宮応かつゆきの日本改革ブログ

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「新型コロナ禍のなか、死者ゼロのベトナムの自由と民主主義」グエン・クアン・ア氏の発言

2020年06月23日 | 未来社会へのプロセス

 ベトナムの民主活動家のグエン・クアン・アさんのインタビュー記事が「朝日」23日付に掲載されました。現在のベトナムを知る上で大変参考になりました。一部を紹介させていただきます。

 ベトナムは人口9600万人を超える国です。毎日の新聞で世界の新型コロナ感染者数、死者数を確認していますが、今日の報道では、ベトナムの感染者数は349人、死者ゼロとなっています。テレビ等の報道では世界の累計感染者数は900万人を超えました。

 インタビュー記事の冒頭には、次ぎのような問題意識が述べられています。

ベトナムは新型コロナウイルスによる死者が今も『ゼロ』だ。1党支配下の政府による徹底した封じ込め策は国民の高い評価を得ているものの、自由を代償にしたやり方は果たして、望ましい姿なのか。ベトナムで市民運動に携わり、民主主義を追求している論客、グエン・クアン・アさんに聞いた」

 グエンさんは、1946年生まれ。ブタペスト工科経済大学で学び、べトナム初の民間シンクタンク「開発研究所」を創設した方と紹介されています。

(グエン氏)今のべトナムは抑圧的な1党独裁でありながら、人々の声に敏感に応える体制でもあります。当局にとってソーシャルメディアは監視や弾圧の対象であると同時に世論を吸い上げるための道具なのです。新型コロナの感染が1月に中国に広がった時、フェイスブックには中越国境の閉鎖を求める意見があふれました。政府がいち早く中国との往来を止めた背景には、国民の圧力があったのです」

「ーー人々はこの現状に満足しているのでしょうか」

(グエン氏)1党独裁に民主的要素を取り込んでいるとはいえるでしょう。しかし本当の民主主義と決定的に違うのは、国民が参加する仕組みがないことです。複数の政党が公正に競う選挙を通じて自分の意思を反映することは、できません」

「一方、1986年以来のドイモイ(刷新)政治で市場経済を導入しました。実質的に資本主義に転換し、人々の感覚も劇的に変わるなか、政治組織は適応できていない。長い目で見て、今の体制が続くとは思えません。自由で活力のある社会を土台にしなければ、人々のための政治はできない。私自身の経験からもそう考えています」

~中略~

「ーー東欧諸国では強権化が目立ち、米国もトランプ政権下で社会の分断が深刻です。今の世界の状況で民主主義を信じられましか」

(グエン氏)国によって深刻さが分かれたコロナ危機では、国民が自由に指導者を選べることがやはり重要だと明らかになりました。問題は民主主義が機能しているかどうか、デマではなく正しい情報をもとに競い合う選挙が行われているかなのだと思います」

「3年前にブタペストを訪ねた時、大学に勤める友人が『今のハンガリーよりベトナムの方が自由だ』漏らしいました。カフェなどで政府批判を誰かに聞かれると、職を失うそうです。自由のない民主主義、と呼べばいいでしょうか。どんなに成熟した国でも市民社会は民主主義と自由のために格闘し続けなければならない」

「民主主義の国で暮らす人々はどこか現状に満足していないでしょうか」