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ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

笑う警官 

2010-01-08 16:41:26 | 読書日記
2010年になって最初に読んだ本がこれです。
BOOKMART の溜まったポイントで買ったので、0円。



昨年11月に公開された同じ題名の映画の原作ですが、これがなかなか面白い。
たしか映画の惹句は「追うも警官 追われるも警官」だったと思います。
婦人警官殺しの犯人として射殺命令で追われる同僚の無実を信じて、数人の
仲間が「裏の捜査本部」を設けます。
真犯人を見つけて、仲間を助けるまでのタイムリミットが夕方から翌朝までの
僅か16時間。
かって現実にあった北海道警の不祥事を下敷きにしているだけに、絵空事
と思えない迫力です。
映画は見ていませんが、原作もいわゆるノンストップ・エンターテインメント
という奴…軽快なテンポの展開でページを繰る手が止まりませんでした。

チームのメンバーの個性が実に魅力的で、シリーズ化された次作以降も読んで
みたくなる本でした。

大詔奉戴日(12月8日)

2009-12-08 09:04:50 | 読書日記
「たいしょうほうたいび」…昭和17年から19年までの僅か3年間、
この日は「太平洋戦争」が始まった日として重要な日付でした。
大詔とは「天佑を保有し、万世一系の皇祚を践める大日本帝国
天皇は…」で始まる対米英開戦詔書のことです。
(「テンユウをホユウし、バンセイイッケイのコウソをフめる…」
の文言は何時の間にか暗記していました)

当時、私は国民学校1年生でした。
ちなみに国民学校制度は、私の入学した昭和16年(1941)から政令
によって制度化され、これまでの尋常小学校や尋常高等小学校が
すべてこの名前に変わったのです。

1941年12月8日は、大阪も寒い冬晴れの日でした。
朝早くラジオが「帝国陸海軍は本8日未明、西太平洋において米英
軍と戦闘状態に入れり」という「大本営発表」を伝えました。
(この文句は有名になった後から覚えたのかも知れません。)
親父が「とうとうやったか!」と妙に興奮していたのを覚えています。
学校の帰りには、新聞販売店の前に号外が張り出されていました。
いわゆる「ハワイ真珠湾攻撃」による当初だけの大勝利の始まりです。
子供心にも「勝った!勝った!」と有頂天でしたが、この頃のたいてい
の人がそういう気持ちだったのではないでしょうか?

突如、まずメロディーがそして歌詞が思い出されました。
「見よショウトウ(檣頭?)に高らかに Z旗高く翻る 時こそ来たれ令一下
 ああ 十二月八日朝 星条旗まず倒れたり 巨艦裂けたり砕けたり」

間違っている可能性大で題名も忘れましたが、今頃また浮かんでくるとは
なんと恐ろしいこと…。



この本を読んで、オビに書いてある「国民的熱狂」という文字が
とても重く感じられます。後からでは何とでもいえますが、当時は
文化人もマスコミも殆どの人が「戦争に熱狂していた」していて、
庶民は否応なくその雰囲気や渦の中に巻き込まれていったのでしょう。

今、「戦後編」を読んでいますが、終戦は私の小学校5年生の時、
そして卒業すると新制中学校第1期生です。(最も小学高等科の先輩
がすでに2.3年生としておりましたが)
あの頃の想い出は、ただただ「ひもじかった」の一語につきます。
「昭和史」を読むと、日本中が飢餓状態だったことがよく分かります。

あの戦争のために失ったものは、国家も個人も実に大きなものでした。
今日は8月15日とは違った意味で、これからは二度と馬鹿な戦争をしない、
平和な国家であり続けることを祈る日でありたいと思います。

ウズベキスタンはどこにある?

2009-11-15 09:57:13 | 読書日記
「夫婦で行くイスラムの国々」を読んでいます。
他の本に寄り道をするのでなかなか進みません。

例えば日本語創刊号から定期購読している「ナショナル・ジオグラフィック」
の今月号にシリア

これも毎月送られてくるVISAの11月号にモロッコ

本棚を整理していたら去年の8月号のナショジオにイラン



が出てきて目移りします。かんじんの「夫婦で行く…」方は全11章のうち、
序章のインドから、トルコ、ウズベキスタン、イランとまだ4ヶ国目。
結構のんびり読んでいます。



ここでクイズです。ウズベキスタンは上の地図でどこにあるのでしょうか?
(番号は変愚院が適当に付けました。1はロシアです。)

エジプトはイスラム国家

2009-11-12 20:14:08 | 読書日記
本当は、今日今頃はトルコにいるはずだったのです。
せっかくツァーに申し込んでいたのですが、膝が痛くなった段階で
キャンセルしました。



