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中華ドラマ『瑯琊榜之風起長林』、看完了

2018-03-14 00:21:43 | 見たもの(Webサイト・TV)
〇『瑯琊榜之風起長林』全50集(2017年、東陽正午陽光影視有限公司、愛奇藝)

 2015年に制作され、今なおファンを増やし続けているドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)』の続編である。日本では3月26日から『琅琊榜〈弐〉風雲来る長林軍』のタイトルで、CSチャンネル「衛星劇場」での放映が決まっているが、私は一足先にネットで中文字幕版を視聴し終わった。

 続編の時代は前作から50年くらい後に設定されている。前作で即位した靖王(武靖爺)も今は亡く、その嫡子が梁の帝位を継いでいる。梅長蘇に救い出され、靖王の養子となった蕭庭生は、長林軍を率いて長林王を名乗り、朝廷で重きをなしているが、それを快く思わぬ勢力もいる。長林王庭生の長男・蕭平章(ピンジャン)は長林軍の副将として、北の国境で大渝国と対峙し、激しい戦闘を繰り広げていた。一方、弟の蕭平旌(ピンジン)は琅琊山の老閣主・蔺晨のもとで修行に励みながら、のびのび自由な日々を過ごしていた。戦いで深手を負った平章は、済風堂の医女・林奚姑娘によって一命をとりとめるが、梁国の侵略と長林軍の解体をねらう悪の勢力が次第に迫っていた。

 本作は、総じて言えば、第1作ほどの傑作ではないが「普通に面白い」ドラマだと思う。ただ、前半は梁国と長林軍に敵対する「悪の勢力」がたくさん登場しすぎて、ちょっと頭が混乱した。展開に変化があって面白いのだが、誰が「ラスボス」なのか、なかなか分からないのだ。内閣首輔の荀白水とその妹・荀皇后は、皇帝に対する長林王の影響力を疎ましく思っている。荀皇后が信奉する白神教の上師・濮陽纓は、かつて梁国に滅ぼされた夜秦の遺民で、梁国への復讐を狙っている。その手下として暗躍するのが、武侠高手の段桐舟。また、東海国から梁に嫁いだ莱陽太夫人は、かつて夫君が梁帝から死を賜ったことを恨み、梁帝を呪詛していたが見つかってしまう。息子の蕭元啓は、母の葬儀を許されなかったことから梁帝に深い恨みを抱き、東海国の墨淄侯はこれをひそかに利用して、梁国の簒奪を企てる。

 結局、蕭元啓が最後の悪役になるのだが、自分にとって都合の悪い、あるいは不要な人物の命をあっさり奪うなど、冷酷非情なところを見せるかと思えば、蕭平旌の長林軍に参じて、ともに梁国のために戦ったり、無表情な演技で本心を見せないので、結局、君は何が望みなのだ?と首をひねる場面もあった。最後の最後は、気持ちよい悪人ぶりを見せてくれるのだが、野望を果たせず、誅殺されるにあたって、東海国の攻撃を防ぐ策を記した文書を残し、長林老爺の恩義に報いようとする。妻・荀安如への報われない愛着など、複雑で興味深い役柄だった。若い俳優さん(呉昊宸)で、難しかっただろうな。

 荀白水も、長林王との確執から悪の道にはまりそうではまらず、梁国の忠臣として生涯を全うする。荀白水の息子・荀飛盞(張博)は禁軍大統領。前作の蒙大統領のようなコミカルさはなくて、沈着で寡黙な武人気質。蕭平章の妻(未亡人になる)蒙残雪に秘めた思いを寄せているのではないかと感じたのは、私の考えすぎだろうか? 中盤まで見せ場は少ないが、クライマックス近く、死を覚悟して大軍勢にひとりで立ち向かう姿はぞくぞくするほどカッコよかった。なお、緊張感の連続する終盤に、唯一笑いを与えてくれるのは、岳銀川将軍の副将の譚恒。佩兒ちゃんと幸せになってくれるといいなあ。

 父皇の死によって即位した若き梁帝・蕭元時(胡先煦)は、母や伯父の影響下をなかなか抜け出せないが、苛酷な体験を通して皇帝のふるまいを身につける。主役の蕭平旌(劉昊然)もそうだが、今の中国の流行りは、むかしの日本で言うしょうゆ顔なのかな。蕭平章役の黄暁明みたいな、彫りの深い顔立ちはもう古いのだろうか、と思った。ヒロイン林奚姑娘は、前作の霓凰郡主とは違った意味で自立した女性で好ましかった。

 昔語りに第1作の登場人物の消息が示されたり、第1作の映像が挟まれる場面はときどきある。共通する登場人物は庭生と藺閣主で、どちらも別の俳優さんが演じているのだが、セリフや行動の端々から、ああ、あの庭生、あの閣主だと納得できた。しかし、なんといっても本作が『琅琊榜』の後日談であることを実感するシーンは、クライマックス(終盤)に来る。第1作のファンの方々には、ぜひその場面をネタばれなしで味わってもらいたい。本作は第1作と違って、最終回らしい最終回で終わったので、たぶんもう続編は作られないのだろう。でも叶うなら、さらに梁国の行く末の物語を私は見たい。平章の遺児の策兒が成人していたり、琅琊閣の閣主も世代交代した頃の物語を。

 最後に余談だが、本作の放映開始前の特番で出演者の皆さんが語り合っている映像をネットで見つけた。前作が「文戯」なのに対し、本作は「武戯」というのはよく分かる。草原を疾駆する騎馬軍団の爽快感、大軍勢の鎧の音が迫る恐ろしさなどは本作の妙味。ただ個人的には、文官に魅力的な人物が少ないのが物足りなかった。庭生役の孫淳さんがドラマの蕭平章について「山東人らしい性格」と評していたのは、よく分からなかったが、中国語版Wikipediaに「山東人」の項目があるのを拾い読みして納得した。「本性仁厚,対上講忠誠,対朋友講義気,対前輩講孝敬」と言われるのだそうだ。そして孫淳も黄暁明も山東出身なのである。
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