落葉松亭日記

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北朝鮮、またミサイル発射

2017年04月06日 | 政治・外交
再々やると、脅しの効果も薄れてくるように思う。
仮にどちらかがの核が敵国に着弾すれば、発射した側もタダでは済まない。核の報復が行われ人民もろとも主要都市、ひいては国が壊滅する。その惨状は広島・長崎の比ではないだろう。
なぜ、こんなことを繰り返すのだろうか。
北朝鮮が日本海に弾道ミサイルを発射、「KN-15」と米軍  2017年04月05日 09:28 発信地:ソウル/韓国
http://www.afpbb.com/articles/-/3123928?cx_part=topstory

【4月5日 AFP】(更新)韓国国防省は5日朝、北朝鮮が同日午前6時42分(日本時間同)に弾道ミサイルを北朝鮮東部の新浦(Sinpo)から日本海(Sea of Japan)に発射したと発表した。北朝鮮は制裁を強める国際社会に報復すると数日前に警告していた。
 韓国国防省によるとミサイルは約60キロ飛んだ。米軍は今回発射されたのは中距離弾道ミサイルKN-15で米国への脅威とはならないと発表した。
 菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は、今回のミサイル発射は国連安保理決議に違反しており、断じて容認できないと述べた。(c)AFP

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第274号(4月5日)
http://melma.com/backnumber_190875/
*ファイナル・カウント・ダウン

 本日、北朝鮮が弾道弾1発を日本海に発射した。明日から始まる米中首脳会談を牽制したとの見方がもっぱらだが、果たしてそうか?
 今回発射されたのは、北極星2号とかKN-15とか様々に呼ばれているが、要するに中国製の弾道弾である。中国製の弾道弾には暗証チップが組み込まれており、暗証コードがなければ発射出来ない。
 つまり北朝鮮は中国の許可のもとで発射した訳だ。もっと言えば中国が北朝鮮に撃たせたとも言える。「北朝鮮が米中首脳会談を牽制した」との見方と大きく異なる構図が、かくして明らかになる。では何故、中国は北朝鮮に撃たせたのか?

 トランプ大統領は二日付の英紙のインタビュー記事で「中国は北朝鮮問題で我々を助けるのかどうか決めなくてはならない」と発言した。6日の習近平との会談を前に先制のジャブを繰り出した訳だが、中国側は沈黙してしまった。
 それはそうだろう。3月中旬、ティラーソン国務長官は訪中に際して「北朝鮮に対して武力攻撃を含むあらゆる選択肢を検討する」旨、表明していたのである。トランプが中国に求めているのは、対北武力攻撃への協力であるのは明らかだ。
 中国としては、会談前に公然と持ち出された要求に、答えようもなかったが、これに苛立ったのが北朝鮮であることは言うまでもない。何しろ、「会談で中国が米国の武力攻撃に協力すると約束する」可能性を中国が否定しないのだ。

 この苛立つ金正恩を宥める窮余の一策が今回の発射だ。中国が北朝鮮に発射を許可することは、北朝鮮にとって「中国は米国に協力しない」という意志表示に他ならない。
 「北朝鮮の暴走を中国は止められる筈」としてきた米国に対しては、「中国にその能力がない」事を暗に示したことになる。まさに窮余の一策ながら、一石二鳥の効果を狙ったものと言えよう。

   だが狙いが達成されたかどうかは予断を許さない。英紙とのインタビューで、トランプは「中国が協力しない場合は、米国が単独で行動する」とも言っている。1950年代の朝鮮戦争のとき、中国は北朝鮮側に立って参戦して、介入した。米国が攻撃した場合に中国が介入するかどうかは、この会談で主要な議題となろう。
 もし、中国が介入しないと約束した場合、北朝鮮に残された時間は限られたものになる。5月9日の韓国大統領選で、左翼が選出される公算は極めて高く、そうなれば在韓米軍の行動は不可能になる。つまり米国は5月9日までに行動を開始することになろう。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地政学入門」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1475838508
上記動画のテキスト本  「領土の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
上記動画のテキスト本  文庫「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/

動画配信中:「現代戦闘機ファイル」全編無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
上記動画のテキスト本「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html

動画配信中「よくわかる!ミサイル白書」全編無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409
上記動画のテキスト本「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true

その他の著書:
「国防の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)