その代わりにという訳ではありませんが、こんな本を読んでいます。
作者は「国語入試問題必勝法」で知られた人ですが、トルコに取材旅行で
いってイスラムの文化にはまったそうです。

この本の第8章がエジプト、9章がスペインで、ちょっと意外な
「イスラム圏」が登場します。

エジプトといえばピラミッドやツタンカーメンなど、どうも学校で学んだ
古代文明の歴史がまず浮かぶのですが、れっきとしたイスラム国家なんです。
このことを私がまず「思い知った」のは、関空から乗ったエジプト航空機の
サービスです。

長い空の旅で全くアルコール飲料がでません。
持ち込みはいいようですが、同じツァーの若い人が持ち込みの缶ビールを
飲んだところ、アラーの神の罰はテキメン、急性アルコール中毒でぶっ倒れ
ました。~これは本当の話です。



これがそのエジプト航空機。ついでですがエンジンのマークはホルス神。
ハヤブサの神様です。



次に中央のこのオッサンのデコチン(額)をよくご覧下さい。
真ん中が黒づんでいるのが、お分かりになりますか。
この男の名はなんと「モハメッド・アリ」(これも嘘のような本当の話)!
もちろん熱心なムスリムで、毎日の礼拝でオデコがこうなったと、
本人の口から聞きました。

かんじんの本の中身ですが、長くなりましたのでまた今度…。

¥1の本

2009-11-03 17:36:45 | 読書日記
今、読んでいる三島由紀夫の「豊饒の海」ですが、第1巻の「春の雪」の
値段はなんと僅か1円でした。

近くの書店の店頭には見あたらなかったので、Amazonで探したのですが、
ずらりと¥1の表示がでました。
今までもamazonでは中古本…特に文庫本は¥1の表示をよく見ましたが、
私は汚れた書物は嫌なので、これまで手を出したことがありませんでした。
今回は他に表示がないので、その中でも評判の良い出品者に発注しました。
二日すると、少し表紙に傷がある程度で結構綺麗な本が本当に届きました。
配達料が350円必要でしたが、手間を考えるとどうして¥1で商売になるのか、
不思議でなりません。

しばらくして近所のBookOffで一冊350円で並んでいるのを発見。
こちらの方が1円安く、汚れの程度も良かったです。
第4巻は300円でしたので、2~4巻をまとめて1,050円で買いました。
これで1ヶ月以上、じっくり味わいながら読めました。

豊饒の海

2009-11-03 08:26:06 | 読書日記
「豊饒の海」四部作が発表された1960年代末期から70年にかけての私は、
三島由紀夫を右翼作家と毛嫌いし、心情的にはむしろ全共闘の学生たち
に同情的な青年でした。
 そのため「盾の会」の軍服姿の三島への嫌悪感は、読売「巨人軍」への
それにも劣らぬ、むしろそれ以上のものでした。
 それまで「潮騒」や「金閣寺」など三島の著作は図書館で借りるなどして
読んではいましたが、「豊饒の海」はテーマに興味を持ちながらも読む気
もしませんでした。



今頃になって急に、この長編を読みたくなったのは、8月にバンコクに旅行
して「暁の寺」ワット・アルンに遊んでからのことです。
9月は「1Q84」を読んでいたこともあり、10月になって「春の雪」から
読み始め、ようやく三巻目の「暁の寺」を読み終わりました。

「豊饒の海」は輪廻転生をテーマにしていますが、ときには唯識論などの
仏教哲学が長々と論じられ、また「感情を心の中でちょっと揣摩(シマ)
してみた」とか「彼の穎脱(エイダツ)を誰よりも買っていた人」とか、
ルビはふってありますが最近はお目にかからない難しい単語が、ちょくちょく
出てきて時間がかかります。

「暁の寺」では中心的な主題はむしろインドのベナレスであり、そこに燃える
ガートの火であり、ワットアルンは一点景に過ぎないのですが、しかし三島の
風景描写は的確で、特に色彩の表現は絵画的な鮮やかさで目に浮かぶようです。(これは、第一巻の「春の雪」から、ずっと感じていたことですが…)

例えばワット・ポー



『涅槃仏殿の巨大な金色の寝釈迦は、青、白、緑、黄のモザイクの箱枕に、
叢林のように高い金いろの頭髪を委ねていた。金の腕は長く伸びて頭を支え、
暗い御堂のむこうの端、はるか彼方に黄色の踵が輝いていた。』



『その蹠(足の裏)はみごとな螺鈿細工で、こまかく区切られた黒地の一区切
ごとに、紅色にきらめく真珠母が、牡丹、貝、仏具、岩、沼から生い出でた
蓮の花、踊り子、怪鳥、獅子、白象、竜、馬、鶴、孔雀で三帆の船、虎、鳳凰
などの図柄を以て仏陀の事蹟をあらわしていた。』



