ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

初夏の比良・武奈ヶ岳(続)

2013-05-20 17:20:34 | 山日記

 御殿山で道は左に折れて、岩交じりの標高差100mの急な下りになる。短いがかなり傾斜があり、今から帰りの登り返しの苦労が思われる。

下りついたところがワサビ峠で、ここから(武奈ヶ岳)西南稜と呼ばれる展望の良い尾根道になる。まず灌木帯の中のザレ道を最初のピーク(1,115m)へ登り返す。


四方遮るもののない見晴し台で、振り返ると蓬莱山から打見山に続くグリーンのスキーゲレンデが拡がり、打見山のゴンドラ駅もくっきり見える。さらに左には堂満岳が琵琶湖の上にひょっこり顔を見せていた。


真っ青な空の下、爽やかな高原の風に火照った身体を冷やしながら第二ピークへ向かう。


足元は低い笹原とツツジなどの低灌木で、ところどころでピンクのイワカガミの群落に出会う。


小さなケルンのある第二ピークから第三ピーク(1,180m)へ登る途中では小さな岩場を通過する。切り立った岩陰に小さな遭難碑があった。ここから少し登ると肩ノ分岐で、東側のイブルキノコバやコヤマノ岳からの道が合流する。武奈ヶ岳は指呼の間で、山頂には大勢の登山者の姿が見える。


殆ど水平な稜線の道を100mほど歩くと、武奈ヶ岳(1214.4m)の頂上である。大きな山頂標識柱の横に三角点、その先に6体の石仏が並んでいる。


(この石仏は昔から此処にあったと思っていたが、♀ペンは無かったという。帰りに♀ペンが調べると、一番古いものでも平成の年号が彫られていてドヤ顔をされた。)10人ほどの登山者が思い思いに景色を眺めたり、弁当を拡げたりしている。標識の前で居合わせて若い登山者に記念写真のシャッターを押して貰った後、山頂北側の一角に腰を下して豪華な展望を楽しみながら昼食をとった。


食後、地図を出して改めてぐるりを見まわした。正面(北側)には北東稜の釣瓶岳から蛇谷ヶ峰(901.7m)に続く山並み、その上に滋賀・福井県境の三十三間山、赤坂山、三国山など野坂山地の山々、遠く白く雪を被っているのは加越国境の山々か。若い登山者に白山を訊ねられた。見えている筈だが、霞んでいてあの辺りとしか言えない。


北東には緑の中に点在するガレや岩が特徴的なリトル比良の岩阿舎利山、その右に琵琶湖にポツンと浮かぶ竹生島、その向こうには伊吹山が見える。
 

東には釈迦ヶ岳、ヤケオ山の奥に琵琶湖が拡がり、沖ノ島が横たわっていた。

 

南東には、すぐ近くにコヤマノ岳、その右には打見、蓬莱山など南比良の山々…懐かしい山々を眺めていると、様々な過去の山行が断片的によみがえってくる。「あと何年登れるかな」と自分の年齢を考えて、少し感傷的になった気分を振り払って下山にかかる。

御殿山への登り返しは思ったより楽だった。カンカン照りの稜線歩きから解放された涼しい木陰の登りに、かえってホッとしたほどだ。冬道との合流点で尾根通しに行こうかと思ったが、様子の分かっている登って来た夏道を忠実に辿る。登りにはさほど思わなかったが、支尾根から涸れ沢に降りるまでが少しきつかった。腰を下してしばらく休み、コーヒーを沸かす。南アルプス白根三山の縦走で水が無くなって、パーティに日射病の人がでて苦労した想い出話を♀ペンと交々語り、ここまで4Lの水を運んできてくれた丸さんに感謝する。

846P付近から丸さんの様子が少しおかしい。どうも膝を痛めたらしく、塗り薬などで応急の処置をしたが歩みが遅れがちになる。ゆっくり時間をかけて、時には立ち止まってあまり間を開けないようにしながら下る。最後の杉林の下りで、朝の出発時、隣り合わせた車のご夫妻に追いつく。


明王院に手を合わせ赤い三宝橋を渡り、今日の山行を終えた。少し厳しい登降はあったが、天候と展望と良い仲間に恵まれたお蔭で、それほど辛い思いもせずに歩けて「まだしばらくは山歩きができる」と自信がついた。