ、『2009モントルー・ライヴ/CTIオールスターズ』で〈ブルース・マーチ〉のトップ・ソロに出てくるジョン・マクラフリンにあれれっ? 出演するのを断るべきだった。断りなしのリリースだったかも知れない。出だしをよく聴くと、チューニングが済まないうちに曲が始まっちゃった感じがなきにしもあらず。マクラフリン通のご諸賢は、いかがお聴きだろう。