ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

晩春の大和葛城山(2012.4.19)

2012-04-20 15:27:32 | 山日記


イタリア旅行で知り合ったIさんと二人で葛城山へ花を見に行く。いつもより遅く家を出たのに、週日の石筆橋周辺には車の数も少なかった。空は真っ青に晴れ上がり、国道を跨ぐ橋のたもとには名残のサクラが美しく咲いている。



竹林を抜けて青崩バス停から来る道と合流して右に折れ、いろいろな春の野の花が咲く畑地を見下ろしながら急な舗装の坂道を登っていく。最後の民家を過ぎて植林帯に入ると傾斜はなだらかになり、右に天狗谷の流れを見下ろすようになる。木陰のひんやりした空気が汗ばんだ身体に心地よい。谷を渡る手前の草地にはスミレを始め、ヤマルリソウ、シロヨメナなどいろいろな春の花が咲いている。



石段と木の階段道を登って鎖場を通過する。このルートではここだけの短い岩場を楽しんですぐ上で谷を渡り返し、100m足らずで水場に出る。冷たい水で喉を潤してゆっくり登り続ける。大きく「くの字」形に折り返して谷を右に見るように階段道を登る。沢から吹き上げてくる風が汗ばんだ身体を冷やしてくれる。



もう一度折り返して少し登り、更にもう一度折り返して長い木の階段道を登るとベンチが二脚おいてある折り返し点にくる。青崩と山頂へはどちらも1.7キロ。ちょうど中間点にあるので、いつも腰を下ろして休憩することにしている。古い道標によると、ここからの下りの方が登りより10分長く取ってある。確かに、いつもここへ来ると後は楽なように思う。



しばらく休んで出発。年々道がよくなって木の階段道が多くなったが、植林の間伐や枝の間引きが進んでグンと明るくなった。最初の小さなコルの処からは右手に金剛山の北面、正面には葛城の山頂部分がよく見える。しばらく土道を行き、再び短い階段道を登ると、尾根の左に沿って緩くカーブしながら続く水平な道になる。この辺りからショウジョウバカマが見られる。しかも植林の手入れのお蔭か、以前に比べて格段に数が増えている。



古い小さな砂防ダムのあるところで河内弘川寺への林道と分かれ、右の涸谷沿いに登る。左手の斜面にはずっとショウジョウバカマの大群落が続く。花を見ながら登っていくと疲れも全く感じない。Iさんも「凄いなあ」「可愛いなあ」を連発しながらシャッターを押している。しかし、上部にくるほど蕾が多くなった。まだまだ花の時期は続きそうで、これからも楽しめるだろう。キャンプ場のある上の林道に出る手前で、もうただの窪みになった涸れ谷を渡ってカタクリの群生地を見に行く。立ち入り禁止の貼り札だけが無闇に増えたが、まだ少し葉が出たばかりで蕾も見えなかった。



林道からキャンプ場を通り、ロープウェイからの道と合流しても今日は人が少ない。白樺食堂の前から山頂へ登っていく途中の左手斜面の笹原の中に、枯葉から頭を出したカタクリの蕾をIさんが見つけた。日当たりが良く、暖かくなって目を覚ましたらしい。折り紙のツルのような可愛い感じだ。



近くで開いた花も二、三輪あった。長年の保護活動のお蔭で、山頂付近でもカタクリの数が年々増えてきているのは喜ばしいことだ。写真に収めて山頂へ。



ひとりで山頂に現れた青年に写真を撮ってもらい、南向きのベンチで景色を見ながらオニギリを食べた。雨の心配はないが雲が多く、見通しもあまり良くないのが残念だ。食後のコーヒーを楽しんでいるうちに数人のグループや二人連れが登ってきた。のんびりした時を過ごして腰を上げ、高原ロッジの前からツツジ園の上を回って「婿洗いの池」へ降りる自然観察路入口のカタクリを見に行く。柵越しに覗いてみたが、まだ少し葉を出したばかりだった。白樺食堂前に帰り、ロープ駅の方に下る。



自然観察路入口には新しくできた「北尾根ルート」へ通じていることが記されていた。この山の成り立ちや動植物の生態の説明版が随所にあり、前々からなじんできた楽しい道だが、道の両脇に黒いロープが張られ、やたらに「立ち入り禁止」の標識がある。これまでしなければ自然が守れないのかとちょっと淋しい気がする。



しかし下っていくにつれて右に見下ろす斜面の花の数も多くなり、遠目からではあるが十分に観賞することができた。緑に苔むした岩が散らばる涸れ谷(以前はカタクリの花の中を歩き回れた)を左に見て、右へ大きくカーブする処から引き返す。



途中から右に見える階段道をダイアモンドトレールに向けて登る。ここも道の両脇にカタクリが群生している。



登るにつれて蕾が多くなった。ショウジョウバカマと同様に今年は花の時期が遅れていて、これからもまだまだ楽しめそうだ。
ダイトレにでて右へ電波中継所の前を通りキャンプ場に帰った。下りも同じ天狗谷道を帰る。いつもより、ゆっくりと山上で花を愛でることができて楽しい一日だった。