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ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

今読んでいる本

2011-01-17 06:00:00 | 読書日記
昨年末、いつものBookOffでこの本に出会いました。



10年近くも前の2002年1月の発行で、しかもよく読みこまれているのに(あとで見ると
赤ボールペンのアンダーラインまでありました)、まだ定価の半額の棚にありました。
いつもなら手を出さないのですが、ちょうど関心のある国だったので買って帰りました。

著者の篠沢教授(近影ではあのふくよかな面影は見る由もなく、お気の毒)によると、
この本は「フランス文明の真相」、「ふざけていえば『深層』」を探るのがテーマです。

内容は1.フランスとは何だろう 2.フランス語とは何だろう 3.文明としての
フランス からなり、難しい問題も随所に篠沢節がバクハツして面白く読めます。
フランス史にはそれほど関心はないのですが、大昔に「世界史」で習った百年戦争、
アンシャン・レジーム、フランス大革命はじめ、懐かしい言葉が次々と現れます。
「三銃士」や「ジャンヌ・ダルク」などにも触れています。また、これまで気づか
なかった「イギリスとフランスの関係」たとえば、ブルターニュとグランド・ブル
ターニュ(グレート・ブリテン)の関係や、現在の英語(イングランド語)の成立した
のは実は14世紀、日本では足利時代だったことなど、「目から鱗」の話もたくさんあり
ます。

「フランスは日本に似ている」という結論らしいのですが、まだ半分ほどしか読んでい
ない今は<時間がかかるのは、やはり固い本?>「ああ、このことだな」と気付く程度
です。

で…真相確認のために明日から8日間、フランスへ行ってきます。土産話をお楽しみに。

続々・されど阪神タイガース

2010-12-11 08:36:04 | 読書日記
前回紹介した「なぜ阪神は勝てないのか?」の冒頭で、江夏と岡田が「はじめに」を
書いています。
 そのタイトルは江夏が「阪神こそわが青春のすべて」。
岡田が「タイガースイエローの血」です。後者について蛇足を加えますと、アメリカ大
リーグ、ドジャーズのT・ラソーダ監督の名言「私にはドジャーブルー(青は球団のカラ
ー)の血が流れている」になぞらえたもので、イエローはいうまでもなく阪神タイガース
のチームカラーです。
 OB二人の対談の端々に、阪神タイガースに対する深い愛情が読み取れ、ファンの心を
揺さぶります。



ところで最後にご紹介するこの本は、もう10年近く前になる2001年2月の発行で、あの
野村克也氏の「ああ阪神タイガース」でも参考文献に挙げられています。
 いま読み返すと、かなり時代のズレを感じることもあります。
例えば…「優勝は金で買えるようになり、『弱者が強者を倒す快感』という負の快感すら
誰も味わえなくなった(あとがきの一節)…」という文章があります。
 しかし今や阪神タイガースは金本や城島の加入もあって、プロ12球団のうちで最高の年棒
総額にまでになりました。この10年間で確かにフロントの考え方も変わり、積極的な補強
が行われ、「万年最下位」から「毎年優勝を狙えるチーム」に変貌しました。
それでも、優勝できない…それでもファンは諦めません。あの栄光の日本一の感激が忘れ
られないのです。

この本は、そんな阪神ファンのための阪神ファンによる歴史的な一冊として記憶に残る
ことでしょう。阪神ファンの方、ぜひご一読を…。

続・されど阪神タイガース

2010-12-08 11:27:29 | 読書日記
前回は少し酔っていたせいもあって、ちょと興奮しすぎました。
しかし最近の野村克也氏については、昔のノムさんと違うという点で変愚院と同じ
意見の方も多いはずです。では、前回散々こき下ろされた江夏、岡田の二人はどう
思っているのでしょうか…



