じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

青野暦「穀雨のころ」

2021-04-11 16:08:03 | Weblog
★ 「文學界」5月号から文學界新人賞受賞作、青野暦さんの「穀雨のころ」を読んだ。

★ 芥川賞への最短距離とも言える新人賞。どうも今年は低調だったようだ。 

★ 穀雨というのは4月20日頃の春雨を言うらしい。ストーリーは東浩紀さんの選評で要約されている。女子高生2人が男子高校生2人と出会って恋をする話。

★ 新人賞発表の文芸誌の楽しみは、その選評だ。中には「ここまで言うか」というものもあるから、先輩文士は恐ろしい。この作品の評価はあまり芳しくなかったが、長嶋有さんの強い「推し」で受賞に至ったとか。

★ 私も読んでみて、高校生のある日常を描いているだけで、自分とは関わりないなぁと言う感想をもった。日常の「スケッチ」と言われればその通りなのだろうが。

★ まず主人公らしき「ハツ」と言う人物が男なのか女なのかわからなかった。昨年の三木三奈さんの「アキちゃん」もそうだったが、いくらジェンダーの時代とは言え、作品の入り口で入りにくかった。(「アキちゃん」は、そこが狙いなのかも知れないが。)

★ 「穀雨のころ」で魅かれたのは、のり弁当のつくり方と雑炊のつくりかた。ハツにとっては少々味気なかったようだが、楕円形のわっぱに詰められた二層のおかかや海苔がおいしそうだ。これに軽く炒めた豚バラか牛コマのトッピング、いいねぇ。

★ 雑炊には味噌を入れるんだ。薬味を振りかけて、疲れた胃には沁みるうまさだろうね。どうでもいいような男女関係よりも、こっちの方に魅かれた。作者には申し訳ないが。
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