「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

暗過ぎてまだ底が見えない2022年前半を憂う@鎌倉七里ガ浜

2022-05-16 09:01:47 | モノ・お金
本日の話題にムード的にはぴったりな音楽かも。

ツィメルマンが弾くラフマニノフのピアノ協奏曲第二番♪

RACHMANINOFF - Concerto No. 2 - Krystian Zimerman
 

これ、我が家に古いCDがあるなぁ。

ラフマニノフとはそんなに深い関係はないけれど、と言うかまったく無関係だが、5月12日にソフトバンクグループが2022年3月期の連結決算を発表した。前代未聞の巨額な純利益を計上した前期から一転、マイナス1.7兆円の大赤字だ。本業は問題ない(同グループの場合、本業が何だったかわからないくらい金融に傾斜しているが)。巨大な評価損を抱えた投資業務が問題だ(赤で囲んだところ)。

【Source: Bloomberg】

下の画像は同グループが発表した資料である。黄色で囲んだのが投資事業の損益で、3.4兆円ほどの損失となっている。

全体を足し上げると赤で囲んだ数字になる。上の記事にあった1.7兆円の赤字になる。

【Source: SBG】

暗いねぇ。同グループは世界中の新興企業の未公開株式に投資している。プライベート・エクイティ(以下「PE」とする)ってやつだ。「未公開」ってくらいだから、ソニーやトヨタやAmazonやコカ・コーラのように、証券取引所に上場していて誰もが買える株式ではない。仮に買える機会があったとしても、通常は何年にもわたる超長期で投資するプロの投資の世界の株式だ。

このPE投資については、前にもこのブログに投稿したことがある。そのリンクはこちらだ:

昨年7月の投稿だ。10カ月前だね。昨年も日本の機関投資家(金融機関や年金基金)のPE投資熱はものすごく、すでに過去12年間上がり続けて来た市場で、さらに日本から相当なカネがそのPE投資に向かっていることを書いた。危ない、危ない。

【当ブログの当該記事の画像】

どの企業に投資するかも難しい問題だが、いつ投資するかも大問題で、とんでもない年(=上昇相場のピーク)に投資すると、その後長期にわたりひどいパフォーマンスに苦しむことになるのがPE投資だ。

上がり続けた相場のあとで、どこかで下げ相場が来ることは、ソフトバンクグループも他の機関投資家たちも、プロなのだから皆が理解している。それでも世の中は金融緩和でカネは余っていて、そのカネで稼がなければ無能呼ばわりされる世界だから、機関投資家の世界ではギリギリまで冷や冷やしながらとにかく投資をする。そしてやがてある時相場が崩れる。

それが今起こっている。ソフトバンクグループは3月末の評価で辛い決算発表をしたわけだが、PE投資の評価損失がより大きくなるのはその後だろう。今の状況が続けば6月末時点で評価した2022年度第1四半期(4~6月期)がもっと怖いはずだ。先週木曜日の決算発表では、グループ代表の孫さんは「守りに入る」ことを強調した。

日々取引されている上場株式とは異なり、PE投資は時価評価されるのに3カ月近く時間がかかることが多い。3月末の評価なら6月、6月末の評価なら9月になってやっと出て来るような感じだ。これから類似の不幸なニュースがいろいろと出て来るはずだ。どのあたりでこの暗いムードは収まるのだろう。今ごろ機関投資家のオフィスでは役員から投資担当者へ、いろいろと質問が飛んでいるはずだ。そして投資担当者は涙目で現状と今後の見通しについての報告書を作成していることだろう。今後の見通しなんてわからないから、下げる直前までPEに新規投資しているわけで、その報告書もあまり意味あることは書いてはいなさそうだが、組織では少なくともいろいろと形式を整えねばならず、そういうものが必要とされる。

悲惨な相場の元凶はいろいろあるだろうが、その中でも重要なのは、40年ぶりのインフレだ。米国の消費者物価指数が理想的とされるレベル(年率でプラス2%ほど)をはるか上回ってしまっている(下図)。米国中央銀行はトランプ大統領時代の後半に、大統領の的外れな批判(罵倒?恫喝?)にあらがってインフレの予防的抑止に動き金利を引き上げ始めた。それは大変賢明な措置だった。しかし2020年初めにはCOVID-19が蔓延し始めたことから、経済を刺激するために、逆に金利を引き下げざるを得なくなった。その後インフレが加速し始めた。また直近のウクライナ侵攻は、さらにそれを加速する原因になっている。