08年の野村氏の本と同じ出版社から09年9月に発行された本です。
このとき岡田彰布は前年の08年、阪神の監督を辞めて、まだリックス監督となる
前で評論家をしていた頃です。
同じく評論家の江夏豊との対談を中心に、「江夏豊の最強の投球論」「岡田彰布の
最強の打撃論」が展開され、阪神が真の王者になれない理由、問題点を追求してい
ます。

野村氏について江夏はこう語っています。「野球を頭で考えることを教えてくれた…
」。ただし、これは南海時代の話しで「自分とやってる頃に比べると、人間が変わ
ったね」。
「ヤクルト行って優勝して、阪神、楽天で監督をした野村克也は違う人間、変わっ
たね。」「監督がオレがオレがでは選手はついてこない。」
たしかに、江夏のいう通り、野村さんは表に出すぎたと思うのですが…。
大阪球場のオープン戦の頃の、あの「生涯一捕手」「月見草」の時代のノムさんが
とても懐かしく思います。

江夏が354奪三振記録の相手を王にこだわったことについては、「時代が許してくれ
た時代だった」「チームの勝利を優先する今の時代じゃ考えられない」「管理だ組織
だという時代に傾いて、チームの勝利が優先される時代になっていった」と語って
います。

野村監督時代の阪神の試合がなぜ物足りなかったのか、面白くなかったのか、分かる
ような気がします。
それは一貫してデータ重視の管理野球であったからです。セオリー通りに点を取り
に行くことも大事かも知れませんが、それだけではなくあっと驚くような以外性も
あってはよかったのではないか。

何よりもファンは夢を求めて球場へ足を運び、TVの前に釘づけになっているのです。
プロとしての力と力のぶっかり合いの末に、たとえ負けてもカメヘン。
何時までも語りぐさになるような、夢のある試合が見たいのです。
来年こそ、そんな試合を数多く見せてくれて、その結果が「優勝」となるように
男前の真弓ハンお願いします。

されど阪神タイガース

2010-12-06 17:44:42 | 読書日記
 わが阪神タイガースは、今年もファンの熱い声援むなしく二位(それもジャイアンツ
が勝手にこけてくれてタナボタの)に終わりました。
 9月始めまでは、あれほど快進撃を続けたのに…。
象徴的なのが、9月30日、甲子園で今年最後の試合。矢野の引退セレモニーもあり、
絶対勝たねばならない試合。久保の好投で8回まで3-1で勝っていたのに、9回、
藤川球児が2四球のあと村田に3ランを打たれ、まさかの敗戦。マジックが消えまし
た。矢野のセレモニーも盛り上がらず、後味の悪さだけが残った試合でした。

 今年読んだ本のうちに、阪神タイガースに関連した新書3冊があります。
ちょっとご紹介してみます。(いずれもBookOffで一冊105円)



 一番最近買った本ですが、発行は2008年2月。
野村克也(以下全て敬称略)が東北楽天ゴールデンイーグルズ監督在任中で、後書き
でも(阪神と)「対決する可能性がないわけではない」と気焔をあげておられます。
 野村がタイガースの監督だったのは、1999年から2001年までの3年間。ずっと
最下位です。

しかし、「もともと巨人ファン」の彼は、そんなことは我関せず。
「優勝出来ないのは」…選手を甘やかすファンが悪い、マスコミがいけない、自分の
いうことを聞いてくれないフロントが一番アカンといった調子です。
 3年間優勝出来なかったのは、選手が「野村の考えを聞かない」からだ。彼のあと
で監督に就任し、2年目に優勝させた星野仙一については「人脈がある」とか
「世渡りがうまい」と愚痴をいう。オーナーが選手獲得に金を出すようになったのは
「私が久万オーナーに改革の必要性を訴え、幸いなことに星野がそれを実現させ」た
からだとまで書いています。
 星野のあとの岡田監督については「サインを出さない」(と金本に聞いた)。
「監督の仕事を放棄している」と散々です。

他にもタイガースについて選手、ファンに対しても罵詈雑言の数々。過去の名選手、
江夏、田淵、掛布についても「個人記録主義の権化」とバッサリ。
これで「阪神のOBのひとり」であると仰有るのです。

