「毎日」紙の28日付「シリーズ 疫病と人間」欄に出口治明・立命館アジア太平洋大学長の発言が掲載されました。
出口治明学長の発言の一部を紹介させていただきます。
「新型コロナとグローバリゼーションについては、ウイルスの発生源を巡るトランプ大統領の中国批判などの米中関係が悪化し国際協調が揺らいだと考える人もいる。しかし、米中対立は新型コロナ問題以前から、ナンバーワンの経済大国が差を詰めてきたナンバーツーをたたくという構図がある」
「それに加えて、再選を目指すトランプ氏が、大統領選を有利にするため外敵を設定するという古典的な手法を用いているだけだ。米中対立の根源は、グローバリゼーションの問題とトランプ大統領個人の問題に分けて考えなくてはならない」
「歴史の教訓としてもう一つ挙げたいのはエビデンス(根拠)に基づいて考える癖を身に付けることである。今回のパンデミックについてもデータに基づいて考えよう、ということだ。そこではメディアの役割はファクトチェックである。米国のメディアは、大統領やリーダーの発言をかなり詳細に検証している」
「日本の政治家の発言もしっかりファクトチェックをしてもらいたい。起きたニュースについて、何が枝で何が幹かを峻別して報道してもたいたい。そのことが健全な社会を築くことにつながると考えている」
「パンデミックが起きたら人々はスティホームをするしかないので、経済がガタガタに落ち込むのは仕方がない。その後に成長すれば良いだけだ。人間は自然現象であるパンデミックをコントロ―ルできないが、それでもウイルスに人間が立ち向かうならば、武器となるのは国際的な信頼と連帯以外にはない。これらは人間が地球上で生き残ってきた最大の強みである」