見もの・読みもの日記

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西南見仏旅行:3日目/南河内

2004-07-18 11:41:34 | 行ったもの(美術館・見仏)
○道明天満宮→道明寺→野中寺→葛井寺→辛国神社→当麻寺

■道明寺

 南河内の道明寺、野中寺、葛井寺は、それぞれ、毎月18日に仏様の特別拝観を行っている。今回の旅行は、山口の周防国分寺展を見に行くために計画されたものだが、ちょうど帰路が18日に重なるということで、大阪に1泊し、これらのお寺をまわることになった。

 寺社はいずれも再訪である。私はこの周辺の、ポコポコと古墳が点在するのんびりした風景が好きで、1年に1回くらいの割で訪れている。

 道明寺は、とりわけのんびりした感じだ。拝観券売り場には、中年の女性が座っていて、隣に座っているお年を召したおばあちゃんを時々気遣いながら、てきぱきとお客をさばいていた。三々五々拝観客の訪れる本堂は、勝手にご覧くださいというようにほったらかしである。

 18日にお厨子の開くご本尊は、平安中期の十一面観音(国宝)である。いちおう「檀像風」に分類されているが、私はもう少し国風の匂いを感じる。檀像には中性的なイメージがあるのだけど、もっと女性的な感じで、尼寺にふさわしい(写真は、十一面観音のイメージを写した、道明寺の庭の石仏)。

 そのほか、本堂の仏像の中に、仁王だか四天王の一体だか、剣を水平に突き出して構えたものがあった。尼寺の用心棒のようで、ちょっと可笑しかった。

 なお、お寺ではお土産に「道明寺糒(ほしいい)」を売っていて、「巴里万博出品」と書かれたレトロな包装が泣かせる。次回は買ってきて、桜餅でも作ってみることにしよう。

■野中寺

 野中寺では白鳳期の弥勒菩薩像を拝観。ここは拝観客一組ずつ、ご案内が着いて、お客がいなくなると、お厨子はもちろん、座敷の雨戸も閉めてしまうという徹底ぶりである。なんとなく気ぜわしいのが残念。

■葛井寺

 葛井寺は西国三十三ヶ所の第五番札所で、現役感のあるお寺だ。商店街もあるし、境内に露店も出ていた。ご本尊の千手観音は天平時代の乾漆像である。千本の手を丹念に重ねた上に、さまざまは法具を持った少し太い腕を突き出させている。千手観音の原初的なスタイルである。しかし、現在のお堂では、お厨子の扉が細々と開くだけなので、圧倒的な迫力を持つ全体像を把握できないのが非常に残念である。

■当麻寺

 最後は当麻寺へ。近鉄・当麻寺駅からまっすぐ伸びた、日陰のない参道を歩く。一昨年であったか、12月半ばに来たことがあって、吹き下ろしの寒風に泣きそうになった記憶があるのだが、今回は炎天下である。門前に着いたところで耐え切れず、茶店の氷宇治金時で水分と糖分を補給した。

 当麻寺の拝観もあわただしい。本堂(曼荼羅堂)のほかに、金堂と講堂があるのだが、これを女性1人が、かけもちで案内してくださる。お堂に拝観客だけを残すわけには行かないらしく、「次は金堂に移ってください」「次は本堂へ」と急き立てられるのだ。

 金堂の四天王(白鳳時代)は、知る人ぞ知る、名品である。私が当麻寺に来るときは、この四天王に会いにくるようなものだ。あまり類例が見あたらないので説明しにくいが、ちょっと無頼(ぶらい)の顔つきをしている。あまり仏国土の住人という感じではなく、黒澤映画にでも出てきそうである。この旅行は四天王で始まり四天王でシメることになったな、と思うと満足であった。

 最後に西南院という塔頭寺院を初めて拝観したが、仏様の安置されているお堂は、ガラスが邪魔になって中がよく見えないのが残念だった。(07/25記)
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