もともと変愚院は野村ハンが嫌いではありませんでした。
どこか愛嬌があって、嫁ハンのサッチャーに頭があがらん、私と同世代(一歳上)
のオッサンと思っていました。楽天の監督になってマー君などをうまく使ったとき
も「さすがノムさん」と感心したものです。

しかし、これで本心が見えた。要は彼は「阪神タイガース」を愛することが、本当に
好きになることができなかったのです。そんな人が監督をしていては、勝てるはずが
ない。なんぼ偉い人でも、「再生工場」でもあきません。

それでは、ここで名前の出た江夏豊や岡田彰布は野村克也をどう評価しているか…
次回のお楽しみです。 
 



闇の奥

2010-07-21 09:10:07 | 読書日記
辻原登著 文藝春秋社 2010.04.10 第一刷刊


第二次世界大戦末期、ボルネオで消息を絶った若い民俗学者がいた。彼・三上隆は世界
各地に残る「小人族」が実存することを信じ、また
『百万年の昔、天上から神が降下したもうたごとく、かの山巓から生きとし生けるもの
が東南アジアの島々へ、とりわけ二つの高山島、台湾島とボルネオ島に下ったのだ。
みな小さなヒマラヤなんだよ。』(友人への手紙)というように、ヒマラヤの造山活動、
いわゆる「ヒマラヤ褶曲」が、これらの土地に同じような環境を産んだと考えていた。

この本は、三上隆の生存を信じる人たちが、戦後、彼の足跡を追って捜索を続ける物語
で、6つの章から成り立っている。
序章に当たる「イタリアの秋の水仙1」(この章の名にも意味があるのだが…)で、
何故この物語が生まれたかが語られ、物語の輪郭が大まかな見取り図のように朧気なが
ら読者に示される。


キナバル山(4101m)

続く三つの章は、1982年(昭和57年)に第三次三上隆捜索隊がボルネオで彼の生存して
いた証を発見する話しである。
目的地はキナバル山から連なるクロッカー山脈を縫って流れるサバ州キナバンタン河の
源流域。ここで「矮人族(ネグリト)」が登場し、首狩族らしいということで物語は奇怪な
雰囲気を見せる。しかし、三上はすでにロマンティックな想い出を残して、この地を立ち
去っていた。


大塔山

次の章は1986年(昭和61年)、舞台は日本、しかも三上の生まれた和歌山県である。
第三次捜索隊員でもあった男が、友人二人を誘って大塔山系に分け入り、苦心の末に
「ネグリトの村」を発見する話。しかも、ここで三上隆が姿を現し、しばらくは東チベット
にいて「気がついたとき、ここにいたのです。」と語る。
しかし、これは語り手が「孫娘におとぎ話」をするつもりで書きためた資料でもあり、
どこまでが真実で、どの部分がファンタジーなのか分からない。

最後の章は再び「イタリアの秋の水仙2」で、これは2009年(平成21年)、つまり去年
の話し。すでに第三次捜索隊までの隊長・村上も、大塔村で小人族の村を発見したとい
う出水もすでに亡く、村上の息子と第三次の脇役で今や千葉大名誉教授の青木が東チベット
に出かける話しである。
三上が滞在していた村は東チベット・ミニヤコンカの麓で、その話はなんとダライ・ラマ
が語ったことで保証される。しかも、三上はダライラマのチベット脱出に一役買って
いたのだ!


