見もの・読みもの日記

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2021年7月@関西:旅の美術(大和文華館)

2021-07-30 19:04:27 | 行ったもの(美術館・見仏)

大和文華館 『旅の美術』(2021年7月9日~8月22日)

 連休3日目、京博のあとは奈良へ向かう。大和文華館では、所蔵品の中から旅にまつわる作品を集めて展示中。同館のコレクションは何度も見ているので、「旅にまつわる作品」といえば、あれかなこれかなという想像が楽しい。中国絵画の『明妃出塞図巻』『文姫帰漢図巻』はやっぱり出ていた。岡田為恭の『伊勢物語八橋図』、あわせて伝・宗達の『伊勢物語図色紙』も妥当なところ。『善財童子絵巻断簡』や『遊行上人縁起絵断簡』も分かる。

 『曾我物語図屏風』(江戸中期)は富士の巻狩を描いたもので、旅と言えるのか、よく分からなかったが、キツネ、シカ、イノシシ、でかいサル、ツキノワグマなど、多くの動物が描かれていて楽しかった。登場人物は目が大きく、表情が分かりやすくてマンガっぽい。名所の絵画では、『京奈名所図扇面冊子』(江戸前期)に惹かれた。一頁に上下2枚の扇面を貼り込む。京都と奈良を一括して扱うのは珍しいのではなかろうか。奈良の大仏は覆屋なしで露天に鎮座した状態が描かれていた。吉野は桜満開。

 江戸絵画は、めずらしくて新鮮な作品が目白押し。宋紫石の『富嶽図』は淡彩がさわやかで、え、あの宋紫石?と思って、作者名を二度見した。小野田直武『江の島図』は本展のチラシ・ポスターに使われているもの。写実なのか夢の光景なのか、よく分からない造形に気持ちがざわつく。司馬江漢『七里ヶ浜図』は、凪の海の穏やかな波が、浜辺で崩れて白い波頭を見せるところの描写がとても好き。江漢『海浜漁夫図』は、海辺でサカナを抱えた漁夫たちをユーモラスなタッチで描く。亜欧堂田善『駿河湾富士遠望図』は、岬(?)の突端に隠れて、ちらりと白い富士が見える構図が面白い。

 富岡鉄斎の『攀嶽全景図』は、実際の登山経験を踏まえた富士山図と言われるが、ちゃんとふもとから頂上まで人の歩ける道が続いているのは、中国の名山っぽい。渡辺南岳『殿様蛙行列図屏風』は、これもまた『鳥獣戯画』の子孫かなあと思って、楽しく眺めた。

 このあと、近鉄奈良に出て、東向商店街のマカロンとケーキのお店「銀杏や」で一服。今年はまだ、東京でかき氷を食べていないので、これが初のかき氷。

 少し元気を取り戻して、春日大社へ向かった。

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