そして「暁の寺」の描写…
『近づくにつれて、この塔は無数の赤絵青絵の支那皿を隈なくちりばめて
いるのが知られた。
 いくつかの階層が欄干に区切られ、一層の欄干は茶、二層は緑、三層は
紫紺であった。嵌め込まれた数知れぬ皿は花を象り、あるいは黄の小皿を
花心として、そのまわりに皿の花弁がひらいていた。あるいは薄紫の盃を
伏せた花心に、銀子の皿の花弁を配したのが、空高くつづいていた。
葉は悉く瓦であった。そして頂きからは白象たちの鼻が四方へ垂れていた。



塔の重層感、重感は息苦しいほどであった。色彩と光輝に充ちた高さが、
幾重にも刻まれて、頂きに向って細まるさまは、幾重の夢が頭上から
のしかかって来るかのようである。すこぶる急な階段の蹴込も隙間なく花紋
で埋められ、それぞれの層を浮彫の人面鳥が支えている。一層一層が幾重の夢、
幾重の期待、幾重の祈りで押し潰されながら、なお累積し累積して、
空へ向って躙り寄って成した極彩色の塔。
 メナムの対岸から射し初めた暁の光りを、その百千の皿は百千の小さな
鏡面になってすばやくとらえ、巨大な螺鈿細工はかしましく輝きだした。
 この塔は永きに亘って、色彩を以てする暁鐘の役割を果して来たのだった。
鳴りひびいて暁に応える色彩。それは、暁と同等の力、同等の重み、同等の
破裂感を持つように造られたのだった。』

…全巻を通じての「見者」本多は19歳の青年から78歳の老人まで、60年の
歴史を、ときには「人間は歴史に関われるか」と自問しながら見つめて
きます。私も最終巻の本多に近い年齢の老醜の身になって、始めて三島の
「美意識」が、おぼろげながら理解できるような気がしています。
なによりも年齢を重ねたお陰で、ワット・アルンや、(ネパールでではあり
ましたが)ガートでの火葬を実際に見たきたことで、より深い読後感を味わ
うことができたと思っています。

漫画そっくり!(8月19日)

2009-08-19 20:05:46 | 読書日記
朝夕はめっきり涼しくなりましたが、日中の暑さは相変わらずです。
寝ころんで読む、肩の凝らない本を引っ張り出しました。


「ネパールに行ってみた」2003年・小学館刊

新しいスキャナーのテストを兼ねて、モノクロでも一部


(故意に切り取っています)

カトマンドゥのダルバール広場にあるシヴァ・パールヴァティー寺院。
表紙カバーの左隅にもいるこのオッサン。
一日中、寺院の石段に坐って観光客がカメラを向けるのを待っている、
怪しげなサドゥー(修行者)です。
確か私の写真にも写っていた筈と思い出して、探してみると…



いました、いました!
ちなみにこの写真を撮ったのは1999年、エベレスト街道トレッキング
の折のものです。



もちろん、漫画にある「本物の人間がのぞいているかと」思われた
シバ神とお妃のパールヴァティー女神は、百年一日いや千年一日の
ごとく、下界の人間共の営みを見下ろしておられます。

10年間に4度訪ねたネパールですが、この間大きな政変で国の名前
まで変わり、近代化もスピードを増して町も様変わりしています。
私の大好きな、また行ってみたい国です。

*今回のジャンルは「読書日記」+「旅の想い出」になりました*

鴨川ホルモー

2009-07-13 14:26:11 | 読書日記
♀ペンが同窓会に行ったので、昼から(第三の)ビールを飲んで寝ころんで、
しばらく前に買ったこの本を読む。



筆者は京大法学部出身とかで本書がデビュー作だそうだ。
二作目の直木賞候補となった「鹿男あおによし」はTVの連続ドラマで
見ていた。
「さあ、神無月だ。出番だよ、先生」とかシカがいうのが面白かった。

ところで本作は、オビに「謎の競技ホルモーにかける青春と恋」とあり、「解説」によると「ばかばかしくて面白い」本だそうだ。
競技とは要は、京都の東西南北にある京大、立命館大、龍谷大、京産大の4校がオニを使って闘うというものだが、その歴史、戦闘場面も含め、すべてが軽い。
「青春と恋」までが(先が読めていることもあって)軽く見えてしまう。

オビの裏には「前代未聞の娯楽大作」などとあるが、発行元の角川文庫編集部の人は、例えば自社早川書房が昭和48年(1973)に発行した半村良の「産霊山秘録」あたりと是非読み比べて欲しい。



(写真は平成4年祥伝社版、原作はSFマガジン連載中から読んでいたが、再読のために買っていた。他の半村良と廣瀬正の諸作と一緒に残している)

