見もの・読みもの日記

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冷たい懐かしさ/アイスの旅(甲斐みのり)

2020-07-27 21:55:47 | 読んだもの(書籍)

〇甲斐みのり『アイスの旅』 グラフィック社 2019.6

 旅行の予定が全く立たない日々なので、大型書店に行くと、旅やグルメの棚をぼんやり眺めている。本書は、品のよいお嬢さんのワンピースみたいな表紙の写真が気になっていたが、中を開けてみたら、全国各地の懐かしい・愛らしいアイスの写真が満載で、しばらく手元に置いておきたくて買ってしまった。

 いま、東京でアイスを買うとすれば、全国展開の菓子メーカーか、スーパーやコンビニのブランド商品がほとんどなので、こんなに多種多様なアイスが売られているなんて、思いもよらなかった。特に昔ながらのアイスキャンディー、製造販売している老舗が各地にあるのだな。弘前の相馬アイスクリーム商店、秋田・小松屋本店、福岡・ふくやなど、いつか行ってみたいし食べていない。少し前に見たテレビ番組で、大阪・北極のアイスキャンデーは「棒が斜めに刺してある」のが特徴(食べやすい)と言っていたが、本書の写真を見ると、棒を斜めに刺すタイプは少なくないみたい。

 このお店、この商品、知ってる!と思ったものは少ないが、一時、北海道に住んでいたので、雪印パーラーのスノーロイヤルはもちろん知っている。セコマ(セイコーマート)のソフトクリームも好きだったな。とうきびアイス(さくら食品)は、むかし東京でも食べたことがあると思っていた。そう、本書には「ご当地アイス」として紹介されているのだが、東京で食べたことがある、と思ったものがいくつかある。たとえば、井村屋(三重)のメロンボール。ぱかっと蓋を外せるメロン型の容器に入ったアイス。昭和47年開発だそうだ。林一二(大阪)の王将は、チョコ・バニラ・イチゴの三色が縦に並んだ板形のアイスキャンディー。王将という名前に覚えはないが、昭和42年の発売当時はフランスという名前だったそうだ。福岡・丸永製菓のアイス饅頭は、いまでも東京で見かけることがある。

 全体に駄菓子系のアイスが多いが、「東京で食べるアイス」として、資生堂パーラーと近江屋洋菓子店が紹介されているのは嬉しかった。近江屋のアイス!社会人になったばかりの頃、ご褒美みたいに食べてたなあ。北海道・小樽のアイスクリームパーラー美園が載っているのも嬉しかった。あまり考えたことがなかったのは、福島県小野町のアイスバーガーをはじめ、パンにアイスを挟んで食べるという発想。いや、悪くないかも。

 かなり多くの商品が、通販で購入できることには驚いた。でも、やっぱり旅先の出会いがいちばんいいと思う。旅に出て食べたいのは、まず高知のミレービスケットアイス。それと三重・御福餅本家のお福アイスマック。

コメント
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