■大同、雲崗石窟
主要窟の大仏は、北魏(5世紀)時代の作。動きが少なく、どこか生硬だが、清新な気風を表現する。面長な面貌に、アルカイックな微笑が印象的。その一方、このように極彩色の窟もある。これらは、清代に農民によって施された彩色だということで、文物保護の観点からは問題があるが、これはこれで、また大好き。以前、北ドイツの古い教会が、これとそっくりの色調の装飾で飾られていて、面白かった。農民の好みって、西も東も同じなのかしら。
■太原、天龍山石窟
中央の楼閣に位置する、巨大な十一面観音と、その脇侍の普賢菩薩。どちらも頭部は後刻。ここ、天龍山石窟から持ち去られた名品のうち、日本が所有するものは少なくない。以下はその一例。
・東京国立博物館:所蔵品詳細-菩薩半跏像
・大阪市立美術館:蔵品選集-彫刻
・東京大学総合博物館:仏教彫刻(中国・朝鮮・タイ)
ちょっと胸が痛む。
■洛陽(河南省)、龍門石窟
露天の奉先寺洞が有名なので、無彩のイメージが強いが、実は各窟の内壁には、意外と色彩が残っている。天井には蓮華の天蓋。右手の壁は、小さな千体仏で埋まっている。
■邯鄲(河北省)、南響堂山石窟

この石窟で、唯一、本来の頭部を残す仏像。ほかは全て失われ、多くは海外に流出してしまった。というわけで、『響堂山石窟:流失海外石刻造像研究』という書籍が出版されている。各国の美術館・博物館の所蔵品目録から拾い集めた、執念の作。
■邯鄲、北響堂山石窟
これは修復された頭部。
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