見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

東博の常設展・善無畏像(国宝室)と斉白石(東洋館)

2018-12-10 23:32:39 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京国立博物館 本館2室(国宝室)兵庫・一乗寺蔵『善無畏像』(2018年11月27日~12月9日)

 『善無畏像』の展示がこの週末までだったと気づいて、慌てて見に行った。国宝室の展示は、だいたい1箇月交替なのだが、この作品に限っては、週末を2回しか挟まない短期間だった。見逃さないでよかった。私の大好きな絵画なのである。深々と頭を垂れた横顔、合掌する大きな手、波打つ赤い衣、そして椅子の下に無造作に脱ぎ捨てられた沓(くつ)へと視線を上下させてしまうので、縦長の印象が残るが、意外と横幅がある画面だなと思った。左隅の小さな毘沙門天像には、おや、そういえばいたな、という感じ。それにしてもこの絵は本当に好き。私が年を取って、展覧会や寺社詣でに出かけられなくなったら、(複製でもいいから)この絵を部屋の壁に掛けて、ずっと眺めて暮らしたい。祈りの対象である神仏の姿より、この祈る老僧の姿を見ていたい。そう思っている。

■東洋館8室 日中平和友好条約締結40周年記念 特別企画『中国近代絵画の巨匠 斉白石』(2018年10月30日~12月25日)

 続いて東洋館へ。北京画院の所蔵品を通じて、中国近代絵画の巨匠・斉白石(せいはくせき、1864-1957)の人と芸術を紹介する展覧会。前期にも来ているので、これが2回目の参観である。「1089ブログ」に京博研究員の呉孟晋さんが「日本の近代でいえば、日本画壇を牽引した横山大観の知名度に、繊細な画風で孤高を貫いた熊谷守一の芸術をあわせたような存在」と書いているのは言い得て妙。私は、むかし京博の常設展を見に行くのが好きで(現在の平成知新館の位置に平常展示館があった頃)その中国絵画コーナーで、いつの間にか斉白石の名前を覚えた。若冲とか芦雪の大胆でスタイリッシュな描写に通じるところがあって、すぐ好きになってしまった。

 こんなにまとめて作品を見るのは初めてのことで、とても嬉しい。展示資料は、印章、画筆、筆洗なども含め126点。絵画は80点くらい。やっぱり「花木」と「鳥獣」がいいかなあ。墨画にわずかな色彩を加えたものが好き。斉白石は、徐渭、石濤、八大山人、呉昌碩などの影響を受けて画風を確立したというが、本展を見ていると、八大山人への敬慕が尋常でない。私も八大山人好きでは人後に落ちないので、推しが一緒の白石先生には強い親近感を感じた。これとか、



これとか、



これとか、めちゃくちゃ分かる!!



これは白石先生独自の作。薄墨で描いたリス、紫の淡彩を施した葡萄が美しい。



 余談ながら、解説に「白石は」とあると、この間まで見ていたドラマ『那年花開月正圓』の影響で「白石(バイシー)」という中国音で読んでしまう自分に苦笑してしまった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 個人コレクションの奥深さ/... | トップ | クリスマスリース2018 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

行ったもの(美術館・見仏)」カテゴリの最新記事