インドネシア・バリ島で8日、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する日米など12カ国の首脳会合が開かれました。交渉をめぐり、日本政府・自民党がこれまで「守るべきものは守る」と公約してきたコメ、や乳製品など重要5項目で譲歩する姿勢をみせています。
重要5項目に対して自民党はどんな選挙公約を掲げてきたのでしょうか。
「しんぶん赤旗」9日付は、自民党の選挙公約と最近の自民党幹部の発言を紹介しています。
◎2012年衆院選公約 「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対」
◎13年参院選公約 「TPP等の経済連携交渉は、交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求する」
◎13年参院選総合政策集 「農林水産分野の重要5項目や国民皆保険制度などの聖域(死活的利益)を最優先し、それが確保できない場合はTPP交渉から脱退も辞さない」
◎石破茂幹事長の10月2日の発言 「自民党は米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源の関税を撤廃しないことを総選挙や参院選で公約し、政権を担わせてもらっている。公約をたがえる交渉はしない」
◎西川公也自民党TPP対策委員長の6日の発言 「(重要5項目を関税撤廃の例外から)抜けるか、抜けないか、検討はさせてもらわなければならない」
そして、西川氏の発言が、政府の公認の方針になろうとしているのが、TPPをめぐる状況になってきています。菅義偉官房長官は7日、「西川氏とすれば当然の発言だろう」と述べ、麻生太郎副総理・財務相は8日、「5項目の中で『これはどうしても』という項目を、最悪のことを考えておくのは当然だ」発言しています。
自民党が関税を撤廃しない「聖域」と位置付ける①米②小麦・大麦③牛肉・豚肉④乳製品⑤砂糖ーの5項目は、関税分類での細目で見ると586品目。そのうち、何を「聖域」から「抜く」か検討するということです。石破自民党幹事長は、5項目の関税撤廃の可能性を「細目の中で検討する」と発言し、西川氏の発言を、幹事長として再確認しました。
オバマ米大統領の首脳会合欠席という事態の中で、米国がめざしている年内妥結に向けた「大筋合意」が確認できませんでした。日本共産党の紙智子参議院議員は、「米国の意向に沿い、年内妥結へ向けてに農産物重要5項目の関税撤廃までも検討するなどということは、国民への重大な裏切りです。日本政府は交渉から即時撤退すべきです」と語っています。