ダライラマの夏の離宮・ノルブリンカ

村上の息子と青木がラサ暴動後の東チベットへ行く手段も傑作で、日本からの「マツタケ
狩りツァー」に便乗して、途中から抜け出す。
ここで登場する同じツァーの一員、実はチベット人の中年女性がとても魅力的だ。

この本は実在の山や人物が登場し、かの「和歌山のカレー」事件や「ダライラマのチベット
脱出」事件も、構成上、重要な役割を果たしている。現実と夢想が交錯する不思議な物語
世界に読者を誘い込むこの小説は、「文学界」に連載されていた文芸書ながら、非常に
面白く読み終えた。

南方熊楠を始め、この本にも登場する岡潔など、和歌山県には天才奇才を産む土壌があ
るのだろうか?この本の主人公・三上隆同様、作者も和歌山県人である。

西国三十三所道中案内地図

2010-07-20 11:27:07 | 読書日記


畏友・森沢義信氏が新著「西国三十三所道中案内地図」をナカニシヤ出版から上梓され
ました。上下巻、B5判 152頁ですが全頁上質紙カラー印刷のずしりと重い豪華本です。
思いがけず、この貴重な本をご恵贈頂きました。

この本は江戸時代から現代まで残る「西国三十三ヵ所巡礼道」を、江戸時代の巡礼の諸文献
をもとに森澤さんご自身が2,200kmに及ぶ全行程を踏破され、国土地理院の地図上に表示され
たルートマップです。この写真では分りにくいのですが、分岐点や目印、道標などとともに、
適所で写真も挿入されていて、これを持って歩けば迷わずに歩くことができるでしょう。



普通「西国三十三ヵ所巡礼」は、一番札所「那智山青岸渡寺」に始まり、三十三番札所
「谷汲山・華厳寺」で終わるのですが、この本でのスタート地点は伊勢神宮です。
これは江戸時代の巡礼者は東国(東日本)の人が多かったせいで、まず伊勢神宮に参拝
して、そののち熊野街道(今でいう熊野古道)を青岸渡寺へ辿ったことに、基づいてい
ます。

さらに、一番から順に辿る「順道」の他、一部区間では逆に歩く「逆打ち」、さらに途中で
寄り道をする「高野廻り」、「比叡越え」、「愛宕道」、「兵庫廻り」も紹介されています。
いわば江戸時代のトレッキングコースとも言えるこの寄り道コースは、変愚院にはとても
興味深く感じられました。

実は、変愚院夫婦は40歳代の数年間で西国三十三ヵ所と新西国三十三ヵ所をそれぞれ二度づつ
参拝しているのですが、全コースが車使用で、しかも二度目は新と旧?をごっちゃにして
(近いところは同じ日に済ませました)いますので、これはとても巡礼とはいえません。
もうとても全行程を歩き通す気力はありませんが、せめてこの本をザックに入れて「寄り道
コース」だけでも歩いてみたいと思っています。貴重なご本を本当にありがとうございました。

森沢氏については「森澤義信さん・奈良の本」として詳しくご紹介していますので、
こちらをご覧ください。

近頃読んだ本から感じたこと

2010-04-27 10:59:25 | 読書日記
昨26日、一ヶ月余りの里帰りを終えた娘と孫がプーケットへ帰りました。
バンコクでの政情不安が伝えられていて心配だったのですが、シンガポール
経由で無事、プーケット空港に着いたとの電話があり、ヤレヤレです。

早めにマイカーで空港へ送ったので搭乗手続きを終えた後、ショッピング街
で時間を潰しました。そのとき、丸善で買ったのがこの本です。



この本で一番読みたかった箇所は「第6章・チベットを侵略した」です。
著書の池上彰さんはご存じの通り、元NHK報道記者主幹で現在は民放各社
の番組で活躍中ですが、「(ダライラマが)TVに登場しない不思議」の
項で、その理由をズバリ「日本の報道機関各社が北京支局を”人質”に
取られているからだ」と書いています。

つまり、中国政府にとって都合の悪いことを書くと「取材活動に不利益
になる」ので自粛せざるを得ないという事があるようです。



最近になって「ダライラマ自伝」(多くの人に読まれているようで、私の
持っているのは2009年3月刊の第21刷)を読みました。
そして第14世ダライラマ法王の「愛と非暴力」(講演集のタイトル)の
気高い精神と飾りのない人柄に魅了されました。
法王がマルキシズムを理解しようと努め、なんとか仏教との融合を図ろう
とされる姿勢、さらには敵であるはずの中国首脳にも憎しみを捨てた慈悲
の心で接しているのを知るに及んで、もっとチベットのことをより知りた
いと思いました。

