じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

テッド・チャン「あなたの人生の物語」

2021-04-08 18:24:27 | Weblog
★ 先日観た映画「メッセージ」の原作、テッド・チャンの「あなたの人生の物語」(ハヤカワ文庫)から表題作(成手公幸訳)を読んだ。

★ 言語学を知らない者には実に難解な作品だった。「表語文字」「表意文字」「表義文字」ってどう違うのか。「非線形」って何。無理に和訳するからわからないのか、それとも原典は更に不明なのか。この難解さが、主人公たちの言語解読の苦労を味わわせてくれているようだ。とにかく円城塔さんの作品以上に意味が分からなかった。

★ これに比べると、映画は実に分かりやすい。言語を使わずに状況を描写できるからだろうか。視覚や聴覚が助けてくれるからだろうか。

★ ストーリーは、ある日突然、謎の物体が地球上のあちこちに出現し、その中のエイリアンとコンタクトしようとする話。「あなた」というのは主人公の言語学者の娘なのだが、映画の中で、言語学者は未来を知る能力を身につけ、自分や娘の宿命を知る。それでも、子を産み、共に生きようとする。

★ 日常当たり前に使っている言語というものが、実に巧妙に築かれたツールであることがわかった。単語、文法、言語の背景にある文化や歴史を知って初めてコミュニケーションが円滑にできるんだなぁ。

★ ところで、中学校では新しい指導要領に沿った新しい教科書になった。中でも大きな変化は英語だ。近隣の中学校では長年「HORIZON」を使っていたのが、このたび「Here We Go!」に変わった。教科書にコードが印刷され、アプリを使えばリスニングを再生できる。文章は長く、単語は多く、そしてリスニングは爆発的に増えた。

★ コミュニケーション重視なのはわかるが、生徒間の格差が広がるのではと懸念する。とりわけ小学生時代の英語体験(小学校時代に塾などで英語を学習している生徒とその機会に恵まれなかった生徒、つまり経済格差)がどれほど影響を与えるのやら。

★ 教師が使いこなせるのかどうか、従来のような定期テストは行われるのか、そして受験はどう変わるのか、未知数が多い。
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