【Soource: 米国労働省】

インフレが高まったし、米国中央銀行は「インフレを収めるべく、これから金利を上げる!」と日々明言しているので、金利は上がる。

米国10年国債の利回りはご覧のとおりだ(↓)。今年に入ってからの上昇が凄まじい。


【Source: FRB、CNBC】

若い企業にとって資金調達は死活問題である。一般に若い子育て世代は住宅ローンや自動車ローンを背負っているが、高齢者層がそうではないのと同じだ。金利上昇は資金を借りないといけない若い企業にとって、厳しい環境である。

だから株式が未上場である新しい企業(つまりはソフトバンクグループの投資先であるPE)は、その多くが早々と苦しくなって来た(だからそれに投資しているソフトバンクグループの決算が悪かった)。

下落するのはPEだけじゃない。一般の上場株式も同様だ。PEほどではないけれど、代表的株式指数の中ではNasdaqが厳しい。この指数に含まれるのは、上場企業ではあるけれどIT系の新しい企業の比率が高い。相場が良い時は人々の期待で大きく上がるが、下がり始めると速い。


【Investing.com】

Nasdaq総合指数が日々の終値で史上最高をつけたのは昨年11月19日のことである(黄色い丸)。そこからはかなりの勢いで相場が下落している。半年弱の期間で5月13日までにマイナス26.5%もの下落だ。

代表的な米国株式指数3種を比較したグラフがこちらだ(↓)。


【Investing.com】

古典的な順番に上から有名なDow30種平均、一般的なS&P500、そしてNasdaq総合。比較するために、Nasdaqが史上最高値をつけた昨年11/19のそれぞれの指数の水準を勝手に100に転換したグラフだ。

古典的なDowはわずか9.6%しか下がっていない。標準的なS&P500で14.3%の下落だ。しかしNasdaqは26.5%も下がっている。

個別には今しばらく解約できない英国の不動産ファンドや、米国の新興企業の株式を、私は少し持っている。しかしそうした個別ファンドや株式の個別銘柄で儲ける能力など、私にもそして実を言うとプロのファンドマネジャーにすらないと私は考えている。市場全体のすべての株式が入った上記のような指数のファンドあるいはETFをゆっくりと買って長期投資すればいいと私は思うのだ。

成長しない国の株式指数にはあまり興味がないので、基本は米国株式で、それも標準的なS&P500が好きである。ETFなら運用手数料はタダみたいなものだし、ネット証券なら売買手数料もめちゃくちゃ安い。業者が奨める運用商品は一切買わないのだ。彼らが奨める運用商品は彼らに手数料が多く入るものだけだ。みなさん、銀行、証券会社、生命保険会社と付き合うのは止めましょう(笑)。

すでにこのブログで数か月前にご紹介したとおり、相場のあまりの上昇ぶりに怖くなった私は、S&P500のETFを年初に全部を償還した。いつも冴えない私にしては素晴らしい行動だったと思う。売却のタイミングは、ほとんど相場のピークだ。


【Investing.com】

でもそのままでは今後は儲からない。ここが難しいところだ。どこかで買わないと、新たに儲けることは出来ないのである(⇐当たり前)。ドガティ君のフードも買わねばならず、たまには城ヶ島に出かけないといけないし、酒も買いたいし、葉山で食事もしたい。しかしそのタイミングに失敗すると、簡単に儲けの何倍も損失が出る。

でもこの急激な下げでどこで買うのがいいのでしょう? よく言う格言で「半値、八掛け、二割引き」というのがある。めちゃくちゃ下がった時に、どこまで下がるかを言う経験則だ。言葉通りに計算すると100×0.5×0.8×(1-0.2)で32となり、直近の高値から約3分の1まで下がることになる。でもそれはなかなかない。下げ過ぎだ。

コロナ禍のさなかの2020年2月19日にS&P500はその時点での史上最高値をつけたが、その後わずか1か月強で時価の3分の1以上を失った。ところが同年3月23日を底に一気に反発し2021年の終わりまでガンガン上昇した。

ちなみにあのとんでもない金融危機がこんな状態だった。2007年10月のピーク(黄色い丸)から2009年3月の底(赤い丸)まで1年半ほどかけて、マイナス57%も下がっている(下図)。

【Investing.com】

S&P500が先週金曜日でちょうど4,000のあたりで、それは昨年の史上最高値からまだマイナス17%ほどである。私のゆっくりしたやり方からして、過去の大きな下げの例も考慮すれば、いましばらくは買うのは我慢するところだろうねえ。

下げるならもっと下げればいいのに、なかなか一本調子では下げない。昨年末の水準から20%下げた3,800台に突入してからもう一度考えよう。米国では今後景気後退に入ると考える人が増えているしね。一気に下げないくせに下げ出すといつも速いので、こういう時は難しい。

さぁ、ここからどうしましょう? 

市場はいつも先が見えない。今週の米国市場はどう始まるのでしょう。
コメント (10)
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