じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

香納諒一「ハミングは二番まで」

2021-04-21 10:22:34 | Weblog
★ 高校は時差通学が始まった。コロナ変異株は若年層にも広がりつつある。何もしないよりはマシだ。

★ 宇治の縣(あがた)祭りは今年も中止。数々の行事が中止になる中で、東京オリンピックの計画だけは進んでいる。昨日の「天声人語」で「コンコルドの誤り」が紹介されていた。採算が取れないことがわかっても、「もはや後には引けない」と事業は継続。結局、商業的に失敗に終わったという。小学生の頃だったか道徳の時間に「やめる勇気」を学んだ(確か南極点到達競争だったかな)が、現実は難しそうだ。

★ さて、今日は香納諒一さんの「ハミングは二番まで」(「小説推理新人賞受賞作アンソロジーⅠ」双葉文庫所収)を読んだ。第13回(1991年)小説推理新人賞受賞作だという。

★ 主人公の1人称で物語が進む。ハードボイルドタッチで描かれている。中学生時代からの3人の友人。いわゆる不良少年たちで、高校もそろって退学になった。その後はそれぞれ別々の道に進むのだが、3人には自分たちだけの秘密があった。表にできないカネを横取りするだけだったのに、人が死ぬ羽目に。

★ それから20年。1人はアメリカに渡り音信不通。1人は工場経営に行き詰まり、どうやら病で余命わずかなようだ。主人公の男はと言えば、風俗関係の仕事で成功をおさめ、妻には先立たれたものの娘と二人で暮らしている。外には愛人もいるようだ。

★ ところが因果応報と言おうか、彼の歯車が狂い出す。

★ 強気で強引に事業を成功に導いてきたが、結局は独りよがり。「あなたは、自分のことしか見えない人」(45頁)と愛人も去っていった。

★ 男には感情移入できなかったが、この手の男は多いように思う。生きることに不器用だったのかも知れない。
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