ドナルド・キーンさんは1922年、ニューヨーク生まれです。
日本共産党が誕生した年と同じです。 キーンさんは、2008年に文化勲章を受章し、昨年3月、日本国籍を取得して、日本人になりました。
インタビュー記事のなかで、「日本にとって”お客さん”ではなくなり、これまで遠慮して言わなかったことも、愛する日本のため言うことにしました」と語っています。
キーンさんは、第2次世界大戦下の自らの戦争体験、戦争観を語っています。
「特攻機『神風』のパイロットらはどんな本を読んで米艦に突撃したのか、日露戦争では多くの日本兵が捕虜になったのにそれを偽り、太平洋戦争では捕虜になることを恥と考えて命を落としていった。 どのように洗脳されたのか、の疑問を持っていました。それを解いてくれたのは、小田実さんが1998年に出版した『玉砕』で、あの複雑怪奇なカラクリと兵士の死が理解でききました」と語っています。
キーンさんは、戦争中、海軍で日本語の翻訳・通訳などをしていたようです。
そうした中で、「日本軍隊が消滅したあとでしたが、押収した日本兵の日記や手紙を見つけました。それまで日本人を狂信的な国民だと思っていましたが、彼らの文章を読んで、家族を思い、祖国を懐かしむ、その気持ちは自分と同じだと思いました」とも語っています。
そして、「戦後、日本では、戦死した兵隊は一人もいません。 それは、多くの犠牲の上にできた『日本国憲法』に軍隊を持たなず、外国との交戦権を認めない、平和主義をうたう『第9条』があったからです。大切にしたい財産です」とアメリカの戦後の戦争の歴史と対比して語っています。
キーンさんが、”遠慮しないで言う”第1弾が、昨年の橋下徹大阪市長が「文楽を『退屈だ』と批判し、文楽協会への補助金見直し発言を知った」ことだったと言います。
「政治家が文楽をどう見たかは自由ですが、売れるかどうかで芸術をはかってはいけません。~季刊『上方芸能』(2012年6月)の『文楽守れ』特集に抗議のメッセージを書きました」と述べています。
そして、キーンさんは、「安倍晋三首相は、オリンピックの東京招致のためのプレゼンテーションで、大事故を起こして、なんら解決していない福島原発について、『汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている』と説明しました。 その後も福島第一原発のタンクから汚染水が漏れ、海に流れていると報道されています。 世界中から、安倍さんは信用できるのか、と疑問が出されています。 復興を願う東北の被災地の人々にどう説明するのでしょうか」
「私は、福島原発の悲劇から学んで、原発再稼働は絶対やるべきではないと主張したい」と語りました。
これらの発言は、キーンさんの”遠慮しないで言う”第2弾となるのでしょうか。 その舞台が「しんぶん赤旗」であったことは、日本国民への大きなメッセージとなっていくのではないでしょうか。