放射線と放射能汚染物質の理解を深めよう。放射線だけを問題にすると判断を誤る。
放射能汚染物質は風に乗って遠くへ運ばれることが問題だ。
武田邦彦教授のサイトより
http://takedanet.com/2011/03/post_cd3c.html
放射能汚染物質は風に乗って遠くへ運ばれることが問題だ。
武田邦彦教授のサイトより
http://takedanet.com/2011/03/post_cd3c.html
原発 緊急情報(8) 放射線はどこまで行くか?
福島原発の問題は第2段階に入りました。
つまり、どこで爆発が起こるかというのはこれからも警戒しなければなりませんが、とりあえず原発で放射能物質が漏れることは確実になった事、それが400ミリ シーベルトと健康にかなりの影響を及ぼすようなようになった事です。この二つで第2段階に入ったと考えられます
ここで、今回は、放射線についての知識を深め、自ら判断できる情報を提供したいと思います。
・・・・・・・・・
一般に放射線と言っているものには2種類あって、
1) レントゲンのような「放射線」、つまり光や電子と同じように四方八方に飛び散って行くもの、
2) ガス(おならのようなもの)やミスト(霧吹きからの霧や煙のようなもの)
があります。
学問的にはこの二つを分けて呼びますが、般的には「放射線」とか「放射能」とか区別します.
この2つをいつも区別すると非常にややこしいので、このブログでも今まで一般的な言い方をしてきました。でも、福島原発の汚染から逃れるためには、この区別を簡単に理解しておかなければいけないと思います。
・・・・・・・・・
まず、福島原発の敷地の中に強い放射能物質があり、そこから放射線が出ています。
この放射線は四方八方に散りますし、もともとそれ程強い光でもなく、また放射線が電子の場合には、空気中を進むと空気中のいろいろな物質にぶつかって止まります。
福島原発の上空にいれば、このような放射線にさらされることもありますが、人間は地上にますので電子が地上を進むと建物にぶつかりますから遠くまで行くことはないと言っていいでしょう。
テレビの解説者が「放射線は四方八方に飛び、距離が離れればどんどん弱くなるから大丈夫だ。東京等には全く関係がない」等と間違ったことを言っているのは、福島原発からのもので「放射線」だけを問題にしているからです。
御用学者と言っても良いかもしれません。
・・・・・・・・・
それではチェルノブイリの時になぜ遠くの人が被害を受けたのかというと、実は「現場でチェルノブイリの処理に当たった人は放射線で死んだのですが、遠くの国民は「放射能を持った物質」で被害にあったのです。
この地図は、チェルノブイリの爆発の後、放射能物質がどのようにロシアの大地に飛んでいったか?という図です。
ちょっと見にくいのですが、チェルノブイリの原発は図の中心にあります。そこから強い放射能を持つ物質が飛んでいったのですが、図を見るとわかるように二つの方向があります。
一つは、チェルノブイリからポーランドの方に西側に進んだもので、おおよそ300キロぐらい飛んでいます。
もう一つは、チェルノブイリから東北東に流れたもので200キロぐらいのところと、500キロメートルに強い汚染が見られました。
ちなみに、福島原発から東京までの距離は約230キロですからチェルノブイリの図に自分のいる所にしるしをつけると、だいたい検討がつきます。
風が問題ですから全く同じ距離でも全然、汚染の程度が違います。例えば、チェルノブイリから200キロ西のところは相当強い汚染を受けていますが、200キロ東南東は全く汚染されていません。
風に乗って一筋になって流れますから遠くに離れても汚染は強いままにであまり弱くなりません。
また、所々に黒いところ(汚染の強いところ)があるのは、雨が降ると雲の中に含まれている放射能を持つ物質が落ちてくるとか、気流の関係などがあります。
でも第1には風の向きであることがよくわかると思います。
・・・・・・・・・
今は緊急時ですから人の批判をしても仕方がないのですが、よく理解するために、少し問題点を指摘しておきます。
実はこのようにチェルノブイリの例もあるので、原発に何かがあって放射能の物質が漏れた場合、どのようにそれが流れるかということは原発を建てるときに検討をしています。
福島原発も古く立てられたものでもあり、さらに追加して増設されましたから、その時に気象データ等を詳細に検討されているはずなのです。
それを公開すれば、それだけで随分、危ない方向がわかると思っています。
・・・・・・・・・
チェルノブイリの例を理解するために、注意したいことが三つあります。
一つは、悪い方向のことですが、漏れた放射の物質が少なくても(福島の今)多くても(チェルノブイリ)、「どのくらい遠くに行くか」ということは変わらないということです。
つまり、原発のところで100だとして、それが50に減る場所は、もともと10でそれが5になるところと同じということです。
二つ目も悪いことですが、汚染物質は風に乗って流れます。例えば風速1メートル(そよ風)では、1秒間に1メートル程度ですから、1時間に3600メートルつまり3.6km、10時間で36キロとなります。東京に到達するのは2日半です。
わたくしが昨日、少し様子を見たいと書いたのはこのことを言っています。でもかなり早いと思う人も多いでしょう。
三つ目は良いことなのですが、チェルノブイリに比べると福島原発が持っている放射能物質の量自体は「多い」のですが、今のところ漏れている量は「少ない」のです。
従って、この三つを考えると一両日は少し様子を見るのが良いと私は判断しました。
ただ、茨城県の北のほうに住んでおられる方は早めに来ますので、東海村等で放射能を常時計っていますから、自治体はデータをどんどん公開して、住んでいる人が自分で判断できるようにするのがよいと思います。
(平成23年3月16日午前9時 執筆)武田邦彦
福島原発の問題は第2段階に入りました。
つまり、どこで爆発が起こるかというのはこれからも警戒しなければなりませんが、とりあえず原発で放射能物質が漏れることは確実になった事、それが400ミリ シーベルトと健康にかなりの影響を及ぼすようなようになった事です。この二つで第2段階に入ったと考えられます
ここで、今回は、放射線についての知識を深め、自ら判断できる情報を提供したいと思います。
・・・・・・・・・
一般に放射線と言っているものには2種類あって、
1) レントゲンのような「放射線」、つまり光や電子と同じように四方八方に飛び散って行くもの、
2) ガス(おならのようなもの)やミスト(霧吹きからの霧や煙のようなもの)
があります。
学問的にはこの二つを分けて呼びますが、般的には「放射線」とか「放射能」とか区別します.