私たちがマスコミによって与えられる知識(情報)は、全てが客観的に正し
いものでないことは言うまでもありません。
また実際にこの目で見ても、真実が見えるとは限りません。例えば…

2006年にチベットに行ったとき、ポタラ宮(白宮)は修復中でした。
他の復旧場所についても「文化大革命中のやり過ぎを反省し、全力を挙げ
て償おうとしている」という、中国人ガイドの説明を迂闊にも鵜呑みに
していました。しかし、実際はもっと以前に中国がチベットを侵攻(中国
からいえば解放)したときの悲惨な爪痕でもあったようです。

隣国の大国である「中国」については分らない部分が大きく、何か問題が
起こったときの公式発表に首をかしげることも少なくありません。
(例えば毒入りギョーザ事件の結末など)
中国問題に限らず、色んな角度、視点から情報を集めて自分自身で判断する
ことが重要だと改めて感じています。

¥105でいいの?

2010-03-16 15:29:04 | 読書日記
2~3週間おきの火曜日になるとBookOffやBookMarketなどへ古本を漁りに
行きます。
今日買ったのは次の5冊、すべて105円です。


角川書店「角川One21」2009.09.10 発行  定価705円+税

毎日新聞のスポーツ記者によるセ・リーグ順位予想によると優勝は全員が巨人。
阪神は2位が1人、3位3人…
今朝の新聞では恒例の長田神社参拝が報じられていました。
毎年、ファンの応援だけが空回りする、勝てそうで勝てない不思議なチーム。

去年9月に出た本がすでにこの値段で売られているのも淋しい気がしますが…。
読まなくっちゃ!


文藝春秋「文春新書」2007.03.20発行 定価780円+税

「中国」は訪れるたびにその変貌の激しさに驚かされます。今や日本を抜き、
世界第二の経済大国になろうとする国には、とても興味があります。
この本は古い中国と新しい中国の両方を、24のキーワードから探り、その
全体像を知ろうという試みです。パラパラ読みましたが面白そうです。


(株)NOVA 「フラヌール10」2005.09.19発行 定価1200+税

今年こそトルコに行きたいなと思っていますので、すぐに目に付きました。
フラヌールとは遊歩とか遊歩者とかいう意味のフランス語だそうです。
装丁から見て分かるように、とてもお洒落な感じで若い女性が喜びそうな
旅行ガイド本。
といっても僅か80ページですから、イスタンブールでの買物ガイドが中心。
カッパドキアもパムッカレもトロイも出てきません。
その代わりにベリーダンスや夜市のCD-ROMが付いていました。
これは付いているのを知らずに買ったのですが、まだ封も切られておらず、
本全体も新本のようで良い買い物でした。


(株)南雲堂 新書版 2000.05.12 定価(上、下各)880円+税

肩の凝らない小説を探していましたが、読みたい本は上巻だけが2冊並んで
いたり、汚れていたりで諦めていたところ、新本同様にキレイなこの本に
出会いました。
推理小説は本格ものが好きで、御手洗潔ものも何冊か読んでいます。これは
どうも変わった構成の本のようで、作中に22編のパスティーシュが入っています。
ただ、どうもアンソロジーを島田荘司の名前で出版したような具合でした。
(読み終わらないとなんとも言えませんが…)

