たんなるエスノグラファーの日記

エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために

まだ文学が足りない

2016年12月17日 21時19分02秒 | 文学作品

年初には順調な滑り出しで、この分なら年80~100冊行けるのではと思ったほどの勢いが、夏から秋にかけて突然失速し・・・だが、今年もなんとか50冊に達したようだ。小説は、あっちに行きこっちに行きつつしながら、テキト~に読み漁るのがいい。今年は、吉村萬壱さんの本を5冊読んで、お会いすることもできた。待望のハレンチ作家あらわる、と周囲には言いふらしてる。今後、どんな作品が出されるのか、期待大。小野正嗣さんの作品も二冊読みお会いした。多言語状況に身を置くことで言語に向き合うことができるという考えに感じ入った。リョサの『ドン・リゴベルトの手帖』は、低俗な軽さと重厚さを兼ね備えたエロティシズム小説の傑作。中村邦生さんの『転落譚』は、文学に対する深い理解から生まれた物語。ルルフォ『ペドロ・パラモ』、石牟礼道子『あやとりの記』、森敦『月山』に見られる、人と人ならざる世界をめぐる幽冥譚の系譜とでもいうべき文学の想像力の豊かさに脱帽。待つのだけど何を待っているのかさえ分からないというとてつもなく大きな不条理。『ゴドーを待ちながら』は、私たちの人間の生きている世界は、そんな感じでできているんだということを示している。ベケットじつに恐るべし。まだまだ触れてない度肝を抜く作品があることの予感。まだまだ、文学が足りない。ザルテンの『バンビ』は、児童文学だろうと高をくくってスルーしていたのかもしれない。ノロジカから見た世界の描写。あいつと称される人間は、じつに嫌なやつなのだ・・・以下、2016年の濫れ読みの個人的な記録として。

小松左京 『果てしなき流れの果に』
マリオ・バルガス・リョサ 『ドン・リゴベルトの手帖』
ベルナール・ウェルベル 『蟻』
ホーソーン 『緋文字』
野坂昭如 『エロ事師たち』
梨木香歩 『村田エフェンディ滞土録』
『エドガー・アラン・ポー短編集』
『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』
谷崎潤一郎 『蓼喰う虫』
吉村萬壱 『ハリガネムシ』
吉村萬壱 『ボラード病』
吉村萬壱 『クチュクチュバーン』
吉村萬一 『臣女』
夢枕獏 『陰陽師』
ゴーンブローヴィッチ 『フェルディドゥルケ』
中村邦生 『転落譚』
小野正嗣 『九年前の祈り』
小野正嗣 『残された者たち』
谷崎由依 「天蓋歩行」
室生犀星 『蜜のあわれ』
幸田文 『木』
シェイクスピア 『マクベス』
ジュリアン・グラック 『半島』
シェイクスピア 『オセロー』
ベケット 『ゴドーを待ちながら』
フェンテス 『アウラ・純な魂』
カーソン・マッカラーズ 『結婚式のメンバー』
中村邦生 『チェーホフの夜』
シェイクスピア 『リア王』
平出隆 『鳥を探しに』
フアン・ルルフォ 『ペドロ・パラモ』
日野啓三 『台風の眼』
J.G.バラード 『沈んだ世界』
村田紗耶香 『コンビニ人間』
吉村萬壱 『ヤイトスエッド』
石牟礼道子 『あやとりの記』
石牟礼道子 『椿の海の記』
花房観音 『花びらめくり』
葉真中顕 『ブラック・ドック』
松浦寿輝 『花腐し』
森敦 『月山』
磯崎憲一郎 『終の住み処』
滝口悠生 『死んでいない者』
上橋菜穂子 『獣の奏者I 闘蛇編』
上橋菜穂子 『獣の奏者II 王獣編』
ジャン・コクトー 『恐るべき子供たち』
フェリークス・ザルテン 『バンビ:森の、ある一生の物語』
村上春樹 『風の歌を聴け』




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