『カバー裏の惹句を載録すると…
<ヒ>一族 -日本歴史の動乱期に必ず1出現し、暗躍する一団。
彼らは三種の神器”御鏡(みかがみ)・依玉(よりたま)・伊吹(いぶき)を用い、念力移動(テレポーテーション)、遠隔精神感応(テレパシー)といった人智を超えた特殊能カを駆使し、天下を平ぐため、跳梁…。
本能寺、関ヶ原、幕末、そして戦後にわたる<ヒ>一族の運命を、斬新な視点と壮大な構想で描き、第一回泉鏡花賞を受賞した著者渾身の傑作、登場!』

とにかく馬鹿馬鹿しさ(奇想天外といってもいい)のスケールが桁違いだ。
猿飛佐助や、坂本竜馬まで出てくる。これを機会に三度目に読んでみよう。
これこそ寝る間も忘れて読みふけるだろう。

ところで肝心の万城目くんだが、三作目の「プリンセス・トヨトミ」が出て、これで京都・奈良・大阪の三都物語か…。
文庫本になって、他に読む本がないときに読むことにします。

ソクラテスの弁明・関西弁訳

2009-07-06 17:25:33 | 読書日記
訳者は大阪南の老舗料理屋のボンボンで阪大中退。
生粋の船場言葉でプラトンの難しい話しを、ワテラにも分かりやすうに
訳してくれはりました。

実はワテも浪人してるときに、岩波文庫で読んでみたことありまんねん。
せやけど「無知の知」たらなんとかかんとか。
チンプンカンプンで、半分もよう読まんと放リ出してまいました。
今度読んでみると、プラトンはん、実にええこと書いてはりまんがな。

ソクラテスはんは、神を信じてへんとか、若者を扇動したとか
ええかげんな罪で訴えられる訳ですけど
(この辺の事情は訳者が簡潔におぎのうてくれたはります)
もうじっき裁判員制度が始まるちゅうときやさかい、次のとこなんか
しっかり読んどきはった方がよろしで…

『…これ以上やっても、たぶん同じことやと思います。
せやけど、みなさんの中に不満を抱く人がおるかもしれません。
もっと小っちゃい訴訟の時でも、涙流しながらみなさんにお願いし、
子供や家族を連れてきて、みなさんの同情を集めようとする人が
おるっちゅうのに、このわたしは、もっと危ない状況やっちゅうのに、
ぜんぜんそんなことしよとせえへんやないかと。
中にはわたしの振舞いを見て、なめられてるんやないかといらついて、
気にくわんから有罪にしてまえっちゅうふうに思う人もおるかもしれません。…』
結局は陪審員 501票中 281対220 で有罪。
ほんで、弁明したら今度は 死刑361 罰金刑140 で死刑判決だす。 



とにかく読んで見なはれ。
めちゃオモロい本です。オビに「これって落語?それとも哲学」て
ありまっけど、死刑が確定したソクラテスをなんとか説得して
逃がそうと、クリントン<ちゃうちゃう>クリトンが牢屋に訊ねてくる
次のくだりやなんかまるで漫才でっせ。

『ソクラテス クリトン? 何でこんな朝早ように来たんや、
       わしが寝坊したんか?
クリトン いや、早いんは早いんやけど。
ソクラテス いま何時?
クリトン もおちょいで夜お明けるくらいかな。
ソクラテス そぉか。せやけど何で看守がお前通す気いなってんやろ?
クリトン しょつちゅう来とるから顔パスや。それに、ちょっとは握らしとるし。
ソクラテス そぉなんや。ほんで、いま来たとこなん?
クリトン いや、だいぶ前。
ソクラテス ほな、なんですぐ起こさんと、ぼ-つと座っとってんな。
クリトン いやいや。わしやったら、こんな時、寝つかれへんのに、
お前、よお寝れるなぁ思て感心しとってん。ほんで、気持ちよお寝とるんやし、
起こさんといたろ思て。』

ほんまにオモロイ本でした。

月決め

2008-12-30 20:04:05 | 読書日記
つまり定期購読している雑誌です。

ナショナル・ジオグラフィックは創刊準備号から…といっても日本版ですが、購読しています。
ナショジオはこれまで120年間、さまざまな探検や発見を支援してきましたが、近頃は地球温暖化や野生生物保護に警鐘を鳴らし続けています。


表紙の写真はオセロット。今やわずか195頭以下になった希少動物です。

PC雑誌はいろいろ浮気してきました。ASAHIパソコンは廃刊になり、その後、毎日、YOMIURI PC 、日経PC21を経て


2009年から、これにしました。
若い頃は毎月待ち遠しかった「岳人」や「山と渓谷」は、よほど興味のあるときに思い出したように購入しています。