じゅくせんのつぶやき

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宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」

2024-02-11 14:44:06 | Weblog

★ 今年の「本屋大賞」候補作、川上未映子さんの「黄色い家」にしても宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」にしても、コロナの影がちらつく。

★ 今日は、宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)を読み終えた。川﨑秋子さんの「ともぐい」(新潮社)と交互に読んでいくとその文体の落差が楽しい。

★ 「成瀬は天下を取りにいく」はとても読みやすい青春小説だ。連作短篇のようでもあるが、成瀬あかりというちょっと変わった主人公と閉館される西武大津店が物語をつなぐ。

★ 第1話「ありがとう西武大津店」はいわばプロローグ。慣れ親しんだデパートの閉館を前に、連日、ライオンズのユニフォームを着てローカル番組に映りこむ女子中学生。それが成瀬だ。成瀬は将来、びわ湖にデパートを建てるという。

★ 第2話「膳所から来ました」は、成瀬とその親友、島崎がM1にチャレンジする話。物語自体が漫才の脚本のようで、とてもテンポが良く、この作品集の中で私はこのエピソードが一番好きだ。

★ 第3話は、「階段は走らない」。これは成瀬から少し離れて、今や40代になったかつての少年少女たちが西武大津店の閉店を機会に同窓会を企画する話。

★ 第4話「線がつながる」は、膳所高校(滋賀県で1番の進学校)に入学した成瀬を取り巻く話。

★ 第5話「レッツゴーミシガン」は、成瀬が所属する「かるたクラブ」の話。

★ 第6話「ときめき江州音頭」は東京に引っ越すことになった島崎と成瀬が地元の夏祭りで漫才コンビ「ゼゼカラ」として司会を務める話。

★ どの物語も滋賀県(大津周辺だけれど)が満載だ。最近「翔んで埼玉」とか「レディ加賀」とかちょっとローカルな作品が増えているから、「成瀬」も実写化されるかも。

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