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成田 正の楽屋入り口 by STHILA COMMUNICATIONS

アナログ顛末記

2009-10-07 23:30:50 | ●Weblog
 お世話になっている毎日新聞音楽担当の匠のタイムレスな愛聴盤に、『アランフェス協奏曲/ジム・ホール』があると聞いて、ウチのABC順「Ha」棚をあたると2枚出てきた。ひとつが88年にキングが出したゴールドCD、もうひとつは、リミックスされたうえボートラやオルタネイト・テイクを加えて9曲入りのお徳用になったデジパックの輸入盤。取材のたび目先の人や音を追いかけていくより、名盤との再会のチャンスがこうしてやってくる方が、最近は楽しくてしょうがない。それが証拠に今回も、おお~っ、中でもオリジナル盤にない〈ロック・スキッピン〉を筆頭に、どこそこでパット・メセニーとかぶるのに変な笑いが止まらなくなった。これでは、アナログ・プレーヤーが退院・帰宅したら、LPも再読せねばならない。というので、オルトフォンのリード線7N-LW1を手に入れ、フェーズテック・シェルに2M Blackを取り付けた。カメラなら、レンズだけ先に揃えてボディ待ちってな感じだ。そこで少々突然だが、ミュージシャンとその音楽を知るにも書くにも、インタヴューしさえすれば何とかなる幻想を抱いている人は気をつけた方がいいと。やむを得ないことだが、音楽家も人の子、年齢を積むうち時間の記憶は揺らぎ、昔の敵も今は身方、など話はとかく波瀾万丈。なので、リード線やカートリッジが見つける真実に、これからも注意して行きたいもの、と同時に、何でここまで自前でやらねばレコード聴けないの、と泣く泣くで、果たしてこれでちゃんとイケるかも分からず勘弁、というのを接写。顛末記というのはなるほど、行き当たりばったりにこそ醍醐味がありそうだ。