見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

広島県・耕三寺と鞆の浦の船旅

2015-05-10 10:31:51 | 行ったもの(美術館・見仏)
○5/2(土)福山→尾道→耕三寺→尾道→鞆の浦→福山→奈良泊

 今年の連休は奈良からスタートする予定だったのだが、突然、5/1(金)に熊本&博多に出張する仕事が入ってしまった。そこで、5/1は福山に宿泊することにした。先日読んだ『見仏記:メディアミックス編』に影響されたためである。翌日は尾道に出て、できれば耕三寺も訪ねてみたいと思っていた。

 連休初日。福山→尾道に移動し、駅前の渡船乗り場に行ってみる。耕三寺のある生口島は、橋を経由してバスでも行けるが、往路は船を利用することにした。サイクリングの人気スポットなので、自転車を持って乗り込むお客さんが多い。

潮騒山耕三寺・耕三寺博物館(尾道市瀬戸田町)

 瀬戸田港から静かな商店街を抜けていくと、耕三寺に到着。実業家の耕三寺耕三氏が、母への報恩感謝の意を込めて建立したお寺。宇治の平等院鳳凰堂や石山寺の多宝塔を「復元」した、極彩色の堂塔が立ち並ぶ。日光東照宮の陽明門を模した三門の屋根の上に風神、雷神が乗っていたのは、オリジナルのとおりなのだろうか。

 道を挟んで向かいの耕三寺博物館にも寄る。平安~鎌倉の仏像の佳品あり。佐竹本三十六歌仙『紀貫之像』が出ていて嬉しかったが、「絵は藤原信実、書は伝・狩野探幽」という解説がついていて、え?とびっくりした。実は、書跡の部分は江戸時代に修理されているそうだ。確かによく見ると料紙の左半分(絵)と右半分(書)の質が違った。

 バスで尾道駅に戻る。前日まで、午後は尾道の寺めぐりの予定だったが、朝、渡船乗り場で鞆の浦行きの船があるのを見て、どうしても乗りたくなってしまった。13:30発の船に間に合いそうなので、再び駅前の渡船乗り場へ。鞆の浦は、朝鮮通信使の寄港地として知られている。以前、福山からバスで訪ねたことはあるが、朝鮮通信使を偲ぶには、やっぱり海からアクセスしてみたい。

 沼隈半島の南端にある阿伏兎(あぶと)観音堂も海から遠望。



 阿伏兎岬を回り込むと、鞆の浦の港が見えてくる。



 朝鮮通信使の高官の宿舎であった対潮楼(福禅寺)を久しぶりに訪ねてみた。残念ながら修復中で、風情はいまいち。観光ビジネス的には、坂本龍馬と「崖の上のポニョ」押しらしく、観光客の姿は多かった。
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高野山開創1200年記念大法会(2):慈尊院ご開帳2015

2015-05-10 00:39:25 | 行ったもの(美術館・見仏)
○5/4(月)天王寺→難波→高野山→(※ここから)九度山→慈尊院・弥勒堂ご開帳→京都泊

 高野山を後にして、九度山の駅についたのが午後3時くらいだったと思う。私は2005年のご開帳のときも来ているので、10年ぶり二度目になるが、道はすっかり忘れてしまった。同じ方向に行きそうな降車客もいなかったので、スマホの地図をたよりに、車の往来の多い道の歩道を20分くらい歩く。前回は「慈尊院特別公開」のポスターがぽつりぽつりと貼ってあって目印になったが、今回はない。そのかわり、連休中に行われる「真田まつり」のポスターが目立つ。来年の大河ドラマにも決まったから、盛り上がっているんだろうな。

 道の駅「柿の郷くどやま」(10年前にあったかしら?)を通り過ぎ、古い家並みの裏道をしばらく歩くと、慈尊院に到着した。



 紫の幕が張られた三門を入ると、左手に本堂(弥勒堂)と拝堂が、近い距離で相対している。この配置にはなんとなく記憶があった。実は、前回ご開帳(2005年)時の参拝は、このブログにも書き残しているように、非常に不本意だった。ほとんどお姿が認識できなかったのだ。ところが、今回、弥勒堂の前に立って驚いた。見える。信じられないくらい、よく見える! たぶん前回はなかった筈だが、ご本尊にきっちり照明が当てられていた。ちょっと照明が強すぎて、陰影が少ないのが物足りないくらいの明るさ。

 お堂の横に(最近、頻発している文化財への油被害を警戒して)「ご本尊の前に透明板を設置していますが、ご了承ください」という断り書きがあったが、全然問題なかった。というのは、お堂と参拝者の間(1メートル半くらい?)に、金襴の布でつくった箱状のトンネルが設置されているのだ。おかげで参拝者は、外光が透明板に映り込むのを気にせず、ご本尊に正対することができる。おおお、なんというGJ!

 御朱印を書いてもらいながら、和尚さんとお話する。博物館では周りを暗くして照明を当てるからよく見えるやろ。本当は(布のトンネルは)文化庁に知れると叱られるのや、火が出たら危ないから、とおっしゃっていた。何もないけどご本尊をしっかり拝観していただくのが唯一のご馳走だから、とも。ありがとうございます。

 なお、お堂の前には制服を着た警備員の方がひとり控えめに立っていた。ご苦労だなあ。4月中旬に拝観に来た友人の話では、透明版は設置されていなかったと思う、と言っていたので、こうした配慮は、連休直前に決めたことかもしれない。

 ご本尊の前に小さめの四天王像が置かれていたことも記録しておこう。これは残念ながら逆光になって、ちょっと見にくかった。
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