近頃読んだ本

2010-02-16 14:03:59 | 読書日記
目を悪くしてから長い読書をすると疲れるので、どうしても軽い読みもの中心に
なってしまいます。

先日、BookOff の「¥105」の棚でこんな本を見つけました。



1.(作・漫画)李 友情「マンガ金正日入門-北朝鮮将軍様の真実」飛鳥新社2003年刊 



北朝鮮という正体のよく分からない国を牛耳る独裁者。どのようにして彼が
権力を手に入れ、それを守り通しているのか。彼の政策が失敗しても(最近も
極端なデノミが破綻している)民衆は何故じっと耐えているのか。
彼の半生を描くこの劇画で、その謎が少しは解けたような気がします。
韓国では「太陽政策」のため日の目を見ず、日本で出版されたということですが、
それほど誇張しないマンがで、「真実」の一部を垣間見させてくれたと思います。



2.(絵と文)さくらももこ「ももこの世界あっちこっちめぐり」集英社1997年刊



「パッパパラリコ ピーヒャラピーヒャラ」の「ちびまるこちゃん」でお馴染みの
作者の世界旅行記。
かって女性誌non・noに連載されたもので、スペイン、イタリア、バリ島、アメリカ西海岸、
パリ、オランダ、ハワイ…の旅が軽いノリの文章に得意のマンガを配し、ご覧のような写真
(亭主が撮ったらしい)も随所にあって、寝ころんで読むのにちょうど良かったです。
ただ、土産物や絵画、時計などを手当たり次第に買いまくるのには驚き。(特にピエール・
ラニエというブランド時計は店にあるだけ!で足りず取り寄せ!!)マンガ家というのは
当たると凄いなあ…と貧乏旅行ばかりの変愚院には羨ましい限りです。



3.アーサー・C・クラーク「3001年終局への旅」早川書房1997年刊

前から読んでみたいと思っていた本だったので、掘り出し物でした。
S・キューブリックの傑作映画「2001宇宙の旅」からのシリーズ4部作の最終編。
たんなる荒唐無稽な夢物語でなく「典拠」が示されているので、現在(といっても
10年以上前になりますが)の科学技術の延長線がどこへ向かうのか、ある程度知る
ことができて興味深かったです。
ともすれば、現実に追い越されそうなSFに興味を失っていたのですが、若い頃の
関心を呼び戻されました。 

3冊とも汚れもなくキレイな状態で、時間つぶしの本としては最適でした。
ちなみに定価で買ったとすれば、1=1,260、2=1,260、3=1,890 で合計4,410円
が合計315円。まあ、定価では恐らく手を出さない本ばかりではありますが…

聖徳太子の密使

2010-01-14 10:11:47 | 読書日記


こんな本を読みました。
平岩弓枝さんの「西遊記」は、確かにこれまでに読んだ西遊記に比べると、
師弟間の愛情が温かく描かれていて感動的でさえあったので、この「密使」も
楽しみにしていました。
しかし残念ながら期待はずれで、失敗作と言っても過言ではないでしょう。

まず、聖徳太子が愛娘を送り出すにしては動機が「天に赤気が出現した」だけ
で、どうも薄弱です。
その行き先も目的も、西遊記の場合は「天竺へ」「お経を貰いに」とはっきり
しているのに比べて、単に「西の国へ」「真の智慧を求めて…」というだけで、
その道中も同様に行き当たりばったりの感じが否めません。

お供の三匹の猫たちも、一応、勇武のトラ猫、知恵のシロ猫、中を取り持つ
ミケ猫と役割はあるのですが、どうも性格づけがあいまいです。相手の妖魔、
悪仙人などにしても西遊記に出てくる相手に比べると、あまり凄味がなく、
弱すぎる相手に戦闘場面?も実に淡泊です。

手に汗握るハラハラ場面も、次はどうなるかのドキドキの展開もないうちに、
とうとうエジプト(らしき所)まで来て、そこで「猫祭」に北からきたいた
長老に「赤気」の正体(オーロラ)を教えられると、蓮池の次空のトンネル
?で一気に「斑鳩宮」へご帰還という結末。

筋道に全く伏線的な描写がないので、余計に連載物(小説新潮)らしい、
その場凌ぎのご都合主義が目立ちます。
「御宿かわせみ」以来の平岩フアンとしては、全く失望感だけが残る結果に
なりました。