この2つをいつも区別すると非常にややこしいので、このブログでも今まで一般的な言い方をしてきました。でも、福島原発の汚染から逃れるためには、この区別を簡単に理解しておかなければいけないと思います。
・・・・・・・・・
まず、福島原発の敷地の中に強い放射能物質があり、そこから放射線が出ています。
この放射線は四方八方に散りますし、もともとそれ程強い光でもなく、また放射線が電子の場合には、空気中を進むと空気中のいろいろな物質にぶつかって止まります。
福島原発の上空にいれば、このような放射線にさらされることもありますが、人間は地上にますので電子が地上を進むと建物にぶつかりますから遠くまで行くことはないと言っていいでしょう。
テレビの解説者が「放射線は四方八方に飛び、距離が離れればどんどん弱くなるから大丈夫だ。東京等には全く関係がない」等と間違ったことを言っているのは、福島原発からのもので「放射線」だけを問題にしているからです。
御用学者と言っても良いかもしれません。
・・・・・・・・・
それではチェルノブイリの時になぜ遠くの人が被害を受けたのかというと、実は「現場でチェルノブイリの処理に当たった人は放射線で死んだのですが、遠くの国民は「放射能を持った物質」で被害にあったのです。
この地図は、チェルノブイリの爆発の後、放射能物質がどのようにロシアの大地に飛んでいったか?という図です。
ちょっと見にくいのですが、チェルノブイリの原発は図の中心にあります。そこから強い放射能を持つ物質が飛んでいったのですが、図を見るとわかるように二つの方向があります。
一つは、チェルノブイリからポーランドの方に西側に進んだもので、おおよそ300キロぐらい飛んでいます。
もう一つは、チェルノブイリから東北東に流れたもので200キロぐらいのところと、500キロメートルに強い汚染が見られました。
ちなみに、福島原発から東京までの距離は約230キロですからチェルノブイリの図に自分のいる所にしるしをつけると、だいたい検討がつきます。
風が問題ですから全く同じ距離でも全然、汚染の程度が違います。例えば、チェルノブイリから200キロ西のところは相当強い汚染を受けていますが、200キロ東南東は全く汚染されていません。
風に乗って一筋になって流れますから遠くに離れても汚染は強いままにであまり弱くなりません。
また、所々に黒いところ(汚染の強いところ)があるのは、雨が降ると雲の中に含まれている放射能を持つ物質が落ちてくるとか、気流の関係などがあります。
でも第1には風の向きであることがよくわかると思います。
・・・・・・・・・
今は緊急時ですから人の批判をしても仕方がないのですが、よく理解するために、少し問題点を指摘しておきます。
実はこのようにチェルノブイリの例もあるので、原発に何かがあって放射能の物質が漏れた場合、どのようにそれが流れるかということは原発を建てるときに検討をしています。
福島原発も古く立てられたものでもあり、さらに追加して増設されましたから、その時に気象データ等を詳細に検討されているはずなのです。
それを公開すれば、それだけで随分、危ない方向がわかると思っています。
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チェルノブイリの例を理解するために、注意したいことが三つあります。
一つは、悪い方向のことですが、漏れた放射の物質が少なくても(福島の今)多くても(チェルノブイリ)、「どのくらい遠くに行くか」ということは変わらないということです。
つまり、原発のところで100だとして、それが50に減る場所は、もともと10でそれが5になるところと同じということです。
二つ目も悪いことですが、汚染物質は風に乗って流れます。例えば風速1メートル(そよ風)では、1秒間に1メートル程度ですから、1時間に3600メートルつまり3.6km、10時間で36キロとなります。東京に到達するのは2日半です。
わたくしが昨日、少し様子を見たいと書いたのはこのことを言っています。でもかなり早いと思う人も多いでしょう。
三つ目は良いことなのですが、チェルノブイリに比べると福島原発が持っている放射能物質の量自体は「多い」のですが、今のところ漏れている量は「少ない」のです。
従って、この三つを考えると一両日は少し様子を見るのが良いと私は判断しました。
ただ、茨城県の北のほうに住んでおられる方は早めに来ますので、東海村等で放射能を常時計っていますから、自治体はデータをどんどん公開して、住んでいる人が自分で判断できるようにするのがよいと思います。
(平成23年3月16日午前9時 執筆)武田邦彦