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中華ドラマ『軍師聯盟之虎嘯龍吟』、看完了

2018-01-27 23:54:03 | 見たもの(Webサイト・TV)

〇『軍師聯盟之虎嘯龍吟』全44集(2017年、東陽盟将威影視他)

 2017年6-7月に放映された『大軍師司馬懿之軍師聯盟』の第2部である。第1部に熱狂したファンの間で「第2部は秋」「いや遅れるらしい」などの推測が飛び交ったが、結局、2017年12月7日から、放映ではなくネット配信が始まり、私は少し遅れて年末から見始めた。期待をはるかに超えて、忘れられない一作になった。

 第2部は、郷里に隠棲していた司馬懿を曹丕が呼び戻すところから始まる。病に倒れた曹丕は、司馬懿、曹真ら四人を皇太子・曹叡の輔臣(補佐)に任じて死す。え~初回で死んじゃうの!?と驚いたが、曹丕という後ろ盾を失うことで、司馬懿にとって本当の戦いが幕を開けるのだ。新帝・曹叡は暴虐をほしいままにし、曹真は司馬懿の排斥を企む。そんな中、司馬懿は息子の司馬師・司馬昭を引き連れて、諸葛孔明率いる蜀漢軍と戦い、戦いを通じて互いを知己と感じるようになる。孔明の死が第22回。長年、司馬懿のライバルであった曹真も、戦いの中で没する。

 孔明の死で蜀漢との戦いが収束すると、曹叡の関心は再び内廷に向かい、讒言を信じて郭皇后(郭照)に死を賜る。しかし、その曹叡も病に侵され、幼い曹芳を皇太子に立て、曹爽(曹真の息子)と司馬懿を輔臣に任ずる。曹爽は、この機に司馬懿を殺そうと宮中に兵を潜ませるが、司馬懿の気迫に押されて手が下せない。曹叡は司馬懿の背中に負われて息を引きとる。これが第27回。曹爽は魏の朝廷を牛耳り、再び司馬懿の命を狙うが、司馬懿は幼帝・曹芳を抱きかかえて、間一髪、死地を逃れる。司馬家の人々(司馬師の嫁の夏侯徽、その兄の夏侯玄も)が一丸となり、連携プレーで司馬懿を救出するのが第31回。やっぱり司馬家はいいなあと安堵したものの、そんな幸せはこれが最後だった。

 司馬懿は、来たるべき危機に備え、ひそかに死士(決死の兵)を養うことを、信頼する長男・司馬師だけに命じる。血気盛んな次男・昭と柏夫人を母とする倫はこれを嗅ぎつけ、父親への不信感をつのらせる。一方、司馬師の妻・夏侯徽は心配のあまり、夫の秘密を探り、死士の隠れ里を発見する。あとをつけてきた司馬昭は、激情にかられて彼女を殺してしまい、司馬倫はその罪を長兄の司馬師に着せる。司馬家の平和は、内側からじわじわ壊れていくのだ。

 愛妻・張春華の死後、司馬懿はすっかり耄碌したふりをしていたが、ついに決起し、死士の一団を率いて洛陽を掌握し、曹爽らを三族皆殺しの刑とする(高平陵の変)。その後も容赦なく敵対者を粛清していく息子たちと、それを是認する司馬懿の態度を見て、絶望した柏夫人は死を選び、魏の忠臣たろうとする弟の司馬孚も去っていく。

 息子・司馬昭の行動に不信を抱いた司馬懿は、夏侯徽の死の真相を知り、昭の処罰を兄の司馬師に任せる。しかし、司馬師は弟を殺すことができない。生涯の大半を「他人の刀」として過ごした司馬懿は、最晩年、自ら「刀を執る者」になろうとしたが「もはや刀は我が手になかった」とつぶやく。心猿意馬と名づけていたペットの亀を放し、湖のほとりで静かに生涯を終える。

 第2部の出演者について、王洛勇の諸葛孔明は、涼やかで苦労人らしくて、とてもよかった。本作の監督・張永新が「(歴史上の人物を)神格化、妖魔化はしたくない。普通の人として描きたい」と語っている映像を見たが、その狙いどおりの孔明だった。孔明を一途に支える姜維(白海涛)もよかった。武勇の人・姜維のイメージをだいぶ修正した。曹爽(杜奕衡)はもっと切れ者のライバルに描くのかと思っていたら、残忍だが単純で、人のよさが見え隠れする役柄で、その分、処刑シーンは哀れだった。曹叡役の劉歓は怪演と言ってよいだろう。気持ち悪くて怖かった。まだ若い役者さんで、写真を探すと笑顔はかわいいんだなあ。曹叡に仕える太監の辟邪(創作人物)役の張天陽はイケメンさん。かなり悪魔的な役柄だが、それでも最後に人間味を見せる。

 司馬師(肖順堯)、司馬昭(檀健次)の兄弟を演じた二人は、MIC男団という音楽ユニットのメンバーだそうだ。へえ~。どちらも難しい役をよく演じていた。特に司馬師役の肖順堯は、背が高くて見栄えがするので、また古装劇に出てほしい。最終回の直前、弟に刃を向ける覚悟で登場したときは、冷たい殺気をまとい、ぞくぞくするほどカッコよかった。日本の大河ドラマ『平清盛』でAAAの西島隆弘くんが平頼盛役を演じたことを思い出した。

 あと司馬孚おじさん(王東)。司馬家の人々が次々に闇落ちしていく中で、最後まで良心の人だった(史実もそうだったらしい)。郭皇后(郭照)が投獄された際「一緒にいる(陪着你)」と言って背中を向けて牢の前に座り込む姿に泣けた。最後の最後に司馬懿から「郭照もお前と結婚していれば幸せだったろう」なんて、第1部の始めの頃を思い出す会話を聞かされてつらかった。第2部の終盤は、自然と第1部のあれやこれやを思い出すシーンが多く、歳月の隔たりを感じ、繰り返すものや帰ってこないものをしみじみ懐かしんだ。

 劇伴音楽がすごく好きだったことも書いておきたい。神思者(S.E.N.S.)と言って、日本のユニットなのだそうだ。それからYouTubeでは本作のメイキング映像を何本か見ることができる。張永新監督や、司馬懿を演じ、かつプロデューサーでもある呉秀波が、撮影の合間に三国志あるいはこのドラマの登場人物について熱く語り、ほかの出演者(特に若手俳優)が耳を傾けている様子など、現場の雰囲気が垣間見える。どうか第1部とともに、早く日本で放映されますように!


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